第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループでは、収益の安定化及び持続的な成長を目指し、2025年までを見据えた中期経営計画を策定しております。
本中期経営計画では、主に下記2点の項目を重点施策として定めております。
(a) 成長事業の創出
当社は、バス市場向けの運賃収受システムを中心に事業を拡大してまいりました。しかし、同市場の成熟度が高まっていることや、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、2019年12月期の首都圏ICカード化をピークに、従来型の運賃箱を主体とする事業だけでは、持続的に成長することは難しいと認識しています。
一方、近年のDX(Digital Transformation)による社会と市場の大きな変化を、当社は新たな事業機会と捉えて、成長事業の創出に取組んでいます。
① キャッシュレス決済事業の強化と加速
我が国のライフスタイルにおいても、かつての現金決済主体からクレジット決済等のキャッシュレス化が着実に拡大しています。当社が事業領域としているバス市場においても、バス利用客様の利便性向上はもちろんのこと、新型コロナウイルス感染症予防等を目的に、タッチ決済やQR決済が黎明期を迎えています。2020年7月、茨城交通様の運行する高速バスの車内において導入された「日本初!Visaのタッチ決済」において、当社がキャッシュレス運賃収受システム(当社商品名SELF)をご提供して以降、キャッシュレス決済ニーズの拡がりに様々な形で貢献しています。今後は、キャッシュレス決済に関連する品揃えやアプリケーションを強化することで、事業者様の経営課題に対するソリューション提案の幅を拡げてまいります。
② データサービスの事業化
日本においては、MaaS(Mobility as a Service:あらゆる公共交通機関をIT技術を用いてシームレスに結びつけ、人々が効率的・便利に移動できる)の商用化・普及に向けた実証実験が全国各地で行われています。MaaSは、社会インフラのあり方を大きく変革するものですが、当社は移動そのものの効率化ではなく、人々の移動を通じて得られる多彩なバスの利用データを集約・価値化することで移動需要の予測や運行計画の最適化等、事業者様の経営効率向上ニーズに着眼したデータサービスの事業化(当社商品名ONE)を構想しています。少子高齢化が加速する一方、自家用車によらない移動手段や医療の提供等、地域住民の生活水準を一定程度に維持しなければならないという、待ったなしの社会的課題にソリューションを提供してまいります。
(b) 継続的な成長投資の実行
成長事業を創出するためには、継続的にR&D等の成長投資を実行しなければなりません。
当社は、中期技術戦略と位置付けた「小田原機器グループ技術ビジョン2025」に基づいてR&D投資を実行しています。具体的には、「基本技術戦略(センシング技術)」によってバス市場向け運賃収受システムの競争力強化に取組んでいます。同時に、「拡張技術戦略(コミュニケーション技術)」によって、社会や市場の変化に伴って顕在化しつつある新たなニーズを踏まえて、クラウドやデータサイエンス技術等を強化しています。
これらの諸課題に取り組むことで事業者の経営課題を解決し、新たな付加価値を提供するとともに、社会に対してストレスフリーな交通利用環境を提供してまいります。
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