当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症によるさまざまな制約や規制が緩和される中、米国、欧州では、景気は持ち直しており、消費や設備投資は緩やかに増加しています。アジアでも持ち直しの動きがみられますが、中国では景気の回復が鈍化しています。日本国内においては、消費や企業収益が持ち直してきており、先行きについては、経済社会活動が正常化に向かうことが期待されます。
しかしながら、期末にはロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が行われ、石油や天然ガスなどの資源高騰や西側諸国による経済制裁の影響もあり、今後の世界経済は、先行き不透明な状況にあります。
自動車業界におきましては、2021年のグローバル四輪車販売が暦年で81,306千台(前年比4.6%増)となりました。米国は半導体供給不足の影響が残るものの、前年の同感染症拡大の影響から回復し、暦年で15,079千台(前年比3.4%増)と3年ぶりに前年を上回りました。欧州は前年の同感染症拡大の影響から回復し、暦年で11,775千台(前年比1.8%増)と2年ぶりに前年を上回りました。中国は前年の同感染症拡大の影響から回復し、暦年で26,275千台(前年比3.8%増)と4年ぶりに前年を上回りました。日本においては、半導体供給不足等の影響により、2021年度は4,216千台(前年度比9.5%減)と3年連続で前年を下回りました。登録車は2,661千台(前年度比8.2%減)と5年連続の減少、軽自動車は1,555千台(前年度比11.5%減)と3年連続の減少となりました。
また、グローバル二輪車販売は、最大市場であるインドが前年の同感染症拡大の影響による販売減少からの反動により、暦年で14,470千台(前年比3.7%増)と3年ぶりに前年を上回りました。インドネシアは前年の同感染症拡大の影響から回復し、暦年で5,139千台(前年比37.3%増)と3年ぶりに前年を上回りました。
日本は、軽二輪車の減少はあったものの、原付第一種、第二種、小型二輪車の増加により、暦年で379千台(前年比16.2%増)と8年ぶりに前年を上回りました。
このような状況の下、当社グループにおきましては、第12次(2020年度-2024年度)中期経営計画の重点施策である「事業構造改革の推進」、「企業体質の強化」、「次世代に向けた取り組み」を着実に推進し、当連結会計年度においては、事業の選択と集中の一環として四輪車用ランプ事業からの撤退を決定するとともに、生産体制最適化を目的として新潟工場を閉鎖いたしました。さらに、組織体制最適化を目的として横浜研究開発センターの移転を決定し、同センターの不動産売却を実施いたしました。また、引き続き、設備投資の抑制、グローバルでの経費削減に取り組むとともに、資産効率化の観点から政策保有株式売却を実施するなど企業体質の強化に努めております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は、同感染症の影響緩和、半導体供給不足による自動車メーカーの減産幅縮小などにより、連結売上高は286,482百万円(前期比6.4%増)と前年を上回りましたが、原材料価格高騰による材料費上昇や物流網混乱による物流費上昇などにより、連結営業利益は7,187百万円(前期比15.9%減)、連結経常利益は、7,529百万円(前期比13.9%減)と前年を下回りました。また、同感染防止やアジア地域のロックダウンにともない発生した費用等を災害による損失として1,586百万円、事業構造改善引当金繰入額1,420百万円を特別損失として計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は83百万円(前期比88.5%減)となりました。
事業の種類別セグメント業績は次のとおりであります。
輸送用機器関連事業は、前述のとおり、売上高は268,177百万円(前期比7.3%増)と、前期比で増加しましたが、コスト増加要因が重なり、セグメント利益は5,405百万円(前期比20.7%減)となりました。
情報サービス事業は、公共事業セグメントにおいて自治体向けシステム販売などが堅調に推移したものの、社会・産業事業セグメントでは半導体不足によるハードウェア調達遅延の影響によるシステム導入案件延期などにより、売上高は15,501百万円(前期比6.8%減)と前年を下回りましたが、経費削減効果もあり、セグメント利益は1,426百万円(前期比0.4%減)と前年水準を維持いたしました。
その他事業は、カー用品、二輪用品の販売が好調に推移したことにより、売上高は6,678百万円(前期比5.6%増)となり、セグメント利益は346百万円(前期比19.5%増)となりました。
当社は、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の基本的な方針とし、連結営業利益計画の達成と、営業キャッシュ・フローの確保を優先に活動しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,121百万円減少し、当連結会計年度末には73,267百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、441百万円のマイナス(前期は7,151百万円のプラス)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、11,996百万円(前期比22.2%減)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益4,898百万円と、売上債権の減少4,855百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、6,842百万円(前期は6,655百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、13,025百万円(前期は12,816百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格に換算しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、資産、負債及び収益、費用等の額の算定に際して、過去の実績や状況を分析し、様々な要因を考慮して、その時点で最も合理的であると考えられる基準に基づいて見積りや判断を行っておりますが、実際の結果は、見積りに内在する不確実性があるため、これら見積り時の計上金額と大幅に異なる結果となる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症及びウクライナをめぐる現下の国際情勢の影響に関して、当社及び連結子会社は現時点では今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難なことから、当連結会計年度末時点で入手可能な外部の情報を踏まえて、2023年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定の下、会計上の見積りを行っております。
連結財務諸表に関して、当社グループが認識している特に重要な会計方針は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産は、主として将来の課税所得の見込に基づき、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収の実現性が低いと判断した場合には、適正と考えられる金額へ減額する可能性があります。
(製品保証引当金)
製品保証引当金は、販売された製品のうち、返品による交換費用や再生産出来なくなった場合に発生する廃棄費用、さらに取引先において当社製品取り付け後に不具合が生じた場合に発生する取り外し工賃等に備えるため、過去3年間の製品保証費及び売上高から計算される平均返品率に基づき計上しております。また、発生額を個別に見積ることができる費用については、販売台数や販売単価、回収可能率に基づき見積額を試算し、計上しております。
当社及び連結子会社は、製品保証引当金が適切な金額かどうかを常に確認しており、発生が見込まれる製品保証関連費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えております。
実際に発生する製品保証関連費用は、それらの見積りと異なることがあり、製品保証引当金の計上が大きく修正される可能性があります。
(事業構造改善引当金)
事業構造改善引当金は、事業構造の改善に伴い発生することが見込まれる損失に備えるため、当連結会計年度末で合理的に見積ることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を計上しております。当該見積りには、第12次中期経営計画における重点施策である「事業構造改革の推進」に基づき実施する、グローバル生産供給体制最適化に伴う拠点統廃合により発生する設備移設等の業務移管関連費用及び拠点移転等の不動産関連費用、人員異動等の人件費の見込みなどの仮定を用いております。
当社及び連結子会社は、発生が見込まれる事業構造改善費用について、必要かつ十分な金額を計上していると考えておりますが、当該見積り及び当該仮定について、事業戦略の見直しや外部環境の変化等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する事業構造改善引当金の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産グループに関連する営業損益、営業キャッシュ・フローの水準を基に減損の兆候の検討をおこない、減損の兆候が認められる場合、減損損失を認識するかどうかの判定をおこなっております。判定の結果、当初想定した投資回収が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
(2) 財政状態の分析
(資産・負債・純資産)
当連結会計年度における資産の合計は、342,750百万円(前連結会計年度は343,136百万円)となり、386百万円減少しました。流動資産は206,711百万円となり3,967百万円増加し、固定資産は136,038百万円となり4,353百万円減少しました。
流動資産の増加は、現金及び預金が4,191百万円減少しましたが、商品及び製品が1,161百万円、仕掛品が332百万円、原材料及び貯蔵品が6,354百万円、それぞれ増加したことが主な要因です。
固定資産の減少は、機械装置及び運搬具が3,389百万円、投資有価証券が2,238百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
当連結会計年度における負債の合計は254,549百万円(前連結会計年度は266,919百万円)となり、12,370百万円減少しました。流動負債は115,447百万円となり21,667百万円減少し、固定負債は139,101百万円となり9,297百万円増加しました。
流動負債の減少は、支払手形及び買掛金が2,426百万円、短期借入金が18,029百万円、それぞれ減少したことが主な要因であり、固定負債の増加は、長期借入金が9,675百万円増加したことが主な要因です。
当連結会計年度における純資産の合計は、88,201百万円(前連結会計年度は76,217百万円)となり、11,983百万円増加しました。これは、期末の為替変動により、為替換算調整勘定が11,243百万円増加したことが主な要因です。
(3) 経営成績の分析
(売上高・営業利益)
当連結会計年度における連結業績は、新型コロナウイルス感染症の影響緩和、半導体供給不足による自動車メーカーの減産幅縮小などにより、売上高は286,482百万円(前連結会計年度は269,202百万円)となり、17,279百万円増加しましたが、原材料価格高騰による材料費上昇や物流網混乱による物流費上昇などにより、営業利益は7,187百万円(前連結会計年度は8,548百万円)となり、1,361百万円減少しました。
(経常利益)
当連結会計年度は、営業外収益が4,112百万円となり、292百万円減少しました。主なものは為替差益1,621百万円、受取利息562百万円になります。営業外費用は3,770百万円となり、434百万円減少しました。主なものは支払利息1,937百万円、外国源泉税661百万円になります。経常利益は7,529百万円で、前期比1,219百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によるアジア地域のロックダウンに伴い発生した費用等1,586百万円、事業構造改善引当金繰入額1,420百万円を特別損失として計上し、税金等調整前当期純利益は4,898百万円(前連結会計年度は5,568百万円)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は83百万円(前連結会計年度は732百万円)となり、前期比648百万円の減少となりました。
(4) 資金の財源及び資金の流動性についての分析
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に製品を生産するための原材料や部品調達の支出と、製造費用や販売費及び一般管理費に計上する費用に資金を消費しております。また、設備投資資金は、生産設備を取得し生産体制の構築や情報システムの整備等に支出しております。これらの必要資金は、利益と減価償却費の内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、2021年9月30日に取引金融機関との間のコミットメントライン契約150億円の契約の期日更新をおこなっており、直近の資金繰りに支障は生じておりません。当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度の77,389百万円から4,121百万円減少し、73,267百万円となりました。また、流動比率は179.1%となり前連結会計年度に比べ31.2ポイント増加しました。
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