業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(財政状態の状況)

総資産については、前年度末比2.6%増の50,476百万円(前連結会計年度末は、49,201百万円)となり1,275百万円増加いたしました。この主な要因は、前年度末に比べ、棚卸資産の増加1,565百万円、投資有価証券の増加498百万円及び有形固定資産の増加197百万円に、売掛金の減少770百万円及び繰延税金資産の減少194百万円を加味したことによるものであります。

負債については、前年度末比3.8%減の21,996百万円(前連結会計年度末は、22,859百万円)となり862百万円減少いたしました。この主な要因は、前年度末に比べ、繰延税金負債の増加171百万円に、長期借入金の減少936百万円及び短期借入金の減少116百万円を加味したことによるものであります。

純資産については、前年度末比8.1%増の28,479百万円(前連結会計年度末は、26,341百万円)となり2,138百万円増加いたしました。この主な要因は、為替換算調整勘定の増加961百万円及び親会社株主に帰属する当期純利益計上等に伴う利益剰余金の増加556百万円に、その他有価証券評価差額金の増加345百万円を加味したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末52.7%から55.4%となりました。

 

(経営成績の状況)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞後、個人消費や輸出等に持ち直しの動きが見られるものの、半導体の供給不足や原材料価格の高騰による下振れリスク、変異株の感染拡大など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループの関連するトラック製造業界は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から持ち直しましたが、半導体の供給不足等による生産遅延の影響で普通トラック(積載量4トン以上)の国内登録台数は、77,293台と前年度比10.0%の減少となりました。一方、アセアン向けを中心とした輸出は、世界的な景気の回復を受けて拡大基調で推移いたしました。

 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度における売上高は51,194百万円(前年度比16.5%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は598百万円(前年度比7.1%減)、経常利益は1,232百万円(前年度比5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は783百万円(前年度は親会社株主に帰属する当期純損失191百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 日本におきましては、売上高は30,080百万円(前年度比9.9%増)、営業利益は301百万円(前年度比14.9%増)となりました。

 アジアにおきましては、売上高は21,582百万円(前年度比23.6%増)、営業利益は933百万円(前年度比14.7%増)となりました。

 北米におきましては、売上高は3,322百万円(前年度比53.6%増)、営業損失は608百万円(前年度は営業損失279百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,213百万円となりました。なお、当連結会計年度における連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、4,292百万円(前年度は5,565百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益1,252百万円に減価償却費3,212百万円、売上債権の減少1,240百万円及び棚卸資産の増加1,288百万円を加味したことによるものであります。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,343百万円(前年度は2,437百万円の使用)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出2,436百万円によるものであります。

(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、1,843百万円(前年度は1,868百万円の使用)となりました。この主な要因は、短期借入金及び長期借入金の有利子負債が合計で1,392百万円減少したことと配当金の支払額225百万円によるものであります。

(キャッシュ・フローの指標)

 

第82期

2018年3月

第83期

2019年3月

第84期

2020年3月

第85期

2021年3月

第86期

2022年3月

自己資本比率(%)

53.8

55.2

51.2

52.7

55.4

時価ベースの自己資本比率(%)

26.4

21.7

27.1

26.0

20.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.1

1.4

2.7

1.5

1.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

8.5

23.1

17.9

31.2

31.4

(注)上記各指標の算式は次のとおりであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー / 利払い

 

③生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年度比(%)

日本

ブレーキ(百万円)

11,643

△6.4

エンジンコンポーネント他(百万円)

17,215

24.6

アジア

ブレーキ(百万円)

5,969

9.1

エンジンコンポーネント他(百万円)

13,351

28.9

北米

ブレーキ(百万円)

エンジンコンポーネント他(百万円)

3,225

51.0

合計(百万円)

51,405

16.2

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。

ロ 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

(百万円)

前年度比(%)

受注残高

(百万円)

前年度比(%)

日本

ブレーキ

12,626

△11.4

931

△17.6

エンジンコンポーネント他

15,435

△9.9

1,305

△7.5

アジア

ブレーキ

6,547

22.3

879

59.2

エンジンコンポーネント他

14,107

138.6

3,324

31.2

北米

ブレーキ

エンジンコンポーネント他

3,290

53.0

合計

52,007

16.1

6,440

14.4

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。

 

ハ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年度比(%)

日本

ブレーキ(百万円)

12,801

△7.3

エンジンコンポーネント他(百万円)

15,685

26.9

アジア

ブレーキ(百万円)

6,244

14.9

エンジンコンポーネント他(百万円)

13,149

29.0

北米

ブレーキ(百万円)

エンジンコンポーネント他(百万円)

3,312

53.7

合計(百万円)

51,194

16.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.自動車部品等製造事業はブレーキ、エンジンコンポーネント他で構成されており、これらの業務の意思決定は地域別に一括して決定しております。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

4.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

いすゞ自動車株式会社

8,613

19.6

9,588

18.7

三菱ふそうトラック・バス

株式会社

3,867

8.8

3,912

7.6

日野自動車株式会社

2,273

5.2

2,183

4.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、新型コロナウイルス感染拡大前と同水準となりましたが、地域別では、その回復に差異が見られます。日本セグメントでは、普通トラック・建産機共に堅調な推移も下期以降、車両メーカーの部品不足により工場稼働停止が発生しております。アジアセグメントでは、タイでの新規受注の拡大により増収も中国でのインフラ投資や不動産投資の停滞等により需要が大幅に減少しております。北米セグメントでは、需要は堅調ながらも利益貢献できず苦心しております。

ブレーキ部門の売上高は、前連結会計年度に比べて199百万円減(前年度比1.0%減)の19,046百万円となり、エンジンコンポーネント他部門の売上高は、前連結会計年度に比べて7,436百万円増(前年度比30.1%増)の32,147百万円となりました。

主な販売先別の状況につきましては、いすゞ自動車株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて974百万円増(前年度比11.3%増)の9,588百万円、三菱ふそうトラック・バス株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて44百万円増(前年度比1.2%増)の3,912百万円、日野自動車株式会社に対する売上が、前連結会計年度に比べて90百万円減(前年度比4.0%減)の2,183百万円となりました。

売上原価につきましては、前連結会計年度に比べて6,864百万円増(前年度比17.6%増)の45,820百万円となり、売上高に占める売上原価の割合は、前連結会計年度に比べて0.9%増の89.5%となりました。その要因として、世界的な材料市況高騰やコンテナ不足に起因する物流コスト高騰による材料費圧迫となります。さらには、原油価格高騰に起因するエネルギーコストの上昇によるものであります。

販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度に比べて418百万円増(前年度比9.6%増)の4,775百万円となりました。増加の主な要因は、前期緊急収益対策として実施した各種費用の反動による増加によるものであります。

営業外損益につきましては、633百万円の利益(前年度比4.2%減)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響で発生した休業による助成金収入の減少が主な要因であります。

特別損益につきましては、20百万円の利益(前年度は1,525百万円の損失)となりました。これは、固定資産売却益の増加が主な要因であります。

税金費用につきましては、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額などを加えた金額は、前連結会計年度では36百万円の利益となっておりましたが、当連結会計年度におきましては430百万円の費用となりました。これは、法人税、住民税及び事業税として278百万円及びタイでの修正申告として8百万円を計上する一方で、繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額として160百万円の費用を計上したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の購入費用及び製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は7,370百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,213百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、現時点で新型コロナウイルス感染症の収束時期などを想定することは困難であるものの、期末時点で入手可能な情報を基に見積りを行っております。

 新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

 繰延税金資産の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループ
から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減
額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たって
は慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更
が生じ割引前将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、この4月より適用の新市場区分について、プライム市場を選択しておりますが、上場維持基準については適合できていない状況にあります。このような状況を鑑み、新市場への上場維持基準適合を重要テーマと捉え、持続的な成長ビジョンを描くため、「Challenge to the future~未来への挑戦~」を活動スローガンに掲げた第15次中期経営計画を策定いたしました。我々の未来は自分たちで創造(つくり)だすものと考え、当社グループが企業としての価値を今以上に創造(つくり)だすため、「新たな時代の変化に合った創造する企業(自分)に生まれ変わる」ことに重点を置いて活動してまいります。

その結果として、中期経営計画最終年度となる2025年3月期には、「連結売上高600億円」、「連結営業利益率5%」、「ROE8%」を目標財務指標としております。

 

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