文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社は、「働く世代に豊かさを」というミッションを掲げ、全自動で国際分散投資ができるロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」を通じて、誰もが安心して利用できる金融インフラとなり、働く世代のより豊かな人生をサポートできるよう事業活動を展開しております。
当事業年度における世界経済は、コロナ危機による落ち込みからの回復が続いた一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策転換による金利上昇懸念や、新しい変異株「オミクロン株」の感染拡大もあり、先行きが不透明な状況となりました。国内経済においても、ワクチン接種完了者の増加や、一定の防疫措置を講じることにより経済の再開が進むと期待されたものの、オミクロン株の感染拡大等の影響により不透明な状況となりました。
そのような環境下、当社では継続的な事業成長の実現に向けて、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加、提携パートナーの拡充、テレビコマーシャルなどの広告宣伝活動、事業基盤強化のための人材採用、セキュリティ強化対応等に積極的に取り組みました。
ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」の機能追加については、2月よりダイレクト事業において、「おまかせNISA」の提供を開始しております。「おまかせNISA」は、NISAの非課税メリットを活用しながら、「長期・積立・分散」の資産運用を「WealthNavi(ウェルスナビ)」にすべておまかせできる機能となっております。提携パートナー事業においても「おまかせNISA」の提供を拡大し、6月提供開始の「WealthNavi for SBI証券」「北國おまかせNavi」を始めとして、15の提携サービスにおいて「おまかせNISA」の利用が可能となっております。また、11月には「おまかせNISA」に「買い直し機能」も追加いたしました。本機能により、お客様は「WealthNavi(ウェルスナビ)」の通常の口座で保有している資産を一旦売却し、その資金をもとにNISA口座で資産を購入することが手軽に行えるようになり、NISA口座の非課税枠を活用しやすくなります。
加えて、提携パートナーの拡充も推進しており、対面とオンラインを融合させたハイブリッド型の投資一任サービスとして、8月に中京銀行との業務提携により「〈中京〉おまかせNavi」、10月に大光銀行との業務提携により「たいこうNavi」の提供を開始いたしました。また、12月にイオンクレジットサービス株式会社と業務提携契約を締結しており、今後、クレジットカード「イオンカード」のお客様向けに、新たな資産運用サービスを共同で開発、提供することを目指しております。
この結果、当事業年度末時点での運用者数は31.7万人(前事業年度実績23.5万人)、預かり資産額は6,345億円(前事業年度実績3,291億円)となりました。
以上の結果、当事業年度の業績は、営業収益は46億47百万円(前期比84.7%増)となりました。また、販売費・一般管理費は50億57百万円(前期比45.6%増)となり、その結果、広告宣伝費除く営業利益は14億28百万円(前期比811.0%増)、営業損失は4億32百万円(前期は営業損失9億78百万円)、経常損失は4億91百万円(前期は経常損失9億99百万円)、当期純損失は4億95百万円(前期は純損失10億3百万円)となりました。なお、営業外費用として、株式交付費24百万円、支払手数料37百万円を計上しています。株式交付費は資本金の増加に係る登録免許税等によるもので、支払手数料は劣後特約付ローンに係るストラクチャリング手数料によるものです。
なお、当社はロボアドバイザー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して119億98百万円増加し、273億77百万円となりました。これは主に、外国証券(ETF)取引のための証券会社への預け金の増加59億36百万円、顧客分別金信託の増加43億90百万円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して88億77百万円増加し、173億39百万円となりました。これは主に、お客様の取引量等の増加に伴う預り金の増加80億74百万円、劣後特約付ローンによる長期借入金の増加15億円、繰上償還に伴う転換社債型新株予約権付社債の減少10億円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して31億20百万円増加し、100億37百万円となりました。これは主に、海外募集による新株式発行等に伴う資本金の増加18億8百万円及び資本準備金の増加18億8百万円、当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少4億95百万円によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、175億1百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、33億84百万円(前事業年度に使用した資金は9億39百万円)となりました。これは主に、顧客分別金信託の増加43億90百万円、預り金の増加80億74百万円、税引前当期純損失4億91百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、23百万円(前事業年度に使用した資金は76百万円)となりました。これは主に、定期預金の解約による収入50百万円、有形固定資産の取得による支出18百万円、無形固定資産の取得による支出32百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、40億52百万円(前事業年度に得られた資金は26億42百万円)となりました。これは主に、劣後特約付ローンの長期借入れによる収入15億円、海外募集による新株式発行等による収入35億90百万円、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出10億円によるものであります。
a. 生産実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、販売実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
当社の財務諸表作成にあたり採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、将来の課税所得の見積額に基づき、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の見積りは翌事業年度の事業計画に基づいており、その主要な仮定は、預かり資産の増加予測に基づく営業収益でありますが、市場環境等の変化により影響を受けることがあり不確実性を伴うものであります。主要な仮定に見直しが必要となった場合、翌事業年度において繰延税金資産の回収可能性の判断に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の会計上の見積りに対する影響につきましては、「第5 経理の状況1 財務諸表等(1) 財務諸表注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
(営業収益)
当事業年度における営業収益は、46億47百万円(前事業年度比21億30百万円の増加)となりました。これは主に、預かり資産の増加に伴う受入手数料の増加21億4百万円によるものであります。当事業年度末時点での預かり資産額(時価)は、6,345億円(前事業年度比3,053億円の増加)となっております。
(金融費用)
金融費用は、支払利息22百万円(前事業年度比0百万円の増加)となりました。この結果、純営業収益は46億25百万円(前事業年度比21億30百万円の増加)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は50億57百万円(前事業年度比15億84百万円の増加)となりました。これは主に、広告宣伝費等の取引関係費の増加11億48百万円によるものであります。この結果、営業損失は4億32百万円(前事業年度実績 営業損失9億78百万円)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は4百万円(前事業年度比0百万円の減少)となりました。また、営業外費用は62百万円(前事業年度比38百万円の増加)となりました。これは主に、資本金の増加に係る登録免許税等の株式交付費の増加6百万円、劣後特約付ローンに係るストラクチャリング手数料による支払手数料の増加37百万円によるものであります。この結果、経常損失は4億91百万円(前事業年度実績 経常損失9億99百万円)となりました。
(特別損益及び法人税等)
法人税等は3百万円(前事業年度比増減なし)となりました。この結果、当期純損失は4億95百万円(前事業年度実績 当期純損失10億3百万円)となりました。
当事業年度の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社における主な資金需要は、業容拡大に伴う人件費や、認知度向上のための広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、自己資金を基本とし、必要に応じて社債の発行や長期借入金の銀行借入を行うことでまかなっております。また、短期的な運転資金は銀行借入により調達しております。
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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