課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

当社グループは、「企業理念」並びに「経営理念」の下、水産物販売事業を中核とし、冷蔵倉庫事業など食料品に関する多様な事業を営んでおります。

水産物販売事業では、卸売市場法に基づき、京阪神地区を中心とした卸売市場において水産物卸売会社として、集荷・分荷・価格形成等を公正かつ透明性をもって行い、生鮮食料品等を安定して供給する食品流通の核としての役割を担っております。

当社グループの属する水産流通業界は、海洋環境や気候変動等の影響により水産物の漁獲状況が増減するなど様々な要因が業績に影響しております。また消費者のライフスタイルの変化とともに水産物に求められるものが変わってきております。

こうした環境下で、国内の水産物消費は減少傾向が続いていますが、海外での需要は高まっています。

当社グループは、こうした水産物の調達面と流通面の変化を捉えて、水産物流通の核としての役割は堅持しつつ、新たな需要の開拓や付加価値の向上に努めてまいります。

 

『企業理念』

大水グループは、自然の恵みに感謝し、古(いにしえ)からの食文化を守り、新たな食の創造に挑戦していきます

 

<企業理念に込めた思い>

水産資源の持続的利用と地球環境の保全につながる思い

 ⇒「自然の恵みに感謝する」

歴史ある日本の食文化の伝統や卸売市場の役割を支えていきたい思い

 ⇒「古(いにしえ)からの食文化を守る」

様々な環境変化を先取りし、食を通じて人々の健康と幸福に貢献したい思い

 ⇒「新たな食の創造に挑戦する」

 

『経営理念』

 ①水産物流通の担い手として誇りを持ち、人々の健康と幸福に貢献します。

 ②企業も社員も常に質の向上を目指し、変革を推進していきます。

 ③社員全員が働きがいの持てる企業を創っていきます。

 ④企業として顧客、仕入先、株主など関係者からの期待に応え、社会的信頼を高めます。

 ⑤関西を基盤に世界を視野に入れた活動をしていきます。 

 

(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの中心となる水産物卸売事業を取り巻く事業環境は、大変厳しい状況が続いています。イカ、サケ、サンマなどの主要な魚種の漁獲が不安定であったり、水産物流通の多様化により卸売市場を経由しての取扱量が減少したり、消費者ニーズの変化により水産物消費の減少傾向が続いております。加えて、一昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大により経済・社会活動が停滞し、飲食業を中心に総じて水産物の需要が減少しております。

一方、健康志向の高まりや魚のおいしさが見直されつつあるなど、水産物に対する潜在需要はあると思われます。また世界での水産物の生産量は中長期的には増加傾向にあり、水産業は成長産業と言われております。

こうした状況を背景に、2020年6月に改正卸売市場法、同年12月に改正漁業法が施行され、2022年12月には、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(水産流通適正化法)が施行されます。生産から流通そして小売に至るまで、水産資源を科学的根拠に基づいて適切に管理し、持続可能な産業へと進化させることが求められております。

今後予想される世界的な需要の増大と、あらたな法制度によって、急激かつ大きな環境変化の中ではありますが、以下に記載した当社グループの<目指す姿>の実現のため、<5つ課題>を確実かつスピードをもって実行していくことが、当社グループの社会的使命でありステークホルダーの皆様の期待に応えるものであると考えます。

また、2022年4月より、新人事賃金制度を導入しました。社員一人一人の知識、技能、経験、強みは様々です。それぞれの社員が最大限に力を発揮し、組織に貢献し、評価され、成長しながら将来のキャリアプランを描けるようにするのが目的です。この新制度を早期に定着させ、成長につなげるため、人材力を高め組織力を向上させ、中長期的な当社の成長につなげてまいります。

 

 

<目指す姿>

生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売企業になる

 

<5つの課題>

①営業力と調達力を強くして、成長する。

生産者との関係をより強化する他、流通及び加工の最適な仕組み作りや差別化できる商品を取り扱っていく。

②収益力を高めて、質の向上を図る。

業務の見直しを行い生産性の向上を図り、価値の高い仕事への取り組みや仕事の質を向上させることで収益力の向上につなげていく。また、物流費及び管理費の見直しを行うほか、IT機器の活用を推進していく。

③社員が誇りを持ち、働きがいのある職場にする。

働き方改革を推進し、業務の標準化、IT化等で生産性を高めていくとともに、人事制度の見直し、社員教育の充実を図っていく。

④企業として社会からの信頼を高め、一段上を目指す。

財務体質の強化及びコンプライアンス・ガバナンス体制の強化を図る。また、SDGsへの取り組みや社会貢献活動を充実させていく。

⑤関西を基盤に、世界の水産物市場を視野に入れて活動する。

京阪神を中心に7市場を持つ強みを生かすとともに、グループ会社との連携をより強化し企業価値の向上を図る。またM&Aや業務提携にも積極的に取り組み事業の拡大を目指す。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「取扱高(※)」及び「経常利益」を重要な指標として位置づけております。

2019年度からの3カ年中期経営計画の最終年度である2021年度数値目標(連結ベース)は、取扱高(※)1,350億円、経常利益7億円でした。しかし、2020年年初からの新型コロナウイルス感染症拡大により経済・社会活動が低迷し、当社グループの業績にも大きく影響したため、2021年度の目標数値を取扱高1,200億円、経常利益3億円としておりましたが、結果は取扱高1,140億36百万円、経常損失1億19百万円となりました。

(※)2020年度適用の会計基準による売上高であり、2021年度より収益認識会計基準等を適用したことにより取扱高としております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、本年2月以降のウクライナ情勢の悪化等もあり水産物を含め物価が大幅に上昇し、先行きは一層不透明さを増しております。このような状況を踏まえ、2022年度の見通しを精査のうえ、連結売上高908億円(収益認識会計基準等適用後)、経常利益3億30百万円を目標数値といたします。

 

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