業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く景気動向は、世界全体では緩やかに回復をしていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、景気は急速に悪化しており、極めて厳しい状況にあります。自動車市場においても、新型コロナウイルス感染症等の影響により日本、中国及び米国では販売が前年に比べ減少しました。

こうした情勢のもと、当社グループはメガサプライヤーとの差別化を図れる提案型システムサプライヤーを目指し、中長期方針に基づいて、高効率生産と安定生産の両立、最適生産アロケーション、次世代自動車への対応強化及び高付加価値商品の開発、最適調達によるコスト競争力の向上及び全世界で品質保証の仕組みを強化することによる品質の高位平準化等の施策を推進してまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、197,641百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,634百万円減少しました。各項目別の主な要因は次のとおりです。

なお、2019年10月30日に締結しました「経営統合に関する基本契約」に伴い、株式会社ホンダカーズ埼玉北の株式譲渡を実施する予定(2020年5月15日付で譲渡済み)のため、当該連結子会社の資産及び負債を、売却目的で保有する資産及び売却目的で保有する資産に直接関連する負債に分類しています。

 

<流動資産>

流動資産は117,500百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,954百万円減少しました。これは主に、営業債権及びその他の債権が減少したことによるものです。

 

<非流動資産>

非流動資産は80,140百万円となり、前連結会計年度末に比べ679百万円減少しました。これは主に、その他が減少したことによるものです。

 

<流動負債>

流動負債は53,483百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,698百万円減少しました。これは主に、引当金並びに営業債務が減少したことによるものです。

 

<非流動負債>

非流動負債は15,173百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,384百万円減少しました。これは主に、長期有利子負債が増加したものの、繰延税金負債並びに長期従業員給付が減少したことによるものです。

 

<資本>

資本は128,983百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,449百万円増加しました。これは主に、その他の資本の構成要素並びに非支配持分が減少したものの、利益剰余金が増加したことによるものです。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の売上収益につきましては、主に為替換算の影響による減少並びにステアリング製品及び四輪車用製品の販売が減少し、260,438百万円と前連結会計年度に比べ26,254百万円(9.2%)の減収となりました。営業利益は主に売上変動構成変化等による減少により、22,311百万円と前連結会計年度に比べ7,830百万円(26.0%)の減益となりました。税引前利益は21,658百万円と前連結会計年度に比べ8,305百万円(27.7%)の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は12,582百万円と前連結会計年度に比べ6,469百万円(34.0%)の減益となりました。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う各国政府のロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請等の影響を受け、国内外の各事業所において一定期間工場の稼働が停止したことにより、当連結会計年度の業績に影響を受けました。このような状況は、翌連結会計年度においても一定程度継続することが予想されます。

なお、当社は去る2019年10月30日開催の取締役会において、CASE分野においてグローバルで競争力のあるソリューションの開発・提供を強化するため、日立オートモティブシステムズ株式会社、株式会社ケーヒン、日信工業株式会社及び当社の4社による経営統合を行うことを決議し、発表しました。

自動車・二輪車業界では100年に一度と言われる大変革時代に直面しており、環境負荷の軽減や交通事故削減、快適性のさらなる向上などが求められる中、今後の自動車・二輪車システムの中核である電動化や自動運転、コネクテッドカーなどの分野において、競争が激化しています。経営統合により誕生する統合会社は、4社の強みを組み合わせることで、競争力のある技術・ソリューションを確立するとともに、スケールメリットを生かし世界中のお客様へ提供していきます。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

<二輪・汎用事業>

二輪車用製品の販売は前連結会計年度に比べ、主にアジア及び北米における販売の減少により、全体で減少しました。

二輪・汎用事業の売上収益は、二輪車用製品の販売が減少したことにより、82,414百万円と前連結会計年度に比べ3,953百万円(4.6%)の減収となりました。営業利益は、11,743百万円と前連結会計年度に比べ935百万円(7.4%)の減益となりました。

 

<四輪事業>

四輪車用製品の販売は前連結会計年度に比べ、主に日本、アジア及び北米における販売の減少により、全体で減少しました。

四輪事業の売上収益は、四輪車用製品の販売が減少したことにより、81,438百万円と前連結会計年度に比べ9,313百万円(10.3%)の減収となりました。営業利益は、3,685百万円と前連結会計年度に比べ3,488百万円(48.6%)の減益となりました。

 

<ステアリング事業>

ステアリング製品の販売は前連結会計年度に比べ、主に日本及びアジアにおける販売の減少により、全体で減少しました。

ステアリング事業の売上収益は、ステアリング製品の販売が減少したことにより、82,143百万円と前連結会計年度に比べ11,901百万円(12.7%)の減収となりました。営業利益は、6,689百万円と前連結会計年度に比べ6,077百万円(47.6%)の減益となりました。

 

<ガススプリング事業>

ガススプリング事業の売上収益は、2,412百万円と前連結会計年度に比べ527百万円(17.9%)の減収となりました。営業損失は、486百万円(前連結会計年度は営業損失881百万円)となりました。

 

その他

その他の売上収益は、12,028百万円と前連結会計年度に比べ558百万円(4.4%)の減収となりました。営業利益は、733百万円と前連結会計年度に比べ229百万円(45.5%)の増益となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,027百万円減少し、42,781百万円となりました。なお、当該減少は、売却目的で保有する資産への振替に伴う現金及び現金同等物の減少額1,477百万円を含んでいます。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動の結果得られた資金は、17,910百万円(前年同期比 38.5%減)となりました。主な増加は、税引前利益21,658百万円、営業債権及びその他債権の増減額10,015百万円であり、主な減少は、製品保証引当金の増減額7,594百万円、法人所得税の支払額7,019百万円です。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動の結果使用した資金は、12,092百万円(前年同期比 50.5%増)となりました。主な減少は、有形固定資産の取得による支出11,558百万円です。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動の結果使用した資金は、9,528百万円(前年同期比 5.5%減)となりました。主な減少は、非支配持分への配当金の支払額3,880百万円、配当金の支払額3,261百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前期比(%)

二輪・汎用事業 (百万円)

82,207

△4.9

四輪事業 (百万円)

80,582

△11.8

ステアリング事業 (百万円)

82,632

△11.9

ガススプリング事業 (百万円)

2,464

△13.1

報告セグメント計 (百万円)

247,886

△9.7

その他 (百万円)

12,311

△0.1

合計 (百万円)

260,198

△9.3

(注) 1. 上記の金額は、販売価格によっており、セグメント内及びセグメント間の内部取引については消去しています。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

b. 受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

二輪・汎用事業

78,387

△9.9

3,486

△53.6

四輪事業

78,308

△13.4

4,615

△40.4

ステアリング事業

78,617

△16.8

4,037

△46.6

ガススプリング事業

2,223

△27.5

236

△44.4

報告セグメント計

237,536

△13.6

12,375

△46.8

その他

11,712

△9.0

1,195

△20.9

合計

249,248

△13.4

13,571

△45.2

(注) 1. セグメント内及びセグメント間の内部取引については消去しています。

2. 受注残高の減少は、主に新型コロナウイルス感染症の影響によるものです。

3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前期比(%)

二輪・汎用事業 (百万円)

82,414

△4.6

四輪事業 (百万円)

81,438

△10.3

ステアリング事業 (百万円)

82,143

△12.7

ガススプリング事業 (百万円)

2,412

△17.9

報告セグメント計 (百万円)

248,409

△9.4

その他 (百万円)

12,028

△4.4

合計 (百万円)

260,438

△9.2

(注) 1. セグメント内及びセグメント間の内部取引については消去しています。

2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

本田技研工業株式会社

31,936

11.1

24,942

9.6

3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末までに入手した情報に基づく判断を示したものです。また、当該事項は、不確実性に由来する影響をすべて解消することは現実的ではないため、事実と異なる場合があります。

重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。

 連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を設定しています。これらの見積りや仮定に基づく判断は実際の結果とは異なる場合があります。

 見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直され、これらの見積りの改訂による影響は、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえ、改訂がなされた連結会計年度及び将来の連結会計年度において認識されます。

 なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.重要な会計方針 3.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。

 

② 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社は、経営戦略策定において、経営資源を柔軟かつ効率的に活用することに努めており、長期的、継続的な会社の発展、企業価値向上を目指しています。また、経営戦略に基づき策定した売上、利益などの業績予想につきましては、目標とすべき重要な経営指標と認識しています。

 当連結会計年度の連結業績における、当初の計画、実績及び計画比について、以下のとおりとなります。

 

指標

2020年3月期(計画)

2020年3月期(実績)

2020年3月期(計画比)

売上収益

276,000百万円

260,438百万円

△15,561百万円(△5.6)

営業利益

27,000百万円

22,311百万円

△4,688百万円(△17.4)

税引前利益

27,300百万円

21,658百万円

△5,641百万円(△20.7)

当期利益

21,200百万円

15,728百万円

△5,471百万円(△25.8)

親会社の所有者に帰属する当期利益

17,000百万円

12,582百万円

△4,417百万円(△26.0)

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務方針としています。また、今後の商品開発や海外施策展開、生産体質の改善を目的とした施策展開のための内部留保に努めています。当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び借入金の状況は、次のとおりです。

 

a. キャッシュ・フローの状況

 当該内容については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 

b. 資金需要及び借入金の状況

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものです。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金等の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入を基本としています。

 当連結会計年度末における当社グループの借入金は、短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金含む)1,291百万円、長期借入金2,850百万円と前連結会計年度末に比べ、1,132百万円減少しました。

 

 

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