課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  経営理念 「流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します。」

 

  経営方針
  1.社会から信頼される活力ある企業文化の創造
  2.株主価値を高める経営とコンプライアンスの徹底
  3.誠実で自由闊達な社風の醸成と創造性に富む人材の育成

(2)経営戦略等

 当社グループの各事業が取り扱う商品は、国民の安全・安心な暮らしに欠かすことのできないものであり、平時・有事を問わず、常に安定的な供給が求められております。新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない状況にありますが、引き続き社会インフラとしての役割を果たしてまいります。

 また、収益基盤の拡大と持続的な成長を実現するため、2020年3月期から2022年3月期までの3か年において、0102010_001.pngに沿った取組みを各事業で展開してまいりました。

 <「2022メディパル中期ビジョン」の基本方針>

 『社会と顧客に貢献する新たな枠組みを構築し、

   収益基盤の拡大と持続的な成長を実現します。』

 

 <ESGの取組み>

 当社グループは、事業活動そのものが持続可能な経済社会の実現に貢献するものであると考えております。流通の効率化による環境負荷の軽減や、平時・有事を問わず安全・安心な商品供給、希少疾病用医薬品の開発投資、多様な人材の活用など、引き続き社会的な課題の解決に取り組んでまいります。さらに、効率的かつ有効なガバナンス体制のもと、経営の透明性と健全性を確保しながら、企業価値の最大化に努めてまいります。

 

(3)経営環境

 少子高齢化が進むわが国において、高齢者の増加や生産年齢人口の減少が社会や経済に影響を与え、当社グループの各事業を取り巻く環境においても変化が起きてくると想定しております。セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。

 

医療用医薬品等卸売事業

 わが国では増大する医療・介護・福祉の社会保障費を抑制することが重要な課題となっております。その一環として、医療提供体制の見直しによる量から質への転換が求められており、予防医療やセルフメディケーションの推進、地域包括ケアシステムの構築など、さまざまな動きが起きてくるものと考えております。

 医薬品業界においては、薬価基準制度の改革や後発医薬品の普及拡大などが進められています。これまで原則として2年に1度実施されていた薬価改定が2021年度には中間年の改定が実施され、今後一段と厳しい事業環境になっていくことが予想されます。

 製薬企業の開発はがんや希少疾病を対象とした医薬品、再生医療等製品にシフトしてきており、流通面においても厳格な温度管理を必要とするなど、高度な流通体制が求められております。一方、生活習慣病などのプライマリー分野では、後発医薬品の普及が進み、より一層効率的な流通が必要となっております。

 さらには、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、医療業界においても、オンライン診療をはじめとしたデジタル技術の普及が加速しております。

 これら著しい変化がある中で、本事業では、必要とされる商品を、適時適量に確実にお届けする仕組みを構築し、人々の安全・安心な医療を支える社会インフラとして、有事の際も止まらない盤石な流通の実現に努めているほか、SDGsの観点から、配送回数の見直し等を行い、温室効果ガス排出量の削減を図っております。加えて、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限に発揮するためのさまざまな取組みを行っております。

 

 

化粧品・日用品、一般用医薬品等卸売事業

 前年と比べて人の動きが活発化したことで、ドリンク剤や化粧品などの需要は一時的に回復の兆しを見せましたが、新型コロナウイルス感染状況が一進一退を繰り返すなか、本格的な回復には至りませんでした。また、マスクや消毒液などの衛生関連品は、衛生意識の向上により消費は習慣化しているものの、急激に需要が拡大した前年と比較すると弱い需要となりました。一方で、気温の低下など冬らしい気候が長引いたこともあり、カイロをはじめとする冬物商材は好調に推移しました。

 このような状況の中、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、従業員の安全を守ることが事業継続の要であるとの考えに立ち、引き続き、労働環境の整備や衛生管理を徹底し、当社の社会的役割である生活必需品の供給に努めております。また、中間流通機能の強化に向け、VAN事業や販促物一貫サポート、非食品と食品の一括物流などの新たな取り組みにも積極的に挑戦し、サプライチェーン全体を視野に連携・協働による最適化・効率化に向けた取り組みを進めております。

 

動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業

 動物用医薬品等

畜産向け市場において広域にわたる鳥インフルエンザなど、家畜伝染病の脅威が予断を許さない状況であります。また、コンパニオンアニマル向け市場では、犬猫の飼育頭数は減少しているものの、治療薬の進歩等による長寿化が進んでおります。

 

 食品加工原材料等

 食品加工原材料等につきましては、食品事業を取り巻く環境において、国内人口の減少、少子高齢化により、食品市場規模の拡大が見込めない一方、食の安全や健康に対する意識の高まり、消費者ニーズの多様化が進んでおります。

 

[用語解説]

 ※コンパニオンアニマルとは、伴侶動物とも表現され、日常生活の中で人とより密接な関係を保つような動物を 指しております。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

<主な連結経営目標・計画>

  売上高      3兆3,330億円 (2023年3月期)

  営業利益        465億円 (2023年3月期)

  経常利益        633億円 (2023年3月期)

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「医療用医薬品等卸売事業」につきましては、社会保障制度改革やポストコロナの持続可能な社会の確立などを背景に、薬価基準制度の改革や医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の改正、データヘルス改革などが推し進められております。また、エネルギー価格の大幅な上昇などが想定され、これらへの迅速な対応が求められると予想されます。

そのような中で、ALCの高度な物流機能の活用などにより、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図り、卸機能を最大限に発揮するとともに、環境負荷の軽減に向けた取組みも行ってまいります。

2023年3月期においては、医療用医薬品等の安定供給を継続するとともに、新型コロナウイルス感染症関連商品をはじめ、新型コロナウイルスワクチンや臨床検査試薬等の流通を担い、医療に貢献してまいります。ARによる情報提供活動や製造販売後調査(PMS)の拡充、医療機器や臨床検査試薬の販売強化、デジタルヘルスケア分野での取組みをさらに加速させ、収益基盤の強化に努めてまいります。併せて、物流のモーダルシフトや配送回数の適正化を進めることにより、環境に配慮した流通を推進してまいります。

また、2021年11月9日、当社連結対象の完全子会社である株式会社アトル(福岡市東区)は、独立行政法人国立病院機構本部が行う九州エリア所在の病院が調達する医薬品の入札に関し、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会による立入り検査を受けました。

また、2022年3月30日、公正取引委員会から、独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)が発注する医薬品の入札参加業者に対し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を行った旨の発表がありました。当社連結対象の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)は、本件に関し、2019年11月に公正取引委員会による立入り検査を、2020年10月に東京地方検察庁による捜索及び公正取引委員会による立入り検査を受けましたが、公正取引委員会に対して課徴金減免制度の適用申請を行い、過去の違反行為を自主的に申告するとともに、同委員会による調査に全面的に協力してきたことなどにより、排除措置命令、課徴金納付命令のいずれも受けておりません。

当社グループでは、これらの事態を厳粛かつ真摯に受け止めており、引き続きコンプライアンスの徹底を図るとともに、社会から信頼される企業として、さらなる企業価値向上に努めてまいります。

「化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業」につきましては、未だ収束の見通しがつかない新型コロナウイルス感染症に加え、原材料価格やエネルギー価格の上昇など、経済が混迷するなか、深刻化する人手不足への対応をはじめ、多様かつ複雑な課題に面しており、中間流通業の果たす役割はますます重要になると予想しております。

そのような中で、生活必需品の中間流通プラットフォーマーとして、人々の豊かで快適な生活を実現するため、リテールソリューションやロジスティクスソリューションの機能を高めてまいります。2023年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の動向など社会の変化に柔軟に対応し、生活必需品の安定的な供給を継続するとともに、デジタルトランスフォーメーションに積極的に挑戦するなど、サプライチェーン全体の最適化・効率化に向けた取り組みを着実に進めてまいります。なお、2023年1月には効率的な全国物流網の拡充を目的とした物流センターの新設を予定しております。

「動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業」の動物用医薬品等卸売事業につきましては、畜産向け市場では、飼料価格と燃料価格の高騰により、低価格な商材へのシフトが懸念されます。また、コンパニオンアニマル向け市場では、犬猫の飼育頭数は横ばいで推移し、動物用の治療薬の進歩等による長寿化が進んでおります。

そのような中で、全国展開の強みを生かした営業を推進するとともに、今後の市場環境の変化を的確に捉え、経営基盤の強化と顧客サービスの充実に努めてまいります。

食品加工原材料等卸売事業につきましては、食品事業を取り巻く環境において、国内人口の減少や少子高齢化をはじめ、原料相場の高騰など食品市場の拡大が見込めない一方、食の安全や健康に対する意識の高まり、消費者ニーズの多様化が進んでおります。

そのような中で、全国展開の強みを活かした営業を推進するとともに、今後の市場環境の変化を見据え、商品開発への取組みをはじめとした顧客サービスの強化に努めてまいります。

 

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