(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これに伴い、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して大きく減少しております。
そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、個人消費や生産、設備投資に持ち直しの動きが見られました。一方で、ウクライナ情勢や原材料価格の高騰、米国の金利上昇、円安の進行など注視する要因が多く、先行きの不透明感が強まりました。
当社グループが属するエレクトロニクス業界におきましては、半導体や電子部品の供給不足が続いたものの、5GやDX関連等の設備投資に支えられ、市場成長が続きました。また今後見込まれる需要の増加に呼応して、半導体・電子部品の製造装置や検査装置も伸長いたしました。
こうした状況の下、当連結会計年度における当社グループの売上高は、旺盛な生産・設備投資需要を背景に、電子部品や産業機器、レーザ機器の売上が増加した結果、167,794百万円となりました。利益面では、売上高の増加や相対的に利益率の高い商品が好調に推移したことに加え、販管費の減少により、営業利益は5,994百万円となりました。一方で、営業外損益では、第4四半期に為替相場が急速に円安に転じたことにより、外貨建て債務の支払や外貨建て借入の返済に伴う決済差損が発生し、通期で1,641百万円の為替差損を計上したことから、経常利益は4,106百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,437百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は、従来の方法に比べて146,021百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (2)その他 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(デバイス事業)
デバイス事業は、5G向けなどの通信機器向け半導体の需要が増加するとともに、既存ビジネスの商権拡大や新規仕入先商品の拡充により、産業機器向け半導体や民生機器向け電子部品で需要が伸長いたしました。また今期より本格的に取り扱いを開始したソフトウエア製品なども好調に推移した結果、売上高は117,568百万円となりました。セグメント利益は、売上総利益率の改善や販管費の減少により、3,452百万円となりました。
(システム事業)
システム事業は、企業の設備投資の改善や生産活動の回復を受け、産業機器分野では電子デバイスの組立・検査装置、レーザ機器分野では産業機器組み込み用の半導体レーザが好調に推移いたしました。また医用機器分野では、画像診断装置やPCR検査関連の需要が増加いたしました。その結果、売上高は50,225百万円、セグメント利益は2,544百万円となりました。
当連結会計年度末(2022年3月31日)の総資産は、前連結会計年度末(2021年3月31日)に比べ21,172百万円増加し、148,179百万円となりました。このうち、流動資産が22,800百万円増加の137,604百万円、固定資産が1,627百万円減少の10,575百万円となりました。
流動資産が増加した主な要因は、受取手形及び売掛金が8,727百万円、商品及び製品が3,860百万円それぞれ減少した一方で、未収入金が34,490百万円増加したことによるものであります。固定資産が減少した主な要因は、工具器具及び備品が433百万円、建物及び構築物が407百万円、投資有価証券が296百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18,638百万円増加の100,604百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末に比べ18,580百万円増加の94,746百万円、固定負債は前連結会計年度末に比べ57百万円増加の5,858百万円となりました。
流動負債が増加した主な要因は、支払手形及び買掛金が9,176百万円減少した一方で、未払金が20,506百万円、短期借入金が6,477百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債が増加した主な要因は、退職給付に係る負債が69百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,534百万円増加の47,574百万円となりました。これは主に退職給付に係る調整累計額が296百万円減少した一方で、利益剰余金が2,377百万円、為替換算調整勘定が680百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.7%減少し、28.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、未払金の増加、短期借入金の純増加等があったものの、未収入金の増加、仕入債務の減少等により、前連結会計年度末に比べ1,580百万円減少(前年同期比6%減)し、当連結会計年度末には24,693百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は2,948百万円(前年同期は15,205百万円の収入)となりました。これは主に未払金の増加額が20,704百万円あった一方で、未収入金の増加が25,492百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は145百万円(前年同期は790百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の預入による支出が1,108百万円あった一方で、定期預金の払戻による収入が1,240百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は391百万円(前年同期は8,188百万円の支出)となりました。これは主に非支配株主への配当金の支払額が766百万円、配当金の支払額が469百万円あった一方で、短期借入金の純増加額が1,754百万円あったこと等によるものであります。
③ 新型コロナウイルス感染症の当社グループへの影響
当連結会計年度においてはコロナウイルス感染拡大による影響としましては、在宅勤務やオンライン授業をはじめとした巣ごもり需要が一巡いたしましたが、Web会議等の浸透やクラウドサービスの広がりを受けて、データ通信やデータセンターの増強により、通信機器や民生機器向けの需要が増加いたしました。また企業の設備投資も回復の兆しが見受けられました。今後、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への影響が継続又は拡大した場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症に関するリスクは「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、当該リスクが顕在化する時期や影響度を予め見積もることは困難であると認識しております。
先行き不透明な環境下ではありますが、当社グループでは、社内外関係者の感染リスクを極小化する取り組みを実施するとともに、商品ラインアップの拡充や付加価値の高い製品・サービスの開発による差別化推進、ソリューション提案力の強化などに取り組み、成長市場を中心に事業活動を進めてまいります。なお今後の事業展開における資金需要への対応と運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のため、2020年5月に複数の金融機関との間で総額35,478百万円相当のコミットメントライン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。
④ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
デバイス事業(百万円) |
111,083 |
48.6 |
システム事業(百万円) |
41,836 |
109.5 |
合計(百万円) |
152,919 |
57.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の仕入実績及び総仕入実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
Avago Technologies International Sales Pte.Limited |
127,773 |
47.9 |
4,252 |
2.8 |
Cypress Semiconductor Corporation |
28,066 |
10.5 |
29,395 |
19.2 |
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
デバイス事業 |
169,760 |
57.6 |
86,128 |
70.5 |
システム事業 |
59,174 |
119.3 |
25,612 |
153.7 |
合計 |
228,935 |
66.5 |
111,740 |
80.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
デバイス事業(百万円) |
117,568 |
48.6 |
システム事業(百万円) |
50,225 |
106.3 |
合計(百万円) |
167,794 |
58.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
SHENZHEN MURATA TECHNOLOGY CO.,LTD. |
69,071 |
23.9 |
7,491 |
4.5 |
JCET STATS CHIPPAC KOREA LTD. |
36,689 |
12.7 |
671 |
0.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や当該事象の状況等に照らして合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析は以下のとおりであります。
売上高は、通信機器や民生機器向け半導体が増加した一方、「収益認識に関する会計基準」の適用により、前年同期に比べ121,489百万円減少の167,794百万円となりました。
売上総利益は、相対的に利益率の高い商品の売上が好調に推移したことにより前年同期に比べ4,034百万円増加し、20,251百万円となりました。売上総利益率も前年同期比6.5%増加し、12.1%となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費の減少や営業活動経費の節減により、前年同期に比べ936百万円減少し、14,257百万円となりました。
営業利益は、売上高の増加による売上総利益の増加や販売費及び一般管理費の減少により、前年同期に比べ4,970百万円増加し、5,994百万円となりました。
営業外収益は、前年同期に比べ109百万円増加し、269百万円となりました。営業外費用は、第4四半期に為替相場が急速に円安に転じたことにより、外貨建て債務の支払や外貨建て借入の返済に伴う決済差損が発生し、1,641百万円の為替差損を計上したため、1,007百万円増加し、2,156百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前年同期に比べ4,072百万円増加し、4,106百万円となりました。
特別利益は、固定資産売却益130百万円、投資不動産売却益135百万円を計上したことにより、前年同期に比べ234百万円増加し、266百万円となりました。特別損失は、減損損失299百万及び投資有価証券評価損217百万円を計上いたしましたが、前年同期に比べ2,078百万円減少し、524百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税は前年同期に比べ516百万円増加し872百万円、法人税等調整額は前年同期に比べ1,054百万円増加し312百万円となりました。また非支配株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べ243百万円増加し、225百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は2,437百万円の利益(前年同期は2,133百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
ロ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動に必要な運転資金需要の主なものは、商品の仕入代金及び人件費や販売諸掛、業務委託費、旅費交通費などの販売費及び一般管理費であります。投資を目的とした資金需要は設備投資や取引先への投融資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や設備投資、投融資に関わる資金の調達は、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としております。
なお当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は53,927百万円となっております。また当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は24,693百万円となっております。
ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、ROEを重要な経営指標と位置づけ、中期的にはROE5%以上の達成を目標とし、収益性と効率性の向上に取り組んでまいりました。
直近3事業年度のROEの推移は次のとおりであり、中期のROE目標を達成することができました。
|
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
ROE(自己資本利益率) |
△0.2% |
△5.2% |
5.9% |
(注)ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
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