業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響から持ち直しの動きにあったものの、自動車産業のサプライチェーンにおいては半導体などの部品不足による影響が長期化するなど生産活動に制約が見られました。海外においては、米国の景気回復に加え、インド、タイ、インドネシアで持ち直しの動きが見られた一方で、中国においては景気回復ペースが鈍化しました。

 このような経営環境のなか当グループにおいては、主力の自動車関連品事業が9.8%の増収となったものの、航空機部品輸入販売事業の取扱高の減少及び「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用の影響などにより、売上高は807億8千9百万円(前期比 7.1%減)となりました。自動車関連品事業が大幅な増益となり、営業利益は33億1千8百万円(前期は5億6千9百万円)となりました。この結果、経常利益は31億3千7百万円(前期は5億9千7百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は13億1千8百万円(前期は1億2千5百万円の純損失)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従前の会計処理と比較して、当連結会計年度の売上高は216億1千1百万円減少し、営業利益は1億2千5百万円減少、経常利益は1億8百万円減少しております。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

[自動車関連品事業]

 四輪車・二輪車・汎用エンジン用燃料供給装置類及びエンジン関連機能品類の製造販売を中心とする当事業の売上高は、前期に比べて増加しました。半導体などの部品不足による影響が長期化し一部の完成車メーカーの生産活動が制約を受けましたが、インドにおいて顕著な成長が見られ、売上高は感染拡大前とほぼ同水準にまで回復しました。こうしたなか、引き続き拡販活動に努め、生産効率の向上をはじめとする収益改善活動に取り組んだ結果、当事業の売上高は662億4千5百万円(前期比 9.8%増)となり、営業利益は35億6千7百万円(前期は7億7千2百万円)と大幅に改善しました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従前の会計処理と比較して、売上高は35億1千7百万円減少し、営業利益は1億2千万円減少しております。

 

[生活機器関連品事業]

ガス機器用制御機器類及び水制御機器類などの製造販売を中心とする当事業の売上高は、前期に比べて増加しました。製品戦略を見直した結果、当事業の売上高は67億5千3百万円(前期比 16.1%増)となりました。半面、部材の調達難に加え、原材料費、物流費の上昇などによる影響もあり、営業損失は4億9千1百万円と前期(2億2千1百万円の営業損失)から拡大しました。なお、収益認識会計基準等の適用により、従前の会計処理と比較して、営業損失は5百万円増加しております。

 

[航空機部品輸入販売事業]

航空機部品類の売上高は、前期に比べて減少しました。当事業の売上高は16億1千5百万円(前期は164億4千1百万円)となりました。収益認識会計基準等の適用により、従前の会計処理と比較して、売上高は180億9千3百万円減少しております。航空旅客機需要が大きく減少している半面、新規事業の寄与などもあり、営業利益は2億8千6百万円(前期比 50.6%増)となりました。

 

[芝管理機械等販売事業]

芝管理機械等販売事業の売上高は、前期に比べて増加しました。顧客の設備投資が回復してきていることに加え、アフターサービスへの注力の成果が現れ始めました。前期に当事業を子会社に承継し機動的な組織運営が図られた効果に加え、会社分割による連結決算への反映期間の変更による影響などもあり、当事業の売上高は38億7千7百万円(前期比 50.9%増)となりました。加えて、商品構成の見直しが進み、営業損失は3千3百万円(前期は1億6千9百万円の営業損失)と縮小しました。

 

[その他事業]

車輌用暖房機器類、福祉介護機器等の製造販売を中心とするその他事業の売上高は、前期に比べて増加しました。福祉介護機器が好調に推移し、その他事業の売上高は22億9千7百万円(前期比 28.4%増)となりました。半面、原材料の調達が困難になっている影響もあり、営業損失は1千万円(前期は2百万円の営業損失)となりました。

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて8億1千1百万円増加し、50億6千万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、50億7千8百万円(前年同期は3億1千8百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31億3百万円、減価償却費47億6千2百万円による資金増加要因が、棚卸資産の増加14億2百万円による資金減少要因を上回ったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、23億7千1百万円(前年同期は28億7千6百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出33億5千7百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、24億7千4百万円(前年同期は22億1千7百万円の収入)となりました。これは主に、借入金の純減17億6千3百万円による支出であります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連品(百万円)

71,433

118.5

生活機器関連品(百万円)

6,615

115.1

航空機部品輸入販売(百万円)

芝管理機械等販売(百万円)

報告セグメント計(百万円)

78,049

118.2

その他(百万円)

985

85.4

合計(百万円)

79,034

117.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

   2.収益認識会計基準等の適用前の価格にて記載しております。

 

② 商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連品(百万円)

生活機器関連品(百万円)

航空機部品輸入販売(百万円)

17,750

84.4

芝管理機械等販売(百万円)

3,466

152.3

報告セグメント計(百万円)

21,217

91.1

その他(百万円)

1,199

223.8

合計(百万円)

22,416

94.0

(注)1.金額は販売価格によっております。

   2.収益認識会計基準等の適用前の価格にて記載しております。

 

 

③ 受注実績

 顧客から提示される納期の短縮化が進んだことにより受注から出荷までの期間が非常に短いため、当グループは原則として一部の確定受注や過去の生産実績等を参考とした見込み生産を行っております。よって受注実績につきましては、記載を省略しております。

 

④ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

前年同期比(%)

自動車関連品(百万円)

66,245

生活機器関連品(百万円)

6,753

航空機部品輸入販売(百万円)

1,615

芝管理機械等販売(百万円)

3,877

報告セグメント計(百万円)

78,492

その他(百万円)

2,297

合計(百万円)

80,789

(注)1.収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため当該基準等を適用する前の前連結会計年度の売上高に対する増減率は記載しておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

あります。

相手先

前連結会計年度

(自 令和2年4月1日

至 令和3年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

スズキ株式会社

7,335

8.4

7,570

9.4

ヤマハ発動機株式会社他

7,609

8.7

7,373

9.1

PT. Yamaha Indonesia

Motor Manufacturing

3,466

3.1

4,704

5.8

3.上記「ヤマハ発動機株式会社他」には、関係会社であるヤマハモーターパワープロダクツ株式会社を含めて表示しております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

 経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 当グループは存在価値と競争力を高め、連結売上高950億円規模、連結営業利益50億円規模とすることを将来的に目指しております。これに対して、当連結会計年度の連結売上高は807億8千9百万円、連結営業利益は33億1千8百万円でした。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。

 

(1)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、969億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べて30億2千5百万円増加しました。

 流動資産は、510億1千万円となり、前連結会計年度末に比べて45億3千6百万円増加しました。これは主に、棚卸資産が22億9千4百万円並びに現金及び預金が8億6百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は、459億6百万円となり、前連結会計年度末に比べて15億1千万円減少しました。これは主に、投資有価証券が8億6千2百万円減少したことによるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、649億9千8百万円となり、前連結会計年度末に比べて4億9千6百万円減少しました。

 流動負債は、335億5千3百万円となり、前連結会計年度末に比べて23億3千5百万円増加しました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が19億2千8百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は、314億4千4百万円となり、前連結会計年度末に比べて28億3千2百万円減少しました。これは主に、長期借入金が26億6千6百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 純資産は、319億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べて35億2千2百万円増加しました。これは主に、為替換算調整勘定が23億2千万円増加したこと及び親会社株主に帰属する当期純利益を13億1千8百万円計上したことによるものであります。

 収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が3億2千6百万円増加したことにより純資産が増加しております。

 

(2)経営成績の分析

① 売上高

 売上高は、収益認識会計基準等の適用などにより、前連結会計年度の869億6千2百万円に比べて減少し、807億8千9百万円(前年同期比7.1%減)となりました。セグメント別の売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概況 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度の761億7百万円に比べて減少し、664億2千6百万円(前年同期比12.7%減)となりました。売上に対する売上原価の比率は0.6ポイント下降しております。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の102億8千5百万円に比べて増加し、110億4千4百万円(前年同期比7.4%増)となりました。

③ 営業利益

 営業利益は、前連結会計年度の5億6千9百万円に比べて増加し、当連結会計年度は33億1千8百万円(前年同期比483.0%増)となりました。

④ 営業外収益、営業外費用

 営業外収益は、前連結会計年度の10億1千9百万円に比べて減少し、6億1百万円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度の9億9千1百万円に比べて減少し、7億8千2百万円となりました。これは主に、持分法による投資損失が減少したためであります。

⑤ 経常利益

 経常利益は、前連結会計年度の5億9千7百万円に比べて増加し、当連結会計年度は31億3千7百万円(前年同期比425.5%増)となりました。

⑥ 特別利益、特別損失

 特別利益は、前連結会計年度の6億9千2百万円に比べて減少し、3億2千4百万円となりました。これは主に、投資有価証券売却益が減少したためであります。また、特別損失は、前連結会計年度の5億3百万円に比べて減少し、3億5千8百万円となりました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失

 前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1億2千5百万円でしたが、当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益13億1千8百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資金需要

 当グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備資金、借入金の返済、法人税等の支払、配当金の支払等であります。なお、設備投資の状況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載の通りであります。

② 財務政策

 当グループでは、中長期的な資本効率の向上と財政状態の健全化を重要課題として捉え、キャッシュの配分については株主還元、更なる成長投資の実行、有利子負債の返済等で最適なバランスを取ることを基本方針としております。
 資金調達については、資本効率の向上によるキャッシュの創出を基本として、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。短期運転資金は短期借入、設備投資や長期運転資金は長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表 借入金等明細表」に記載の通りであります。
 令和4年3月31日現在、短期及び長期借入金(1年以内返済予定含む)の残高は353億6千3百万円であります。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行との間で合計62億円のコミットメントライン契約(特定融資枠契約)を締結しております。なお、コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。

③ 今後のキャッシュ・フロー

 令和5年3月期の設備投資につきましては、生産性向上のための合理化並びに省力化投資、新規受注に伴う設備及び金型投資及び海外生産拠点への投資を中心に総額65億7千1百万円を実施する予定であります。

 当該資金調達方法につきましては、自己資金及び借入金の予定であります。

 

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、本項に記載した予想、予見、見通し、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものであります。次期の見通し及び将来に関する事項には、不確実性が内在しており、また、リスクを含んでいるため、様々な要因の変化により将来生じる実際の結果と異なる可能性もありますので、ご留意ください。

 当社は特に以下の重要な会計方針が、当グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要である固定資産の減損損失及び製品保証引当金並びに、新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

① 繰延税金資産

 当グループは、繰延税金資産の将来の回収可能性を十分に検討して、回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得、事業計画及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産純額の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取り崩し、税金費用の追加計上が発生する場合があります。

② 棚卸資産

 当グループは、通常の販売目的で保有する棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみなして、正味売却価額を貸借対照表価額とし、評価減を計上しております。評価時点における正味売却価額については、売却市場の時価を基礎に見積もっておりますが、実際の将来需要又は市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる場合があります。

③ 貸倒引当金

 当グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権につきましては貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込み額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。

④ 退職給付に係る負債

 当グループは、退職給付に係る負債につきましては、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき計上しております。見込み額と実績額との差又は見込み額算定の基礎となる前提条件の変更により、退職給付に係る負債に影響を及ぼす場合があります。

 

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