当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用により、経済活動が大幅に制約される状況が長期化しました。ワクチン接種の普及に伴い感染者が減少し、今後の経済活動の正常化への期待が高まっておりますが、足元においては再拡大傾向も見られ、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社が営むM&Aアドバイザリー事業は、中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化を背景とした後継者問題の深刻化や業界再編の手法としてのM&Aが有力な選択肢として認知が進んでいることで、M&Aのニーズは高まっており、引き続き市場は堅調に拡大していくものと考えております。一方、市場の拡大に伴い、中小企業庁による「中小M&A推進計画」の策定やM&A支援機関に係る登録制度の創設など行政による事業承継推進施策に加えて、自主規制団体である「一般社団法人M&A仲介協会」の設立など、市場に対してモラルや品質の向上を求める声が高まっておりますが、官民が相互に連携した取組みを推進することで、健全に市場が発展していくものと考えております。
このような事業環境下で、当社は高品質なM&Aアドバイザリーサービスを提供するアドバイザリーファームとして、知名度と信用力等の向上により、更なる成長を図るため、2020年12月29日に東京証券取引所マザーズに上場いたしました。上場を機に、従来から構築してきた公的機関や金融機関、各種専門家等の多様な業務提携先とのネットワークの更なる拡大、強化を図るとともに、これらの業務提携先と連携したWebセミナーの開催や、デジタルマーケティングなどのマーケティング施策を強化することでM&Aニーズの取り込みに努めるなど、営業活動を積極的に進めております。また、リモートワークの導入や時間差出勤・交代制出勤やソーシャルディスタンスへの配慮を徹底する等の施策を行うことで、新型コロナウイルス感染症の感染リスクの低減を図り、コロナ禍での営業活動、事業活動の継続に努めております。
当事業年度の当社の重要指標である成約件数は18件(前期27件)、平均報酬単価は43,264千円(前期30,067千円)となり、平均報酬単価が上昇したものの、主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大や緊急事態宣言の発令に伴い、マッチングやエグゼキューションが長期化した影響により、複数の案件において、ペンディングや翌期以降に成約がずれ込んだことで成約件数は減少いたしました。
結果として、当事業年度における 売上高は778,759千円 (前期比 4.1%減 )、 営業利益は43,207千円 (前期比 71.1%減 )、 経常利益は36,362千円 (前期比 73.6%減 )、 当期純利益は22,791千円 (前期比 74.5%減 )となっております。
なお、当社は、M&Aアドバイザリー事業の単一セグメントであるため、セグメントに関する記載は省略しております。
(資産の部)
流動資産は、前事業年度末と比較して 428,353千円増加 し、 1,229,729千円 となりました。これは、主として現金及び預金が473,116千円増加した一方で、売掛金が62,696千円減少したことによります。
固定資産は、前事業年度末と比較して 22,385千円増加 し、 100,437千円 となりました。これは、主として建物が 16,141 千円、差入保証金が25,742千円増加した一方で、長期貸付金が18,169千円減少したことによります。
この結果、当事業年度末の総資産は前事業年度末と比較して450,739千円増加し、1,330,166千円となりました。
(負債の部)
流動負債は、前事業年度末と比較して 88,026千円減少 し、 185,816千円 となりました。これは、主として未払金が21,303千円、未払法人税等が41,747千円、未払消費税等が18,286千円減少したことによります。
固定負債は、前事業年度末と比較して 29,470千円減少 し、 24,294千円 となりました。これは、主として長期借入金が34,296千円減少したことによります。
この結果、当事業年度末の負債合計は前事業年度末と比較して117,497千円減少し、210,111千円となりました。
(純資産の部)
純資産は、前事業年度末と比較して 568,236千円増加 し、 1,120,054千円 となりました。これは、資本金が272,722千円、資本剰余金が272,722千円増加したことや、利益剰余金が当期 純利益の計上により22,791千円増加 したことによります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は 1,067,389千円 であり、前事業年度末と比べ 473,116千円の増加 となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、 使用した資金は7,737千円 (前事業年度は 25,422千円の使用 )となりました。これは主に 税引前当期純利益が36,362千円 、 売上債権の減少62,696千円 があったものの、 未払金の減少24,003千円 、 法人税等の支払額73,800千円 があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、 使用した資金は23,131千円 (前事業年度は 41,914千円の使用 )となりました。これは従業員に対する長期貸付金の回収による収入 21,256千円 があったものの、有形固定資産の取得による支出 15,519千円 、差入保証金の差入による支出 28,868千円 があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、 獲得した資金は503,985千円 (前事業年度は 75,541千円の獲得 )となりました。これは主に株式の発行による収入が 539,976千円 、長期借入金の返済による支出が 35,991千円 あったことによるものであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当社はM&Aアドバイザリー事業の単一セグメントであり、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当社顧客との各種契約においては秘密保持条項が存在するため、名称又は氏名の公表は控えさせていただきます。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当事業年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因を考慮して見積りを行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表作成にあたり採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積りを行っております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の状況の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は778,759千円で前期比4.1%の減少となりました。これは、成約件数が18件(前期27件)と前年同期と比較して減少した一方で、平均報酬単価が43,264千円(前期30,067千円)と上昇したことによるものであります。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は43,207千円で前期比71.1%の減少となりました。これは、売上の減少により売上総利益が減少したことに加えて、M&Aプラットフォームの企画や広告宣伝費、上場に伴う管理体制強化のための各種費用の発生により、販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は36,362千円で前期比73.6%の減少となりました。これは主に営業利益の減少によるものであります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は22,791千円で前期比74.5%の減少となりました。これは主に経常利益の減少によるものであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境等の様々な要因が変動することによる影響を受ける可能性があると認識しております。そのため、当社を取り巻く外部環境と内部環境の変化に留意しつつ、内部統制の強化や人材の確保と育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスクの発生を抑え、適切な対応を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要の主なものは、人材の獲得、維持にかかる人件費、業容拡大にともなう物件維持費、効率的なマッチングにより当社のサービスを向上させるためのシステム維持費等の営業費用であります。
当社としては、不測の事態も想定し、十分な資金を自己資金で確保しながら、必要に応じて銀行借入による調達を行う方針であります。
d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として売上高と営業利益を重視しております。また、これらの経営指標に影響する成約件数、平均報酬単価、M&Aコンサルタント数の推移を把握しております。
当事業年度における売上高は778,759千円(前期比4.1%減)、営業利益は43,207千円(前期比71.1%減)となりました。また、成約件数は18件(前期は27件)と減少する一方で、平均報酬単価は43,264千円(前期は30,067千円)に上昇いたしました。また、M&Aコンサルタント数は28名(前期は28名)と同じとなりました。これらの指標につきましては今後も増加させるよう努めてまいります。
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