課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項には将来に関する事項が含まれていますが、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものです。

 

(1) 経営基本方針

当グループは「人材重視」「喜ばれる企業」を経営理念としています。

「人材重視」とは、「人こそ企業成長の決め手」と考え、働く者全てが「夢」と「情熱」をもって活き活き働くことができる企業でありたいという私たちの想いを表しています。この想いと共に、安全性のみならず、快適さや感動を与えられる製品をキャビン全体で提供し、社会と共に持続的な成長を続けていくことで、全てのステークホルダーから「喜ばれる企業」であり続けるという強い意思がこの経営理念には込められています。

これを基とした「わたしたちは 常に モノづくりに夢を求めて 無限の可能性に 挑戦し 快適で良質な商品を 競争力のある価格で 世界のお客様に 提供する」という社是を実践し、企業価値の向上に努めています。

 

(2) 中長期経営計画

当グループはこれまで蓄積してきたシート・内装品に関する多岐にわたる技術を礎に、変化する事業環境の中で、キャビン全体をコーディネートし、お客さまに新たな価値を提供できる企業としてさらなる事業成長を遂げるため、2030年ビジョンに「Innovative quality company - 新たな価値を創造し続ける -」を掲げています。

前身である2020年ビジョンに込めた想いでもある「改革」という強い意志を持ち、ぶれることなく、これまで築いた財務基盤をはじめ、全ての経営資源を惜しみなく投入し、ビジョンの実現に向けて邁進していきます。
 最初の一歩となる第14次中期経営計画(2020年4月~2023年3月)では「ESG※1経営による企業進化」を経営方針に、「攻め」の施策である「事業成長に向けた進化」と「守り」の施策である「進化を支える事業体質強化」の2軸を企業重点施策とし、7つの企業施策への取り組みを加速させています。

年目となる2022年3月期においては、機関設計変更などガバナンス体制の大幅な進化に加え、サステナビリティ推進体制や拡販に向けた生産体制の強化に努めました。品質体質の向上などに一部課題が残りましたが、2023年3月期において確実な潰しこみを行い、第15次中期での飛躍につなげていきます。

 


 

(3) 優先的に対処すべき課題

 ①サプライチェーンマネジメントの強化

2022年3月期の自動車市場は、長引く原材料供給不足による影響が、各自動車メーカーの生産活動へ大きく影を落とす1年となりました。また、さらなる原材料価格の高騰や一部地域での人件費上昇、中国でのロックダウン影響など引き続き厳しい状況が続いています。

このような中でも、当グループでは世界14か国にまたがる生産体制を活かした拠点間の連携や相互補完、各取引先との連携強化により、安定した生産活動を維持してきました。今後もサプライチェーンマネジメントの強化を図り、さまざまなリスクに対応可能な柔軟性ある供給体制の構築に努めていきます。

 

 ②拡販に向けた体制強化

事業活動に対する外部環境変化による収益減少リスクを、より一層低減するためには、新たな顧客の獲得とその商権拡大が急務です。これに対し、ポーランドにシート製造子会社を新設し、欧州事業の拡大に努めるなど、さまざまな取り組みを加速させています。2023年3月期からは拡販機能と欧州事業の管理・統制を図るため新たに「新事業統括本部」を設置することで、営業活動を強力に展開し、さらなる事業成長につなげていきます。

 

 ③ 資本効率の向上

当グループは、盤石な財務基盤をもつ一方で、この資本をいかに効率的に活用していくかが重要な課題であると認識しています。これまでも成長投資やM&Aに資金を惜しみなく投下してきました。また、2021年3月期から2期連続で自己株式を取得するなど、株主還元の強化にも努めており、今後も資本効率の向上と機動的な資本政策により、中長期的な企業価値向上へつなげていきます。

 

 ④ 次世代を見据えた企業変革

自動車業界は大変革期の真っ只中にあり、ユーザーニーズの変化、熾烈な開発競争、新たな競合の台頭や業界再編等、事業環境の変化がさらに進んでいます。

また、EV化・コネクテッド・自動運転など、次世代モビリティに向けた技術革新は、自動車の価値観を大きく変え、プライベート空間の提供やさまざまなシーンでの車そのものと車室の活用、さらには生活を豊かにするアイテムとしてその価値を変化させています。自動車メーカーや我々内装システムサプライヤーにとって、ユーザーが車内で過ごす時間に何を提供できるのかが重要となっています。

これまで当グループは、事業をシートとドアに集中し、安全、安心で快適な製品を、効率的に開発・生産をすることで収益拡大を追求してきました。しかしながら、自動車がもつ役割がシフトする時代においても、さらなる事業成長を遂げていくためには、キャビン全体をコーディネートし、お客さまやユーザーに対し、新たな価値を提案できる企業への変革が不可欠です。独自技術の進化に加え、ニーズに応える新たな価値創造を、異業種とのコラボレーションやスタートアップ企業との共同開発で実現していきます。

 

 ⑤ サステナビリティ取り組みの強化

当グループが持続的な成長を遂げるためには、企業としての社会的責任を積極的に果たし、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいくことが不可欠であるという考えの下、2018年3月期から、いち早く「ESG」を経営方針に掲げ、さまざまな取り組みを加速させています。

2022年3月期には、監査等委員会設置会社への機関設計変更や任意の指名・報酬委員会の設置など、事業運営の透明性を向上させるべく、ガバナンス改革に取り組みました。また、社内外に点在する課題を改めて整理し、ステークホルダーにとっての重要性、ならびに当グループにとっての重要性の観点で優先順位付けを行い、社会・環境・企業基盤の3つの側面から社会と共に持続的な成長を遂げるためのマテリアリティを特定し、2030年を見据えた具体的な目標を定めました。あわせて、サステナビリティ委員会やサステナビリティ推進専任部門の設置といった推進体制強化に取り組んでおり、目標達成に向け、グループ全体で諸施策への取り組みを今後さらに加速させていきます。

特に環境面では、CO2排出量※2ゼロを2050年目標として掲げ、開発・生産効率の向上や省エネルギー・再エネルギー設備の導入などに努めています。また、軽量化技術による自動車のCO2排出量削減に加え、リサイクル可能素材活用や原材料のバイオマス化※3など、サーキュラーエコノミー※4の実現に向けた研究開発にも取り組んでおり、イノベーションをもって新たな価値を生み出すことで、次世代での市場競争力向上につなげていきます。

これらの取り組みが評価され、世界的な社会的責任投資評価会社である米 S&P Global社の「Sustainability Awards 2022」において、「Sustainability Yearbook Members」※5および「Industry Mover」※6に選定されました。また、年金積立金管理運用独立行政法人のESG投資におけるパッシブ運用ベンチマークとして採用される「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されるなど、高い評価をいただいています。

今後も外部からの評価や指標を通じ、社会的要請を正しく把握することで、サステナビリティ取り組みの有効性を高め、当グループの企業価値向上と持続的な成長を実現していきます。

 

※1 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)

※2 当グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1+2)

※3 再生可能な生物由来の資源を使用すること
  ※4 バイオマス化などによりリサイクルを前提とした製品を製造・販売することで、社会全体での
    廃棄物発生量を最小限化する概念

※5 調査対象のうち、S&P Global 社が評価するESGスコアが各業界上位15%以内にあたる企業に与えられる賞
  ※6 「Sustainability Yearbook Members」のうち、業界で最もスコアが向上した企業に与えられる賞

 

 

 <マテリアリティ>


 

 <マテリアリティKPIと2030年目標>


 

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