業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響による厳しい状況が徐々に緩和され、回復の動きがみられる状況となりました。今後の先行きについては、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、景気が持ち直していくことが期待されておりますが、感染症による影響や原材料価格の動向等による下振れリスクに十分注意する必要があり、依然として不透明な状況が続いております。

当社グループの関連市場である賃貸不動産市場におきましては、景気の持ち直しの動きに連動して、転居ニーズが回復基調に転じたことや、2020年4月の民法改正、単身世帯の増加等の影響により、家賃債務保証サービスに対する需要の高まりは継続しております。また、テクノロジー化が遅れていた不動産業界において、感染症拡大で顕在化した課題を克服すべく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きが高まっております。

このような事業環境を背景に、当社グループにおいては「人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現する」という企業理念のもと、顧客の状況に応じたサポートに努めました。また、成長のための先行投資として、不動産会社向け契約管理システム「CasaWEB」の追加開発や保証審査においてAIの試験導入を開始いたしました。2021年9月には、オンライン賃貸仲介プラットフォームを営むAlong with株式会社を連結子会社化いたしました。当社グループの賃貸仲介機能を強化し、客付けから家賃決済までをワンストップで提供することで代理店との関係強化や新規代理店の増加を図っております。

新規契約件数は、代理店ごとに採算性を考慮して取引の見直しを実施した結果、前年同期比22.3%減の106,511件となりました。一方で、家賃債務保証サービスに対する需要の高まりもあり、代理店社数は増加(前連結会計年度末に比べ940社増加し10,882社)しており、取引を見直した代理店を除く新規契約件数は、堅調に推移いたしました。なお、不動産業界のDX推進の動きを受け「CasaWEB」の利用率は、前連結会計年度4%に対し、当連結会計年度は30%となっております。また、保有契約件数は566,199件と前連結会計年度末に比べ4,147件増加し、既存契約からの年間保証料の売上が増加した結果、売上高は前年同期を上回りました。

求償債権残高は、前連結会計年度の緊急事態宣言時の経験やノウハウを活かし、保証引受審査及び債権管理体制の強化を進めた結果、家賃の滞納発生率は想定内で推移しており、また、回収率の改善が図られたため、適切な水準を保っております。

養育費保証事業においては、2023年4月に「こども家庭庁」が設置予定であり、「こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援」への環境整備が進んでおります。また、養育費の不払い防止に向け自治体が対策を打ち出すなか、自治体へのアプローチ、オウンドメディア「ママスマ」の運営、セミナーの開催などにより、その認知度向上に努めました。

 

これらの結果、当連結会計年度の売上高は10,340,983千円(前年同期比1.1%増)、営業利益は1,037,111千円(前年同期比0.5%増)、経常利益は1,145,809千円(前年同期比5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は647,479千円(前年同期比6.0%増)となりました。

なお、のれん償却額268,434千円を販売費及び一般管理費に計上しております。

※ 当社グループの報告セグメントは家賃債務保証事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとに記載しておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ761,356千円減少し、2,416,174千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、728,763千円の収入(前年同期は1,077,163千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,114,497千円、のれん償却額268,434千円、貸倒引当金の増加額330,428千円等の増加要因があった一方、前受金の減少額284,987千円、法人税等の支払額861,532千円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,009,728千円の支出(前年同期は445,099千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出423,708千円、投資有価証券の取得による支出487,704千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、480,392千円の支出(前年同期は444,481千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出200,432千円、配当金の支払額302,738千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは家賃債務保証事業の単一セグメントであるため、売上科目別に記載しております。

売上科目

当連結会計年度

(自 2021年2月1日

至 2022年1月31日)

前年同期比(%)

初回保証料(千円)

5,292,199

95.6

年間保証料(千円)

4,871,616

107.3

その他売上(千円)

177,167

117.5

合計   (千円)

10,340,983

101.1

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.その他売上は、主に月額保証料であります。

3.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高及び収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況並びに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りを採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」中、「1連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の「注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、代理店ごとに採算性を考慮して取引の見直しを実施した結果、新規契約件数は減少しましたが、一方で、保有契約件数の増加により、10,340,983千円(前年同期比1.1%増)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、4,333,864千円(前年同期比4.5%増)となりました。これは主に支払報酬が260,079千円増加した一方、支払手数料が125,599千円減少したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は、6,007,119千円(前年同期比1.2%減)となりました。

 

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、4,970,008千円(前年同期比1.6%減)となりました。これは主に業務委託費が128,328千円減少したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、1,037,111千円(前年同期比0.5%増)となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、償却債権取立益が22,377千円増加し、116,331千円となりました。また、営業外費用は、特別調査費用が9,279千円減少し7,633千円となりました。

以上の結果、当連会計年度の経常利益は、1,145,809千円(前年同期比5.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、1,114,497千円(前年同期比5.9%増)となり、法人税等合計467,017千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、647,479千円(前年同期比6.0%増)となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ509,907千円減少の12,906,892千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,218,960千円減少の5,608,483千円となりました。これは主に、現金及び預金が761,356千円減少し、貸倒引当金が330,428千円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ709,053千円増加の7,298,409千円となりました。これは主に、無形固定資産のソフトウエア仮勘定が316,092千円、投資その他の資産の投資有価証券が486,238千円増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ681,930千円減少の5,923,138千円となりました。これは主に、流動負債の未払法人税等が380,562千円、前受金が284,987千円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ172,023千円増加の6,983,753千円となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上により647,479千円増加した一方で、剰余金の配当により304,057千円減少したこと、また、自己株式を199,932千円取得したことによるものであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フロー)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(財務政策)

当社グループが営む家賃債務保証事業における資金需要の主なものは、代位弁済請求に対応する運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用及び設備資金があります。

これらの資金需要に対し、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。また、運転資金、営業活動費用及び設備資金は主に自己資金で賄っております。

今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却の計画」に記載のとおりであります。

 

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標ととらえ、その向上を目指して経営に取り組んでおります。

当連結会計年度におけるROEは、9.4%であります。引き続き財務基盤の安定・強化が図り、収益改善を目指してまいります。

e.主要な経営指標の状況

当社グループの経営成績に影響を与える主要な経営指標として代理店社数及び保有契約件数があり、その増加を図ってきた結果、年間保証料が増加しております。それぞれの経営指標に対する当社グループの取組み及び初回保証料・年間保証料を含む経営指標の推移は以下の通りとなっております。

(新規代理店獲得社数及び代理店社数)

当社グループは連帯保証を求める不動産管理会社等のニーズに応え新規代理店を増やしてまいりました。近年の傾向として、連帯保証を依頼する保証人がいない入居希望者や、連帯保証を第三者に依頼したくない入居希望者、保証人による連帯保証のみでは不安に感じる賃貸人や不動産管理会社等が増加していること、また、2020年4月の民法改正等の影響により、家賃債務保証に対するニーズは高まっていると考えております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、新規契約の拡大を図るべく未提携不動産管理会社等に対する代理店契約締結に向けたアプローチを継続しており、最近3年間の新規代理店獲得社数及び代理店社数の推移は以下の通り推移しております。

 

 

 

(単位:社)

 

2020年1月期

2021年1月期

2022年1月期

新規代理店獲得社数

802

956

940

代理店社数合計

8,986

9,942

10,882

 

(新規契約申込件数及び保有契約件数)

当社グループは、代理店社数の増加に取組むとともに既存不動産管理会社等に対する利用促進のための提案等を継続し、賃貸人や不動産管理会社等のニーズに沿った商品・サービスを提供することにより、保有契約件数の増加を図っています。この取組みの結果、新規契約申込件数及び保有契約件数の最近3年間の推移は、以下の通り推移しております。

 

 

 

(単位:件)

 

2020年1月期

2021年1月期

2022年1月期

新規契約申込件数

177,094

186,296

148,173

保有契約件数

522,161

562,052

566,199

 

(初回保証料及び年間保証料)

当社グループは、初回保証料に加え年間保証料も受領するストック型ビジネスであることを特徴としており、これら初回保証料及び年間保証料を増加させていくため、代理店数の増加、保有契約件数の増加を図っております。その結果、最近3年間の初回保証料及び年間保証料は、以下の通り推移しております。

(単位:千円)

 

2020年1月期

2021年1月期

2022年1月期

初回保証料

5,105,630

5,537,854

5,292,199

年間保証料

4,181,229

4,538,186

4,871,616

 

f.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因についての詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

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