(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は2021年10月1日に設立されましたので、前連結会計年度との対比については記載しておりません。また、当社グループの連結経営成績等につきましては、単独株式移転により完全子会社となった沖縄銀行の連結経営成績等を引き継いで作成しております。
当連結会計年度末の預金は、銀行・信託勘定合計で2兆4,551億円、貸出金は、銀行・信託勘定合計で1兆7,141億円、有価証券は、4,582億円となりました。
(注) 預金における信託勘定は信託元本であります。
経常収益は504億80百万円、経常費用は424億76百万円となりました。この結果、経常利益は80億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は50億12百万円となりました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
銀行業は、経常収益357億25百万円、セグメント利益67億99百万円となりました。
リース業は、経常収益111億92百万円、セグメント利益1億27百万円となりました。
その他は、経常収益70億83百万円、セグメント利益16億81百万円となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、5,906億36百万円となりました。
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主に預金増加等による収入により1,880億81百万円となりました。
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、主に有価証券の取得による支出が、売却・償還による収入を上回ったため487億87百万円となりました。
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、配当金支払、自己株式及び子会社株式の取得等による支出により40億96百万円となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は2021年10月1日に、沖縄銀行の単独株式移転により設立されました。新たなグループ経営形態のもと、グループ一体経営及びグループ内連携を更に強化するとともに、経営理念である「地域密着・地域貢献」のもと、地域社会の多様化する課題を解決するため、事業領域の拡大を図り、「金融をコアとした総合サービスグループ」として地域社会の価値向上、当社グループの持続的な成長を図ってまいります。
この経営理念の実現へ向け、当社グループでは、2021年10月から2024年3月迄を計画期間とする第1次中期経営計画「 Create Value & Innovation~おきなわの“新しい”をともに創る。~」を策定しました。
第1次中期経営計画の1年目となる2021年度は、4つのグループ戦略を中心に、下記の事項を取り組んでまいりました。
金融面ではお客さまのニーズに応じた最適なソリューションの提案へ向けて、各エリアにグループ会社連携担当者を配置し、連携の強化を図るとともに、グループ会社との定期的な勉強会の開催により相互理解を深めるなど、各グループ会社間のトスアップ等の強化に努め、各社のトップライン向上への取り組みを強化いたしました。
非金融面では、金融をコアとする総合サービスグループとして、グループ会社との相乗効果を発揮し、県内事業者の販路拡大を中心に本業支援を行うことで地域の発展及び活性化を支援することを目的に、「株式会社みらいおきなわ」を設立(2021年6月)しました。同社を通じて当社グループのネットワークやプラットフォームを活用し、ビジネスマッチングによる販路開拓の支援を行うなど、お客さまのニーズに、より適した支援を提供できるようコンサルティング事業など強化いたしました。
また、座間味村と当社は相互の情報・機能を有効に活用し、緊密な相互連携・協働の取組みによる地域振興や地域経済活性化の実現を目指して、包括的連携協定を締結いたしました。
当社は今後もDXを軸としたグループソリューションの提供により、離島における課題解決のためのプロジェクトをより発展させてまいります。
対面サービスでは、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、事業者の支援を継続的に強化してまいりました。お客さまの課題を抽出する戦略ミーティングの開催を起点とした、各種課題解決型ソリューションの提案を強化した結果、ビジネスマッチングなどが好調に推移いたしました。
また、つみたてNISAキャンペーンや投信新規口座開設キャンペーンを実施し、幅広いお客さまへ声かけを行ったことで投信積立の件数が増加し、お客さま取引の裾野拡大を図りました。
デジタルサービスでは、個人のお客さま向けスマホアプリ「OKI Pay」や「おきぎんSmart」の機能拡充による利便性向上を図るとともに法人のお客さま向けに、ICT・デジタルチャネルを活用し、お客さまが抱える販路開拓から内部管理体制構築といった幅広い経営課題の解決及びDX化の支援推進を行うことが可能となる「おきぎんBigAdvance」の利用推進を図るなど、各種デジタルサービスの推進強化を行った結果、一定の成果を納めることが出来ました。
今後もお客さまの課題解決や良質な資産形成に資するサービスの提供へ努めていくとともに、マーケットインの発想による新たな価値の提供へ取り組んでまいります。
第1次中期経営計画のビジョンで掲げる、「金融をコアとする総合サービスグループとしてカスタマー・エクスペリエンス(CX)を実現」に向け、最適な業務改革を実施し、経営資源の最適化を図るべく業務改革プロジェクトを組成いたしました。
当該プロジェクトでは、これまでの常識に捉われず、「ゼロベース」でバックオフィス業務を見直し、共通化可能な本部機能のおきなわフィナンシャルグループへの集約、各社の業務執行の強化や『押印』・『対面』・『書面』手続きの見直しをドライバーとした、ペーパーレスやオペレスの実現など、DXを活用し、業務オペレーションの最適化を図ってまいります。
コスト改革やトップラインへの経営資源再配置の実現により、中期経営計画の達成へ繋げてまいります。
お客さまの課題解決や良質な資産形成に寄与するコンサルティング能力の向上、グループ内でワンストップサービスを実現するグループ研修体制の構築など、各種研修の実施や各種資格取得の推奨などへ取り組み、人材育成を強化してまいりました。
また、ダイバーシティの実現へ向け、女性管理職比率向上へ重点的に取り組んでおり、グループで女性経営級職員の育成を目的とした「カトレア・カレッジ」講座の実施や、全職員が子育てに取り組むことで新たな価値観を形成することを目的とした、男性職員に対する有給による1カ月の育児休業取得義務化制度の新設などへ取り組んでまいりました。
今後も、地域社会のレジリエントかつサステナブルな成長に貢献する、高度な提案能力や多様性のある人材の育成へ取り組んでまいります。
当社設立と同時に、2021年10月1日にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。また、持続可能な社会の実現に貢献し、地域社会との共通価値の創造を実現するため、グループ全体のサステナビリティに関する総合的な方針の策定・共有化を図るなか、その取り組みの強化を目的に、2022年2月に取締役会の権限移譲会議体として新たにサステナビリティ推進会議を設置いたしました。
今後は、TCFD提言への対応に加え、中期経営計画の考え方に沿った、サステナビリティ全体を包含する経営指標の策定など、サステナビリティ経営の実現に向け、その取り組みを加速させてまいります。
また、第1次中期経営計画において経営の基本方針として位置付けている、RAF(リスクアペタイト・フレームワーク)の運営について主要子会社である沖縄銀行の主要リスクである信用リスク及び市場リスクにフォーカスし導入を開始しました。
RAFの導入にあたっては、沖縄県を地元とする地域金融機関であることを出発点とし、当社の経営理念及び当社グループを取り巻く環境を踏まえ、既存領域における更なるリスクテイクの余地や、そのリスクテイク余地を実際の行動に繋げるための施策を合わせて検討いたしました。
2022年度はリスクアペタイト方針に基づき、コア事業である、信用リスクテイク能力の一層の強化・収益基盤の成長へ取り組んでまいります。
当連結会計年度の業績は、第1次中期経営計画の初年度として、経営戦略に基づく各施策の着実な実行により、お客さまの生産性の向上に向けたサービスの拡充と連結収益力の強化に努めた結果、次のとおりとなりました。
※ 連結当期純利益=親会社株主に帰属する当期純利益
※ 連結当期純利益ROEは株主資本ベース
[連結 (損益の概要)]
(注)連結業務粗利益=資金利益+金銭の信託運用見合費用[金銭の信託に係る資金調達費用]+信託報酬+役務取引等利益+その他業務利益
当社グループにおける貸出金や支払承諾などの債権残高は多額であり、経営成績等に及ぼす影響が大きいため、連結財務諸表作成に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、貸倒引当金については重要なものと判断しております。
当社グループでは、適正な償却・引当を実施するために、予め規定した資産の自己査定基準に基づき、営業関連部署が資産査定を実施し、当該部署から独立した資産監査部署が査定結果を監査しております。貸倒引当金は、当該資産査定による債務者の区分に、予め定めている償却・引当基準を適用し、次のとおり計上しております。
破産、特別清算等法的に経営破綻の事実が発生している債務者(以下、「破綻先」という。)に係る債権及びそれと同等の状況にある債務者(以下、「実質破綻先」という。)に係る債権については、以下のなお書きに記載されている直接減額後の帳簿価額から、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除し、その残額を計上しております。また、現在は経営破綻の状況にないが、今後経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(以下、「破綻懸念先」という。)に係る債権については、債権額から、担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除し、その残額に対して今後の予想損失額を見込んで計上しております。破綻懸念先の予想損失額は、損失見込期間(3年間)を算定期間とし、過去の一定期間の貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の平均値に基づき損失率を求め、将来見込みに応じてより実態を反映する算定期間とする等必要な修正を加えて算定しております。
上記以外の債権については、貸出条件に問題のある債務者、履行状況に問題のある債務者、業況が低調ないし不安定な債務者又は債務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者(以下、「要注意先」という。)のうち、当該債務者の債権の全部又は一部が要管理債権である債務者(以下、「要管理先」という。)に対する債権については今後3年間の予想損失額を、また、要管理先以外の要注意先及び業況が良好であり、かつ財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者(以下、「正常先」という。)に対する債権については今後1年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、3算定期間の貸倒実績を基礎とした貸倒実績率の過去の一定期間における平均値に基づき損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定しております。
なお、破綻先及び実質破綻先に対する担保・保証付債権等については、債権額から担保の評価額及び保証による回収が可能と認められる額を控除した残額を取立不能見込額として債権額から直接減額しております。
当社グループは、貸倒引当金の算出に係る見積り及び仮定に対し、財務諸表等作成時における入手可能な情報に基づき合理的に計上していると判断しておりますが、当該見積り及び仮定には不確実性が含まれているため、予測不能な経済情勢の変化や前提条件の変化等により、当社グループにおける将来の貸倒引当金が増減する可能性があります。また、当該見積り及び仮定の詳細については、「注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」の「③キャッシュ・フローの状況」における記載のとおりであります。成長分野への投資・新規事業への参入をはじめ、設備投資や株主還元等の支出については、自己資金での対応を基本としております。
なお、貸出金や有価証券での運用については、顧客からの預金にて大部分を調達するとともに、主な資金運用手段である貸出金に関しては、資金需要に積極的に対応し、有価証券運用に関しては、金融市場動向をにらみながら資金の効率的運用に努める方針です。
当連結会計年度の資金運用収支は278億円、信託報酬は0億円、役務取引等収支は23億円、その他業務収支は26億円となりました。
(注) 1.国内業務部門は国内店の円建取引、国際業務部門は国内店の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2.「相殺消去額(△)」は、連結会社間の資金貸借取引等について相殺消去した金額を記載しております。
3.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息(内書き)であり、合計には含めておりません。
当連結会計年度の資金運用勘定の平均残高は2兆4,531億円、利息は281億円、利回りは1.14%となり、資金調達勘定の平均残高は2兆6,222億円、利息は2億円、利回りは0.01%となりました。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、株式会社沖縄銀行以外の連結子会社は、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高(内書き)及び利息(内書き)であります。
3.平均残高及び利息は、相殺消去前の額であります。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、株式会社沖縄銀行以外の連結子会社は、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高(内書き)及び利息(内書き)であります。
3.平均残高及び利息は、相殺消去前の額であります。
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、株式会社沖縄銀行以外の連結子会社は、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.「相殺消去額(△)」は、連結会社間の取引及びその他連結上の調整であります。
当連結会計年度の役務取引等収益は53億円、役務取引等費用は29億円となりました。
(注) 「相殺消去額(△)」は、連結会社間の役務取引であります。
(注) 1.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2.定期性預金=定期預金
3.「相殺消去額(△)」は、連結会社間の預金取引であります。
(注) 1.「国内」とは当社及び連結子会社であります。
2.海外及び特別国際金融取引勘定分については、該当ありません。
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、当連結会計年度の外国政府等向け債権残高はありません。
(注) 1.国際業務部門の「その他の証券」は、外国債券及び外国株式であります。
2.「相殺消去額(△)」は、連結会社間の資本連結等に伴い相殺消去した金額を記載しております。
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、株式会社沖縄銀行1社です。
(注) リスク管理債権の状況
資産の査定は、貸出金等の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(自己資本比率の状況)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。また、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては基礎的手法を採用しております。
(資産の査定)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社沖縄銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(生産、受注及び販売の状況)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
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