業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの新規感染者が減少傾向となり、社会活動の制限が緩和されるなど、回復傾向にあったものの、新型コロナウイルスの新変異株が発見されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループは医薬品や日用品などを扱う事業者として、事業の継続を求められており、必要な商品を安定的に供給するという変わらぬ使命のもと、人々の生命と暮らしを支えるべく、総力を挙げて取り組んでおります。

当社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新しい卸の形をめざし、社会環境の変化を見据えたビジョン0102010_002.pngに沿ったさまざまな取組みを展開するとともに、持続可能な社会の実現に向け、流通における環境負荷の軽減などに取り組んでまいりました。

 

ア. パートナーシップの構築

 2021年6月、当社連結対象の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)は、薬局及びドラッグストアを営む株式会社ツルハ(札幌市東区)と、また同年10月には株式会社マツキヨココカラ&カンパニー(東京都文京区)と、持続可能な社会を実現するための新たな医薬品流通最適化モデルの構築に向けた取組みを開始いたしました。

 医療機器、医療IT、再生医療分野における複数の有望なベンチャー企業に対して、当社、及びSBIインベストメント株式会社(東京都港区)と共同で設立したMEDIPAL Innovation 投資事業有限責任組合を通じて出資を行いました。

 2021年12月、食品・物資・繊維・電子という幅広い分野の事業を営む神栄株式会社(神戸市中央区、以下、神栄という)の第三者割当増資を引き受け、資本業務提携を行いました。株式会社メディセオと神栄の子会社である神栄テクノロジー株式会社(神戸市中央区)は、医療用医薬品等の温度管理に対応するロガーの共同開発を進めております。今後は、さらに機能拡張を図り、製薬企業から患者さんに至るまでの高精度なトレーサビリティを実現してまいります。

 2022年3月、H.U.グループホールディングス株式会社(東京都新宿区)と、医療・ヘルスケア領域における物流合弁会社の設立に関する合弁基本契約を締結し、同年4月に、株式会社メディスケット(埼玉県三郷市、以下、メディスケットという)を設立いたしました。両社は、メディスケットを通じ、医薬品・検査資材等の供給と臨床・治験・研究等の検体の集荷を最適化することに加え、GDPガイドライン※1に準拠した高品質な物流サービスを提供することによりさまざまなヘルスケアに関わる企業の参画を促進してまいります。

 

イ. 新規事業の拡大

 2021年5月、当社連結対象の完全子会社であるSPLine株式会社(東京都中央区)は、JCRファーマ株式会社(兵庫県芦屋市)が同年3月に製造販売承認を取得した遺伝子組換えムコ多糖症 Ⅱ型治療剤「イズカーゴ点滴静注用10mg」について流通業務を受託いたしました。

 2021年12月、再生医療ベンチャーの株式会社サイフューズ(東京都文京区)が行っている開発プロジェクトに対し開発投資を行いました。

 

ウ. 経営基盤強化とESG

政策保有株式の保有については、その目的と経済合理性を鑑みて18銘柄の売却を行いました。今後も資本生産性の向上に向けて保有の可否について検討してまいります。

また、株式会社メディセオは、日本貨物鉄道株式会社(東京都渋谷区)、日本フレートライナー株式会社(東京都千代田区)、日本石油輸送株式会社(東京都品川区)との4社共同のプロジェクトにおいて、物流センター間の医薬品移送のモーダルシフト※2に取り組んでおります。2021年6月、その取組みが一般社団法人日本物流団体連合会主催の第22回物流環境大賞で「低炭素物流推進賞」を受賞いたしました。さらに、同年12月に国土交通省・経済産業省・一般社団法人日本物流団体連合会・公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会が主催する「第20回グリーン物流パートナーシップ会議」の優良事業者表彰で「特別賞」を受賞いたしました。

 

2022年3月、当社及び当社連結対象の子会社である7社(株式会社メディセオ、株式会社エバルス、株式会社アトル、株式会社MMコーポレーション、株式会社PALTAC、MPアグロ株式会社、メディパルフーズ株式会社)は、健康経営に関する各種の取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度※3の大規模法人部門において「健康経営優良法人2022」に認定されました。

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同年3月、株式会社メディセオは、厚生労働大臣から女性活躍推進の優良企業として評価され、「えるぼし認定※4(3つ星)」を取得いたしました。

メディパルグループは、今後も健康経営、女性活躍推進に取り組み、働きやすい環境づくりを進め、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。

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当連結会計年度における経営成績は、売上高3兆2,909億21百万円、営業利益456億24百万円、経常利益620億46百万円、特別損失に独占禁止法関連損失引当金繰入額等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益294億23百万円となりました。

当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

「収益認識に関する会計基準」等を適用しなかった場合の数値は、売上高3兆3,226億38百万円(前期比3.5%増)、営業利益455億9百万円(前期比18.0%増)、経常利益619億30百万円(前期比16.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益293億53百万円(前期比22.7%増)となります。

 

[用語解説]

※1 GDPガイドライン(Good Distribution Practice=医薬品の適正流通)とは、流通経路(仕入・保管・供

   給)の管理が保証され、医薬品の完全性が保持されるための手法、さらに、偽造医薬品の正規流通経路への

   流入を防止するための適切な手法を定めたものであります。

※2 モーダルシフトとは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へ

   と転換することであります。

※3 健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組みや日本健康会議が進める健康増進の取組み

   をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度であります。

※4 えるぼし認定とは、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)に基づいた行

   動計画の策定・届出を行い、女性の活躍推進に関する取組みの実施状況などが優良な企業が受けられる制度

   であります。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

医療用医薬品等卸売事業

医療用医薬品等の市場は、薬価の引き下げや、新型コロナウイルス感染症の流行による影響はあったものの、受診抑制などが徐々に回復したことで、前年同期と比べ伸長いたしました。

このような状況の中、本事業では、人々の安全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限発揮するためのさまざまな取組みを行ってまいりました。

高品質・高機能かつ災害対策を施したALC※1は、厳格な温度管理が必要な再生医療等製品などを安全・安心にお届けするために、超低温を含む全温度帯に対応できる物流プラットフォームを構築しております。これらの技術やノウハウは、当社グループが担っている新型コロナウイルスワクチンの保管・配送にも活かされております。

また、医療従事者の業務効率化と、接触機会の減少による新型コロナウイルス感染リスクの軽減を目的に「個口スキャン検品※2」の導入を進めました。

営業面の強化については、MR認定試験合格者をAR※3として任命し、高い専門知識とスキルを活かした情報提供活動に取り組んでおります。また、コロナ禍で医療機関等への訪問規制がある中、オンラインを活用した営業活動を推進してまいりました。さらに、医療情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」を活用した最新の医療情報の提供やWEB講演会の実施も継続して行っております。今後も引き続きリアルとデジタルを融合させた営業活動を展開し、適正な医薬品の情報提供及び収集に努めてまいります。

売上高については、新型コロナウイルス感染症関連の臨床検査試薬等の需要が増加したことや、調剤薬局市場において、新たな医薬品流通最適化モデル構築に向けた取組みを協業で推進したことなどにより堅調に推移いたしました。

販管費については、持続的な成長に向けた構造改革の一環として、配送回数・発注の締め時間の見直しや人員の適正化により、前期比3.4%減少いたしました。

これらの結果、医療用医薬品等卸売事業における売上高は2兆1,770億2百万円、営業利益は166億16百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」等を適用しなかった場合の数値は、売上高は2兆2,074億19百万円(前期比4.5%増)、営業利益は165億8百万円(前期比56.9%増)となります。

 

[用語解説]

※1 ALC(Area Logistics Center)とは、医療用医薬品や医療材料などを扱う高機能物流センターで、

   主に調剤薬局、病院、診療所に商品を供給しております。

※2 個口スキャン検品とは、従来の伝票読み上げ方式から、納品箱単位でのバーコードスキャン方式に変更する

   ことで、検品時間を短縮する方法であります。

※3 AR(Assist Representatives)とは、MR認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や

   薬剤師などに付与した社内呼称であります。

 

化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業

化粧品・日用品、一般用医薬品の市場は、前年と比べて人の動きが活発化したことで、ドリンク剤や化粧品などの需要は一時的に回復の兆しを見せましたが、新型コロナウイルス感染状況が一進一退を繰り返す中、本格的な回復には至りませんでした。また、マスクや消毒液などの衛生関連品は、衛生意識の向上により消費は習慣化しているものの、急激に需要が拡大した前年と比較すると弱い需要となりました。一方で、気温の低下など冬らしい気候が長引いたこともあり、カイロをはじめとする冬物商材は好調に推移いたしました。

このような状況の中、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、従業員の安全を守ることが事業継続の要であるとの考えに立ち、引き続き、労働環境の整備や衛生管理を徹底し、当社の社会的役割である生活必需品の供給に努めております。また、中間流通機能の強化に向け、VAN事業や販促物一貫サポート、非食品と食品の一括物流などの新たな取り組みにも積極的に挑戦し、サプライチェーン全体を視野に連携・協働による最適化・効率化に向けた取り組みを進めております。

売上高については、小売業様の幅広いニーズに対応できるリテールソリューション※1機能の充実と、連携・協働による同機能の積極的な活用に注力いたしました。従前のマーチャンダイジングが通用しない環境下で、店頭の活きた情報や業界最大の流通情報を活用した売れ筋分析などによる鮮度の高い情報提供や、これまで取扱いがなかった商品群における新しいメーカー様との取引開始や環境配慮型の新規商品取扱いなど、商品提案の充実に努めました。

販管費については、庫内作業の生産性向上に継続して取り組むとともに、配送費上昇とホワイト物流※2への対応を同時に実現するため、さまざまな視点から配送の改善に努めました。

これらの結果、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上高は1兆457億35百万円、営業利益は259億21百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」等を適用しなかった場合の数値は、売上高は1兆466億89百万円(前期比1.3%増)、営業利益は259億8百万円(前期比1.7%増)となります。

 

[用語解説]

※1 リテールソリューションとは、「商品が生活者にわたる現場(店頭)」を起点にマーチャンダイジングや生産

   性向上など流通全体の幅広い課題を解決することであります。

※2 ホワイト物流とは、トラック運転者不足が深刻になっていることに対応し、国民生活や産業活動に必要な物流

   を安定的に確保するとともに、経済の成長に役立つことを目的とした「トラック輸送の生産性向上・物流の効

   率化」や「女性や60代の運転者等も働きやすい、よりホワイトな労働環境の実現」のことであります。

 

動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業

動物用医薬品の市楊は、巣ごもりの長期化により、コンパニオンアニマルの需要が高まったことや、動物用の治療薬の進歩による長寿化が進み、順調に伸長いたしました。

このような状況の中、当社連結対象の完全子会社であるMPアグロ株式会社(北海道北広島市)は、日本市場での自社企画品の普及・定着や、独自の動物病院向けWEB発注情報システム「MP+(エムピープラス)」の利用拡大により販売は堅調に推移いたしました。従来からの商品流通や情報提供だけに留まらず、流通機能とマーケティング機能を融合させた新しい営業モデルの構築に取り組んでおります。

食品加工原材料の市場は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、

スーパーなどで家庭用商品の需要が堅調に推移するとともに、ファストフードなど外食産業の一部でも持ち直しの動きが見られました。

このような状況の中、当社連結対象の完全子会社であるメディパルフーズ株式会社(札幌市中央区)は、全国展開の強みを活かした営業の推進や、お得意様の商品企画から流通に至るまでをトータルにサポートするなどの取組みで、新規取引が拡大し、販売が順調に推移いたしました。

これらの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業における売上高は718億58百万円、営業利益は26億87百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」等を適用しなかった場合の数値は、売上高722億5百万円(前期比4.4%増)、営業利益26億93百万円(前期比16.6%増)となります。

 

[用語解説]

 ※ コンパニオンアニマルとは、伴侶動物とも表現され、日常生活の中で人とより密接な関係を保つような動物を

   指しております。

 

(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は1兆7,094億74百万円となり、前連結会計年度末より295億39百万円増加いたしました。

 流動資産は1兆2,097億66百万円となり、前連結会計年度末より356億52百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加204億3百万円、受取手形及び売掛金の増加103億12百万円、商品及び製品の増加36億86百万円、返品資産(その他の流動資産)の増加83億77百万円によるものであります。

 固定資産は4,997億7百万円となり、前連結会計年度末より61億13百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産の増加27億85百万円、投資その他の資産の減少86億85百万円によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は1兆603億84百万円となり、前連結会計年度末より193億83百万円増加いたしました。

 流動負債は1兆88億16百万円となり、前連結会計年度より559億80百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加79億82百万円、1年内償還予定の新株予約権付社債の増加300億78百万円、未払法人税等の増加65億20百万円、返金負債(その他の流動負債)の増加90億10百万円によるものであります。

 固定負債は515億68百万円となり、前連結会計年度末より365億97百万円減少いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の減少302億28百万円によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は6,490億89百万円となり、前連結会計年度末より101億56百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加203億20百万円、その他有価証券評価差額金の減少129億49百万円、非支配株主持分の増加28億65百万円によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より204億3百万円増加し、当連結会計年度末には2,604億50百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、612億16百万円(前期比267億68百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が572億84百万円、減価償却費140億83百万円、独占禁止法関連損失引当金の増加34億79百万円、売上債権の増加102億83百万円、棚卸資産の増加37億39百万円、仕入債務の増加79億82百万円、法人税等の支払96億20百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、243億43百万円(前期比214億4百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出159億58百万円、無形固定資産の取得による支出29億19百万円、投資有価証券の取得による支出68億8百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、164億71百万円(前期比4億67百万円の増加)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出34億79百万円、配当金の支払111億95百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

医療用医薬品等卸売事業

2,177,002

化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業

1,045,735

動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業

71,858

3,294,596

調整額(セグメント間消去)

△3,675

合計

3,290,921

 (注)1.セグメント間の内部売上高を含んでおります。

    2.当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため前年同期比は記載しておりません。

b.仕入実績

仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「3  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

②資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、2019年5月15日に発表した「2022メディパル中期ビジョン」に基づき、持続的成長を目指し、投資を実行しております。その財源につきましては、安定的に推移している営業キャッシュ・フローを充当することを基本としますが、投資額の規模、投資回収期間の長短、及び資金調達環境の状況等を勘案し、さらに、自己資本比率30%の財務安全性を確保しつつ、外部調達することも視野に入れております。

また、株主還元策としては、配当性向30%を目安に安定配当を行っております。

純現金(現預金(有価証券含む)残高から借入金・社債残高を控除したもの)は2,318億円あり、突発的な資金需要に対しては、金融機関からの当座貸越枠を1,930億円設定しており、流動性リスクに備えております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。

なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。

 

a.繰延税金資産

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

b.独占禁止法関連損失引当金

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

c.退職給付債務及び退職給付費用

 退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。

 固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

e.納入価格の見積り設定について

 当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2022年3月期における医療用医薬品の売上高2.1兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.8%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。

(過去3年間の取引価格の決定比率 2019年3月期:96.6%、2020年3月期:99.7%、2021年3月期:99.9%)

 

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