事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社のリスクマネジメントは、常勤取締役等を委員とするリスク・コンプライアンス委員会を中心に運用しており、委員会は定期(年4回)及び必要に応じて臨時に開催しております。リスクの洗い出し・評価・モニタリング対象ならびに予防対策と発生時対策を委員会で決定し、毎年度取締役会で決議しております。その上で、モニタリング対象については責任部署を決めて対応をしております。また、定期開催の委員会の内容については、取締役会に年4回報告、協議されております。

 

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、以下の記載は当社グループ株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。

 なお、文中における将来に関する事項、発生可能性・影響度は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)  事業環境

 当社グループの業績は、国内外の経済情勢や景気動向に影響されます。景気の減速等により顧客企業の人材開発予算が削減される場合、当社グループの人材開発・組織開発事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:顧客ポートフォリオの多様化、個社予算状況の確認等)

 

(2)  競合

 人材開発・組織開発事業については、経営コンサルティングファーム、研修企業等多数の企業が存在する業界であります。政府が掲げる働き方改革、人づくり革命等の追い風もあり、より一層参入企業が増え、競争が激化する可能性があります。当社グループの競争力の源泉としている、顧客企業及びプロフェッショナルタレントとのパートナーシップによるサービス提供において、当社グループの強みの源泉であるビジネスモデルの優位性が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:高/影響度:中/対応策:顧客とのパートナーシップの強化、競合他社の動向確認等)

 

(3)   少数の取引先への依存

 当社グループ顧客企業には大手日本企業が多く、第6期連結会計年度において取引額上位20%の顧客企業との取引が当社グループの売上高の70%超を占めております。取引額上位20%の顧客企業との取引が、何らかの事情により減少した場合、将来的に特定の顧客への依存を回避するよう顧客企業の対象の拡大を図っているものの、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:高/影響度:大/対応策:取引額上位顧客の変化確認等)

 

(4)  法的規制

 当社グループの事業のなかには、「職業安定法」、「児童福祉法」及び関連する各種法令により規制を受けている事業があります。当社においては、職業安定法の規定により厚生労働大臣の許可を受けており、現時点において、許可が取り消しになる事由は発生しておりませんが、将来何らかの事由により許可の取り消しや更新が認められない場合、関連法律の改廃や厚生労働省からの通達等によっては、当社グループの事業活動が制約を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、子会社のRISE Japan㈱においては、「児童福祉法」のもとで東京都に対する認可外保育施設の届出により保育事業を運営しております。今後、当該法律の改廃や制度変更等があった場合、その内容によっては保育事業の運営や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低/影響度:大/対応策:法改正等情報の早期収集等)

 

 

 

許認可等

の名称

所管

許認可等

の内容

有効期間

取消事由等

㈱セルム

有料職業

紹介事業

許可

厚生労働

大臣

13-ユ-

312455

2023年9月

30日まで

法人であって、その役員のうちに、禁錮以上の刑に処せられている、成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの等に該当する者がある場合等。

(職業安定法第32条の9)

RISE Japan㈱

認可外保育

施設届出

東京都

認可外保育

施設

※運営状況を報告し、基準を満たす旨の証明書を受領しております。

要綱第10条の勧告に従わず、かつ、当該施設の設備又は運営要綱第11条第1項の各号のいずれかに該当する場合には、児童福祉法第59条第5項の規定により児童福祉審議会の意見を聞いて、その事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる。

(認可外保育施設に対する指導監督要綱第11条)

 

 

(5)   カントリーリスク

 当社グループは、中国やシンガポール等アジア諸国においても事業を展開しております。この海外事業においては、政治・経済情勢、法規制、税制、文化・慣習等の日本との差異ならびに日本との関係等様々な要因により、当社グループが想定している事業展開ができずに業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低/影響度:中/対応策:外国現地情報の収集等)

 

(6)   組織体制

 今後の更なる企業価値の向上のため、人材の確保が重要と認識しております。しかし、人材の確保が想定通り進まない場合や、優秀人材の社外流出等が発生した場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼし、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、社員の育成が想定以上に遅れた場合には、上記同様に当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:処遇や働き方の改善、育成の拡充等)

 

(7)   事業の季節変動

 当社グループの売上の大半を占める人材開発・組織開発事業においては、当社子会社の㈱ファーストキャリアが手がける新人研修の実施時期が4-5月、当社の中心である経営塾、リーダー研修、マネジメント研修の実施時期が秋季に集中する傾向があります。従いまして、グループ連結業績においては、第2・第3四半期の売上及び利益が高く、第1・第4四半期が低くなる傾向にあります。(発生可能性:高/影響度:小/対応策:偏重状況の予測とモニタリング等)

 

(8)   情報セキュリティ

 当社グループは事業活動に際し、研修受講生等の個人情報ならびに顧客企業等の機密情報を保有する場合があります。個人情報の取扱いについては、日本においては「個人情報の保護に関する法律」が適用され、諸外国においては、GDPR(EU一般データ保護規則)や当該国の個人情報に関する法律が適用されます。これらの情報を適切に取り扱うために、各種規程や社内教育、コンピューターウイルスやハッカー等に備える各種セキュリティ対策を通じて、情報漏洩の防止に取り組んでおります。しかしながら、悪意や過失等による各種情報の漏洩・消去の可能性があることは否めません。このような事態が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用を失う等により、当社グループの業績のみならず事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:情報セキュリティ教育、業務フローの改善、情報管理の徹底と内部監査等によるチェック等)

 

(9)   プロフェッショナルタレントの不祥事・風評等

 プロフェッショナルタレントが当社との取引以外の活動で不祥事を起こしたり、巻き込まれたり、その風評が立った場合、あるいは登壇中に不適切な言動をして顧客からのクレームになる場合等には、当社グループは該当プロフェッショナルタレントへ依頼業務の中止、顧客との取引停止、取引額の減額等の措置が必要となる場合があり、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:小/影響度:低/対応策:プロフェッショナルタレントへの注意喚起等)

 

(10)   多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触

 当社グループは、LBOスキームにより㈱セルムグループHDの株主から株式を取得した際の資金について、金融機関等を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入れを行っており、第6期連結会計年度末の総資産額に占める有利子負債残高9.1%となっております。当該借入金の大部分は、元本が変動金利となっているため、市場金利が上昇する場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが締結している借入契約の中には、財務制限条項が付されているものがあります。「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)」に記載のとおり財務制限条項については、純資産維持及び利益維持に関する数値基準が設けられており、これに抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となります。万が一何らかの事象によって当該財務制限条項への抵触が生じる場合は、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入についても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低/影響度:大/対応策:下記)

当社グループでは、上記の金融機関からの多額の借入に関係した、金利上昇に係るリスクと財務制限条項への抵触による債務の弁済リスクに対応するため、主に以下の取り組みを実施しております。

①収益性を重視した戦略立案と経営管理

当社グループでは、資産維持及び利益維持に関する数値基準が設けられている財務制限条項の抵触を回避するため、収益性を重視した戦略立案と経営管理を行っております。具体的には、顧客企業から得た信頼を基盤に構築したパートナーシップを軸に、人事部門以外の他部門及びグループ会社への展開並びに新規顧客企業の開拓を進め、取引金額の拡大や顧客企業ごとに大型の取引へ成長するかの個別精査や受注確度の評価を実施しております。

②財務バランスを意識した資金計画の立案と実行

当社グループにおける主な資金需要は、プロフェッショナルタレントへの支払い等の運転資金であります。財務バランスを悪化させるような不必要な追加借入を発生させないため、営業活動によるキャッシュ・フローの実績等を参考にした資金計画を立案し実行しております。

③金利条件及び財務制限条項に係る金融機関との交渉の継続

 多額の借入金が計上されていることを踏まえ、当社グループでは、金融機関との金利条件及び財務制限条項に係る交渉を継続的に実施してきております。具体的には、LBOスキームの執行時に付された財務制限条項の見直し交渉により、金利条件及び財務制限条項の条件の良化を実現しました。今後も当該リスクのさらなる低減に向けて、引き続き、金融機関との交渉に努めてまいります。

 

(11)   のれんの減損リスク

当社グループは、「第1 企業の概況 (はじめに)」に記載したとおり、㈱セルムグループ・ホールディングスの株式をMBOにより取得しており、第6期連結会計年度末現在において、のれんを1,788,165千円計上しております。当該のれんについて将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、のれんの対象となる事業の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、仮に将来キャッシュ・フローの見積額が43.3%減少した場合、減損の認識が必要となり、減損損失が発生する可能性があります。(発生可能性:低/影響度:大/対応策:下記)

当社グループでは、のれんの減損に係るリスクを逓減するため、事業の収益力強化に努めております。前述の「(10)多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触 ①収益性を重視した戦略立案と経営管理」及び「第2  事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営戦略等、経営重点テーマ」にて記載したとおり、当社グループは、顧客企業とのパートナーシップの構築を軸としております。これにより、人事部門以外の他部門及びグループ会社への展開並びに新規顧客企業の開拓を進め、取引の拡大を進めております。今後も、顧客企業から得た信頼を基盤に、引き続き、売上高の拡大及び利益率の向上に努める方針です。その為、回収可能価額が事業価値の帳簿価額を十分に上回ることが想定され、減損の可能性は低いと考えております。

 

(12)  新事業の創造に関する包括的なリスク

当社グループは、人材開発・組織開発事業が中核となっておりますが、今後の更なる成長のため、当社グループの事業領域に関連するテクノロジーの活用(HRテック)や人材採用支援事業、及び人生100年時代を見据えた、個人の市場価値向上に寄与する能力開発事業を育成しているところです。当社グループは、これまでもこれからも、社会課題を背景とした経営課題や、人材・組織課題を解決する新たなサービスの開発と新たな市場を創造していく方針です。

以上の取り組みに際しては、費用対効果を適切に管理しながら進めております。しかし、これらの事業が想定通りに成長しなかった場合、中長期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:中/対応策:モニタリング等)

 

(13) CVC事業に関する包括的リスク

当社グループにおける、オープンイノベーションの実践と収益機会の多様化に資する事業の開発を目的に、アリストテレスパートナーズ㈱を無限責任組合員とするHRテック投資事業有限責任組合を運営いたしております。投資方針は、スタートアップやアーリー、ミドルステージの会社を中心に、顧客企業の人材開発や活性化、組織マネジメントの効率化や生産性の向上に繋がる新しいテクノロジーや知財・人材を有する国内外のHRテックベンチャー企業へ、マイノリティ投資を前提に成長支援しております。しかしながら、投資実行において、事前に想定されなかった事象が発生した場合、又は投資先の株式価値が著しく低下した場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:中/対応策:モニタリング、定例取締役会への報告等)

 

(14)  自然災害、テロ等有事

大地震、台風、津波等の自然災害や、テロ、国際紛争等の有事及び現在においても業績に影響を及ぼしている「新型コロナウイルス」等の感染症の拡大が発生した場合、研修の中止や延期等サービス提供ができなくなり、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:対策本部組成や災害対策の更新等)

 

(15) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大

新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は、現在、経済活動が緩やかな回復の兆しにあるものの、感染再拡大の懸念もあり景気の先行きは不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社グループにおいては、案件のオンライン化を進めることで、当社グループの事業活動に対する影響を最小限に抑えるための施策を行っております。しかしながら、今後、新たなる感染拡大により、顧客の企業活動が停滞した場合、または、予期できない経済または社会活動の行動変容が起こった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:高/影響度:大/対応策:集合研修のオンライン対応、テレワーク、感染対策(講師、社員)、子会社の運営の影響等)

 

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