課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 (1)経営方針

当社グループは「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という基本理念の下に、フード業を幅広く展開し、「世界中の人々に安全でおいしい食を手軽な価格で提供する」という使命を持って、グローバルな展開を行っております。安全で質の高い商品とサービスをお客様に提供するため、メニューの開発から食材の調達、製造・加工、物流、販売に至る全過程を自ら企画・設計し、一貫してコントロールするMMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の構築に努めております。

MMDを実践することで、より幅広い層のお客様に、いつでも、気軽に利用していただける店舗づくりを実現し、業容の一層の拡大と効率化を図り、株主価値の増大に努めてまいります。

 

(2)経営環境

新型コロナウイルス感染症や世界的な供給制約の影響が残る中、2021年末にかけて回復の兆しが見られましたが、足下ではオミクロン株の感染急拡大やウクライナ情勢悪化により再び不透明感が強まりました。

当社グループの事業構造については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の通りであり、主要な顧客は一般消費者であります。

世界の外食市場は、年間約300兆円の規模で、約10%のペースで拡大しておりますが、日本国内の市場規模は年間約25兆円で、人口減少により、今後、縮小傾向が見込まれております。

また、労働力に関しては、国内の高齢化社会の進行に伴い、人財確保が困難になりつつあるほか、原材料調達においても、世界的なインフレ圧力や供給制約により急激な原材料価格の高騰に見舞われているなど、全般的に非常に厳しい経営環境が続いております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
 (1)及び(4)に記載の、経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

①MMD(マス・マーチャンダイジング・システム)の進化

当社グループは、お客様に安全でおいしい商品を安心してお召し上がりいただくために、MMDによる安全性の確保を継続するとともに、業績の向上を目指し、業容の拡大とグループシナジーの追求を行ってまいりました。今後も、更なる強化によって食材の安全性の追求と商品クオリティの向上、コスト改善を図ってまいります。

 

②食の安全性の追求

「お客様になり代わって食材の安全性を確認する」ことを最重要課題とし、「食の安全」に責任を負うグループ食品安全保証本部の指導の下、グループ会社において店舗・工場及び取引先様における衛生管理を徹底しております。食材・原料は、中央分析センターと微生物検査室によるハザード(健康阻害要因)の分析検査と食材トレーサビリティの強化により、安全性を一層高めてまいります。
食の安全の世界基準(CODEX基準)に適合した独自の安全基準の徹底と全社員への食品安全教育の実施で、食の安全を追求してまいります。

 

③ブランドの進化

当社グループは、全業態においてQQSC(クオリティ・クイックサービス・クリンリネス)の追求を行い、全てのお客様により快適な空間でお食事をお召し上がりいただけるよう、ユニバーサルデザインの店舗作りの推進や、お客様の多様なニーズにお応えできる商品を導入することなどにより、ブランドの進化に努めてまいります。

 

④サステナビリティへの取り組み

当社グループは創業以来、「世界から飢餓と貧困を撲滅する」との経営理念を掲げ、安全でおいしい食の安定供給を通じた持続可能な世界の実現を目指しております。この理念に基づき、2007年からコーヒーや紅茶のフェアトレードを開始し、現在はアジアやアフリカの18ヵ国において、フェアトレードの資金を活用した学校建設、女性支援、児童への奨学金給付などの社会開発支援活動を行っております。このほかにも、うなぎ資源の保全、食品残渣の活用、店舗・工場への太陽光パネルの設置といった活動を行っており、事業活動とこうした活動の両輪で持続可能な世界の実現に向けて取り組んでまいります。

 

⑤出店及びM&Aによる成長

国内外において業態の収益力を高め、積極的な出店を継続してまいります。また、M&A等の活用によりMMDの更なる強化を図り、安全でクオリティの高い食材の供給と、食の多様化にも対応してまいります。

 

⑥人財の採用及び育成

当社グループは、人件費を単なるコストとして捉えるのではなく、人財は付加価値を生み出す人的資本という考えに基づき、人財の採用及び育成は対処すべき重要な経営課題と認識しております。当社グループの理念に共感する優秀な人財を採用し、持続的な成長を支える人財を育成してまいります。

また、女性社員の活躍推進を含む多様な働き方の促進や、中途採用の強化、グローバル人財の採用・育成を積極的に進めてまいります。

 

⑦労働環境の改善

当社グループは、労働環境を改善するために、労働時間管理システムの導入、マネジャー層に対するコンプライアンス教育の強化、ハラスメント防止対策として相談窓口の設置や社内研修の実施、従業員との対話機会の充実等の多様な改善施策を実施してまいりました。引き続きDX推進による作業の合理化、コミュニケーションの強化、人事評価制度・給与制度・福利厚生の見直し等を行い、従業員ひとりひとりが能力を高め、やりがいと成長を実感できる職場環境にすることで長期安定雇用を図ります。

 

⑧お客様の利便性向上及び迅速な経営判断に資するためのシステム構築

当社グループでは、お客様の利便性向上のためのシステム構築を進めております。一方、経営管理システムとして、売上・在庫等の情報を収集する仕組みを構築しております。今後、国内外でグループ各社の販売拠点を拡大していく中で、更なる情報の収集・統合の効率化を進め、経営陣の迅速な判断に資するシステムと体制の構築にも取り組んでまいります。

 

⑨DX(デジタルトランスフォーメーション)への積極的な取り組み

現在、第4次産業革命とも呼ばれるデジタル化の急速な進展の中で、人工知能(AI)・IoT・RPA・クラウド化への対応、また店舗においては、セルフオーダー/セルフキャッシング等の技術革新やITによるデータ活用等により、定型労働に加えて非定型労働においても省人化が進展しております。当社グループにおきましても、店舗、工場、物流、本部などの各工程において、積極的にDXヘ取り組むことで業務の効率化・自動化を推進してまいります。

 

⑩食材の安定供給への取り組み

当社グループでは、店舗で使用する食材を国内外から調達しており、原産地での紛争、気候変動や為替変動による価格上昇のリスクに対応するため、仕入先の分散化等に取り組んでおります。

 

⑪新型コロナウイルス感染症への対応

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の拡大に対しましては、当社グループの使命である食の社会インフラの役割を果たすために緊急対策本部を設置し、店舗営業の継続とお客様並びに従業員の安全と健康の維持に努めております。またお客様の新しい生活スタイルに対応した商品の開発及び販売体制の強化も積極的に行っております。

感染症拡大につきましては、いまだ先行きの見通しが困難な状況にありますが、引き続き、臨機応変かつ適切に対処してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画を策定し、その経営指標(KPI)として売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率、ROEの目標値を定めております。

 現中期経営計画期間の目標といたしましては、2025年3月期の売上高9,376億円、営業利益568億円(売上高営業利益率6.1%)、経常利益555億円(売上高経常利益率5.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益355億円(売上高当期純利益率3.8%)、ROE10.0%の達成としております。

(中期経営計画期間の各事業年度の計画値については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指導等」をご参照ください。)

 当該KPIを採用している理由としましては、中期経営方針として①既存事業の収益改善②国内外における新規出店による業容の拡大③人財育成及び職場環境の改善を挙げており、経営方針の進捗状況や実現可能性の評価等を行うことが可能になるためであります。

 当該KPIの各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

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