課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 現在、当社を取り巻く環境は少子高齢化に伴う世帯数の減少やライフスタイルの変化に加え、CO2排出削減に向けた低炭素化の流れや本業を通じたSDGs経営、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の強化、また足元では新型コロナウイルスとの共存など、かつてない激変期を迎えております。

 厳しい環境下でも、「地域密着型生活関連総合商社」として人々の暮らしや地域社会の発展に貢献し、持続可能な成長を実現し続けるためには、エネルギー多様化に対する取組みを通じて新たなファンを増やして複合的なビジネスモデルをさらに伸長し、既存の主力事業の動向に左右されにくい経営を目指す必要があり、DX投資等による経営効率化を高めるとともに、業務のあり方や社員の働き方の変革が求められています。

 このような環境の中、当社グループは2022年度スタートにあたり「(2022~2024年度)中期経営計画 “低炭素社会に向けた挑戦 チャレンジ24 ~100年企業を目指して~”」を策定いたしました。これにより2050年のカーボンニュートラルを見据えつつ、2030年に向けて現段階で着実に実践可能な対応、脱炭素の前段と言える低炭素への取組みを徹底して進めてまいります。

 

(2)経営戦略等

 ①グループ戦略

 グループを統括する本部につきましては、営業本部と管理本部との2本部で展開することにより、各部横断的な情報共有によって全ての事業の顧客基盤の維持、拡大を図るとともに、グループの相乗効果を高めてまいります。

 

 ②営業本部

 中期経営計画において次の3点を経営戦略の柱として取組んでまいります。

 ア.「サンリンファン」の営業基盤拡充

  ・省エネ化によるLPガスや石油類の販売量減少を顧客数の拡大によってカバーいたします。

  ・当社の強力なネットワークによる優位な事業環境とブランド力により、自己完結型のお客様との接点強化において地域密着を前面に打ち出して「サンリンファン」の輪を広げ、「サンリンでんき」の増客、リフォームや省エネ機器の販売強化等、ガス外事業をさらに拡大することで、収益の分散化を進めてまいります。

 イ.省エネ事業の強化

  ・家庭や企業などにおけるLPガスへの燃転は、省エネとCO2削減を図る方向性に即しており、自信をもってお勧めしてまいります。

  ・エコジョーズやハイブリッド給湯器、エネファームなどの省エネ機器のご提案やPVプラス蓄電池などの商材については、サンリンの総合提案力と地域密着性を活かした、生活サポートに関する具体的な施策を通じて積極的にご提案してまいります。

 ウ.M&AやDX推進による市場競争力の強化

  ・M&AやDX推進により事業基盤を強化し、市場における競争力を高めます。特にDXは、業務効率化、合理化とともにお客様への情報発信、接点強化によるお客様満足度向上を目的として推進してまいります。

  ・遠隔地や山間部等の条件により、これまで集中監視装置の設置が行えなかったお客様に対し、LPWAの技術を活用することで、これまで93%であった認定対象消費者の割合を100%まで引き上げ、LPガスの保安確保と安定供給の更なる強化に努めてまいります。

 

 ③管理本部

 中期経営計画において次の3点を経営戦略の柱として取組んでまいります。

 ア.デジタル活用による業務改革

  ・基幹システムとの連動を図りながら業務の合理化、効率化、ペーパーレス化を進めてまいります。

  ・従来の業務を見直し、生産性が向上した分を新たな取組みに活かしてまいります。

 イ.社員の意識改革・行動様式の変革

  ・それぞれの社員が、お客様の「豊かな暮らしのお手伝い」や「地域社会や産業を支える仕事」に誇りを持ち、自発的な行動や創造力の発揮により活躍できる企業を目指すとともに、働きやすい職場の実現に向けた業務改善への積極的な提案およびチーム活動を支援してまいります。

 ウ.SDGsへの取組み

  ・それぞれの社員が、お客様の「豊かな暮らしのお手伝い」や「地域社会や産業を支える仕事」に誇りを持ち、自発的な行動や創造力の発揮により活躍できる企業を目指すとともに、働きやすい職場の実現に向けた業務改善への積極的な提案およびチーム活動を支援してまいります。

 

(3)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2021年世界ではコロナ禍の環境の中で、ウィズコロナの生活環境下への移行が進みはじめ様相が変化してまいりました。停滞していた経済活動は正常化に向けて進展し、石油や天然ガスなどの需要が回復したことで、一時大幅に下落していたエネルギー価格は2021年後半からは高騰に転じ高値で推移してまいりました。このような状況下の2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻が始まり、世界的シェアが高いロシア産の石油・石炭・天然ガスの供給不安から資源価格は一段と高騰し、世界経済、日本経済に大きな影響を及ぼし始めております。

 我が国においてはオミクロン変異株の感染急拡大に伴うまん延防止等重点措置が3月に解除となり、経済活動は正常化に向かい始めましたが、世界経済同様、資源価格高騰が日本経済に与える影響は大きく、為替の円安要因もあり燃料、資源、食糧などの物価上昇が家庭や企業に与える影響は景気回復の下振れ要因になるとも予想されています。また、物価上昇への対応策(金利上昇などのインフレ対策)がもたらす消費減退などの影響についても注視すべき事項であると認識しております。

当社の主力事業でありますLPガスや石油類のエネルギー事業環境は、家庭用では人口・世帯数の減少(消費の担い手の減少)が見込まれる時代にあるほか、お客様の省エネ意識や省エネ機器の普及により世帯当たりの使用量の減少は続くものと想定されます。また、これによる事業者間の顧客獲得競争が一段と激化することも想定されます。

一方、特に産業用LPガスにおきましては他のエネルギーに比較してエネルギー効率に優れ環境負荷も少なく、電力ピークカットに貢献できる熱源として需要拡大の余地は大きいものと期待されています。さらに自立稼働が可能な分散型エネルギーとして大規模災害発生時には早期復旧が図られたほか、特にバルク供給等により一定期間分の備蓄も可能であることから、平時のみならず緊急時におけるエネルギー供給の最後の砦として地域社会の安全安心に貢献できるものと認識しております。

小売電気事業に関しましては、契約者数が堅実に増加している状況ではありますが、LPガス同様契約者獲得の事業者間競争が激しくなる中、発電燃料価格高騰を受け電気市場価格は高騰しており、適正利益の確保が難しい局面となっております。当社といたしましては安定供給を第一に電気調達を確実に行い、LPガスとのセット割特典サービスにより契約者数の増加を図ってまいります。

 営業活動におきましては地域密着での顧客接点強化、気づき営業による総合的なサービスの提供などによりサンリンファンのすそ野を拡大し、顧客数拡大によって使用量の減少を補い、利益の確保に努めてまいります。

こうした事業環境下において当社が取組む大きな課題の一つに環境負荷低減への取組みがあります。当社はこれまでも「サンリン環境憲章」を掲げ、CSR(企業の社会的責任)の中でクリーンなエネルギーの供給を通じて環境や社会への貢献を図ってまいりましたが、SDGs(2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標の17の目標を2030年までに達成することを目指す)により、改めて当社の事業活動における環境課題を整理し、目標と計画をたて、その内容について公開し、積極的な取組みを開始いたしました。LPガス事業においては他のエネルギーに比べてCO2の発生が少ないLPガスの普及拡大に加え、カーボンクレジットにより相殺(オフセット)されたカーボンニュートラルLPガス等の取扱い検討、環境にやさしい省エネ機器の普及、配送効率に優れたバルク供給システムの普及などによる省エネ化の徹底を図ってまいります。

また、小売電気事業におきましては、再生可能エネルギー由来の「グリーン電力」を調達し販売を開始しております。とりわけ「穂高グリーンプラン」は地産地消の電気として環境負荷低減に取組むお客様からのご要望に応え得るプランとしてセットアップさせていただいており、環境にやさしい電気の販促に努めてまいります。事業活動に伴う自社のCO2排出削減に関しましては、2030年までに44%の削減を目標(2020年度比)とし、自家使用電気を「グリーン電力」へ変更するなど早期の目標達成に向け行動しております。

また、2030年までの日本に生じうる社会的問題として、少子高齢化による人口減少、労働人口の減少への懸念があります。当社における人材確保と育成は持続的成長の遂げるための必須条件であり、そのための魅力ある労働環境、職場づくりが必要と認識しております。まずは更なるIT化を進め、業務効率化、労働時間の短縮、生産性の向上を図ることで働き方改革を進め、「人財」を確保してまいります。また、IT化を進める中でデータとデジタル技術を活用し、顧客ニーズを基にサービスやビジネスモデルを変革・進化させ、競争上の優位性を確立すべく推進してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画において経営数値目標として掲げているのは次のとおりであります。

 ・連結経常利益             13億円以上

 ・連結ROE(自己資本当期純利益率)  5%以上

 ・連結配当性向             30%以上

 

 

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