業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する拡大防止策とワクチン接種の進展による経済活動正常化の動きや、米国をはじめとした海外経済の改善などもあって年末にかけて景気は持ち直しの動きがみられました。しかしながら、足元では内外でオミクロン株など変異株による感染者が急速に増加しており、引き続き今後の感染症の動向や、半導体などの供給面の問題や原材料価格上昇などの影響による下振れリスクの高まり、金融資本市場の変動等などに注視を要する状況にあります。
当社グループ製品の主要市場である路線バス業界においては、設備投資に対して依然として慎重姿勢であることから低調に推移いたしました。
このような状況のもとで当社グループは関西圏における運賃箱の代替需要等の取り込み、令和新500円硬貨対応における運賃箱の改造需要等の取り込み、キャッシュレス決済事業の需要等の取り込みに努めてまいりました。しかし市況悪化の影響を避けることは難しく売上・利益ともに低調に推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,583,683千円(前期比25.0%減)、営業利益は168,302千円(前期比10.6%減)、経常利益は188,373千円(前期比12.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は99,857千円(前期比24.8%減)となりました。
(運賃収受機器事業)
運賃収受機器事業においては、路線バス及びワンマン鉄道車両での運賃収受機器等の設計、開発、製造、販売及びメンテナンスサービスを展開しております。
当事業における売上高は3,143,580千円(前期比29.6%減)、営業利益は140,547千円(前期比27.3%減)となりました。売上高については、市況悪化の影響から減少しました。利益面については、売上高の減少に伴い、減益となりました。
(システム開発事業)
システム開発事業においては、主に交通系インフラ案件、ETC関連開発案件及びその他社会インフラ系案件のシステム開発、エンジニアリング、ソフトウエア設計並びにシステム及び機器の輸出入販売を展開しております。
当連結会計年度においては、2020年7月に子会社化した株式会社アズマの売上ならびに利益を通期で計上したことにより、当事業における売上高は650,463千円(前期比43.4%増)、営業利益は25,738千円(前期は14,476千円の営業損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ256,475千円増加し(前期は1,238,159千円の減少)、2,124,517千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は131,988千円(前期は32,969千円の収入)となりました。これは主に、たな卸資産の増加77,364千円、仕入債務の減少267,697千円により資金が減少いたしましたが、税金等調整前当期純利益の計上147,446千円、その他の負債の増加27,214千円及び売上債権の減少241,474千円により資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は245,391千円(前期は29,955千円の支出)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入100,000千円により資金が増加いたしましたが、有形固定資産の取得による支出316,885千円により資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は369,879千円(前期は1,241,173千円の支出)となりました。これは主に、短期借入れによる収入250,000千円及び長期借入れによる収入200,000千円により資金が増加したものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
運賃収受機器事業 |
2,898,027 |
76.9 |
システム開発事業 |
427,425 |
145.3 |
合計 |
3,325,452 |
81.8 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
運賃収受機器事業 |
3,325,663 |
111.8 |
1,337,451 |
115.8 |
システム開発事業 |
386,145 |
99.4 |
47,665 |
46.8 |
合計 |
3,711,809 |
110.3 |
1,385,116 |
110.2 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
運賃収受機器事業 |
3,143,357 |
70.4 |
システム開発事業 |
440,325 |
139.8 |
合計 |
3,583,683 |
75.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
神戸市交通局 |
603,073 |
12.6 |
565,032 |
15.8 |
2.前連結会計年度及び当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
(2)財政状態の分析
① 資産
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて202,020千円増加し、4,913,121千円となりました。これは主に、売上債権が241,474千円増加したものの、現金及び預金が256,475千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて60,090千円増加し、1,110,670千円となりました。これは主に、投資有価証券が123,943千円減少したものの、土地が161,980千円増加したことによるものであります。
② 負債
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて31,810千円増加し、1,488,893千円となりました。これは主に、仕入債務が267,697千円減少した一方で、短期借入金が250,000千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて167,670千円増加し、631,185千円となりました。これは主に、長期借入金が146,516千円増加したことによるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて62,629千円増加し、3,903,713千円となりました。これは主に、利益剰余金が53,220千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は3,583,683千円(前期比25.0%減)となりました。これは、市況悪化の影響によるものであります。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は1,284,660千円(前期比2.9%増)となりました。これは、売上高が減少しましたが、売上原価の低減並びに商品構成の変化等により、売上原価率が低下したことによるものであります。
③ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は188,373千円(前期比12.1%減)となりました。これは、売上高の減少によるものであります。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は99,857千円(前期比24.8%減)となりました。これは、経常利益の減益によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
自己資本比率(%) |
66.7 |
64.8 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
29.7 |
27.5 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
16.5 |
7.3 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
6.3 |
34.1 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは当社グループの運賃収受機器事業に関わる材料仕入、外注費及び製造費、システム開発事業に関わるシステム開発費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、固定資産購入によるものであります。
③財務政策
当社グループは、事業活動のため適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としており、必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、原則自己資金及び金融機関からの借入により調達することとしております。
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