業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により長期化の様相を呈しており、社会経済活動の抑制が継続するなど、依然として厳しい状況にあります。そうした中ワクチン接種の普及や各種政策の効果などにより回復への期待が高まってきておりますが、感染力の強いオミクロン株が出現、拡大してきており、いまだに収束は見通せず、先行き不透明な状況が続いております。世界経済におきましては、新型コロナウイルス感染症が収束しては拡大するといったサイクルを繰り返しており、社会経済活動の制限解除が暗礁に乗り上げる形となっており、先行きに対する不透明感を拭えない状況が続いております。

靴流通業界におきましては、テレワークの普及や外出自粛を余儀なくされたことなどにより、コロナ禍における新しいライフスタイルが定着してきており、消費動向も「モノ」から「コト」へと変化してきております。その影響から、街中への人出はあるものの実店舗での売上が落ち込み、オンラインショップ・EC市場における売上が引き続き増加の傾向となっております。商品動向としましては、スニーカーを中心としたスポーツシューズやウォーキングシューズを中心としたカジュアルシューズが依然として需要の多い状況が続いており、紳士靴・婦人靴については苦戦を強いられております。

このような状況のもと、当社は紳士靴・婦人靴・その他のすべての分野において苦戦を強いられ、掲げてきた目標を達成することはできませんでした。しかしながら在庫につきましては前年から削減することができ、次年度に好スタートが切れるよう、環境を整備することができました。

その結果、 当事業年度の売上高は 63 38 百万円(前年同期比 5.8 %減)と前事業年度を下回り、売上総利益につきましても 16 14 百万円(前年同期比 6.6 %減)と前事業年度を下回りました。営業損益につきましては販売費及び一般管理費を 18 48 百万円(前年同期比 7.2 %減)と前事業年度よりも削減することはでき、2億 33 百万円の営業損失(前年同期は営業損失2億 62 百万円)と前事業年度を上回りましたが、黒字化することはできませんでした。

経常損益につきましては、 昨年を上回る雇用調整助成金の計上はあったものの、数字を好転させることはできず、1億 11 百万円の経常損失(前年同期は経常損失1億 43 百万円)となりました。当期純損益につきましても前年同期を上回る投資有価証券評価損を計上した影響から、2億 17 百万円の当期純損失(前年同期は当期純損失1億 92 百万円)となり、前事業年度を下回る結果となりました。

 

当社は、シューズ事業の単一セグメントでありますが、単一セグメントの品目別の売上状況は、次のとおりであります。

 

婦人靴

婦人靴につきましては、主にパンプス類や定番カジュアルシューズがコロナ禍での生活様式の変化もあり、大変苦戦しました。ライセンスブランドでは、「earth music&ecology(アースミュージック&エコロジー)」が伸長しました。その他、インフルエンサーコラボ商品が健闘しました。

用途別では、前事業年度に比べ、カジュアル類は15.0%、パンプス類は4.0%減少しましたが、ブーツ類が16.2%、サンダル類が12.2%増加しました。販売単価は上昇(前年同期比0.7%増)しましたが、販売足数の減少(前年同期比0.9%減)により、売上高は38億18百万円(前年同期比0.2%減)となりました。

 

紳士靴

紳士靴につきましては、 お取引先様ODM商品を含め、定番商品のビジネスシューズ、カジュアルシューズともに苦戦しました。 ライセンスブランドでは、「 CAPTAIN STAG (キャプテンスタッグ)」「 KenCollection (ケンコレクション)」が苦戦しました。

販売単価は上昇(前年同期比1.4%増)しましたが、販売足数の減少(前年同期比26.8%減)により、売上高は10億59百万円(前年同期比25.8%減)となりました。

ゴム・スニーカー・その他

ゴム・スニーカー・その他の売上高は、子供靴のライセンスブランド「 ALGY (アルジー)」とスニーカーの受注は増加しましたが、その他の受注が減少したことにより 14 61 百万円(前年同期比 0.9 %減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、前事業年度末に比べ1.7%減少し43億51百万円となりました。これは、主に現金及び預金が4億15百万円、電子記録債権が70百万円及び有価証券が50百万円増加した一方で、売掛金が6億28百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べ12.8%減少し20億59百万円となりました。これは、主に投資その他の資産の投資有価証券が2億50百万円及び差入保証金が26百万円減少したこと等によるものであります。この結果、資産合計は、前事業年度末に比べ5.5%減少し64億11百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前事業年度末に比べ12.0%減少し11億76百万円となりました。これは、主に買掛金が16百万円増加した一方で、支払手形が2億6百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前事業年度末比100%の5億78百万円となりました。この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ8.4%減少し17億54百万円となりました。

 

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べ4.4%減少し46億56百万円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金が55百万円増加した一方で、繰越利益剰余金が2億75百万円減少したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが1億54百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが2億77百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが59百万円の支出となり、この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)残高は、前事業年度末に比べ3億72百万円増加し、19億85百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動による資金の増加は1億54百万円(前年同期は3億71百万円の資金の増加)となりました。これは、主に税引前当期純損失の計上2億12百万円及び仕入債務の減少額1億90百万円等の減少要因があった一方で、売上債権の減少額5億74百万円等の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動による資金の増加は2億77百万円(前年同期は4億28百万円の資金の増加)となりました。これは、主に投資有価証券の売却による収入1億25百万円及び投資有価証券の償還による収入1億60百万円等の増加要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動による資金の減少は59百万円(前年同期は1億82百万円の資金の減少)となりました。これは、主に配当金の支払額57百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

販売実績

当社の事業は単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、品目別の販売実績は次のとおりであります。

 

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

婦人靴

3,818,122

99.8

紳士靴

1,059,025

74.2

ゴム・スニーカー・その他

1,461,781

99.1

合計

6,338,928

94.2

 

(注) 1  当社では受注生産を行っていないので、生産及び受注の実績については記載しておりません。

2  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自  2019年12月21日

至  2020年12月20日)

当事業年度

(自  2020年12月21日

至  2021年12月20日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社チヨダ

1,685,248

25.0

1,409,780

22.2

株式会社しまむら

1,441,058

21.4

1,642,304

25.9

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

特に以下の重要な会計方針が、当社の財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a. 投資有価証券の減損

投資有価証券の評価は、決算日の市場価格等に基づき、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。

なお、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行っております。

 

b. たな卸資産の評価基準

たな卸資産の評価につきまして、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、事業年度末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額は、四半期ごとの平均販売単価を市場価格として決定しております。

また、長期滞留のたな卸資産については、過去の販売実績等を勘案した商品としての販売可能性を検討した上で、現時点において通常品としての販売が見込まれず収益性の低下が見込まれる在庫について処分見込み価額での評価を行っております。

なお、サンダル、ブーツ等季節性の高い商品につきましては、シーズン終了時点で、過去の販売実績等を勘案して翌シーズンの販売可能性を検討した上で、処分見込み価額での評価を行っております。

今後の顧客ニーズの変化、新型コロナウイルス感染症の拡大や市場環境の悪化等により将来の正味売却価額が著しく下落した場合には、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

c. 固定資産の減損

当社は、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、回収可能価額まで減損損失を計上しております。将来、新たに固定資産の収益性が低下した場合、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

d. 貸倒引当金

当社は、債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により貸倒引当金を計上しております。ただし、貸倒懸念債権等特定債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。また、これらの債権の回収可能性を検討するにあたっては、各相手先の業績、財務状況などを考慮して個別に信用状況を判断しておりますが、相手先の財政状態が悪化した場合は貸倒引当金を積み増すことがあります。

 

e. 繰延税金資産

当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込み額を計上することとしております。繰延税金資産の回収見込み額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の計上により利益が変動する可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 

当事業年度における売上高は63億38百万円(前年同期比5.8%減)、営業損失は2億33百万円(前年同期は営業損失2億62百万円)、経常損失は1億11百万円(前年同期は経常利益1億43百万円)、当期純損失は2億17百万円(前年同期は当期純損失1億92百万円)となりました。

(売上高)

商品別売上高は、婦人靴は販売単価の上昇(前年同期比0.7%増)はありますが、販売足数の減少(前年同期比0.9%減)により、前事業年度に比べ8百万円減少(前年同期比0.2%減)となりました。その結果、婦人靴の売上高は38億18百万円となりました。紳士靴は販売単価の上昇(前年同期比1.4%増)はありますが、販売足数の減少(前年同期比26.8%減)により、前事業年度に比べ3億67百万円減少(前年同期比25.8%減)となりました。その結果、紳士靴の売上高は10億59百万円となりました。ゴム・スニーカー・その他は、販売足数の増加はありましたが、販売単価の下落(前年同期比24.1%減)により、前事業年度に比べ12百万円減少(前年同期比0.9%減)となりました。その結果、ゴム・スニーカー・その他の売上高は14億61百万円となりました。

(売上原価、売上総利益)

売上原価につきましては、売上高の減少に伴い前事業年度に比べ2億75百万円減少し、47億24百万円となりました。売上高が前事業年度に比べ5.8%減少したことにより、売上総利益は前事業年度に比べ1億13百万円減少(前年同期比6.6%減)となりました。その結果、売上総利益は16億14百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損益)

販売費及び一般管理費につきましては、18億48百万円となり、前事業年度に比べ1億42百万円減少(前年同期比7.2%減)となりました。従業員給料及び手当等の人件費の減少と、運送費及び保管費、支払手数料等が減少したことによるものであります。売上総利益が1億13百万円減少しましたが、販売費及び一般管理費が1億42百万円減少したことにより、営業損益は、前事業年度に比べ損失額は減少し、営業損失2億33百万円となりました。

(営業外損益、経常損益)

営業外損益につきましては、1億21百万円となりました。営業外費用が35百万円と前事業年度並みとなりました。営業外収益は、投資事業組合運用益が前事業年度に比べ19百万円減少しましたが、雇用調整助成金が前事業年度に比べ24百万円増加したことにより、前事業年度に比べ2百万円増加し1億57百万円となりました。その結果、経常損失は1億11百万円となりました。

(当期純損益)

当期純損益につきましては、投資有価証券売却益6百万円はありましたが、投資有価証券評価損1億7百万円の計上により、前事業年度に比べ損失額は増加し、2億17百万円の当期純損失となりました。

 

③ 経営戦略の現状と見通し

当社では、安定した経営基盤を維持していくために、既存事業の見直しを進めております。特に販売不振な商品の速やかな入れ替え、見直しが急務となっております。価格訴求に偏らず、お客様に喜んでいただける新商品の開発、新サービスの提供に邁進してまいります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社の主な資金需要は、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等であります。資金の源泉は、主に営業活動によるキャッシュ・フローに伴う収入と銀行借入によるものです。

当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、さまざまな事象や状況が存在しておりますが、今後新たなリスクとなる可能性のある事象をいかに素早く察知し、対応していくかが重要であると認識しております。わが国の経済状況や当社を取り巻く事業環境等を常に注視し、迅速に対応するための危機管理体制を構築してまいります。

 

⑥ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策

当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。当該状況を解消するために「レマックリバイバルプラン」を改訂し、2022年度からの新中期3ヵ年計画の2年目である2023年度での営業損益の黒字化を目指すため、以下のプランに取り組んでまいります。それに加えてお客様の「新しい日常」に喜ばれる商品やサービスは何か?という新たな課題にも取り組み、計画を実行してまいります。

a.ライフスタイルのカジュアル化やファッションのダイバーシティ化に対応するオリジナルブランドの

絞り込みと強化を行う

b.発注管理の徹底による在庫削減、及び商品回転率の向上と物流コストの削減を行う

c.品質管理体制の見直し、ローカル化することで精度向上と効率化を図る

d.働き方改革による一人当たりの生産性の向上のために異業種へのアプローチを強化、新たな市場の

創造・開拓などを管理職を始めとする全社員の意識改革を行う

 

 

⑦ 目標とする経営指標について

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、収益性及び企業価値向上の観点から、売上高営業利益率2.0%、自己資本比率55.0%を中長期的な目標として掲げておりましたが、5期連続の営業損失及び4期連続の当期純損失を計上していることから、黒字化に向けての財務目標として、2022年度から始まる新中期3ヶ年計画におきまして、売上高66億円、営業利益90百万円、当期純利益1億50百万円を最終目標として掲げており、それらに加え、自己資本比率55.0%を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等にしております。達成状況に関しましては、2022年度からの記載となります。

なお当事業年度の売上高営業利益率及び自己資本比率の実績は、下表のとおり、自己資本比率につきましては目標を達成いたしましたが、売上高営業利益につきましては新型コロナウイルス感染症の拡大・長期化により社会経済活動の抑制が続いた影響などもあり、達成することができませんでした。

(単位:千円)

 

前事業年度

(2020年12月20日)

当事業年度

(2021年12月20日)

前年同期比

売上高

6,728,159

6,338,928

5.8%減

営業利益

△262,788

△233,603

-

売上高営業利益率(%)

-

-

-

自己資本比率(%)

71.8

72.6

0.8ポイントUP

 

 

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