当社グループの業績は国内製造業の設備投資と生産活動に依拠しておりますが、国内製造業の少子高齢化に伴う国内市場縮小を見越し、地産地消の考えに基づいて海外への生産移管をますます加速していることから、この変化への対応が最も重要な経営課題となっております。
当社グループは、2021年度より中期3ヵ年計画「GP2023」を下記のとおり策定し、経営課題の解決と経営目標の達成に全社一丸となって取り組んでまいります。
当社グループは、顧客業界によりセグメント区分を行っておりますが、各セグメントの経営環境、対応すべき課題や方針は以下のとおりです。
(鉄鋼業界)
鉄鋼業界においては、中国の生産量拡大、グローバルでの競争激化、原料高製品安等により生産拠点・生産品目の撤退・集約、カーボンニュートラルの推進等大きな転換期に差し掛かっております。また、国内生産は高級鋼製造ラインの新設、現有設備の老朽化に伴う設備保全費アップ、世代交代による技術伝承不足、産業界のDX推進・自動化等により顧客のニーズ多様化してきております。このような環境の中、当社グループは顧客密着営業による営業力とグローバル展開による海外商品開発力という強みを生かし、以下の方針を掲げております。
① デジタル・自動化に関するグローバル商品の開発
② メーカー機能強化によるメンテナンス・修理・再生サービス事業の拡大
③ 電気自動車(EV)化に伴う素材分野の開拓
④ 海外拠点展開の推進
(自動車業界)
自動車業界においては、従来のガソリン車から電気自動車への移行が着実に進んでおり、この流れは今後も継続することが予想されております。このことは、エンジンなどの機械加工部品が減少し、当社が主として設備・機器を納入している機械加工工場の操業度が低下していくことになります。このような環境の中、当社グループは電気自動車化への対応及び新規商品開発として以下の方針を掲げております。
① 2次電池分野への信頼関係構築
② モーター分野への参入・拡大
③ 顧客工場での自動化・自動計測案件の拡大
(電子・半導体業界)
電子・半導体業界においては、当社グループの主顧客である国内半導体メーカーは、設備投資案件は少ないものの、競争力強化のためのコストダウンや生産性の向上へのニーズは高くなっております。このような状況の中、当社グループはコスト競争力のある設備部品の供給、設備の修理対応など顧客のニーズを取り込むとともに、成長が期待できる車載半導体への対応を図っており、以下の方針を掲げております。
① 修理・再生サービスを軸としたメーカー機能強化
② 車載用半導体向けの新商品開拓
③ デジタル商品や開発用途向けの新商品開発
(ゴム・タイヤ業界)
ゴム・タイヤ業界においては、タイヤメーカーの設備投資には波があり、当社の主納入品である加硫機部品の販売は安定しない状況であります。このような環境において、当社グループは顧客の開発部門や海外拠点へのアプローチを行い、新たな商品の開拓を目指し以下の方針を掲げております。
① 自動化案件及び未来の環境対応車向けタイヤ開発部門への深耕
② 設備・工法開発部門への拡販と研究部門の開拓
③ 顧客の海外における開発・生産拠点でのニーズ対応
(工作機械業界)
工作機械業界においては、自動化・高効率化・稼働率向上の高付加価値設備の開発か活発になっております。
① 研究部門・開発部門への新規開発品の深耕
② 付帯設備の拡販と改善提案・提供
③ 新加工技術の研究部門・開発部門への深耕
(高機能材業界)
高機能材業界においては、今後成長が期待できる材料分野をターゲットとし、以下の方針を掲げております。
① 炭素繊維業界への深耕継続
② 高機能ガラス及び生分解ポリマーなど機能性材料への商品開発と深耕
③ 医薬・化粧品業界への洗浄システムの拡販
④ レアメタル業界(酸化チタン、ニッケル等)への商品開発と拡販
(環境業界)
環境業界においては、公共事業は災害対策の需要等で堅調に推移しております。また、民間事業では都市再開発等で底堅く推移しております。当社グループは取扱商品を軸として既存顧客への深耕と新規顧客の開拓を図ります。方針は以下のとおりです。
① 水処理関連事業への更なる深耕
② エネルギー分野の開拓
③ 焼却・リサイクル業界への商品開発と深耕
(紙パルプ業界)
紙パルプ業界は、電子化、ペーパーレスといった動きから需要拡大、設備投資の拡大といった見通しは立てにくい状況です。このような環境の中、当社グループは新しい分野への進展を図ることとし、以下の方針を掲げています。
① ケミカル素材分野への更なる深耕
② 各社の発電設備へ機器更新およびメンテナンスビジネスを推進
(新型コロナウイルス感染症の流行による影響について)
新型コロナウイルス感染症の流行は年度前半に沈静化したかに見えましたが、年度後半にオミクロン株による感染再拡大が起き、サプライチェーンにおいて納期の長期化、価格の上昇といった影響が出ました。
2023年3月期におきましては、依然として収束が見通せずサプライチェーンへの影響が懸念されますが、新興国にもワクチンが普及していくことで徐々に経済活動の正常化が進むものと見られます。先行き不透明感はありますが、弊社グループでは中期計画「GP2023」の諸施策を着実に実行してまいります。
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