業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大の影響により、サプライチェーンの混乱等による供給制限や原材料価格上昇が続いており、経済活動の停滞長期化が懸念されております。加えて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が発生し原油等の資源価格も高騰しており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループ関連のエネルギー業界に関しましては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、原油価格の指標であるWTIが100$/バレルを突破するなど原油価格の高騰がLPガス及び石油類の輸入価格、需要動向に大きく影響しており、当社を取り巻く事業環境は予断を許さない状況が続いております。また、COP26や第6次エネルギー基本計画にて発表されたカーボンニュートラルの2050年実現宣言により、低炭素社会・脱炭素社会に向けた変革は急激に進みはじめ、エネルギーに対する考え方が大きくクローズアップされることとなりました。

 このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大により事業活動に制約を受けながらも、お客様や従業員の安全確保と感染拡大防止を最優先としつつ、ライフラインでありますLPガス、石油類、小売電気などのエネルギーの安定供給に努めてまいりました。

 主力でありますLPガス事業におきましては、開発部門による新築物件等の開拓に加え、M&Aによる事業譲受等により顧客件数を増加させることができました。

 石油事業におきましては、給油所での燃料油の需要が回復基調にあり販売数量が増加したことに加え、灯油につきましても、冬場の気温が例年比で低く推移したことにより、暖房用灯油を中心に販売数量が前年を上回りました。また、当連結会計年度中において、設備の老朽化や経済環境の変化から新若槻給油所と上田中央給油所を閉鎖し、経営の効率化に努めてまいりました。

 電気事業におきましては、再生可能エネルギーの導入によりCO2排出量の削減を目指すお客様向けに新たなメニューとして「穂高グリーンプラン」(低圧電力)、「ミツウロコグリーンプラン」(高圧電力)の販売を開始いたしました。今後も2050年のカーボンニュートラル実現に向けたCO2排出量削減や環境負荷低減への取組みを積極的に支援してまいります。

営業活動におきましては、コロナ禍における新たな顧客接点強化の取組みとして昨年度に続き「紙面展示会・バーチャル展示会」を実施し、低炭素化に貢献する省エネ機器とコロナ禍での新しいライフスタイルに適応した商品等を積極的に提案し、成果を上げることができました。

 なお、当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 収益認識に関する会計基準等の適用に伴う会計方針の変更により、当連結会計年度において売上高は899百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ62百万円増加しております。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は、LPガス及び石油類の仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇と石油類の販売数量の増加等により30,164百万円(前年同期比13.3%増)となりました。

 一方、利益面におきましては、前述の世界情勢によるエネルギー需給のひっ迫懸念を反映して原油価格やLPガスの輸入価格が高騰したことによる仕入コスト上昇や子会社である青果事業の株式会社えのきボーヤ及び建設事業のウロコ興業株式会社の利益減少等により、営業利益636百万円(前年同期比42.4%減)、経常利益909百万円(前年同期比34.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益526百万円(前年同期比41.7%減)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

a.エネルギー関連事業

 コロナ禍で停滞していた経済活動の正常化に伴う緩やかな需要の回復や冬場の寒さの影響により主に石油類の販売数量が増加したこと、電力小売事業の顧客数増加により販売電力量が伸長したことに加え、仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇等により、売上高は26,928百万円(前年同期比18.1%増)となりました。一方、セグメント利益は、仕入価格の急激な上昇をカバーできず613百万円(前年同期比30.2%減)となりました。

 なお、LPガス販売事業者のうち現在全国で約1%に付与されている「ゴールド保安認定事業者」として、LPガス保安確保機器の設置を進めてきた結果、当連結会計年度末における認定対象先は93%を超えました。

b.製氷事業

 大口取引先への販売が増加したことから、売上高は300百万円(前年同期比2.6%増)となりました。セグメント損失は減価償却費等の費用が減少してきたこと等により52百万円(前年同期は75百万円のセグメント損失)となり、前年から改善いたしました。

 

c.青果事業

 株式会社一実屋では主にりんごの販売が好調で増収となりましたが、株式会社えのきボーヤはえのき茸の単価下落・出荷量減少等により減収となった結果、売上高は2,349百万円(前年同期比3.9%減)となりました。セグメント利益は株式会社えのきボーヤでのえのき茸の単価下落の影響が大きく10百万円(前年同期比92.5%減)となりました。

d.不動産事業

 売上高は前年を上回る290百万円(前年同期比6.9%増)となりましたが、高額物件の買取り等が多く利益率が下がったこと及び秋以降の不動産販売が減少したことからセグメント利益は12百万円(前年同期比50.3%減)となりました。

e.その他事業

 運送事業・建設事業等のその他事業におきましては、運送事業においてはほぼ前年並みの売上高を確保したものの、建設事業において前年度のような大型工事の竣工物件がなかったことから、売上高は295百万円(前年同期比63.1%減)、セグメント損失は15百万円(前年同期は86百万円のセグメント利益)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比1,144百万円減少し、当連結会計年度末は3,719百万円となりました。
 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は53百万円(前年同期は1,634百万円の獲得)となりました。主な内訳は税金等調整前当期純利益836百万円、減価償却費798百万円等の増加要素及び売上債権の増加額876百万円、棚卸資産の増加額280百万円、法人税等の支払額573百万円等の減少要素によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は720百万円(前年同期は365百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出652百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は371百万円(前年同期は370百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払いによる支出269百万円等によるものであります。

 

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

自己資本比率(%)

68.8

67.9

70.3

69.7

70.1

時価ベースの自己資本比率(%)

36.9

36.5

34.8

34.2

30.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

1.7

2.3

2.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

107.2

165.3

134.0

198.4

 自己資本比率:自己資本/総資産
 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

※2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

   当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

420

3.5

製氷事業(百万円)

284

△4.8

青果事業(百万円)

651

2.8

合計(百万円)

1,356

1.3

   (注)金額は製造原価にて記載しております。

 

  b.商品仕入実績

   当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

21,016

26.3

製氷事業(百万円)

273

△3.7

青果事業(百万円)

1,862

△3.2

不動産事業(百万円)

225

21.5

  報告セグメント計(百万円)

23,378

22.8

その他(百万円)

1,141

△18.3

合計(百万円)

24,520

20.0

   (注)金額は売上原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

  c.受注実績

   当社グループの製品は、すべて見込生産であり、受注生産を行っておりません。

  d.販売実績

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

エネルギー関連事業(百万円)

26,928

18.1

製氷事業(百万円)

300

2.6

青果事業(百万円)

2,349

△3.9

不動産事業(百万円)

290

6.9

  報告セグメント計(百万円)

29,869

15.7

その他(百万円)

295

△63.1

合計(百万円)

30,164

13.3

   (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,545百万円増加し、30,164百万円(前年同期比13.3%増)となりました。これは主に、LPガス及び石油類の仕入価格の上昇に伴う販売価格の上昇と石油類の販売数量の増加等によるものであります。

 なお、セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ557百万円減少し、6,759百万円(前年同期比7.6%減)となりました。これは主に、ロシアのウクライナへの軍事侵攻によるエネルギー需給のひっ迫懸念を反映して原油価格やLPガスの輸入価格が高騰したことによる仕入コスト上昇や子会社である青果事業の株式会社えのきボーヤ及び建設事業のウロコ興業株式会社の利益減少等によるものであります。

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、退職給付費用の減少等により前連結会計年度に比べ89百万円減少し、6,123百万円(同1.4%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ468百万円減少し、636百万円(同42.4%減)となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ14百万円減少し、295百万円(同4.6%減)となりました。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ6百万円減少し、21百万円(同22.5%減)となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ476百万円減少し、909百万円(同34.4%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損失は、子会社ののれんの減損損失68百万円及び給油所の減損損失4百万円を計上しました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ376百万円減少し、526百万円(同41.7%減)となりました。

 

財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産の残高は、12,804百万円となり、前連結会計年度比663百万円の増加となりました。これは、前連結会計年度比で、現金及び預金が1,154百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が1,358百万円増加、棚卸資産が280百万円増加したこと等が主な要因であります。

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産の残高は、13,257百万円となり、前連結会計年度比641百万円の減少となりました。主な要因は、投資有価証券の評価額が減少したことにより投資その他の資産が492百万円減少したこと等によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債の残高は、6,177百万円となり、前連結会計年度比172百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が496百万円増加、未払法人税等が159百万円減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債の残高は、1,613百万円となり、前連結会計年度比259百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金が78百万円減少、繰延税金負債が140百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産の部)

 当連結会計年度における純資産の部の残高は、18,271百万円となり、前連結会計年度比108百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金が484百万円増加、その他有価証券評価差額金が363百万円減少したこと等によるものであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 当社グループは、2025年3月期を最終目標年度とする中期経営計画を策定いたしました。経営計画の達成に向けた重点施策への取組みを進めてまいります。

指標

2021年3月期(実績)

2022年3月期(実績)

2025年3月期(計画)

連結経常利益

1,386百万円

909百万円

1,300百万円

連結ROE

5.1%

2.9%

5.0%

連結配当性向

29.9%

51.3%

30%

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入代金等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。また、株主還元につきましては、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

 運転資金及び投資資金並びに株主還元等につきましては、主として営業キャッシュ・フローで獲得した内部資金を充当し、不足が生じた場合等は金融機関からの借入金で調達する方針となっております。金融機関には十分な借入枠を有しており、必要な資金の調達は十分可能な状況であると考えております。

 なお、当連結会計年度末における借入金の残高は3,328百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,719百万円となっております。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 なお、新型コロナウイルス感染症及びウクライナ情勢の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(繰延税金資産)

 当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループにつきまして、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(のれん)

 のれんは、将来の販売予測、及び開発、営業、生産等のシナジー効果を見積った上で策定された事業計画を基礎とし、超過収益力として算定され、規則的に償却しております。なお、将来の事業計画は市場環境の変化等による不確実性を伴うものであり、仮に超過収益力に毀損が生じた場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表においてのれんの金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

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