課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「人々の健全な住環境の維持と生活文化の発展に貢献し、豊かな社会を実現する」という企業理念のもと、ITを活用し、賃貸不動産市場における新たなビジネスモデルの構築を目指しております。お客様のご期待を常に上回るサービスを提供することにより、家賃債務保証から派生する新たなサービスを展開してまいります。

 

(2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題

わが国の賃貸不動産市場は、少子高齢化、晩婚化等の社会情勢の変化により、単身世帯が増加傾向にある一方、賃貸不動産の供給量増加に伴い需給関係が悪化し、空室率の上昇が問題となっております。また、家族関係の希薄化等により、肉親であっても連帯保証人を頼みにくい傾向が強まるとともに、高齢者や外国籍の増加に伴って連帯保証人の確保が困難な状況も生じております。

このような背景の中、家主が賃貸収入の安定化を図るためには、家賃滞納リスクの軽減と賃貸借契約の成約率の向上という、相反することを両立させる必要があり、連帯保証人に代わり家賃債務保証による信用を媒介する誘因が高まっております。また、入居者にとっても、家賃債務保証を利用することで、連帯保証人を手当てする必要がなくなり、自身の信用補完にも繋がるため、賃貸借契約の成約率の向上や敷金等の初期費用負担の軽減に繋がっております。さらには、2020年4月施行の民法改正により、個人による連帯保証が減少し、家賃保証サービスに対する需要が高まっております。

当社グループは、企業理念の実践を通じた持続的な成長と企業価値の向上を実現するために、以下の項目を重点施策として取り組んでまいります。

 

① 管理会社市場の拡大

当社グループの既存マーケットである管理会社市場においては、2020年4月の民法改正、単身世帯の増加等の影響により、家賃債務保証サービスに対する需要の高まりは継続しております。

大規模な管理会社における競争環境は厳しくなっており、代理店ごとに採算性を考慮した取引の見直しを実施いたしました。その結果、当連結会計年度における新規契約件数は前年比で減少いたしましたが、滞納発生率の改善や契約単価の上昇が図られております。

小規模な管理会社に対しては、代理店の業務効率の改善を図るための契約管理システム「CasaWEB」の更なる機能拡充や他社システムとの連携を促進することなどにより代理店への付加価値の提供を行ってまいります。

今後も、代理店社数の拡大を図り、新規契約件数及び保有契約件数の増加を図ってまいります。

② 自主管理市場の開拓

当社グループが今後も継続的に成長するためには、自主管理市場を開拓することが必要であると認識しております。そのために、客付けから家賃の管理、退去までの賃貸経営全般に必要な業務をITの活用によりワンストップで提供するサービスの開発を進め、新規利用者の獲得に努めてまいります。

また、賃貸経営をサポートするために必要なノウハウや関連サービスを充実させるため、事業提携や資本提携を推進してまいります。

③ DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

テクノロジー化が遅れていた不動産業界においても、新型コロナウイルス感染症拡大で顕在化した課題の克服やデジタル社会を形成するための宅建業法の改正などもあり、DXを推進する動きが高まっております。このような環境のなか、当社グループは、「CasaWEB」の追加開発や保証審査におけるAI審査の試験導入等を進めてまいりました。

引き続き、家賃債務保証事業で培ったノウハウ、蓄積されるデータを活用しDXの推進を図ることで、業界のリーディングカンパニーへと成長してまいります。

また、基幹システム刷新による業務の効率化や入居者、代理店及び家主を繋ぐプラットフォームの開発、セキュリティ対策やシステムの一層の安定稼動に取り組むことが今後の事業拡大において重要と認識しております。

④ 事業領域の拡大

当社グループは、家賃債務保証事業を中心として収益基盤を構築してまいりましたが、既存の事業領域の拡大を図り安定的な成長を遂げていくことが重要な課題であると認識しております。

当連結会計年度には、当社グループの賃貸仲介機能を強化し、代理店との関係強化や新規代理店の増加を図るため、オンライン賃貸仲介プラットフォームを営むAlong with株式会社を連結子会社化いたしました。また、「こども家庭庁」の設置が予定され「こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援」への環境整備が進むなか、養育費保証事業の認知度向上を図っております。

今後も、既存の事業で培ってきた強みを生かし事業領域の拡大に努めてまいります。

⑤ コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループの持続的な成長、更なる事業拡大のためには、コーポレート・ガバナンスの強化は重要な課題であると認識しております。継続的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部統制に係る体制や法令遵守の徹底に向けた体制を強化してまいります。

また、当社グループは多くの個人情報を取り扱っており、その情報管理の強化を図るため、厳重な管理体制を構築・維持してまいります。

⑥ 人材の確保と育成

当社グループが、事業環境の変化に柔軟に対応し、さらなる事業拡大を図るためには、幅広い人材の確保と従業員の育成が重要な課題であると認識しております。そのために、積極的な採用活動を行うとともに、教育・研修制度の充実に取り組んでまいります。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出された調整後親会社株主に帰属する当期純利益を重要な財務指標として位置づけております。調整後親会社株主に帰属する当期純利益の推移は以下のとおりであります。

(単位:千円)

回次

第5期

第6期

第7期

第8期

第9期

決算年月

2018年1月

2019年1月

2020年1月

2021年1月

2022年1月

経常利益

1,212,170

1,391,015

1,577,200

1,090,065

1,145,809

+のれん償却額

261,900

261,900

261,900

261,900

268,434

調整後経常利益(注)1

1,474,071

1,652,916

1,839,101

1,351,966

1,414,243

当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益

744,840

840,402

927,258

611,066

647,479

+のれん償却額

261,900

261,900

261,900

261,900

268,434

調整後当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益(注)2

1,006,741

1,102,303

1,189,159

872,967

915,913

(注)1.調整後経常利益=経常利益+のれん償却額

2.調整後当期純利益=当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純利益+のれん償却額

3.第7期より連結財務諸表を作成しております。第6期までは個別財務諸表に基づく数値を、第7期以降は

連結財務諸表に基づく数値を記載しております。

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