当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、本項において含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
一昨年から続く新型コロナウイルスは、変異株による流行を繰り返し、サプライチェーンや販売が打撃を受けました。また下期からは材料費/物流費高騰によるコストアップも顕在化してきました。更には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を発端とする地政学的リスクの顕在化などもあり、2021年度、当社を取り巻く経営環境は、一層不透明感を増し、日々変化いたしました。
かじ取りが難しい中、当社は数多くのお客様に新型アウトランダーやエクスパンダーをはじめとする商品をご購入頂けたことに加え、全社を挙げて環境の変化に柔軟に対応し、当社の収益は回復軌道に乗っています。
結果、通期販売台数はグローバルで前年度比17%増の93万7千台、通期売上高は前年度比40%増の2兆389億円となりました。通期営業利益は、為替の追い風があるものの、販売台数の増加、値引き抑制効果や、コスト改善効果により、873億円(前年度比+1,826億円)まで回復いたしました。営業利益率は4.3%となり、前年からおよそ11ポイント改善いたしました。なお、経常利益は1,010億円(前年度比+2,062億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は740億円(前年度比+3,863億円)となりました。
主な地域別の販売状況は次のとおりです。
・ アセアン : 250千台(前年度比+ 61千台)
・ 豪州・ニュージーランド : 97千台( 同上 + 25千台)
・ 日本 : 75千台( 同上 + 2千台)
・ 中国他 : 81千台( 同上 △ 24千台)
・ 北米 : 156千台( 同上 + 43千台)
・ 欧州 : 131千台( 同上 △ 13千台)
・ 中南米、中東、アフリカ他: 147千台( 同上 + 42千台)
主力のアセアンでは、各国政府の「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」への政策転換により行動制限が段階的に緩和され、2021年末より需要が回復に転じており、販売台数が伸長しました。
豪州・ニュージーランドでは、諸活動が制限される中、余資を新車購入に充てる世帯が増加した事などから、市場全体は好調に推移いたしました。当社は、比較的部品不足の影響が小さく供給が順調であった種別の拡販や、新型『アウトランダー』の好調な販売により、販売台数が増加しました。
ホームマーケットである日本は、半導体不足により供給が限られる中、在庫車販売への注力や、新型『アウトランダー』PHEVの好調な立ち上がりにより、販売台数が微増しました。
北米は、昨年4月より販売を本格化した新型『アウトランダー』が、年度を通じ好調に推移しました。
事業別セグメントの状況は以下のとおりです。
(ⅰ)自動車
当連結会計年度における自動車事業に係る売上高は2兆188億円(前年度比+5,823億円)となり、営業利益は835億円(前年度比+1,848億円)となりました。営業増益は、販売台数の増加、値引き抑制効果や、コスト改善効果によるものです。
(ⅱ)金融
当連結会計年度における金融事業に係る売上高は380億円(前年度比+22億円)となり、営業利益は46億円(前年度比△2億円)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は1兆9,284億円(前年度末比+721億円)となりました。そのうち現金及び預金は5,115億円(前年度末比+558億円)となりました。負債合計は1兆2,981億円(前年度末比△329億円)となり、そのうち有利子負債残高は、4,805億円(前年度末比△28億円)となりました。純資産は6,303億円(前年度末比+1,050億円)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フローの基本的な考え方
当社は、財務規律を維持しつつ健全で持続可能な成長を図り、企業価値を高めることで、株主の皆様への成果配分を安定的に維持することを基本としており、フリー・キャッシュ・フローをそのための経営管理指標の一つとして設定しております。
この考え方に基づき、当社グループにおける自動車の開発・生産・販売等の事業活動における運転資金需要(材料費、人件費、各種経費、金融事業に係る貸付資金等)や、MaaSやCASEなどの新技術や環境規制対応、老朽化した生産用設備の維持・更新などの設備資金需要の一元管理を行い、斯かる資金需要に対する対応は毎年、当社が新たに生み出すキャッシュ・フローを原資とすることを基本とし、必要に応じて過年度まで蓄積された内部資金の活用や金融機関からの借入やCPの発行により資金調達を行っております。
(注)フリー・キャッシュ・フローの算出においては、以下の計算式を使っております。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計です。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により1,181億円の収入(前年度比1,596億円の増加)、投資活動により691億円の支出(前年度比322億円の減少)、財務活動により102億円の支出(前年度比1,785億円の減少)となりました。加えて、現金及び現金同等物に係る為替換算差額等による281億円の増加もあり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し669億円増加し、5,115億円となりました。
なお、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは、販売台数の増加に伴う営業活動による収入の増加により、490億円の収入(前年度比1,918億円の収入増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は1,181億円となり、前連結会計年度の415億円の支出に対し1,596億円の収入増加となりました。この収入増加は主として、販売台数の増加に伴う増収増益によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による支出は691億円となり、前連結会計年度の1,013億円の支出に対し322億円の支出減少となりました。この支出減少は主として、定期預金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による支出は102億円となり、前連結会計年度の1,683億円の収入に対し1,785億円の支出増加となりました。これは主として、長期借入れによる収入の減少によるものであります。
③ 資金の流動性及び資金調達
当連結会計年度末の連結現預金残高は5,115億円、連結有利子負債残高は4,805億円となりました。当社単体において国内金融機関からは約1,500億円のコミットメントラインを設定しており、現預金残高にコミットメントラインを加えた流動性は約6,500億円となっております。
また、事業環境の悪化による資金需要の増加に備えて、上記の流動性に加え、海外子会社においても資金調達枠を設定し、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な資金の確保に努めております。
なお、当社グループは適切な国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、格付投資情報センター:「BBB+」、S&P:「BB」となっております。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
|
当連結会計年度 数量(台) |
前連結会計年度比(%) |
国 内 |
420,588 |
114.6 |
海 外 |
604,300 |
135.1 |
アジア |
579,486 |
133.3 |
その他 |
24,814 |
197.4 |
合計 |
1,024,888 |
125.9 |
(注)生産実績は当社及び連結子会社の完成車(国内はKDを含む)の生産台数を示し、他社へのOEM供給及び共同
開発車の当社生産分を含んでおります。
② 受注実績
当社は、大口需要等特別の場合を除き、見込生産を行っております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度比(%) |
||
数量(台) |
金額(百万円) |
数量 |
金額 |
|
国 内 |
191,773 |
393,940 |
82.6 |
93.3 |
海 外 |
823,986 |
1,644,969 |
139.1 |
159.1 |
北米 |
150,714 |
397,196 |
161.6 |
204.1 |
欧州 |
109,720 |
257,683 |
122.1 |
140.5 |
アジア |
332,161 |
482,776 |
128.7 |
143.2 |
オセアニア |
95,639 |
254,681 |
135.8 |
146.9 |
その他 |
135,752 |
252,631 |
168.1 |
173.8 |
合計 |
1,015,759 |
2,038,909 |
123.2 |
140.0 |
(注)1.販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
日産自動車株式会社 |
186,853 |
12.8 |
- |
- |
3.当連結会計年度の販売実績は、総販売実績の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しており
ます。
(4)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の計上及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の計上に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積りは、過去の実績や合理的と考えられる方法に基づき行われておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。なお、市場措置に関する負債及びロシア事業関連については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
① 燃費試験関連損失引当金
当社は、燃費試験に関連した損失に備えるため、当連結会計年度末において合理的に見積ることが可能な金額を計上しております。
② 製品保証引当金
当社グループは、製品のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い過去の実績を基礎に将来の保証見込みを加味して計上しております。実際の製品不良率または修理コストが見積りと異なる場合、アフターサービス費用の見積額の修正が必要となる可能性があります。
③ 貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済状況の変化等により顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。
④ 退職給付費用及び債務
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期収益率などが含まれております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
⑤ 繰延税金資産の評価
当社グループでは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を控除し、純額を計上しております。評価性引当額は、将来の課税所得及びタックスプランニング等を勘案し算定しており、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上しております。また、繰延税金資産の計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることとしております。
⑥ 投資有価証券の評価
当社グループは、価格変動性が高い公開会社の株式と、市場価格のない非公開会社の株式を保有しております。当社グループは、投資有価証券の評価を一定期間ごとに見直し、その評価が取得原価または減損後の帳簿価額を一定率以上下回った場合、減損処理を実施しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、減損処理の実施が必要となる可能性があります。
⑦ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計の適用に際し、生産用資産は主として事業会社単位、販売関連資産は主として事業拠点単位、賃貸用資産及び遊休資産は個々の資産グループとしてそれぞれグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与えることがあります。
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