当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症が再拡大する中で、資源価格の高騰や部材の供給制約が継続して発生しており、厳しい状況で推移しました。また、ウクライナ情勢による経済への影響も懸念され、先行きは不透明な状況が続いております。日本においては、昨年末からの変異株の発生に伴い、再び感染が急速に拡大し、引き続き新型コロナウイルス感染症が経済活動に大きな影響を与えております。
当社グループの主要事業分野であります自動車関連業界におきましては、前年度からは生産活動が上向きになるなか、半導体を始めとした部材の調達リスクが一部で顕在化しており、主要顧客の自動車生産も一時的な稼働停止や生産調整が発生しております。
このような中、当社グループでは、社員の感染防止、受注変動に合わせた生産調整、人員・部材の確保等を行ってまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、1,644億72百万円(前期比9.4%増)となりました。利益面では、前年度の固定費削減活動により収益構造を改善したところに、売上増や原価改善の効果も加わり、営業利益は107億56百万円(前期比19.9%増)、経常利益は146億15百万円(前期比30.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は98億3百万円(前期比22.8%増)と、過去最高益となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は35億13百万円減少しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(プレス・樹脂製品事業)
顧客の生産が変動する中、生産体制を確保して対処した結果、当事業全体の売上高は1,142億84百万円(前期比9.4%増)となりました。利益面では、原価改善の効果も加わり、営業利益は49億22百万円(前期比25.8%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は35億24百万円減少しております。
(バルブ製品事業)
顧客の生産が変動する中、生産体制を確保して対処した結果、当事業全体の売上高は499億91百万円(前期比9.3%増)となりました。利益面では、原価改善の効果も加わり、営業利益は58億28百万円(前期比16.6%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は11百万円増加しております。
(その他)
その他は主に情報関連等のサービス事業から成っており、売上高は1億96百万円(前期比10.0%増)、営業損失は31百万円(前年同期は営業利益5百万円)となりました。
なお、セグメント別の金額は、セグメント間取引の消去後の数値であります。
当連結会計年度末の資産合計は2,454億39百万円となり、前連結会計年度末と比較して199億8百万円の増加となりました。
資産の部では、流動資産は823億51百万円となり、前連結会計年度末と比較して108億95百万円の増加となりました。これは主に受取手形および売掛金が59億71百万円、原材料及び貯蔵品が22億80百万円増加したことによるものであります。
固定資産は1,630億87百万円となり、前連結会計年度末と比較して90億12百万円の増加となりました。これは主に、時価評価等に伴い投資有価証券が59億76百万円、有形固定資産が23億65百万円それぞれ増加したことによるものであります。
負債の部では、流動負債は449億10百万円となり、前連結会計年度末と比較して29億64百万円の減少となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が36億27百万円減少したことによるものであります。
固定負債は701億46百万円となり、前連結会計年度末と比較して49億98百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金が26億18百万円増加したことによるものであります。
純資産の部は、利益剰余金が75億6百万円、その他有価証券評価差額金が33億91百万円、円安の進行に伴い為替換算調整勘定が64億67百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末から178億74百万円増加し1,303億82百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は52.8%となり、前連結会計年度末と比較して、3.3ポイント増加しました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて14億49百万円減少し、266億9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、183億17百万円の収入(前期は269億88百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益138億5百万円、減価償却費164億87百万円による増加と、法人税等の支払額41億42百万円、棚卸資産の増減額38億71百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、171億89百万円の支出(前期は185億9百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出168億45百万円の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、40億59百万円の支出(前期は8億8百万円の収入)となりました。これは主に借入金による純支出47億95百万円の減少によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2 その他については、生産実績の把握が困難でありますのでその記載を省略しております。
当社グループでは、プレス・樹脂製品事業、その他の一部で受注生産を行っておりますが、受注額および受注残高が少額であるため、その記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
(売上高)
当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、ウクライナ情勢等により、資源価格の高騰や部材の供給制約が継続して発生し、厳しい状況で推移しました。
このような中、当社グループでは、社員の感染防止、受注変動に合わせた生産調整、人員・部材の確保等を行ってまいりました。その結果、第1四半期連結会計期間の売上高は、前年同期比で176億円の増収と堅調に推移しました。第2四半期は、半導体を始めとした部材の調達リスクが顕在したことにより、主要顧客の自動車生産の一時期な稼働停止があり減収となりました。第3四半期以降においては、順次生産回復し、通期では前期比140億円の増収となりました。
プレス・樹脂製品事業は、第1四半期連結会計期間の連結売上高は、前年同期比で126億円の増収となりました。第2四半期は主要顧客の稼働停止があり減収となりましたが、第3四半期以降回復したことにより、通期では前期比97億円の増収となりました。
バルブ製品事業は、第1四半期連結会計期間の連結売上高は前年同期比で50億円の増収となりました。市場の回復が遅れた欧州にも事業展開していることにより、第3四半期以降の生産は減少したものの、通期では前期比42億円の増収となりました。
主要顧客の自動車生産台数の増加等により販売物量が増加し、連結営業利益への影響は通期で50億円の増益となりました。販売物量の増加による労務費の増加14億円や経費の増加11億円、設備投資の増加による減価償却費の増加16億円があったものの、グループを挙げた原価改善活動を推進したことによる27億円の増益効果等により、連結営業利益は前期比17億円の増益となりました。
プレス・樹脂製品事業は、販売価格の低下や設備投資の増加による減価償却費の増加があったものの、主要顧客の自動車生産の増加等による販売物量の増加や原価改善効果により、通期では10億円の増益を確保しました。
バルブ製品事業においては、資材価格の高騰や販売価格の低下による減益要因があったものの、販売物量の増加や円安による為替差益、原価改善効果等の増益要因により、通期では8億円の増益となりました。
(資産および負債)
売上の増加に伴い、流動資産のうち受取手形、売掛金および棚卸資産が増加しております。同じく、流動負債のうち支払手形及び買掛金が増加しております。
戦略的な設備投資の実施の結果、固定資産のうち有形固定資産が増加しております。また、投資有価証券が時価評価等に伴い増加しております。
なお、有利子負債は、総額621億円であり、前連結会計年度末比41億82百万円減少しております。その内訳は、短期借入金10億15百万円(前連結会計年度末比31億73百万円減少)、1年内返済予定を含む長期借入金610億85百万円(前連結会計年度末比10億8百万円減少)であります。短期借入金は主に運転資金に、長期借入金は主に設備投資資金に充当しております。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(財務政策)
当社グループは、運転資金、設備資金および株式取得資金につきましては主に、自己資金、金融機関からの借入、社債発行により資金調達することを基本としております。このうち自己資金につきましては、グループ内資金を有効活用するため、グループ会社間での資金貸借を実施しております。借入につきましては、運転資金は短期借入金で、設備資金や株式取得資金などの長期資金は長期借入金で調達することを基本としております。
④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、見積りに用いた仮定には不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)、「2 財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
中期経営計画「OCEAN-22」の2022年度(2023年3月期)目標連結売上高1,750億円に対し、2021年度(2022年3月期)実績の連結売上高は1,644億円(前期比140億円増)となりました。なお「収益認識に関する会計基準」の適用により連結売上高は35億円減少しております。
また2022年度の目標連結営業利益率7%台に対し、2021年度実績は6.5%(前期は6.0%)となりました。前期に対する利益率の上昇は、収益改善・固定費削減といった内部努力による増益成果によることが主な理由であります。
2022年度の目標ROA(営業利益)6%台に対し、2021年度実績4.6%(前期は4.2%)となりました。前期に対するROAの上昇は、営業利益の増益が主な理由であります。
引き続き、企業価値の向上をめざして、これまでの投資の成果を刈り取りつつ、「OCEAN-22」目標を達成するための諸活動を積極的に推進してまいります。
お知らせ