(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度末と比べ855,921千円増加し1,357,952千円となりました。これは主に、現金及び預金804,973千円、売掛金62,460千円の増加によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べ330,301千円増加し486,449千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金99,720千円および長期借入金188,890千円、未払法人税等51,441千円の増加によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比べて525,619千円増加し871,502千円となりました。これは、主に上場に伴う増資により、資本金が225,290千円、資本剰余金が225,290千円増加したことによるものであります。
b.経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の期間が2020年より長期化したことにより、経済活動が大幅に制約される状況が続きました。感染力の強い変異株の発生等、感染の再拡大が深刻化しており、ワクチン接種も進んではいるものの依然として先行きが不透明な状況となっております。
このような事業環境のもと、当社におきましては、メディア事業を中心に事業の拡大を図り、継続的な成長を目指し事業運営を行ってまいりました。メディア事業では、「ベビーカレンダー」サイトにおいて、編集力のアップを背景に記事ジャンルの拡大や記事本数の増強を図りました。その結果、閲覧数は前期比で大幅に増加し、妊娠・出産・育児領域におけるトップのメディア企業として大きく成長を続けております。それに伴い自社メディアの認知度がアップしたことで、自社サイトにおける広告枠の販売は順調に推移しました。産婦人科向け事業では、産院向けの集患サポートを中心とした各種サービスや来院患者向けのコンテンツ提供等により安定した収益を計上することができました。Webマーケティング事業では、総合病院を中心とした顧客向けにホームページ制作やWebデザイン及びグラフィックデザインによるマーケティング支援業務を行い、Webマーケティングにおける多角的なソリューションを提供することに注力いたしました。その結果、当事業年度の売上高は1,042,830千円(前期比116.6%)、営業利益は129,150千円(前期比134.9%)、経常利益は115,851千円(前期比120.5%)、当期純利益は75,039千円(前期比121.1%)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(メディア事業)
メディア事業は、「妊娠・出産・育児」領域の専門サイト「ベビーカレンダー」の運営、タイアップ広告案件の受注を目指して活動いたしました。当社運営サイト「ベビーカレンダー」については、当初想定した閲覧数を大幅に上回る状況で推移したことにより広告枠販売が大きく伸長しました。
この結果、同セグメントの売上高は734,409千円(前期比124.5%)、セグメント利益は281,783千円(前期比132.9%)となりました。
(産婦人科向け事業)
産婦人科向け事業は、主力サービスのベビーパッドに加え、エコー動画館、予約システム、ホームページ制作といったサービスの拡販を目指して活動してまいりました。ベビーパッド既存先の契約更新につきましては、当初の計画通りに推移したことにより収益を獲得できましたが、緊急事態宣言等の発令期間が想定より長期化したことにより新規取引先との面会数が計画を下回り、新規顧客獲得の営業活動に一部影響が生じました。
この結果、同セグメントの売上高は194,363千円(前期比91.0%)、セグメント利益は18,096千円(前期比44.8%)となりました。
(Webマーケティング事業)
Webマーケティング事業は、医療施設および官公庁を中心とした顧客向けに、ホームページ制作、各種広告掲載、SEO対策といったマーケティングの支援活動を行ってまいりました。産婦人科向け事業同様、新規案件獲得の営業活動に一部影響があり、苦戦を強いられましたが、前年は合併後9カ月の損益取込みだったことにより、前年実績を上回る結果となりました。
この結果、同セグメントの売上高は114,058千円(前期比125.6%)、セグメント利益は968千円(前期比208.7%)となりました。
全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用171,698千円(前期比109.3%)を差し引いた数値となっています。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末と比べて804,973千円増加し、1,042,369千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は95,516千円(前期は148,148千円の獲得)となりました。主な要因は、税引前当期純利益115,851千円、減価償却費23,024千円及びのれん償却額11,776千円、仕入債務の増加額4,160千円の増加の一方、売上債権の増加額63,120千円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16,685千円(前期は78,370千円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,632千円、無形固定資産の取得による支出12,104千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は726,142千円(前期は17,345千円の使用)となりました。これは、長期借入れによる収入300,000千円、株式の発行による収入423,880千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社の事業は、受注から納品までの期間が短く、受注に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
メディア事業(千円) |
734,409 |
124.5 |
産婦人科向け事業(千円) |
194,363 |
91.0 |
Webマーケティング事業(千円) |
114,058 |
125.6 |
合計(千円) |
1,042,830 |
116.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社ベネッセコーポレーション |
101,235 |
11.3 |
93,209 |
8.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積を行っております。
② 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況a.財政状態の状況」をご参照下さい。
③ 経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況b.経営成績の状況」をご参照下さい。
④ 経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする指標」に記載のとおりであります。
当事業年度の指標の達成売上高は計画比31,973千円減(2.9%減)となりました。これは、新型コロナウイルスの規制期間延長に伴い新規案件が獲得できなかったことによるものです。営業利益は計画比68,521千円減(34.6%減)となりました。これは、広告宣伝費及び人件費に対する先行投資をしたことによります。経常利益は計画比39,264千円減(25.3%減)となりました。
当事業年度におけるこれら指標を達成することができませんでした。
指標 |
第31期(計画) (自2021年1月1日 至2021年12月31日) |
第31期(実績) (自2021年1月1日 至2021年12月31日) |
計画比 |
売上高(千円) |
1,074,804 |
1,042,830 (前年比 116.6%) |
△31,973千円 (2.9%減) |
営業利益(千円) |
197,672 |
129,150 (前年比 134.9%) |
△68,521千円 (34.6%減) |
経常利益(千円) |
155,116 |
115,851 (前年比 120.5%) |
△39,264千円 (25.3%減) |
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「第2 事業の状況 2事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析について
当社の当事業年度のキャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち、主なものは販売費及び一般管理費の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、有形固定資産及び無形固定資産の取得によるものであります。
運転資金の調達については、営業活動による現金収入を主としており、投資資金は借入金及び自己資金により賄っています。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社が高品質なサービスを継続的に提供していくために、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。また、当社を取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります。
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