業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種の普及や政策効果等により景気は一旦持ち直しの動きがみ

られたものの、変異株による感染再拡大や供給網の混乱による経済活動の停滞で減速を余儀なくされております。

米中対立の長期化やロシアのウクライナ侵攻とこれに伴う資源・エネルギー価格の高騰等、予断を許さない状況が

続いております。

 当社グループが属する自動車業界におきましては、半導体供給不足の影響や感染拡大に伴う部品供給制約等によ

り生産が減少、原材料価格の上昇や物流網の混乱が続き先行き不透明な状況にあります。

 このような状況のもと当社グループは、社員・関係者の感染防止策を徹底するとともに、前期の新型コロナウイ

ルス影響からの業績回復に向けた諸施策に取り組んでまいりました。

 

 当連結会計年度(当社は2021年4月1日~2022年3月31日、海外子会社は2021年1月1日~2021年12月31日)の業績につきましては、半導体供給不足をはじめとする部品供給制約、新型コロナウイルスの感染影響や地震等によ

る得意先の生産調整の影響を受けたものの、コロナ禍による影響が大きかった前期を上回り、売上高は19,679百万円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。

 損益面につきましては、前期から取り組んでいる収益改善諸施策の効果もあり、営業利益257百万円(前連結会計年度は営業損失515百万円)となりました。経常利益は220百万円(前連結会計年度は経常損失525百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として投資有価証券売却益を計上したこともあり307百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,028百万円)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高は276百

万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ183百万円増加しております。詳細につ

いては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご覧ください。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 自動車部品

 部品供給制約等による自動車減産の影響を受けたものの前連結会計年度を上回り、売上高17,931百万円(前連結会計年度比5.8%増)、セグメント利益137百万円(前連結会計年度はセグメント損失505百万円)となりました。

 住宅

 住宅資材を中心に堅調に推移、売上高1,732百万円(前連結会計年度比28.1%増)、セグメント利益117百万円(前連結会計年度はセグメント損失12百万円)となりました。

 その他

 売上高は15百万円(前連結会計年度比3.1%増)、セグメント利益は2百万円(前連結会計年度比15.0%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,858百万円(前連結会計年度比17.1%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、661百万円の収入(前連結会計年度比48.1%増)となりました。これは

主に売上債権の増加が273百万円、棚卸資産の増加が182百万円あった一方、現金の支出を伴わない減価償却費787百万円、税金等調整前当期純利益387百万円をそれぞれ計上したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、148百万円の支出(前連結会計年度は1,253百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が613百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出が713百万

円あったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、82百万円の支出(前連結会計年度は555百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が519百万円、セール・アンド・リースバックによる収入が367百万円あった一

方、長期借入金の返済による支出が591百万円、配当金の支払による支出が173百万円、リース債務の返済による支

出が134百万円あったこと等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前期比(%)

自動車部品(千円)

15,387,303

△0.5

住宅(千円)

735,605

16.5

その他(千円)

15,900

△0.2

合計(千円)

16,138,809

0.2

(注) 金額は、販売価格によっており、購入製品は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

自動車部品

17,912,358

4.8

1,408,626

△1.3

住宅

1,737,626

27.0

70,190

8.1

その他

16,474

8.2

805

197.4

合計

19,666,460

6.5

1,479,622

△0.9

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前期比(%)

自動車部品(千円)

17,931,322

5.8

住宅(千円)

1,732,362

28.1

その他(千円)

15,939

3.1

合計(千円)

19,679,624

7.5

(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

トヨタ紡織株式会社

3,073,474

16.8

3,388,246

17.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度末における総資産は23,044百万円(前連結会計年度末比1,053百万円増)となりました。

 このうち流動資産は12,774百万円(前連結会計年度末比2,244百万円増)となりました。これは主に、前連結会

計年度末に比べ、受取手形及び売掛金が901百万円、商品及び製品が648百万円、現金及び預金が563百万円それぞ

れ増加したこと等によるものです。

 固定資産は10,270百万円(前連結会計年度末比1,190百万円減)となりました。これは主に、前連結会計年度末

に比べ、有形リース資産が295百万円増加した一方で、建設仮勘定が646百万円、投資有価証券が470百万円、工具、器具及び備品が458百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 

 当連結会計年度末における負債合計は12,268百万円(前連結会計年度末比476百万円増)となりました。

 このうち流動負債は8,918百万円(前連結会計年度末比1,343百万円増)となりました。これは主に、前連結会計

年度末に比べ、1年内返済予定の長期借入金が968百万円、リース債務が75百万円それぞれ増加したこと等による

ものです。

 固定負債は3,349百万円(前連結会計年度末比866百万円減)となりました。これは主に、前連結会計年度末に比

べ、リース債務が171百万円増加した一方で、長期借入金が964百万円、長期未払金が74百万円それぞれ減少したこ

と等によるものです。

 

 当連結会計年度末における純資産は10,776百万円(前連結会計年度末比577百万円増)となりました。これ

は主に、前連結会計年度末に比べ、その他有価証券評価差額金が61百万円減少した一方で、為替換算調整勘定が574百万円、利益剰余金が62百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて0.4ポイント増加し、46.8%となりました。また、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べて165円10銭増加し、3,079円35銭となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの資金需要は、営業活動については、部品メーカーとして生産に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、投資活動については、受注品生産のための生産設備及び型治具の取得の他、生産性向上を目的とした設備投資及び海外での事業基盤強化や財政基盤強化に向けた投資が主な内容であります。これらの運転資金・設備投資については、主として営業活動によるキャッシュ・フローで得た資金を投入し、不足分については主に借入金で調達する他、リース等も活用して調達手段の多様化を図っております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長を目指し、2019年3月期をベースに5~6年後を展望した中期経営計画「RD365」を策定、3年後(2022年3月期)の当期純利益6億円、ROE5%以上、5~6年後(2024~2025年3月期)ROE8%以上を目指し、収益力強化、市場開拓、新技術開発とこれを支える人材開発、気候変動への取組みを重点課題として取組んでまいりました。

 しかしこの間、新型コロナウイルスが発生し世界各地で感染が拡大、さらに半導体不足をはじめとする部品供給制約の影響により、取引先から生産内示を受けた後、納入直前で減産となるなど受注変動への対応が課題となっております。

 2022年3月期は、収益改善に注力し当期純利益307百万円、ROE 2.9%と黒字回復に至ったものの3年間の目標値に届いておりませんが、現在も重点課題の方向性は変えず取組みを続けております。

 新型コロナウイルス感染や部品供給制約による急激な受注変動、資源・エネルギー価格の高騰、EV化に代表される“CASE”の進展、気候変動への取組み等、事業環境の変化を踏まえ、取組みを一段と強化してまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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