当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延が続く中、大都市圏等を中心に度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が相次いで発令され、人流抑制が求められる状況が続きましたが、ワクチン接種の普及に伴う新規感染者数の減少、段階的な経済・社会活動再開により景気回復の兆しが見られました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻等の地政学リスクや中国の新型コロナウイルス感染症再拡大に伴うロックダウンの影響によるサプライチェーン混乱の懸念に加え、原油および天然ガス等の資源価格・原材料価格高騰や物流費等のコスト上昇の影響による経済の下振れリスクや金融資本市場の動向に注視する必要があり、依然として予断を許さない状況が続いております。
トラック市場におきましては、国内では世界的な半導体不足に加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により自動車メーカーの部品調達先である東南アジアの工場稼働率低下による減産の影響が長期化し、需要は前年を下回りました。海外では同じく半導体不足の影響を受けているものの、インフラ投資が進んだインドネシアをはじめとしたアセアン地域を中心に需要は堅調に推移しました。
建設機械市場におきましては、国内では新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、住宅投資等の増加を背景に需要はほぼ前年並みで推移しました。海外では中国における前年の大幅な需要増からの反動減や新型コロナウイルス感染症の影響等により、需要は大幅に減少したものの、その他の地域では新型コロナウイルス感染症からの回復や資源価格高騰を追い風にインドネシアをはじめとしたアジア新興国を中心に需要は堅調に推移しました。
このような状況下、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,778百万円増加し、132,016百万円となりました。これは主に、現金及び預金が2,261百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が5,491百万円、棚卸資産が3,201百万円、流動資産その他が1,640百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,765百万円増加し、46,788百万円となりました。これは主に支払債務が2,888百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5,012百万円増加し、85,228百万円となりました。これは主に利益剰余金が2,076百万円、為替換算調整勘定が1,583百万円、非支配株主持分が1,028百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は長期化する世界的な半導体不足及び新型コロナウイルス感染症による減産の影響により、得意先からの受注が想定よりも大きく減少しましたが、前年同期比では増収となり144,360百万円(前連結会計年度は143,705百万円)、利益面につきましては、増収によるプラス要因、さらに当社グループをあげて生産性向上、品質向上活動の推進やコスト低減活動に努めてまいりましたが、鋳造品の主材料となるスクラップ価格の想定を上回る高騰、高止まり、その他原材料、燃料費上昇に加え、生産要員の確保に伴う労務費負担の増加等が利益を押し下げる要因となったこと等により、営業利益は3,292百万円(前連結会計年度は1,277百万円)、経常利益は4,247百万円(前連結会計年度は1,474百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,827百万円(前連結会計年度は830百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高及び売上原価はそれぞれ39,435百万円減少しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,312百万円減少(前年同期比17.2%減)し、当連結会計年度末には11,126百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、5,596百万円と前年同期と比べ1,543百万円(△21.6%)の減少となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益4,111百万円、減価償却費7,724百万円、仕入債務の増加額2,866百万円に対し、売上債権の増加額5,424百万円、棚卸資産の増加額3,064百万円があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、7,479百万円と前年同期と比べ398百万円(△5.1%)の支出減となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出が7,599百万円であったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、891百万円(前年同期は2,855百万円の収入)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増減額が1,000百万円であった一方で、長期借入金の返済による支出が1,060百万円、配当金の支払額(非支配株主への配当金の支払額を含む)が776百万円であったこと等によります。
売上高の内訳につきましては次のとおりであります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループは、自動車用等関連部品製造事業の単一セグメントであります。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループは、自動車用等関連部品製造事業の単一セグメントであります。
2.当社グループは、受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループは、自動車用等関連部品製造事業の単一セグメントであります。
2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の販売高については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1〔連結財務諸表等〕(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により、これら見積りと異なる場合があります。
当社の重要な会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、2016年5月に「中期経営方針」を策定し、その実現に向け、グループを挙げて取り組んで参りました。
[中期経営方針の進捗状況]
a)中期的な3つの経営課題と進捗状況
(ア) ものづくりコスト構造改革
当社グループでは、素材・加工一貫生産や生産ラインの自動化/省力化を推進し、かつ、受発注在庫管理の強化を目的とした生産の仕組み改善によるQCD(Quality、Cost、Delivery)競争力向上に努め、製造コストの削減に取り組んでおります。
(イ) グループシナジー追求による経営の効率化
これまで子会社3社を擁する持株会社として経営に取り組んで参りましたが、昨今の自動車業界の急激な環境変化に対応するために、意思決定迅速化、経営資源の有効活用をベースに経営の効率化を図り、より強固な経営基盤を確立すべく、2019年4月の4社合併により経営体制を再構築いたしました。
また、今後は経営課題の解決を加速すると共に中長期的なシナジーを追求し、更なる企業価値向上を図って参ります。
(ウ) 事業拡大に向けた拡販戦略
電動化対応によるe-Axleの開発、供給等、お客様のニーズにお応えすべく、タイムリーな商品改良を通じた高い付加価値をお客様にご提供すると共に、長期的な市場トレンドを鑑みた新たな商品開発にも努めて参ります。また、市場といたしましては、国内はもとより、当社グループの拠点を有するタイ、インドネシアにおいても、拡販商品のシェア拡大を図って参る所存です。
b)定量目標の進捗状況
2016年5月策定の「中期経営方針」におきましては、中期経営ビジョンとして連結売上高2,000億円(収益認識に関する会計基準適用後で1,600億円)、営業利益率7%を目標に企業活動を推進して参りました。
この目標に対し、当連結会計年度の売上高は144,360百万円(前連結会計年度は143,705百万円)となりました。営業利益は3,292百万円(前連結会計年度は1,277百万円)、経常利益は4,247百万円(前連結会計年度は1,474百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,827百万円(前連結会計年度は830百万円)となり、営業利益率は2.3%(前連結会計年度比1.4%増)と長期定量目標に対しては道半ばの状況となっております。
上記未達の主な要因に関しましては、従来より取り組んでいる中期経営方針で設定した、ものづくりコスト構造改革、グループシナジー追求による経営の効率化、事業拡大に向けた拡販戦略における成果が出た一方で、長期化する世界的な半導体不足及び新型コロナウィルス感染症による減産の影響により得意先からの受注が想定よりも大きく減少したこと、また、ロシアによるウクライナ侵攻等の地政学リスクや中国のゼロコロナ政策によるロックダウンの影響によるサプライチェーンの混乱に加え、鋳造品の主材料となるスクラップ、その他原材料及び燃料価格の想定を上回る高騰による大幅なコストアップに起因しております。
今後は、更なる財務体質の強化に向けて、着実に経営戦略を推進し、企業価値の向上に努めて参ります。
[資本の財源及び資金の流動性]
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
a)資本政策の基本方針
当社は、当社グループのQCD(Quality、Cost、Delivery)競争力強化及び中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるべく、最適な資本政策を実施して参ります。特に財務ガバナンスの強化、キャッシュ・フロー創出力強化及び資金効率の最大化に向けて、「持続的成長投資の実施」、「安定した配当の継続」及び「財務基盤の強化」について、効率的な資本政策を推進し、財務面からグループ全体の企業価値向上を目指して参ります。
b)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、製品製造のための材料費、人件費、経費、販売費及び一般管理費などがあります。また、投資活動に係る資金支出は、設備の新設や老朽代替、改修等があります。
c)資金調達
当社は、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、内部資金と銀行からの借入金を中心とした外部資金を効率的に活用した資金調達を行っております。
設備投資については営業キャッシュ・フローの範囲内を基本に実施しておりますが、大規模なプロジェクト投資案件については金融機関からの外部資金を活用し調達しております。
グループ子会社については原則として銀行等外部からの資金調達は行わず、キャッシュ・マネジメント・システムの導入により、グループ内の余剰資金を当社へ集中し、一部をグループ子会社へ貸し付けるなど、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っております。
また、当社は、突発的な資金需要に備えるため、迅速かつ確実に資金を調達すべく国内金融機関とコミットメントラインの締結と短期借入枠を設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
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