課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社が掲げる経営理念には、お客さまによりそい、一人ひとりの人生を守り続けていくために、全社員一丸となって歩んでいくという、当社の決意が込められております。この経営理念を実現するため、当社が目指していく具体的な姿を経営方針として制定しております。

(経営理念)

いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。

(経営方針)

かんぽ生命保険は、お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社を目指します。

① お客さま一人ひとりの人生によりそい、分かりやすい商品と質の高いサービスを提供します。

② お客さまにより良いサービスを提供するため、お客さまと接する社員が力を発揮する態勢を整備します。

③ 社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。

④ コーポレート・ガバナンスの確立による健全な経営を行い、常に新しい価値を創造することで、持続的な成長を生み出します。

⑤ 健康促進、環境保護、地域と社会の発展に積極的に貢献します。

⑥ すべてのステークホルダーと密接なコミュニケーションを図ります。

 

(2) 経営環境

2021年度の日本経済は、経済活動の再開が徐々に進む中、各種政策効果や海外経済の改善もあり回復基調となったものの、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が断続的に発生する中で、その動きは緩やかでした。米国経済は、供給制約の問題や物価上昇が下押し要因となったものの、内需を中心に堅調な回復が続きました。欧州経済は、年度前半は個人消費を中心に堅調に推移したものの、年度後半は新型コロナウイルス感染症の感染再拡大や物価上昇等の悪影響から回復は鈍化しました。

こうした経済状況の中、運用環境は以下のようになりました。

国内長期金利は、日本銀行による長短金利操作付き金融緩和政策の下、概ね0%~0.1%程度で推移していましたが、米国における利上げの開始等を受けて海外金利が急上昇する中、年度末にかけて上昇し、3月末は0.21%程度となりました。

日経平均株価は、国内で新型コロナウイルス感染症の感染再拡大が発生する中、年度始から緩やかな低下基調で推移しました。9月には、国内新政権への期待感の高まりや、新規感染者数の減少等を受けて30,000円を超える水準まで上昇しましたが、オミクロン株による感染再拡大等を受けて再び低下基調となり、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻等もあって3月上旬には24,000円台まで下落しました。その後は、米国株式市場の反発や円安の進行が好感されたことで上昇し、3月末は27,000円台となりました。

 

また、近年、生命保険業界を取り巻く経営環境は大きく変化しております。

少子高齢化の進展や単身世帯の増加に伴い伝統的な死亡保障へのニーズが縮小する一方、社会保障制度に対する不安感や自助努力意識の高まりから、医療・介護等の第三分野商品に対するニーズの拡大が見られ、今後もこの傾向は継続するものと考えられます。さらに、新型コロナウイルス感染症が大きな影響を及ぼし続けており、お客さまに迅速かつ適切に保険金等をお支払いするという生命保険事業の社会的役割は重要性を増しております。また、各種サービスのデジタル化に向けた取り組み等が進展しており、当社としても、時代とともに加速するお客さまの価値観やライフスタイルの変化・多様化に合わせて最適なサービスを提供できるよう、引き続きお客さま本位の業務運営の推進・定着に取り組んでいます。

販売チャネルにつきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う環境変化等により、従来からの営業職員チャネルや銀行を中心とした金融機関の窓口販売チャネル等の対面チャネルに加え、デジタル技術の活用により非対面・非接触での保険サービスを提供する取り組みが進んでおります。

当社におきましては、創業以来、養老保険・終身保険を中心とした簡易で小口な商品を、全国津々浦々の郵便局を通じて、家庭市場を中心に多くのお客さまにご提供するという独自のビジネスモデルを展開してまいりました。商品・チャネル・顧客基盤といったこれらの特徴は、他社にはない当社の大きな強みである一方、時代や環境の変化に適応したビジネスモデルの転換を図る必要性を認識しております。かかる課題認識を踏まえた当社の成長戦略の詳細は、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります

また、当社は、2019年度において、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案が判明いたしました。これにより、2019年12月27日に金融庁から、保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令(2020年1月1日から3月31日まで)及び業務改善命令を受け、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。

当該業務改善計画の実施状況及び2021年4月より移行した新たな営業スタイルについては、下記「(4) 経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります(以下、かかる事案の経緯及び再発防止に向けた取り組み等を総称し、「募集品質に係る諸問題」といいます。)。

 

(3) 目標とする経営指標

当社は、お客さまから真に信頼される企業へと「再生」し、お客さまに「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう、お客さま体験価値(CX)※1を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、「持続的成長」を目指す、との経営の方向性を示すものとして、2022年3月期からの中期経営計画を、2021年5月に公表いたしました。本中期経営計画において、当社グループは、お客さまのご評価を主要目標として設定し、「お客さま満足度」※2や「ネットプロモータースコア(NPS®)」※3の向上を目指してまいります。また、ご契約の継続を重視し、経営基盤を維持していくためのストックベースの目標として「保有契約件数(個人保険)」を設定するとともに、財務目標として「連結当期純利益」、「1株当たり配当額」及び「EV成長率」を設定しております。

 

※1 お客さま体験価値(CX)とは、Customer Experienceの略語で、商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値のことです。

※2 お客さま満足度を5段階評価として、「満足」「やや満足」として回答いただいた合計割合です。

※3 ネットプロモータースコア(NPS®)とは、Net Promoter Scoreの略語であり、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

 

当該主要目標の達成状況については、下記「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 目標とする経営指標の達成状況等」に記載のとおりであります。

 

 

(4) 経営戦略及び対処すべき課題

(当社における募集品質に係る諸問題について)

当社は、上記「(2) 経営環境」に記載のとおり、2019年度において発生した募集品質に係る諸問題に関し、2020年1月31日に業務改善計画を金融庁に提出し、その後定期的に進捗状況を報告しております。当該業務改善計画に掲げた再発防止策(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化及び取締役会等によるガバナンスの強化)については、その大部分は既に実施済みとなっており、2021年12月には、JP改革実行委員会※1(2020年4月から2022年3月まで設置)より、業務改善計画については概ね計画どおり順調に進捗している旨の評価を得ております。

当社は、募集品質に係る諸問題の反省を踏まえ、2021年4月より、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタイルへ移行しております。具体的には、「お客さまにご納得・ご満足いただいた上で保険サービスをご利用いただく」活動を徹底していく中で、商品を前提にしたご提案ありきの旧来のスタイルから、適切な募集プロセスの下、勧誘方針※2やかんぽ営業スタンダード※3などのプリンシプルに基づく新たなスタイルへ抜本的に転換しております。

また、お客さまとの信頼関係を構築し、保険会社としての使命を果たしていくためには、かんぽ営業に携わる社員一人ひとりが、安心感や納得感を持って営業活動・お客さまへのご提案を推進していく必要があることから、2021年9月に「かんぽ生命の約束」を策定しております。当該約束では、かんぽ営業に携わるすべての社員に対して、「お客さま本位の営業活動・適正な募集を行っている社員を守る」、「フロントラインの社員一人ひとりに寄り添う」、「お客さまニーズに即した商品・サービスを提供するとともに、適正な営業活動を推進する」ことを、かんぽ営業に係る基本的な考え方・スタンスとして掲げており、当社では、これを遵守・実行してまいります。

 

※1 日本郵政グループに対する国民の皆さまからの信頼回復に向けて、外部専門家の方々に公正・中立な立場から各種アドバイスをいただくことを目的として設置しておりました。

※2 勧誘方針とは、生命保険の使命等を踏まえた高い倫理観に基づき保障を提供するという、プリンシプルベースのお客さま本位の理念に基づく方針です。

※3 かんぽ営業スタンダードとは、勧誘方針に基づく真のお客さま本位の営業活動の実践に向けた行動原則です。

 

(中期経営計画)

当社は、2021年5月に中期経営計画を公表しており、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、お客さまに感動いただける保険サービスのご提供を通じて、持続的な成長を目指してまいります。

① 再生に向けた取り組み

ア.信頼回復に向けた取り組みの継続

2022年4月より、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実施してまいります。

リテール領域では、当社内にかんぽサービス部を新設し、日本郵便株式会社から同部に出向したコンサルタント(主にお客さまのお宅を訪問して活動する社員)は、当社商品及びがん保険商品のご提案・アフターフォローに専念するとともに、当社が直接責任をもってマネジメントする体制とします。加えて、お客さま担当制を導入することで、お客さまのライフステージの変化等によるニーズの変化に適切に対応するための定期的なコンタクトを充実させ、お客さまに寄り添った質の高いアフターフォローを実施してまいります。

これらの施策を実施するにあたり、2022年3月に、「かんぽ営業(リテール領域)の目指す世界観」を定めております。ここでは「お客さまの信頼・満足を起点としてお客さま数を拡大していく」、「フロントラインに寄り添った仕組み・制度の運用を通じ、適正なマネジメントを定着させ、社員の成長を支える」及び「社会・経営環境を敏感に捉え、進化し続ける」ことを掲げており、この世界観を全社員で共有し、実行していくことで「マーケットも人材も成長させる文化」への転換を図ってまいります。その実現に向けては、土台であるマネジメントの成長を促すために、全社一体となってフロントラインのマネジメントに寄り添い、フロントラインの課題の解決に取り組んでまいります。また、営業目標、評価、手当等の諸制度について世界観と同期を図った形へ大きく見直し、2022年度の営業目標については、新契約と契約継続の両面を評価する保有契約の純増を観点とした目標を導入するとともに、アフターフォローや募集品質の維持などの活動を評価する目標をバランスよく設定し、結果に至るまでのプロセスも重視してまいります。これらの制度の仕組み・運用については、お客さまのためにできることを最優先に考えるとともに、変化し続ける社会環境や経営環境に適切に対応しながら、不断の見直しを図ってまいります。

法人営業領域でも同様に、2020年度に定めた法人営業ビジョン「社員一人ひとりがお客さまや地域社会とともに進化することに挑戦し続けます」に基づき、引き続き、経営者に寄り添い、より幅広く、より質の高いサービスをご意向に合わせてご提供することにより、お客さまとの真の信頼関係を構築、拡大してまいります。

 

イ.事業基盤の強化

a.保険サービスの充実

当社では人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えする保険サービスの開発を進めてまいります。

昨今、医療の進展により入院日数は短期化傾向にあるとともに、外来での手術も定着しております。他方で、病気によっては長期の入院が必要となり、経済的に不安を抱えているお客さまも多く、公的医療保険制度の対象外となる費用負担などに対応した医療保障へのニーズは高いと考えております。このようなニーズに対応するため、2022年4月より、新しい医療特約「もっとその日からプラス」の取扱いを開始しております。「もっとその日からプラス」では、従来の医療特約より、入院一時金の金額・回数を充実させ、短期・長期のいずれの入院にも対応するとともに、外来又は入院中の手術のどちらでも同じ手術保険金額をお受け取りいただける、手厚い医療保障をご提供しております。

このほか、2022年4月より、お客さまの利便性向上を図るため、生命保険商品の受託販売範囲を広げるとともに、法人向け商品の受託販売等について、経営者向け定期保険に付加できる特約の種類を拡大しております。

今後も、青壮年層のお客さまニーズに応える低廉な保険料でバランスのとれた保障の提供や、人生100年時代を踏まえた高齢・中高年層の保障等のニーズに応える商品の拡充のほか、お客さまの健康づくりをサポートする商品の研究に取り組んでまいります。

 

b.資産運用の深化・高度化

資産運用においては、ERM※1のフレームワークの下、ALM※2運用を基本として、安定的な資産運用収益の確保を目指すとともに、2025年予定の経済価値ベースの新資本規制導入の動きに適切に対処しつつ、オルタナティブ等の投資領域ごととポートフォリオ構築の両面から資産運用を深化・高度化してまいります。

収益追求資産への投資については、中期経営計画期間(2021~2025年度)において、総資産に占める同資産の比率を18~20%程度まで引き上げることを見込んでおります。特にオルタナティブ投資※3については、プライベートエクイティ、不動産ファンド、インフラエクイティ、ヘッジファンドの4分野で戦略分散・地域分散を図りながら、リスク許容量と投資機会に応じて段階的に投資残高を積み上げてまいります。

ESG※4投資については、温室効果ガス削減目標達成に向けた投資先に対するエンゲージメントの強化、中期経営計画期間中のKPIに設定した、投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力※5の目標達成に向けた投融資の積極化、社会課題解決に向けたインパクト投資※6の推進を進めてまいります。

 

※1 ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。

※2 ALMとは、Asset Liability Managementの略語で、資産負債の総合管理のことです。

※3 オルタナティブ投資とは、債券や上場株式などの相対的に歴史の長い金融商品(伝統的資産)以外の新しい投資対象や投資手法の総称です。

※4 ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。

※5 投融資先再生可能エネルギー施設から出力される電力に限ります。当社持ち分換算後です。

※6 インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動を指します。

 

c.事業運営の効率化・高度化

  デジタル化の推進により、お客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に取り組んでいくほか、さらなる事業費管理の高度化に向け、自律的にコストコントロールの役割を担う予算管理者を本社各部に設置する等の新たな事業費管理の仕組みを導入し、経費削減を進めてまいります。これにより生じた経営資源は、お客さまサポート領域、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等の強化領域にシフトしてまいります。

 

※ DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することをいいます。

 

② 持続的成長に向けた取り組み

ア.お客さま体験価値の向上

お客さま体験価値(CX)の向上の観点から、保険サービスを抜本的に見直し、お客さまの利便性や募集品質を向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう取り組みます。また、その体験価値をご評価いただいたお客さまから、そのご家族や知人、さらには地域・社会全体へかんぽ生命をお勧めいただくことで、お客さまを広げてまいります。

具体的には、「お客さま一人ひとりに寄り添う適切なご提案」、「その場で完結する簡便な手続きの提供」、「チーム一体でのきめ細やかなサポート」、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォローの充実」に取り組んでまいります。

 

a.お客さま一人ひとりに寄り添う適切なご提案

お客さまのニーズや必要な保障内容などについてデジタルを活用したツールにより可視化するとともに、遠方にお住いのご家族等にも同席いただけるシステムを導入し、お客さま一人ひとりに寄り添う適切なご提案を実現してまいります。

 

b.その場で完結する簡便な手続きの提供

デジタル技術の活用により、お客さまのニーズに応じて、オンライン、対面等様々なお申込み・ご請求形態を選択できるようにしてまいります。2022年度より、お客さま自身のスマートフォン等の端末から被保険者同意及び告知を可能とするため、アジャイル開発手法を用い、一部地域から段階的に試行実施してまいります。このほか、インターネット上での入院・手術保険金請求の拡大等に取り組むとともに、マイページからの入院・手術保険金請求に対して、専門スタッフ(カスタマーセンター)がリアルタイムにサポートするチャット機能を実装する等、その場での諸手続き等の完了を可能にしてまいります。

 

※ アジャイル開発とは、システムを開発する手法の一つです。短期間に設計やテストを繰り返しながら開発を進めることで、サービス開始までの開発期間を短縮するとともに、開発途中の仕様・要件変更にも柔軟に対応することを目指します。

 

c.チーム一体でのきめ細やかなサポート

お客さまのご契約情報やお問合せ情報等をお客さま単位で集約した、お客さまデータベースを構築し、コンサルタント、郵便局窓口、専門スタッフなど、お客さまにご対応するすべての社員がチーム一体で、きめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供できる環境を整備してまいります。2022年度より、一部地域において、試行的に新契約申込時にお客さま、コンサルタント及び専門スタッフをオンラインで繋ぎ、お客さまのご意向確認、サポート体制のご案内、ご不明点の解消等を実施してまいります。

 

d.お客さまとのつながりを重視したアフターフォローの充実

訪問による対面対応に加えて、オンライン会議など様々な方法による手厚いアフターフォローや、メール・SNS等によるお客さまごとに最適なタイミングでのアフターフォローを行い、お客さまのニーズに幅広くお応えし、お客さまの周囲の方々も含めた信頼の獲得を目指してまいります。具体的には、マイページ会員のうち満期を迎えるなど所定の要件を満たすお客さまへメールを順次配信し、動画で節目を迎えたことをお祝いするとともに、各種手続きや次のステージのライフプランのご相談をサポートする取り組み等を行うことで、手厚いアフターフォロー等を実施してまいります。

 

当社は各種取組の成果を測定するため、1年に一度実施しているお客さま満足度調査に加え、リアルタイム調査の導入を進めております。リアルタイム調査では新規加入、保全手続き及び保険金請求など、お客さまとの重要な接点ごとにお客さまのご体験に関するご評価や「お客さまの声」を能動的に取得することで、サービス改善に繋げるPDCAサイクルの高速化を実現してまいります。また、2022年度には、アンケートシステム(クラウドサービス)からのSMS配信により、よりタイムリーにご評価や「お客さまの声」を取得する取り組みを開始してまいります。

 

イ.ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)

当社は、自らの社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決に貢献してまいります。

当社が優先的に取り組む社会課題(マテリアリティ)として、「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「地域と社会の発展・環境保護への貢献」、「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being※1向上」、「社員一人ひとりが生き生きと活躍できる環境の確立」、「社会的使命を支えるコーポレートガバナンス」の5つの課題を設定し、解決に向けて取り組んでまいります。

具体的には、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減や女性管理者比率など具体的な目標を設定するとともに、TCFD※2提言に沿った、気候関連のリスク管理や低炭素経済への移行計画の検討等に取り組んでおります。今後も推進態勢のさらなる強化を図るとともに、サステナビリティレポートや当社Webサイト等を通じて、積極的に情報開示をしてまいります。

加えて、お客さまが抱える多様なお悩みにお応えし、お客さまの生活に寄り添うサービスを提供することで、少子高齢化等の社会課題の解決や健康寿命の延伸に貢献するとともに、当社をより身近に感じていただき、さらなる信頼を構築してまいりたいと考えております。具体的には、2022年4月に、企画・検討態勢強化を目的として経営企画部みらいデザイン室を新設するとともに、広く社内からアイデアを募集する施策として社内ベンチャー制度「Kampo TSUNAGU Challenge!」を開始しました。同時に社外からアイデアを募集する取り組みとして、アフラック生命保険株式会社(以下「アフラック」といいます。)と共同で「かんぽ生命 - アフラック Acceleration Program」を実施しております。スタートアップのサービス・技術と、かんぽ生命・アフラック両社の経営資源を掛け合わせた協業の実現を目指しており、協業を通じて、お客さまへの提供価値向上の実現に努めてまいります。

 

※1 Well-beingとは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることです。

※2 TCFDとは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略語です。

 

③ 再生と成長のための土台作り

ア.企業風土改革・働き方改革

  当社は、経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長する企業を目指します。

  具体的には、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、中長期的な人材ポートフォリオモデルを踏まえた社員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援、マネジメント力の強化、人事評価制度の高度化を柱とした企業風土改革を推進してまいります。また、全社員を対象としたES調査(社員満足度調査)を通じて、上記取り組みの効果検証及び改善、並びに全社及び各職場の課題解決に全社を挙げて取り組むとともに、テレワークの活用などにより多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、働き方改革を推進してまいります。併せて、女性活躍推進、仕事と育児・介護との両立支援、障がい者雇用の推進、性の多様性に対する理解浸透等による、ダイバーシティの実現を推進してまいります。日本郵便株式会社から当社に出向したコンサルタント等を含めてこれらを推進し、かんぽ生命社員としての使命感や一体感及び自らの成長を通じたやりがいやモチベーションの着実な醸成に繋げてまいります。

  2022年度には、次世代リーダー育成プログラムを策定し、時代の変化に柔軟かつ迅速に対応し組織を牽引するマネジメント層を計画的かつ戦略的に育成するとともに、タレントマネジメントシステムにおいて、個々の社員のスキルや社員対話(キャリア面談)を踏まえた育成方針などを一元管理・見える化する機能を実装することで、社員一人ひとりに寄りそった育成・マネジメントの実現に向けて取り組んでまいります。

  これらの取り組みにより、社内コミュニケーションが活性化され、相互理解の下、全社が一体感を持ち、お客さま本位の考え方に基づき自律的・主体的に行動する会社を実現してまいります。

 

イ.ガバナンスの強化

当社は、組織としての透明性・公平性を確実に高め、さらには、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。

健全なコーポレートガバナンスを確保した上で、マネー・ローンダリング並びに犯罪防止等対策及び個人情報保護・情報セキュリティ対策を強化するなど、健全な業務運営を確保するための取り組みを継続して実施してまいります。具体的には、当社の保険サービスのご提供などが、マネー・ローンダリング等に悪用されることを防止する観点から、事業の特性及び代理店の状況並びに法令等を踏まえたリスクの特定・評価の見直し、顧客管理態勢の高度化に取り組んでおります。不適切な取扱いが発覚した場合には、速やかに事実確認を行うとともに、再発防止策を講じ、その徹底を図ってまいります。このほか、DX戦略の推進に伴い、サイバー攻撃への検知をはじめシステムリスク管理の強化に取り組んでまいります。

 

上記の中期経営計画の取り組み等を実施することで、株主、投資家をはじめとする様々なステークホルダーの皆さまのご期待に沿えるよう、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(参考) サステナビリティに配慮した事業経営

(1) TCFD提言への対応

当社は、上記「(中期経営計画) ② 持続的成長に向けた取り組み イ. ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)」に記載のとおり、気候変動課題をはじめとするサステナビリティを巡る社会課題の解決に取り組んでおります。

その一環として、当社は、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しております。

 

ア.ガバナンス

気候変動に関する取り組みを含む社会課題の解決に貢献し、当社の持続的な成長とSDGsの実現を目指すため、2021年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。

気候変動に関する課題を、同委員会を含む専門委員会で検討・協議し、推進状況などを経営会議に報告するとともに、重要なものについては、経営会議で協議・決定の上、取締役会へ報告しております。

中期経営計画の策定にあたっては、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指して、サステナビリティ委員会、経営会議及び取締役会で議論し、温室効果ガス排出量の削減を中期経営計画のESG目標として掲げております。

 

※ SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略語で、2015年9月に「貧困に終止符を打ち、持続可能な未来を追求する」ことを掲げて国連総会で採択された世界共通の目標です。2030年までに地球規模の課題を解決するべく、17のゴールと169のターゲットから構成されます。

 


 

 

 

イ.戦略

a.リスクと機会

(a) 気候変動が当社事業に及ぼすリスクと機会

当社は、気候変動による当社への主な影響を生命保険事業、資産運用のそれぞれにおいて、以下のとおり認識しております。

■生命保険事業への影響


資産運用への影響


※1 上記リスクと機会の特定にあたっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しております。

※2 影響を受ける時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しております。

 

 

 

 

(b) 気候変動の機会を捉えた投資実績

  当社は、気候変動に関するリスク・機会を踏まえ、社内検討の上で戦略的に投資活動を実施しています。例えば、グリーンファイナンス市場の成長を機会として捉え、持続可能性のある低炭素経済への移行を目指したグリーントランジションや、新型コロナウイルス感染症危機からの経済復興と同時に気候変動対策の取り組みも加速させるグリーン・リカバリーをテーマとしたプロジェクトなどへ投資を行っています。


 

b.気候変動が当社生命保険事業に及ぼす影響分析

気候変動が当社生命保険事業(保険金支払)に及ぼす影響について、保険金支払額の大幅な増加に繋がるような事象として、夏季の気温上昇による熱中症の罹患者の増加、感染症媒介蚊の活動可能地域拡大等による熱帯性感染症の罹患者の増加や洪水被害等の増加・長期化による健康被害などが考えられます。2021年度は、これらのうち熱帯性感染症の罹患者の増加による影響について定量的に分析した結果、保険金支払額の増加は限定的であることが確認できました。

感染症媒介蚊について気温上昇がもたらす活動地域・活動期間の拡大を推定し、蚊が媒介する熱帯性の感染症(デング熱、マラリア)による保険金支払額の増加について分析しました。

気温上昇としてIPCC※1第5次評価報告書に基づくRCP8.5シナリオ※2を適用し、近年の熱帯地域における熱帯性の感染症の発生状況・本邦における感染例や衛生状態等を参考に、デング熱が日本国内でも流行し罹患者が入院したり亡くなったりすることを想定し、2031年度から2050年度まで毎年被害が発生すると仮定した試算では、保険金支払額の増加は20年間の累計で最大200億円程度でした。

また、当社生命保険事業(新契約価値)に及ぼす影響について、営業実績の大幅な低下に繋がるような事象として、熱帯林の開発、永久凍土の融解により、未知の病原体が顕在化し、新たな感染症の大流行(パンデミック)が発生することが考えられます。2021年度は、対面営業による営業活動が困難になることにより営業実績が低迷する影響について分析した結果、数十年に一度の発生確率と仮定した場合では、当社の財務健全性に与える影響が見られるものの限定的であることが確認できました。

 

※1 IPCCとは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略語で、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織のことです。

※2 RCP8.5シナリオとは、RCPシナリオの一つです。RCPシナリオとは、人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が、将来どの程度になるかを想定した排出シナリオのことです。

 

なお、気候変動が生命保険事業に与える影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えています。今後、さらなる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでまいります。

 

 

 

 

c.気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析

 TCFD提言では、2℃以下シナリオを含むさまざまな気候関連シナリオの分析を通じて、組織の事業への影響について説明することが推奨されています。

当社は2℃シナリオと、4℃シナリオの世界観を以下のとおり仮定し、現状では、資産運用事業に関する分析を中心的に実施しております。


 

■セクター別シナリオ分析

当社は、気候変動が当社の資産運用に与える影響分析にあたって、産業ごとに気候変動の影響度合いが異なることから、当社の投資ポートフォリオにおいて温室効果ガス排出量や投資エクスポージャーの観点から重要度が高いセクターの選定を行い、電力、エネルギー、鉄鋼の3セクターを分析対象として特定しました。この3セクターの気候変動の影響分析を通じて、当社資産運用に及ぼすインパクトの大きさを把握しております。


 

 

 

≪STEP1≫重要セクター別のリスクと機会の重要度評価

国際機関等が発行する文献調査を中心に、外部有識者の協力を得ながら、当社にとって重要な3セクターにおけるリスクと機会の重要度を評価しております。


 

 

 

≪STEP2、STEP3≫重要セクターへの影響

STEP1で抽出した重要セクター別の重要度の大きいリスクと機会の項目について、STEP2として2℃シナリオと4℃シナリオにおける具体的な状況を想定し、STEP3として投融資先企業の業績・財務に与える影響について定性的に評価しております。

 

<セクター①電力>


 

<セクター②エネルギー>


 

<セクター③鉄鋼>


※ 「影響因子(パラメーター)」及び「業績・財務への影響」に記載している矢印(↑/↓)については、影響因子の方向性又は当社の資産価値への影響の方向性を示したものです。

 

≪STEP4≫対応策

当社においては、全運用資産を対象にESG要素を考慮し、広くSDGsの目標達成や社会課題の解決に貢献できる投融資を実施することで、持続的な社会の実現と長期的な投資成果の向上・リスク低減に取り組んでいます。投資先企業に対しては、建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を通じ、投資先企業の財務情報のみならず、ESG要素を含む非財務情報の開示の充実を求める取り組みを行っております。

 

 

 

 

今後、重要セクターの投資先について、シナリオ分析で抽出された具体的影響を十分に考慮したエンゲージメントを実施することで、将来的な運用成果の向上を目指します。エンゲージメントにおいては、投資先に対し具体的影響への対応状況について確認するとともに、脱炭素化に向けた取り組みを促してまいります。

 

■NGFSの気候シナリオ分析

脱炭素社会への移行に伴う経済環境の変化により、当社保有資産への影響が想定されることから、当社では、気候変動リスク等に関する金融当局ネットワーク(NGFS)が公開する複数の気候シナリオを使用して、2050年までの当社保有資産への影響を分析しました。

具体的なシナリオは以下のとおりです。

① 各国が現在行われている以上の気候変動対策を行わないために地球温暖化が進行する

  Current Policiesシナリオ(3℃以上上昇)

② 2050年カーボンニュートラル及び気温上昇1.5℃目標を各国が協調して計画的に達成する

  Net Zero 2050シナリオ

③ 2050年カーボンニュートラル及び気温上昇1.5℃目標を達成するも、各国及びセクターごとに導入

   される政策が非協調的なため地球全体での総コストが高まるDivergent Net Zeroシナリオ

 

なお、本試算では、国内金利の変動に伴う将来の新契約の予定利率の変動も考慮しております。

本分析においては、気候変動対策を進める②及び③については、①と比較して国内外の長期金利が緩やかに上昇することから、国債等の円金利資産を保有する当社においては、利差益の増加が見込まれる試算結果となりました。

一方、本シナリオ分析においては、金利上昇に伴う投融資先の与信関係費用の増加や、インフレ率の上昇等に伴う事業費の増加等の影響は考慮していません。今後、シナリオ分析の高度化を進める中で、こうした影響も取り込んでいきたいと考えております。

 

※ NGFSとは、Network for Greening the Financial Systemの略語で、気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行及び金融監督当局の国際的なネットワークです。日本からも2018年6月に金融庁が、2019年11月に日本銀行が参加しております。

 

ウ.リスク管理

当社は、「2 事業等のリスク (15) 気候変動に関するリスク」に記載のとおり、気候変動に関するリスクを「重要なリスク」として分類しており、気候変動リスクの管理については、今後、シナリオ分析を継続・高度化するとともに、リスク管理プロセスの高度化(識別・管理・評価)を行います。

資産運用については、2021年10月に改定したESG投資方針に基づき、全運用資産を対象として、ESGの諸要素を考慮した投融資を行っています。

また、投資先の温室効果ガス排出量の計測結果を踏まえて、投資ポートフォリオの管理方法の検討を行っています。

 

 

 

 

エ.指標と目標

a.温室効果ガス排出量削減目標

当社は、Scope1及びScope2において、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しており、下記のような温室効果ガス排出量の削減に関する中間目標を設定しております。また、Scope3については、投資ポートフォリオから発生する温室効果ガス排出量について、2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、中間目標を設定して脱炭素化に取り組んでおります。

項目

目標

Scope1及びScope2

2030年度までに2019年度対比で温室効果ガス排出量を46.0%削減

 

※Scope1:自社が直接排出する排出量です。新規事業による増加分を除きます。

※Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う排出量です。新規事業による増加分を除きます。

※Scope3:サプライチェーンにおけるScope2以外の間接排出です。15のカテゴリーに分類され、投資ポートフォリオにおける排出はカテゴリー15に該当します。

 

b.投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力KPI

当社は、中期経営計画期間(2021年度~2025年度)中の投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力に係るKPIを設定しております。

項目

目標

2021年度実績

 

内訳

総発電出力 ※1

中計期間に150.0万KW※2

73.0万KW

国内

エクイティ

20.6万KW

デット

24.0万KW

海外

エクイティ

19.1万KW

デット

 9.3万KW

 

※1 当社持ち分換算後です。

※2 投融資先再生可能エネルギー施設から出力される電力に限ります。

 

 

 

(2) 企業風土改革、働き方改革、ダイバーシティの推進

当社は、経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長していく企業を目指し、多様な人財が、多様な働き方を選択できる環境の整備を推進しております。

 

ア.企業風土改革

■コミュニケーションの活性

社内のコミュニケーションを活性化させるため、経営陣からの情報発信施策及び社員からの情報発信施策並びに経営陣・社員間、本社・フロントライン間による相互理解施策を展開しております。

 

■人財育成

人材育成基本方針≫

・ 企業の社会的責任を自覚し、お客さま本位の人材を育成します。

・ 専門能力を有し、豊かな人格を備えた人材を育成します。

・ 新しい課題へのチャレンジ精神を有し、実行力のある人材を育成します。

 

当社では、お客さまにより良いサービスを提供し、企業価値を高めるために、社員一人ひとりが力を最大限発揮できる環境を目指してまいります。お客さま本位の人材を育成することを「人材育成基本方針」とし、社員が

企業の社会的責任を自覚し、やりがいを感じながら会社とともに成長できるよう積極的に支援してまいります。

当社は、新入社員研修をはじめとする社員の役職などに応じた階層別研修や能力を自ら開発するための応募型研修を用意するとともに、資格取得奨励制度などの自己啓発支援策を提供しております。これらの施策に併せて各職場内での実践的な教育が連動することで、「社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍」するための効果的な育成を進めております。

 


 

多様なキャリア形成の支援

社員一人ひとりがキャリアプランを自ら描き、その実現に向けた職務経験や自己啓発を行うことを支援し、社員の自律的な成長を促す仕組み作りを進めています。具体的には、社員対話(キャリア面談)を通じた社員の将来への希望や育成方針などに関する情報の獲得・蓄積や、今後当社の各部門で必要となる人材像やスキルなどの明確化、社員の成長に資する人事配置、社員が多様な働き方を選択できる人事制度の整備などを進めてまいります。

また、タレントマネジメントシステムにおいて、社員情報を集約し、データの一元管理・見える化や人事業務の高度化などにつなげることで、これらの施策の品質を向上する体制を整えてまいります。

 

 

 

イ.働き方改革

当社では、中期経営計画期間中を働き方改革の「発展・再構成フェーズ」として、多様な人材の活躍や、時間や場所にとらわれない働き方により、付加価値の高い成果を発揮できる人材を育成することを目的として各種施策を展開しています。これまでに蓄積したノウハウを基に働き方改革の全社展開を進めることで、社員一人ひとりが自己実現と働き甲斐を実感できる企業風土作りをしていきます。

 

■職場環境改善

ES調査や社員の声により「社員が理想とする会社像・職場像」を明確化し、継続的な改善活動を実施していきます。特に、2022年4月の新しいかんぽ営業体制への移行により、新たにかんぽ生命保険の組織となったかんぽサービス部における働き方改革に注力していくために、社員の声を幅広く聴き、働きやすい職場環境を構築するための最適な改善活動を推進していくとともに、ESの向上にも取り組んでいきます。

 

■テレワークの推進

当社は、テレワークを用いた、業務改善・生産性の向上に取り組んでいます。2022年度は、週2回程度を目安とし、テレワークの活用を推進します。

テレワークを推進していくために、テレワークマネジメントの徹底やコミュニケーションの強化、ストレージサービスの機能強化等により業務改善・効率化を進めるほか、社員が自身に合った働き方の選択を可能とするため、サテライトオフィスの拡大に取り組みます。

 

ウ.ダイバーシティの推進

当社は、経営方針の一つである「社員一人ひとりが成長でき、明るく生き生きと活躍できる環境をつくります。」を実現し、行動指針にある「私たちは、人権を尊重し、多様な人材が働きやすい職場をつくります。」を実践すべく、ダイバーシティ推進室を中心として、ダイバーシティ・マネジメントを推進しております。

a.目標及び実績

項目

目標

2021年度実績

本社女性管理職比率※1

2031年4月1日までに30.0%以上

13.9%

育児休業取得率※2

2024年3月31日までに男女ともに100.0%

女性100.0%

男性 92.7%

障がい者雇用率※3

2026年3月31日までに2.5%以上(日本郵政グループ全体)

2.35%

 

※1 2022年4月1日現在の本社(サービスセンター含む)管理者のうち、女性の管理者の割合

・本社女性管理職比率(%)=

「女性管理者数(本社及びサービスセンター)」÷「全管理者数(本社及びサービスセンター)」×100

 

※2 対象期間中に出産(男性の場合は配偶者が出産)したもののうち、育児休業を開始した社員(開始予定の申し出者を含む)の割合

・女性の育児休業取得率(%)=

「育児休業(育児休業法第2条第1号。以下同じ。)をした女性労働者数」÷「出産した女性労働者数」×100

・男性の育児休業取得率(%)=

「育児休業をした男性労働者数」÷「配偶者が出産した男性労働者数」×100

 

※3 2021年6月1日現在の日本郵政グループ(日本郵政株式会社・ゆうせいチャレンジド株式会社・日本郵便株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険・日本郵政スタッフ株式会社を含む)の全社員(期間雇用社員等含み、派遣社員を除く)のうち、障がいのある社員の割合

・障がい者雇用率(%)=

「雇用障がい者数(日本郵政グループ全社員のうち障がいのある社員数)」÷「算定基礎労働者数(日本郵政グループ全社員数)」×100

 

 

 

 

(a) 女性活躍推進

当社は、上記のとおり本社女性管理職比率の目標を掲げ、女性社員を対象に、社員交流や役職者向けの研修を実施し、計画的かつ継続的な育成に取り組んでおります。


 

(b) 両立支援

当社は、上記のとおり、男性社員・女性社員ともに、育児休業取得率を2024年3月31日までに100.0%とすることを目標に掲げており、働きながら育児を担う社員を支援するため、制度の整備・充実、eラーニングの導入、オンラインセミナーの開催、企業主導型保育施設との連携などに取り組んでいるほか、2020年度からテレワークを導入することで、社員の柔軟な働き方に取り組んでおります。

 

両立支援に関するセミナー

職場への復帰をスムーズにするため、育児中の社員へ向けて夫婦参加型のセミナーを実施しております。また、管理職向けに、部下が介護と仕事を両立できるような声掛けや、対応方法、社内外の介護に関する制度を理解するセミナーも実施しております。

 

■イクボス企業同盟に加盟

当社は、2017年にイクボス企業同盟に加盟し、積極的に管理職の意識改革を行い、職場でともに働く部下のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(イクボス)を育てるとともに、男性の育児休業取得率100.0%を目指しております。

 

(c) 障がい者支援・雇用推進

当社は、障がいのある方の就労能力を正しく評価し、就業機会を提供することは企業の社会的責任の一環であると考え、障がい者雇用を積極的に推進しております。また、障がいのある社員に対する専用の相談窓口の設置、対話の機会を設ける等の施策を推進し、障がいのある社員の職場定着を支援しております。

 

 

 

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