当社は企業理念として「企業の成長と変革の触媒となり、道徳ある経済的価値を創出する。」ことを掲げております。また、企業ビジョンとして「企業の生産性を飛躍的に高める。その機会を提供するインベストメント・バンクとして、その実行を促進するアドバイザリー・ファームとして、比類なき存在を目指す。」ことを目標としております。
企業は事業活動を通じて企業内に人材、設備、技術、信用、顧客等、固有の価値を蓄積していますが、「2021年版中小企業白書」によれば、全国の経営者の年齢分布に占める70代以上の割合は増加する一方で、40代以下の割合は減少傾向にあり、中小企業経営者の高齢化が進行しております。また、株式会社帝国データバンクが行った「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)」によれば、回答者のうち後継者不在と回答した割合は2011年以降、60%以上という結果が継続しています。このことから、経営者の高齢化が進展しながらも後継者不在率は高水準を維持しており、事業承継の必要性が高まっていると言えます。こうした背景を受けて、中小企業庁は中小企業のM&Aの更なる促進を目的として2015年3月に「事業引継ぎガイドライン」、2020年3月に「中小M&Aガイドライン改訂の経緯」、2021年4月に「中小M&A推進計画」を公表し、中小企業のM&Aは着実に進展しつつあるとしたうえで、更なる促進を図る方針を掲げています。
当社は、M&Aは企業が事業活動を通じて蓄積した企業価値を他の第三者が引き継ぎ、発展させていくために、譲渡側、買収側が共に参画するプロジェクトであると考えており、本来的には、M&A実行後の事業の成功が、関係当事者にとって最も重要な目的のひとつであると認識しております。この目的を達成するためには、当事者及び利害関係者が相互に信頼関係を構築しつつ、最適なストラクチャを採用して当該取引が生む付加価値の最大化を図ることが必要であり、アドバイザーは高度な専門性をもって、M&Aにおける一連のプロセスを管理・実行することを適切にサポートすること(エグゼキューション)が必要となります。当社は、プロセスの一部としてのマッチングのみならず、M&Aの実行プロセス全般においてM&Aアドバイザリー経験豊富な人材や、弁護士・公認会計士(米国公認会計士を含む)・税理士等の各種専門家が関与することにより、あらゆる面からM&Aにおける一連のプロセスをサポートできる総合力とその品質を追求することを業務推進における基軸としており、その企業規模を大きく拡大することで、より多くの顧客に対して、高品質のM&Aアドバイザリーサービスの提供を図り、業界の健全な発展を牽引していきたいと考えます。
当社は、このような企業理念・企業姿勢に基づいて、顧客の企業価値を最大化するM&Aの実現を支援するため、当社が有している人材やノウハウを駆使して、案件の組成からクロージングに至るすべての工程において、常にクオリティを最重要視し、顧客に付加価値の高いサービスを提供することで、社会的責務を果たすとともに、当社自身の企業としての発展、成長を通じて、株主をはじめとするステークホルダーの方々に還元を行っていく方針であります。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、一部の案件で成約時期が遅延する等の影響はありましたが、中小企業の経営者があらためて後継者不在問題について再認識する契機となり、その解決策の一つとしてM&Aの必要性が高まっているものと考えております。当社はリモートワークの導入や時間差出勤・交代制出勤やソーシャルディスタンスへの配慮を徹底する等の施策を行うことで物理的感染リスクを低減することで、今後も拡大が想定される市場に対応する方針であります。
当社は今後のさらなる事業拡大のため、積極的な採用等により従業員を増加させていく方針ですが、組織規模の拡大に応じたさらなる社内管理体制の強化・充実が重要な課題であると認識しております。そのため、管理部門や情報システム分野の強化、内部監査の定期的な実施、経営者及び従業員に対する研修の実施、監査役と内部監査及び監査法人との連携等を通じて、社内管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。
M&Aは、中小企業にとって非常に高度な意思決定を伴う、経営における最高難易度の取組みのひとつであります。そのような重要な取組みの支援をお任せいただくためには、高い社会的信用力を備えることが必要となります。また、小規模・中小企業のM&Aは、大きな成長市場と目されていることから、近年は多数の競合会社の新規参入が相次いでおりますが、提供されるサービスの品質水準は玉石混交であるのが現状です。そのような状況下で、専門的知識や経験、ノウハウを活かした高品質のM&Aアドバイザリーサービスを追求し、提供することが、当社の社会的信用力の向上につながり、ひいては業界全体の健全な発展に資するものと考えております。そのために当社は、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とOffJT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)をミックスした効果的な人材育成体制の構築とその不断のレベルアップに注力するとともに、社内メンバー間において経験から得られた情報や知識(ナレッジ)を共有するしくみ等を整備することで、サービス品質の維持向上に努め、社会的信用力の向上につなげてまいります。
③ 人材の確保と育成
当社は、上述のとおり、高品質なM&Aアドバイザリーサービスを提供できるよう目指しておりますが、そのためには専門性の高い経験豊富な人材の確保と育成が事業拡大を目指すうえでも重要な課題であると認識しております。
人材の確保については、積極的な採用活動を実施し、当社の考えに共感できる人材の採用を行ってまいります。人材の育成については、採用した人材のモチベーションを向上させる人事諸制度の構築を行うことで、コンサルタントの能力を最大限発揮できる企業文化の醸成や、社内研修及び業務プロセスのマニュアル化を通じてより高い倫理観を持ち、高品質なサービスを提供できる人材の育成に努めてまいります。
高品質なM&Aアドバイザリーサービスの提供が、当社が最も重要視する事項であり、その結果、過去に提供したサービス水準のクオリティに満足した顧客又はその支援者(金融機関、士業等専門家)からの紹介案件が多いことが当社の特徴であると考えておりますが、M&Aアドバイザリー事業の持続的成長とその加速のためには、譲渡案件のソーシングとマッチング力の強化が必要であると認識しております。当社は、差別化要素であるM&Aアドバイザリーサービスのクオリティの更なる向上と並行して、現在協業関係にある各地の事業承継・引継ぎ支援センター(注)や金融機関及び士業等専門家並びに投資会社等との信頼関係向上を図り、優良案件の獲得を継続してまいります。
また、譲渡候補企業に直接アプローチを行う営業手法の拡充や、M&A検討企業に対して有用な情報をWeb上で提供するプラットフォームの構築を図ることで、更なる優良案件の獲得とマッチング精度の向上を目指してまいります。
(注)事業承継・引継ぎ支援センターとは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が、経営者の高齢化による事業の引継ぎを親族や第三者へ行うことを支援することを目的に各都道府県に設置している公的機関であります。
当社は、譲渡希望者の社内システムへの登録から案件化フェーズ、マッチングフェーズ、エグゼキューションフェーズに至る主要プロセスやサブプロセスにおける進捗、把握した課題及びその解決状況等を社内メンバーに適時に共有し、意見を交換することで総合力の発揮を図り、また、専門知識を活かすための適切な案件担当者の配置(アサインメント)とナレッジの共有を行うことで、高品質なサービスを均質的に提供しうる体制の整備を進めております。また同時に、これらの管理体制を充実させることで、成約率の向上や、クロージング時期を適切に把握できる体制の構築を目指しております。
当社は、週に一度の案件進捗報告と課題解決のための会議を行い、M&A案件の経験が豊富な経営陣に加え、各分野の専門家(公認会計士、弁護士等)より様々な観点から案件の進行プロセスやストラクチャ等に対する見解を出し合い、進捗状況の共有を行っております。併せて、案件毎に想定されるクロージング時期が適切か否かの見直しを行っておりますが、M&Aは譲渡企業にとっても買収企業にとっても重要な、高度の意思決定事項であることから、当社のコントロールが及ばない領域の諸要因により、スケジュールが当初計画に比して遅延する場合があります。
上記の課題の影響をより小さなものとすべく、案件管理システム(マネジメント単位の分化など組織体制を含む)の導入・構築や運用の徹底を図り、より適切な品質管理を含む案件管理体制を推進してまいります。
当社は持続的な成長と企業価値の向上を目標としており、経営指標として売上高と営業利益を重視しております。また、これらの経営指標に影響する成約件数、平均報酬単価、M&Aコンサルタント数の推移を把握し、これらの指標等を改善することで、売上高と営業利益が継続的に向上するための施策を講じております。
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