課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、長期的視点に基づく「パーパス」「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を経営の基本的な考え方として定義し、株主、取引先、社員などすべてのステークホルダーのご期待に応えるよう企業価値の向上に努めるとともに、社会に貢献することを目指しております。

 

<丸文パーパス>

テクノロジーで、よりよい未来の実現に貢献する

 

<丸文ビジョン>

独自の価値を提供するオンリーワンのエレクトロニクス商社として最も信頼される存在となる

 

<丸文ミッション>

「先見」と「先取」の精神のもと、人と技術とサービスで社会とお客様の課題を解決する

 

<丸文バリュー>

 「誠実で透明な経営」「健全な経営活動の実践」「社会との調和」「環境保全への貢献」「お客様の満足の向上」「企業リスクの適切な管理」「人権の尊重」「働きやすい職場づくり」

 

 「パーパス」は当社の存在意義、「ビジョン」は当社の目指す姿、「ミッション」は当社の日々の取り組み、「バリュー」は当社が大切にしている信条・価値観を表しています。

 

(2)目標とする経営指標

 2022年度から3ケ年の中期経営計画「丸文 Nextage 2024」では、最終年度である2024年度に、「経常利益60億円、ROE 8.0%」以上の達成を目指しております。

 

(3)中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題

 当社グループが属するエレクトロニクス業界は、第4次産業革命と呼ばれる技術革新の時代を迎えております。自動車のEV化、通信の高速化・大容量化などに伴う需要の増加に加え、今後はAIやIoT、ロボット、ビッグデータなどの革新的な技術があらゆる産業基盤に取り入れられる「Society5.0」に向けた動きが加速していくものと見込まれます。

 このような事業環境の下、当社グループは、1844年(弘化元年)に呉服問屋として創業し、1947年(昭和22年)に現在の丸文株式会社を設立してから、2022年で設立75周年及び東京証券取引所上場25周年を迎えます。この節目に、長期的視点に基づく「パーパス・ビジョン・ミッション」を再定義しつつ、新たに2022年度から2024年度までの中期経営計画「丸文 Nextage 2024」を策定いたしました。“次のステージ(Next Stage)”で、技術革新の“新たな時代(Next Age)”に貢献できるエレクトロニクス商社となるため、実効性のある戦略施策の立案と運営(PDCA管理高度化)を通じて、「事業ポートフォリオの進化と収益力改善」を連結ベースで推し進めます。

 

「丸文 Nextage 2024」基本方針:

① サステナビリティ経営の推進

 持続可能な成長実現に向けたESG・SDGsへの取り組みを推進し、ステークホルダーとの連携強化や課題解決型ビジネスの実践を通じ、社会的価値を追求します。

② 新たな事業領域への進出と成長基盤の構築

 新市場・新領域における果敢な挑戦を通じ、新たな事業成長機会を継続的に追求します。

③ 既存事業の「選択と集中」の促進とソリューション開発強化

 お客様視点でのソリューション開発を加速しつつ、既存事業の「選択と集中」を通じた競争力強化を図ります。

④ グループ経営の強化

 セグメント間(デバイス、システム、ソリューション事業間)連携による付加価値と国内外グループ企業間の連携によるグローバルシナジーを実現し、成果をお客様に還元します。

 

⑤ 業務基盤の整備と内部プロセスの改善

 業務インフラ強化や業務プロセスの改善、人材育成、働き方改革により、生産性・効率性を向上します。

 

各事業セグメントにおける取り組み:

当社はこれまで、デバイス事業・システム事業の2事業セグメントを基軸として経営しておりましたが、更なる長期的成長を見据えて、2022年度より新たな事業セグメントとして“ソリューション事業”を新設し、3事業セグメント体制にて経営してまいります。特に、新設するソリューション事業では、当社の豊富な商材とAI/IoT・ネットワーク技術を組み合わせ、新たな付加価値を当社独自のソリューションとしてお客様へ提供していく方針です。

 

① デバイス事業

イ.新規商材・新規商権の開発推進

・付加価値の高い新規商材の開発や新たな販売先の開拓に注力し、事業基盤の強化を図る

ロ.既存事業の収益性の維持・向上

・ローコストのオペレーションを徹底し、事業の生産性と効率性を改善する

 

② システム事業

イ.新規領域における事業規模と収益基盤の拡大

・新規市場と新規商材の開発を推進する

ロ.既存領域における競争優位性の強化

・既存の取扱領域における専門性を研ぎ澄ませ、マーケットにおけるポジションを確固たるものとする

・顧客層の水平展開と垂直深化を進め、顧客基盤を国内外に拡大させる

ハ.グループ連携の強化

・国内外グループ会社との連携を一層強化し、総合力を活かしたサービスをグローバルに提供する

 

③ ソリューション事業

イ.高付加価値ビジネスの開発推進

・成長市場に向けた革新的な商材や技術を継続的に発掘し事業化を推進する。また有望なベンチャー企業への投資や外部パートナーとの提携機会も模索する

ロ.新規ビジネスモデルの構築と拡大

・サブスクリプションやライセンスビジネスなどの新たなビジネスモデルを確立する

ハ.ソリューション開発力の向上とグループシナジーの創出

・デバイス事業・システム事業との連携を主導し、ネットワークとIoT技術をベースに、商品・技術・サービスを組み合わせて、丸文グループ独自のソリューションを開発し、新たな付加価値を顧客に提供する

 

経営基盤の強化:

・サステナビリティへの取り組みを強化するとともに、情報開示の充実に取り組む

・デジタルマーケティングとカスタマーリレーションを強化する基盤を整備する

・統合的リスクマネジメントの枠組み整備とリスクモニタリングの運用強化を推進する

・プライム市場上場会社として、コーポレート・ガバナンス体制の一層の充実を図る

・人材への投資、働きやすい職場環境の整備、ITインフラの整備に継続的に取り組む

 

(4)経営環境

① 企業構造

当社グループはデバイス事業、システム事業、ソリューション事業の3事業セグメントにおいて、当社を中心に機能別の事業会社によって構成されております。各事業会社は経営の基本方針に則りグループ間で連携した事業運営を行っておりますが、取り扱い商材や地域の特性に合わせ、主体的に事業管理を行い運営しております。

現在の企業体系は、業績の状況、事業運営の状況等から判断し、良好に機能していると認識しております。

 

② 市場環境

当社グループが属するエレクトロニクス市場は、技術の高度化に伴って応用製品が広がり、市場拡大を続けています。一方で、企業の生産活動と生活のあらゆる場面で利用されているため、景気の変動や企業の設備投資の動向に影響を受けやすく、変動の大きな市場であります。

製品・技術面では、5G通信技術やAI/IoT、ロボティクスなど新たなテクノロジーの活用が進んでおりますが、

ウクライナ情勢、米中貿易摩擦などの地政学リスクや頻発する自然災害、新型コロナウイルス感染症の流行などにより、市場の不確実性が高まってくるものと予測しております。当社グループはこうした状況下でも成長を図るため、付加価値の高い商品・サービスの開発・強化に取り組んでおります。

 

③ 顧客動向

当社グループは、大手電機メーカーや自動車関連メーカー、産業用機器メーカーなど多くの顧客と長年にわたり取引を継続しております。当社グループでは、これまでに培った信頼と信用を更に深化させるため、顧客密着型の営業活動と拠点展開を推進するとともに、顧客満足度調査による自社の取組み評価や改善を実施しており、全体としては顧客との良好な関係を構築できていると認識しております。

また現在は、自動車のEV化やスマートファクトリーなどの企業でのDXの取り組みなど、社会基盤の変化も進んでおります。これまでとは異なった市場・分野での顧客層が広がりをみせていることから、当社グループでは品揃えの拡充と技術サポート力の強化により顧客基盤の拡大を図っております。

 

④ 仕入先動向

当社グループは多くの仕入先と代理店契約を締結しております。近年は半導体メーカーの代理店政策の変更により、代理店を担うエレクトロニクス商社の数は減少傾向にあり、今後も当面は同様の傾向が続くものとみています。

当社グループはデジタルマーケティングの強化やソリューション提案力の向上に取り組み、仕入先とのパートナーシップの強化に努めるとともに、新規仕入先の開拓を行い、関係強化のために必要な場合は投融資やM&A、アライアンスを実施しております。

 

⑤ 競合他社動向

仕入先のM&Aや代理店政策の変更を背景に、近年は半導体商社間でも事業統合や買収など業界再編が進んでおり、業界全体の競争が激化しております。

当社グループは長年培ったサプライチェーンのノウハウや専門性の高い技術サポート力、グローバルサポート力により独自のポジションを築いていると認識していますが、他社とのさらなる差別化を図るべく、サービスと機能の拡充に取り組んでおります。

 

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