課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、国境や既成概念などの枠組みにとらわれずに挑戦する「クロスボーダー」を基本コンセプトに、あらゆる垣根を超え、日本の強みを基盤として世界に広がる成長分野や成長可能性への投資を中心に、産業界・投資業界の幅広いネットワークを通じ、ユニークな投資機会を見出すことを目的としています。

 

(2)中長期的な経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、東京証券取引所への上場時及び市場変更時の新株発行により調達した自己投資資金を活用し、新たにバイアウト投資戦略及びキャッシュ・フロー投資戦略を策定するとともに、当該戦略に基づく新規ファンドを組成することで、マルチストラテジーのファンド運用会社の基盤を確立してまいりました。

 当該実績を踏まえ、今後の5年間は、①上場前後に組成した基幹ファンドからの成功報酬最大化を図るとともに、②新ファンド組成による管理報酬の底上げを図る期間と位置付け、5年後の最終連結会計年度において、5年平均当期純利益を20億円以上、及び自己資本を2018年12月末の1.5倍とすることを目標としております。

 具体的には当社グループの基幹ファンド(コアファンド)であるバイアウトファンドにおけるファンドレイズ、Spring REITにおける新規資産の組入、資産投資分野のファンドにおける新たな基幹ファンド(コアファンド)の組成及びファンドレイズにより、成功報酬の最大化及び管理報酬の底上げを図っていく方針です。

(単位:億円)

 

2016年12月期

2017年12月期

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

5年平均当期純利益

5.8

8.3

10.2

11.2

11.0

自己資本

49.8

104.3

115.2

121.7

119.1

 

(注)1.5年平均当期純利益は、5年平均の親会社株主に帰属する当期純利益であり、当社の事業サイクル及び成功報酬等が損益へ与える影響を考慮した結果、単年度損益よりも5年間の平準化された損益が、当社業績の実態を把握する指標として有用と考えております。

2.自己資本は、株主資本及びその他の包括利益累計額の合計額であり、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げであることから、ファンド運用会社としての安定性を把握する指標として有用と考えております。

3.2014年12月期以降の連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき有限責任 あずさ監査法人により監査を受けておりますが、2013年12月期以前につきましては監査を受けておりません。このため、2017年12月期以前の5年平均当期純利益は、一部監査を受けていない数値をもとに算定しております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、国内外経済の下振れリスクや金融市場の変動など、先行き不透明な状況が続いております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う産業構造の変化というマクロ環境の大きな変化に加えて、東京証券取引所の市場区分の見直しも予定されています。

 このような環境を踏まえ、当社グループでは中長期的な成長を目指し、既存ファンドにおいては投資リターンの向上による成功報酬の最大化を図るべく、引き続き投資先企業の支援やモニタリングの強化に努めていくとともに、新規ファンドにおいては、管理報酬の底上げを行うべく、マクロ環境に沿った投資戦略に基づく事業企画を行い、投資家層を拡大することで基幹ファンド化を進めることが必要であると考えております。併せて、今後の事業拡大を見据え、業務運営の効率化、上場会社及び金融商品取引業者としての法令遵守、リスク管理、投資家とのコミュニケーションを図るための経営管理体制の充実が必要であると考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、今後の収束時期等を正確に予測することは困難な状況にありますが、 2021年12月末には収束し、経済は正常化するとの想定により、現時点においては、営業投資有価証券及び営業貸付金の評価を通した短期的な業績への影響はあるものの、長期的な業績への影響は限定的であるものと判断しております。

 

①事業機会の機動的な獲得による更なる成長機会の追求

 当社グループは設立以来、国境や既成概念などの枠組みにとらわれずに挑戦する「クロスボーダー」を基本コンセプトに、マクロ環境に沿って、Ⅰ成長投資戦略、Ⅱバリュー投資戦略、Ⅲバイアウト・承継投資戦略、Ⅳ不動産投資戦略及びⅤキャッシュ・フロー投資戦略等の多様な投資戦略を策定するとともに、当該投資戦略に基づく新規ファンドを組成し、運用することで、マルチストラテジーのファンド運用会社としての基盤を確立して参りました。

 現在においては、企業の事業承継、非公開化、ノンコア事業の売却等の企業の支配構造の変化を支援することを目的に、株式会社日本政策投資銀行及び三井住友信託銀行株式会社を中心に組成した「マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(バイアウト1号ファンド)」、不動産・物流分野におけるテクノロジーによる成長を支援することを目的に伊藤忠商事株式会社とともに組成した「マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合」、再生可能エネルギー発電設備等に対して投資を行い、着実な資産規模の拡大と安定したキャッシュ・フローの創出を目的に、伊藤忠エネクス株式会社及び三井住友信託銀行株式会社などの事業パートナーと共同で組成した「エネクス・インフラ投資法人(東京証券取引所インフラファンド市場上場)」、中国北京市の中心的なオフィスビル等へ投資を行う「Spring Real Estate Investment Trust(香港証券取引所上場)」等のファンド運用を行っております。

 今後においては、引き続き「クロスボーダー」を基本コンセプトとした従前のファンド運用を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う産業構造の変化というマクロ環境の大きな変化に加えて、東京証券取引所の市場区分の見直しも予定されている中において、事業機会を機動的に獲得することにより、更なる成長機会を追求することが重要な経営課題と考えております。

 これらの課題に対処するために、成長戦略の一つとして事業パートナーとの連携やM&A等による企業再編の可能性を視野に入れるべく、迅速かつ柔軟な経営判断ができる体制を構築することが必要不可欠と考えております。
 

②経営管理体制の強化

 現在、当社グループの経営管理体制は会社規模に応じた適正なものとなっております。今後、上述の事業機会の機動的な獲得による更なる成長機会の追求を見据える中で、拡大する事業毎への経営資源の有効活用、事業毎の採算性の管理、事業責任の明確化、投資家とのコミュニケーション等の経営管理機能の更なる強化が重要な経営課題であると考えております。

 これらの課題に対処するために、組織上における経営管理体制の明確化に加えて、既存人材を適正に配置し、必要に応じて人材を適時に採用し、社内教育を充実させることで経営管理体制を整備することが必要不可欠と考えております。

 

 

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