事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。

 なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

 当社グループの財政状態、経営成績等に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクとして、以下に記載したリスクのうち信用リスク及び市場リスクがあげられます。

 当社グループは、当該リスクについて、統計的手法であるVaRを用いて、ある確率(信頼区間99%)のもと一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を見積もり、把握しております。

 これらのリスクが顕在化した場合、自己資本を毀損する可能性があるため、当社グループでは自己資本の充実度を評価する観点から、リスク量が自己資本の範囲内に収まるよう資本配賦制度(リスク量に対する資本の割り当て)を用いた業務運営を行い、経営戦略と一体となったリスク管理を実践しております。

 

(1) 持株会社のリスク

 当社は銀行持株会社であるため、その収入の大部分を傘下の銀行子会社から受領する配当金等に依存しております。一定の状況下で、銀行法及び会社法その他法令上の規制又は契約上の制限等により、その金額が制限される可能性があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合、当社株主へ配当を支払えなくなる可能性があります。

 

(2) 信用リスク

① 不良債権の増加

 当社グループは、厳正な審査体制に加えて、不良債権のオフバランス化、貸倒引当金の計上をはじめ、不良債権に対する処置や対応を進めております。しかしながら、国内外の景気動向、不動産価格及び株価の変動、取引先の経営状況の変動等によっては、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 貸倒引当金の積み増し

 当社グループは、取引先の財務状況、担保等による債権保全及び経済全体に関する前提・見積もりに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における前提・見積もりを上回り、貸倒引当金が不十分となる可能性があります。また、経済、景気全般の悪化により設定した前提・見積もりを変更せざるを得なくなり、あるいは担保価値の下落その他の予想し得ない理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 権利行使の困難性

 当社グループは、不動産市場や有価証券市場における流動性の欠如や価格の下落等の事情により、担保権を設定した不動産もしくは有価証券の換金、または取引先の保有する資産に対して強制執行することが事実上困難となる可能性があります。この場合、与信関係費用等が増加するとともに不良債権処理が進まず、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 市場リスク

① 金利変動リスク

 当社グループは、銀行業を主たる業務としており、資金運用手段である貸出金の金利や債券投資等の利回り、資金調達手段である預金の金利等は、市場金利の動向の影響を受けております。資金運用と資金調達に金額または期間等のミスマッチが存在しているなかで予期せぬ金利変動が発生した場合には、資金の調達金利の上昇が運用利回りの上昇を上回るなど利鞘が縮小し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 価格変動リスク

 当社グループは、国債をはじめとした債券や市場性のある株式等の有価証券を保有しております。これらの有価証券の価格下落により、評価損や売却損が発生する場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替変動リスク

 当社グループは、資産及び負債の一部を外貨建てで保有しております。外貨建て資産と負債が通貨毎に同額ではなく互いに相殺されない場合、為替相場の不利な変動によって、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 流動性リスク

 当社グループは、適切な流動性管理に努めておりますが、経済環境の変化や金融市場全般または当社グループの信用状況の悪化等により、必要な資金が確保できなくなる場合や、通常よりも著しく高い金利による資金調達を余儀なくされる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) オペレーショナルリスク

① 事務リスク

 当社グループは、預金、融資、為替等の各種銀行取引に際し、事務手順を定めた事務規程を整備しておりますが、職員が正確な事務を怠ったり、事故や不正を起こしたりすることにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② システムリスク

 当社グループは、銀行業務を行うために、複数のコンピュータシステムを稼働させております。こうしたコンピュータシステムの停止または誤作動等の障害や、コンピュータが不正に使用されることにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法務リスク

 当社グループは、業務を遂行する上で、銀行法、金融商品取引法、会社法等の規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当社グループは、コンプライアンスを経営の最重要課題と位置づけ、コンプライアンスを重視した企業風土の醸成、コンプライアンスの着実な実践を図るため法務リスク管理を行っておりますが、違反行為等により法令等や契約内容を遵守できなかった場合に、罰則費用や損害賠償等に伴う損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人的リスク

 当社グループは、適切な労務管理や安全衛生管理に努めておりますが、人事処遇や労働時間管理等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等に関連する重大な訴訟等が発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 有形資産リスク

 当社グループは、事業活動を行う上で、土地、建物、車両等の有形資産を所有ないし賃借しております。これら有形資産が自然災害、犯罪行為、資産管理上の瑕疵等の結果、毀損、焼失あるいは劣化することにより業務の運営に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 風評リスク

 当社グループは、経営情報を積極的に開示しておりますが、取引先、投資家、報道機関、インターネット等を通じて、当社グループに対する悪評、信用不安につながる噂等が広まった場合、その内容の正確性に拘らず、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 自己資本比率に関するリスク

 当社グループは、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められた国内基準である4%以上に維持する必要があります。また、当社の銀行子会社は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準である4%以上に維持する必要があります。

 当社グループの自己資本比率(国内基準)は十分な水準を維持しておりますが、要求される水準を下回った場合、金融庁長官から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。

当社グループの自己資本比率に影響を与える主な要因として以下のものがあります。

①債務者の信用力悪化及び不良債権処理の増加に伴う与信関係費用の増加

②保有有価証券の時価の下落に伴う減損処理の増加

③貸出金等リスクアセットポートフォリオの変動

④自己資本比率の基準及び算定方法の変更

⑤その他の不利益な展開

 

(7) その他のリスク

① 地域経済の動向に影響を受けるリスク

 当社グループは、三重県、愛知県及び近接地域を主たる営業地盤としております。地域経済が低迷あるいは悪化した場合、業容の拡大が図れないほか、取引先の業況悪化等により信用リスクが増加し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競争に伴うリスク

 近年日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い他業種、他業態を交えた競争が激化してきております。当社グループがこうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 規制変更のリスク

 当社グループは、現時点における様々な法令諸規制に従って、業務を遂行しております。将来におけるこれら法令諸規制の変更、並びにそれらに伴って発生する事態が、当社グループの業務運営及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 情報漏洩等のリスク

 当社グループは、多くのお客さまの情報を保有しているほか、様々な経営情報等の内部情報を有しております。これらの情報の漏洩、紛失、不正使用等がないよう最大限の努力を払っておりますが、万が一何らかの事由により情報の漏洩等が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 金融犯罪に関するリスク

 当社グループは、キャッシュカードの偽造、盗難をはじめとする金融機関を狙った犯罪が多発している状況を踏まえ、金融犯罪による被害発生を未然に防止するため、セキュリティ強化に努めております。しかしながら、金融犯罪の高度化等から、その対策費用や被害に遭われたお客さまへの補償等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 外的要因に関するリスク

 地震や台風等の自然災害、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等深刻な感染症、テロ、サイバー攻撃、大規模なインフラ障害等の外的要因により、当社グループの本部、店舗等各種拠点に障害が発生し、当社グループにおける業務の全部又は一部の継続に支障をきたす場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一昨年来、世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症に対しましては、通勤時及び勤務中のマスク着用義務化や、各種イベント開催時における感染予防等の徹底といった感染拡大防止策により顧客及び役職員の安全確保に努めるとともに、さらなる感染拡大に備えて業務継続体制の整備を行っております。しかしながら、想定を上回る感染拡大が生じた場合には、円滑な業務運営に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、地域金融機関として、感染拡大の影響を受けた事業者の皆様からの資金繰り相談等に応えることにより地域経済の活性化に努めております。しかしながら、当社グループの主要な営業地域において経済の停滞が長期化した場合には、不良債権額及び与信関係費用の増加により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 気候変動に関するリスク

 近年、世界各国での異常気象や大規模な自然災害による被害が甚大化しており、こうした被害の状況によっては、取引先の資産や事業活動への影響及び業況の変化等による信用リスクの増大等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候関連の規制強化等への対応といった脱炭素社会への移行の影響を受ける取引先の信用リスクの増大等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 繰延税金資産に関するリスク

 当社グループは、現時点の会計基準に基づき、様々な予測・仮定を前提に将来の課税所得を合理的かつ保守的に見積もって繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が想定と異なることや、予測・仮定の前提条件が変わることにより、繰延税金資産の一部または全部を回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 退職給付債務に関するリスク

 当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務について、年金資産の期待運用利回りや将来の退職給付債務算出に用いる年金数理計算上の前提・仮定に基づいて算出しております。しかしながら、年金資産の時価下落や運用利回りの低下、算出前提・仮定の変更、年金制度の変更に伴う未認識の過去勤務費用の発生、金利環境の変動その他の要因による退職給付債務の未積立額及び年間積立額の増加等があった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 固定資産の減損に関するリスク

 当社グループは、保有する固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」(企業会計審議会)を適用しております。市場価格の著しい下落、使用範囲又は方法の変更、収益性の低下等により固定資産の減損損失を計上することになる場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 公的資金に関するリスク

 株式会社三重銀行と株式会社第三銀行の共同株式移転による経営統合により、株式会社第三銀行が「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」に基づき発行しているA種優先株式の株主に対して、当社が発行する第一種優先株式を割当交付しております。これに伴い、当社は、金融庁に「経営強化計画」を提出しておりますが、特定の目標値に対する実績が一定水準に達していない場合等には、金融庁から業務改善命令等の措置を受ける可能性があります。

 なお、2021年5月1日付で、株式会社第三銀行を存続会社、株式会社三重銀行を消滅会社とする吸収合併を行い、同日付で株式会社第三銀行の商号を株式会社三十三銀行に変更しております。

 また、公的資金である第一種優先株式が普通株式に転換された場合、当社の発行済み普通株式数が増加することにより既発行普通株式の希薄化が生じる可能性があります。

 

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