当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に回復が見られました 。しかしながら、変異株の流行で新型コロナウイルスの影響が続き、ロシアのウクライナ侵攻により資源価格の高騰に拍車がかかるなど、景気回復の足取りが重くなることが懸念されています。また日本経済は、いったん沈静化したかに見えた新型コロナウイルスの感染が再拡大し、半導体をはじめとする供給制約の長期化や原材料価格上昇による影響を受けたことで、全体としては緩やかな回復となりました。
このような経済環境のなか当社グループでは中期3ヵ年計画「GP2023」に基づく施策に取り組んだ結果、2022年3月期連結業績は売上高399億69百万円(前年同期比―%)、営業利益25億80百万円(同44.5%増)、経常利益29億85百万円(同42.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20億51百万円(同50.3%増)という結果になりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、売上高につきましては対前年同期比増減率を記載しておりません。また、収益認識会計基準等の適用により、売上高が8億93百万円、営業利益が1百万円それぞれ減少しております。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。当社グループは、顧客の属する業界ごとに業績管理を行っており、「鉄鋼」「自動車」「電子・半導体」「ゴム・タイヤ」「工作機械」「高機能材」「環境」及び「紙パルプ」の8業界を報告セグメントとしております。
なお、当連結会計年度より、経営管理の観点から報告セグメントに「工作機械」の区分を新設し、従来「自動車」に含めていた工作機械業界向けの業績数値及び業況説明を「工作機械」に区分して記載することとしました。
(鉄鋼業界)
同業界では、前年同期と比べ国内粗鋼生産量は増加しました。製造業の回復により粗鋼需要が増え、特に自動車部品などに使用される特殊鋼の伸び率が高くなりました。
当社グループにおきましては、整備部門だけでなく操業部門への営業活動に注力した結果、製鋼副資材の販売が伸びたほか、ダストリサイクル設備向け部品や熱延工程向け高圧バルブ等の販売が売上増に寄与しました。
この結果、鉄鋼業界向け全体としての売上高は113億28百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は5億21百万円減少しております。
(自動車業界)
同業界では、前年同期と比べ国内自動車メーカー大手の世界生産は僅かに減少しました。ただし、供給制約の影響を受けつつ前年同期を上回ったメーカーもあり、明暗が分かれました。
当社グループにおきましては、今後成長が期待される電池・モーター分野やデジタル技術に関する提案活動に注力した結果、音響カメラや自動搬送システム、塗布装置やディスペンサー等の販売が伸長しました。
この結果、自動車業界向け全体としての売上高は80億6百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は22百万円減少しております。
(電子・半導体業界)
同業界では、前年同期と比べ世界半導体売上高も国内半導体企業の売上高も増加しました。半導体の材料と装置いずれも需要が拡大しており、半導体市場は活況を呈しています。
当社グループにおきましては、メーカー機能や修理サービス事業の強化、デジタル新商品の拡販やリサイクルビジネスに繋がる活動に注力した結果、半導体製造装置用シール材や回転継手、洗浄装置等の販売が伸びました。
この結果、電子・半導体業界向け全体としての売上高は58億40百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2億3百万円減少しております。
(ゴム・タイヤ業界)
同業界では、前年同期と比べ国内タイヤメーカー大手の売上高が増加しました。原材料価格や海上輸送コストが上昇したものの、北米向けの販売は好調で、値上げの浸透も収益を押し上げました。
当社グループにおきましては、開発案件の対応強化や補修ビジネスに関する営業活動に注力した結果、加硫機用バルブの販売が大きく伸長したほか、水封式真空ポンプの大口案件等が売上増に貢献しました。
この結果、ゴム・タイヤ業界向け全体としての売上高は26億73百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は57百万円減少しております。
(工作機械業界)
同業界では、前年同期と比べ工作機械受注額は増加しました。年度の前半はコロナ禍からいち早く回復した中国で需要が高まり、後半は欧米や日本でも需要が回復しました。
当社グループにおきましては、工作機械の複合化に対応する新しい回転継手の営業に力を入れたほか、新型回転継手の開発にも注力した結果、回転継手の販売が伸びたほか、渦巻きポンプ等の販売も増加しました。
この結果、工作機械業界向け全体としての売上高は18億74百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は14百万円減少しております。
(高機能材業界)
同業界では、前年同期と比べ国内高機能材メーカー大手の売上高が増加しました。ただし、高機能フィルムや機能性樹脂などの原材料価格上昇が続いており、引き合いが強い自動車・半導体向けで価格転嫁できるかどうか懸念が出てきています。
当社グループにおきましては、高機能フィルムメーカーへの深耕を図るとともに医薬・化粧品業界の開拓に力を入れた結果、医薬向け真空ポンプの販売に結びついたほか、チラーのレンタル等が売上増に寄与しました。
この結果、高機能材業界向け全体としての売上高は17億37百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は16百万円減少しております。
(環境業界)
同業界では、半導体業界向け水処理設備や脱炭素社会をにらんだ再生可能エネルギー関連設備向けの投資が増加し、好況が続きました。
当社グループにおきましては、SDGsに関連する水処理関連事業の拡大に力を入れたほか、再生エネルギー分野への深耕を図った結果、プラントメーカー向けベッセルや環境装置向けインバーター等の販売が伸びました。
この結果、環境業界向け全体としての売上高は19億44百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は11百万円減少しております。
(紙パルプ業界)
同業界では、前年同期と比べ紙・板紙出荷量が増加しました。ペーパーレス化により印刷用紙・情報用紙の需要は減少したものの、通販向けを中心に段ボール原紙の需要が伸びました。
当社グループにおきましては、ケミカル素材増産の設備投資案件と抄紙工程の設備投資案件に注力した結果、増産対応のポンプや粉体溶解装置改造案件等が売上増に貢献しました。
この結果、紙パルプ業界向け全体としての売上高は8億64百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は2百万円減少しております。
各段階損益の分析は次のとおりであります。
売上高は、収益認識会計基準等の適用により8億93百万円減少していますが、それを加味しても前年同期と比べ増収となりました。また売上原価率が前年同期より0.8ポイント改善したことで、売上総利益は前年同期比で17.5%増となりました。一方で販売費及び一般管理費については、業績が回復したことに伴って主に人件費や販売費が増加したため、前年同期比で9.9%増となりました。その結果、営業利益は前年同期比44.5%増となりました。
営業外収支につきましては、主に第4四半期の急激な円安進行により為替差益が膨らんだことや、持分法投資損益が前年同期からプラスに転じたことなどにより前年同期に比べプラス100百万円となり、その結果、経常利益は前年同期比42.8%増となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 当社グループの製品は、特定のセグメントに区分することが困難であるため、生産実績については一括して記載しております。
2 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等適用前の2021年3月期との前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等適用前の2021年3月期との前年同期比は記載しておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて16.2%増加し271億84百万円となりました。これは、主に現金及び預金が14億14百万円、売上債権が16億10百万円、棚卸資産が6億71百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて3.2%増加し70億3百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具が66百万円、工具、器具及び備品が92百万円、投資その他の資産のその他が76百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて13.3%増加し、341億87百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて21.5%増加し132億57百万円となりました。これは、主に仕入債務が15億41百万円、未払費用が1億52百万円、未払法人税等が4億1百万円、その他が74百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2.5%増加し14億30百万円となりました。これは、主に退職給付に係る負債が75百万円増加したことなどによるものです。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて19.4%増加し、146億87百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて9.1%増加し195億円となりました。これは、主に利益剰余金が16億1百万円、為替換算調整勘定が1億54百万円それぞれ増加し、一方で、その他有価証券評価差額金が1億3百万円減少したことなどによるものです。
なお、当社グループではセグメントに資産を配分していないため、セグメントごとの財政状態の状況に関する記載は行っておりません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11億52百万円増加し、81億95百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、全体として23億10百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益29億88百万円、減価償却費3億45百万円、仕入債務の増加額15億10百万円、その他の負債の増加額2億29百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額15億74百万円、棚卸資産の増加額6億42百万円、法人税等の支払額5億79百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体として7億64百万円の支出となりました。収入の主な内訳は、有価証券の売却及び償還による収入50百万円であり、支出の主な内訳は、定期預金の増加額2億62百万円、有形固定資産の取得による支出2億78百万円、投資有価証券の取得による支出1億44百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体として4億96百万円の支出となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額4億49百万円であります。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
当連結会計年度末の長期借入金残高は3億13百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計20億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、この契約による借入実行残高はありません。
新型コロナウイルス感染症の流行によるキャッシュ・フローへの影響ですが、業績面での悪影響によるマイナス要因はありますが、現状の財政状況および今後の資金需要を考慮すると、新たな資金調達の可能性は小さく、資金調達方針を変更する必要はないと考えております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
① 退職給付
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されています。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は蓄積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
② 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
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