文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により世界規模で経済活動の大幅な制限を強いられるなど、極めて厳しい状況にありました。日本国内でも継続的な感染対策が採られているものの、変異ウイルスの拡大懸念もあり、事態の収束時期は未だ予測できず、先行きの不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループでは、従来の主要サービスの提供形態であった集合型研修を大幅に改め、オンラインによる研修の実施へとサービス提供形態の変更を急速に進めました。これにより感染リスクへの懸念は大幅に低減し、集合研修における密集リスクを避ける観点の案件キャンセルや延期の発生はオンラインでのサービス提供の構築が出来ている状況下において軽微であり、業績は堅調に推移しました。withコロナ時代においても、当社グループが確立したオンライン実施のスタイルは、顧客ニーズにも合致し、今後も継続・拡大していくものと想定されます。
また、当社グループはこれまで、経営開発、人材開発、組織開発領域において満たされないニーズを持つ顧客企業に向けて、外部の著名なプロフェッショナルタレントをはじめ、新しいテクノロジーを有する企業・法人等、最適なリソースとの協業によって、顧客企業ごとにカスタマイズした独自の価値を提供し続けてまいりました。その結果、大企業や業界の最大手がメインとなる確固な顧客基盤を築いております。長年培ってきた顧客基盤に加えて、オンライン実施という環境に合わせたサービス提供形態との相乗効果により、当社グループの成長可能性は高まっていると認識しております。
当連結会計年度における、セグメント別の概要は以下のとおりです。
[人材開発・組織開発事業]
ⅰ ㈱セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte. Ltd.
当社を中心とした人材開発・組織開発事業においては、重要な大手顧客企業を中心に既存顧客の深耕を進めるとともに、セミナーやチャネル開発・連携から準大手企業を中心とした新規顧客の開拓も進めております。
当連結会計年度においては、昨年度(2021年3月期)に実施を見送られた階層別研修やミドルマネジメントの早期取り込み、アフターコロナを見据えた顧客側の様々な戦略投資ニーズに対し、テーラーメイド型の企画・実行支援の構築が可能なセルムの強みが合致し、業績が堅調に推移しました。
加えて、案件のオンライン化により新たな成長機会が生まれております。プロフェッショナルタレントを交えた経営幹部層向けの個別メンタリングは、研修サービスから独立した形で実施されることが多く、受講者の対象層の拡大や当該対象者の所属する事業部門への派生取引に繋がるきっかけなっております。企業固有の課題の重要性が増す経営層、ミドル層まで幅広く対応できる当社にとって経営幹部向けのオンラインを活用した個別メンタリングは、持続的な案件獲得プロセスの一翼を担う位置づけとなっております。
この結果、売上高は5,471,836千円(前連結会計年度比44.6%増)となりました。
ⅱ ㈱ファーストキャリア(内定者から入社5年目までの若手ビジネスパーソン向け)
㈱ファーストキャリアにおいても人材開発・組織開発事業と同様、昨年度(2021年3月期)に実施を見送った年次別研修等の今年度の復活等の影響もあり、業績は堅調に推移しました。特に若手を対象とした新たなカフェテリア研修(選択型の必須研修)の増加、役職者手前までの中堅層(階層別研修の狭間層)を対象とした研修の増加、本領域における新規事業である越境型リーダーシップ研修であるTEX(True Experience)の増加を要因とし、2020年3月期に記録した過去最高の売上高を当連結会計年度に更新しております。
本領域における売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)は948,238千円(前連結会計年度比25.7%増)となりました。
[その他事業]
幼児向け英語教育事業であるRISE Japan㈱は、新型コロナウイルス感染症に左右される事業運営環境下にて、大きな制限を受けながらスクールの運営をしてまいりました。代官山校では感染防止対策を大前提としたクラス作りはもちろん、スクールのマネジメントの体制刷新や、RISEオリジナルカリキュラムの構築を行うだけでなく、保護者向けセミナー、Summer School、イベントの多様化など、他スクールとの差別化に努めてまいりました。新たに世田谷校のオープンを今年度に実施した一方、「人が集まる事業」への風向きが厳しい状況は年間を通して継続しました。
この結果、売上高は51,820千円(前連結会計年度比8.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は6,471,894千円(前連結会計年度比40.6%増)となりました。
売上総利益は3,340,522千円(前連結会計年度比37.8%増)となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっています。
販売費及び一般管理費は2,611,267千円(前連結会計年度比24.6%増)となりました。主な内訳は、給料手当等の人件費です。この結果、営業利益は729,254千円(前連結会計年度比121.5%増)となりました。
営業外収益は、7,350千円(前連結会計年度比86.5%減)となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金です。営業外費用は、38,988千円(前連結会計年度比1.1%減)となりました。主な内訳は、株式交付費と上場関連費用です。この結果、経常利益は697,616千円(前連結会計年度比102.6%増)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は373,542千円(前連結会計年度比152.0%増)となりました。
②財政状態の状況
(ⅰ) 資産の部
当連結会計年度末の総資産は6,004,974千円(前連結会計年度末比2,060,479千円増)となりました。
(流動資産)
流動資産は3,616,918千円(同2,145,936千円増)となりました。これは、主に現金及び預金が2,005,569千円、売掛金が133,385千円増加したためです。
(固定資産)
固定資産は 2,388,055 千円(同 85,456 千円減)となりました。これは、主に繰延税金資産が 66,900 千円増加した一方で、無形固定資産ののれんを 188,227 千円償却し減少したためです。
(ⅱ)負債の部
当連結会計年度末の負債合計は2,069,003千円(同91,442千円減)となりました。
(流動負債)
流動負債は1,706,422千円(同142,502千円増)となりました。これは、主に未払金が185,660千円、未払法人税等が214,426千円増加、その他流動負債が162,931千円増加した一方で、短期借入金が490,000千円減少したためです。
(固定負債)
固定負債は362,580千円(同233,945千円減)となりました。これは、主に長期借入金の流動負債への振替により242,976千円減少したためです。
(ⅲ)純資産の部
当連結会計年度末の純資産は3,935,971千円(同2,151,922千円増)となりました。これは、主に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場への上場に伴う公募増資により1,395,456千円、第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)により324,075千円の資金調達を行い、資本金及び資本剰余金が増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益373,542千円により利益剰余金が増加したためです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,005,569千円増加し、2,933,188千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動により獲得した資金は1,106,667千円(前連結会計年度は360,339千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益697,616千円によるものです。
当連結会計年度末における投資活動により使用した資金は20,895千円(前連結会計年度は30,395千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出19,999千円によるものです。
当連結会計年度末における財務活動により獲得した資金は908,414千円(前連結会計年度は75,332千円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入が1,710,932千円あったのに対して、短期借入金及び長期借入金の返済による支出が918,861千円あったことによるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績の分析は、次のとおりであります。
(売上高)
売上高は、6,471,894千円と前年同期に比べて1,868,453千円の増加となりました。これは、長年培ってきた顧客基盤に加えて、オンライン実施という環境に合わせたサービス提供形態との相乗効果により、業績が堅調に推移したことによるものです。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は、3,131,372千円と前年同期に比べて952,322千円の増加となりました。売上原価の大部分は外部のプロフェッショナルタレントへの支払金額となっており、売上高の増加に伴い売上原価も増加しました。この結果、売上総利益は3,340,522千円となり、前年同期に比べて916,130千円増加しました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
販売費及び一般管理費は、2,611,267千円と前年同期に比べて516,159千円の増加となりました。これは人件費等の増加にくわえ、今後の事業拡大に向けた投資を行ったことにより、支払手数料が増加したことによるものです。この結果、営業利益は729,254千円となり、前年同期と比べて399,971千円の増加となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は、7,350千円と前年同期に比べて47,179千円減少となりました。主な内訳は、顧客都合により案件がキャンセルとなった場合等に発生する受取補償金です。営業外費用は、38,988千円と前年同期に比べて444千円減少となりました。主な内訳は、株式交付費と上場関連費用です。この結果、経常利益は697,616千円となり、前年同期と比べて353,235千円の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は373,542千円となり、前年同期と比べて225,300千円の増加となりました。
なお、当社グループは持続的な成長を図るためには、健全な収益水準を意識すべきと考えております。当該指標としている連結EBITDAは945,504千円(前連結会計年度比73.0%増)となりました。適切な収益性を投資家と共有することで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、借入金の返済、法人税の支払等であります。その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
④経営成績等に重要な影響を与える要因
経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご覧ください。
⑤経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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