業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)及び(セグメント情報等)セグメント情報 3. 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失、資産、その他の項目の金額に関する情報」をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な再拡大により、各国での行動制限やロックダウンなどが繰り返される一方で、欧米などでの追加景気対策の実施や、需要拡大による企業業績の回復などを背景に、世界経済全体としては、回復基調に向かっておりました。しかしながら、年明け以降、需要の急拡大に伴うインフレ懸念の高まりや、中国での新型コロナウイルス感染症の拡大、ウクライナ情勢での地政学的リスクの顕在化などにより、先行き不透明な事業環境は依然として継続しております。

このような状況の中、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体の供給不足による減産に加え、原材料価格の高騰など外部環境の悪化があったものの、販売費用の抑制や単価改善など販売の質的改善、原価低減や固定費の効率化を推進し、中期経営計画で掲げる損益分岐点台数引き下げを前倒しで達成するなど、収益基盤の改善を着実に実行してまいりました。さらにCASE時代の新しい価値創造競争を踏まえ、電動化、IT、2050年のカーボンニュートラル化への挑戦に向けて、投資の質の転換を進め、これからの本格成長に向けた準備を全ての領域で推進してまいりました

また昨年10月には、2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画として、「MAZDA CX-50」、「MAZDA CX-60」、「MAZDA CX-70」、「MAZDA CX-80」、「MAZDA CX-90」の5車種をグローバルで導入することを公表し、このうち「CX-50」は、2022年1月より米国新工場での生産を開始し、「CX-60」も2022年3月より生産を開始しております。これらの商品ラインアップの拡充は、一括企画、フレキシブル生産などの当社の技術資産を最大限活用することで、低投資かつ効率的に実現し、中長期におけるビジネスの安定的な成長を図ります。当社は、今後も最新の環境性能と、クルマ本来の魅力である「走る歓び」を両立させた多様な選択肢をお客さまに提供し、美しい「地球」と心豊かな「人」・「社会」を実現し、人の心を元気にすることにより、お客さまとの間に特別な絆を持ったブランドになることを目指してまいります。

[グローバル販売]

当連結会計年度のグローバル販売台数は、新型コロナウイルス感染症の再拡大や、半導体の供給不足により、日本や中国、ASEAN等で販売が減少したことから、前期比2.8%減1,251千台となりました。一方で、販売が好調な米国やオーストラリア等では、需要の回復を上回る販売を達成し、前期を上回る販売台数となりました。

市場別の販売台数は、次のとおりであります。

<日本>

商品改良モデルを導入した「MAZDA CX-5」は前年を上回る好調な販売であったものの、全体としては、供給不足による販売減少により、 前期比15.8%減149千台となりました。

<北米>

米国は、「MAZDA CX-30」、「CX-5」や「MAZDA CX-9」などのクロスオーバーSUVが販売を牽引したことにより、前期比12.6%増332千台となりました。北米全体では、カナダやメキシコにおいて販売が減少したものの、前期比8.9%増439千台となりました。

<欧州>

「CX-30」の販売は堅調に推移し、主要市場である英国の販売が回復したこと等により、前期比6.3%増190千台となりました。また、2022年3月より、「MAZDA2 Hybrid」の販売を開始しております。

<中国>

「MAZDA3」の販売は堅調に推移しましたが、「MAZDA CX-4」や「CX-5」等の主要モデルの販売が減少したことから前期比25.5%減170千台となりました。

<その他の市場>

主要市場のオーストラリアは、「CX-30」や「CX-5」などのクロスオーバーSUVが販売を牽引し、総需要の回復を上回る販売台数を達成し、前期比11.7%増103千台となりました。一方、その他の市場全体では、タイなどASEAN市場での販売が減少したこともあり、前期比0.7%増303千台となりました。

 

[財政状態及び経営成績]

a. 経営成績

当連結会計年度の当社グループの連結業績は、次のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

 

 

通期

通期

増減額

増減率

売上高

28,821

31,203

+2,382

+8.3%

営業利益

88

1,042

+954

-%

経常利益

283

1,235

+953

+337.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

△317

816

+1,132

-%

 

(注) 営業利益の前期比増減率は、1,000%を超えているため、「-」で記載しております。

 

b. 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、米国工場への投資など有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末より507億円増加し、2兆9,681億円となりました。負債合計は、長期借入金の早期返済などにより、前連結会計年度末より701億円減少し、1兆6,515億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益816億円等により、前連結会計年度末より1,209億円増加し、1兆3,167億円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末より3.3ポイント増加し43.8%(劣後特約付ローンの資本性考慮後45.0%)となりました。

 

c. セグメントごとの財政状態及び経営成績

当連結会計年度のセグメント別の連結業績は、次のとおりです。

 

 

 

 

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

 

 

通期

通期

増減額

増減率

売上高

日本

23,316

25,447

+2,131

+9.1%

北米

12,805

14,420

+1,616

+12.6%

欧州

5,097

5,603

+506

+9.9%

その他の地域

5,548

6,120

+573

+10.3%

営業利益

日本

△647

857

+1,504

-%

北米

405

△95

△500

-%

欧州

100

149

+49

+48.9%

その他の地域

178

165

△12

△6.9%

 

 

<日本>

売上高は、2兆5,447億円(前期比2,131億円増9.1%増)、営業利益は857億円(前期は647億円の損失)となりました。これは、主に販売が好調な北米やオーストラリア向けた出荷台数の増加等によるものです。セグメント資産は、前期比522億円増加2兆3,957億円となりました。

<北米>

売上高は1兆4,420億円(前期比1,616億円増12.6%増)、営業損失は95億円(前期は405億円の利益)となりました。これは、主に米国での販売台数の増加など、販売の質的改善と固定費効率化の取組が進んだ一方で、原材料価格の高騰や半導体不足等により、メキシコでの製造コストが増加したことによります。セグメント資産は、前期比764億円増加5,257億円となりました。

<欧州>

売上高は5,603億円(前期比506億円増9.9%増)、営業利益は149億円(前期比49億円増48.9%増)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の回復が進んだ英国などで、出荷台数が増加したことによるものです。セグメント資産は、前期比127億円減少1,854億円となりました。

<その他の地域>

売上高が6,120億円(前期比573億円増10.3%増)、営業利益は165億円(前期比12億円減6.9%減)となりました。これは、主要市場であるオーストラリアが好調な一方で、新型コロナウイルス感染症の影響の残るASEANでの販売が減少したことなどによるものです。セグメント資産は、前期比91億円増加3,639億円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末において、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より16億円増加7,404億円、有利子負債は、前連結会計年度末より751億円減少の6,808億円となりました。この結果、有利子負債から現金及び現金同等物の期末残高を除いた純有利子負債は596億円のネット・キャッシュ・ポジションとなっております。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,124億円に加え、棚卸資産の減少等により、1,892億円の増加(前期は1,201億円の増加)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,219億円等により、1,362億円の減少(前期は789億円の減少)となりました。

 

以上により、連結フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、529億円の増加(前期は412億円の増加)となりました。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済等により、864億円の減少(前期は993億円の増加)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における車両生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

台数(千台)

前期比(%)

日本

696

△6.8

北米

128

△3.7

合計

824

△6.4

 

 

b. 受注実績

当社グループは、主として販売会社の販売実績及び受注状況等を考慮して生産計画を立て、見込生産を行っております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

816,357

△5.8

北米

1,206,667

17.4

欧州

539,399

10.1

その他の地域

557,926

12.2

合計

3,120,349

8.3

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主要な販売先については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(2)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。なお、当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク 」に記載しております。

 

<売上高>

当連結会計年度における売上高は、効率的な在庫運用と単価改善により、3兆1,203億円(前期比2,383億円増8.3%増)となりました。

仕向地別では、国内は、供給不足による販売減少等により、5,696億円(前期比249億円減4.2%減)となり、海外は、主として北米市場向けの出荷台数の増加等により、2兆5,507億円(前期比2,632億円増11.5%増)となりました。

製品別では、成長を牽引する米国市場での販売力強化、ブランド力向上への取り組みが成果を表し、車両売上高は2兆5,811億円(前期比2,409億円増10.3%増)となり、海外生産用部品売上高は411億円(前期比270億円減39.6%減)となりました。そのほか、部品売上高は2,625億円(前期比335億円増14.6%増)、その他売上高は2,356億円(前期比92億円減3.7%減)となりました。

<営業利益>

売上高増加に加え、販売の質的改善や固定費の効率化などの改善を着実に積み上げた結果、営業利益は1,042億円(前期比954億円増)、連結売上高営業利益率は3.3%(前期比3.0ポイント増)となりました。また、損益分岐点台数につきましても、中期経営計画目標である100万台の目標を前倒しで達成いたしました。

なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。

 

 

(単位:億円)

 

 

 

通期

台数・構成

+984

為替

+457

コスト改善

△594

固定費他

+223

特別損失への振替

+89

前期特別損失への振替

△205

+954

 

 

<経常利益>

持分法による投資損失41億円の計上はありましたが、主に為替差益303億円の計上により、1,235億円(前期比953億円増337.2%増)となりました。

<親会社株主に帰属する当期純利益>

新型コロナウイルス感染症による操業停止等に伴う損失89億円を特別損失に計上したことや税金費用301億円等により、816億円(前期は317億円の損失)となりました。

 

当連結会計年度の財政状態の分析、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

② 資本の財源、資金の流動性

当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、キャッシュ・フローの創出に努めております。また、自動車及び同部品の製造販売事業を行うために必要となる設備投資等に充当することを目的として、銀行借入や社債発行などにより、必要な資金を調達しております。

当社グループの資金の流動性管理にあたっては、資金繰り計画を作成し、適時に更新するなどによりリスク管理を行っているほか、急激な外部環境変化に対応できるよう、一定水準の手元流動性を確保する方針としております。また、当社はグループ全体の資金を一元管理し、グループ内での相互貸借機能を保有することで、流動性リスクに対し機動的に対応できる体制を構築しております。加えて、当社は国内金融機関とのコミットメントライン契約の締結により、十分な流動性を確保する手段を保有しております。

当連結会計年度末において、現金及び現金同等物7,404億円に未使用のコミットメントライン2,000億円を加えた流動性は、月商比3.6ヶ月に相当する9,404億円となっております。

株主還元につきましては、当期の業績及び経営環境並びに財務状況等を勘案して決定することを方針とし、安定的な配当の実現と着実な向上に努めることとしております。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を行うことが求められます。当期の連結財務諸表の作成において設定した様々な見積り及び仮定は、当社経営者がその内容について合理的であると判断したものであり、実際の業績は、これらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。

当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りへの反映については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

a. 貸倒引当金

売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検証し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、取引先等の財務状況が悪化するなど支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

b. 退職給付関係

退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しておりますが、これらの前提条件が変動した場合、あるいは、運用環境の悪化等により年金資産が減少した場合には、将来期間において認識される費用及び債務に影響を与える可能性があります。

c. 固定資産の減損

当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、原則として事業会社毎を1つの資産グループとし、遊休資産、賃貸用資産及び売却予定資産は、個々の物件ごとに資産グループとして、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っておりますが、経営状況の悪化等により帳簿価額を回収できないと判断された場合には、対象資産の帳簿価額に対する減損損失の計上が必要になる可能性があります。

d. 繰延税金資産

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 1. 繰延税金資産の回収可能性」に記載しております。

e. 製品保証引当金

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2. 製品保証引当金」に記載しております。

f. 損害補償損失引当金

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 3. 損害補償損失引当金」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2020年11月に中期経営計画の見直し(2020年3月期~2026年3月期)を公表いたしました。本経営計画に係る経営指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

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