業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 

(1)経営成績

 当連結会計年度における販売の状況といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大や競合他社との競争が激化したことから、売上高は前期と比べ概ね横ばいで推移いたしました。新型コロナウイルスに関しては、感染状況の悪化に伴い、一部の医療機関において、病床確保の必要性や医療従事者の人員不足を背景に、緊急性の低い待機的症例を延期する等の対応がなされたことから、当社の製品の販売にも一定の影響がありました。また、事業環境の変化に関しては、一部の主力製品における競合他社の新規参入が、収益の伸びを抑制する要因となりました。

 リズムディバイスにおいては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響や競合他社の新製品の影響により、前期に比べやや減収となりました。EP/アブレーションにおいては、心房細動のアブレーション治療の症例数の回復を背景に、主力の自社製品の販売が堅調に推移したほか、2021年7月に発売した内視鏡レーザーアブレーションカテーテルの次世代品が寄与したことで、前期に比べ増収となりました。外科関連においては、人工血管やオープンステントグラフト等の自社製品が伸長したものの、2021年4月に血液浄化事業を譲渡した影響をカバーするには至らず、減収となりました。インターベンションにおいては、消化器領域の自社製品が大きく伸長したものの、PI(経皮的インターベンション)関連においては症例数の回復の遅れと競合他社との競争激化を背景に、前期と比べ減収となりました。以上により、当期の売上高は、51,469百万円(前期比0.4%増)となりました。

 利益の状況においては、売上総利益率については、一部の仕入商品の競争激化による販売価格面への影響や薬剤溶出型冠動脈ステントの販売不振による商品評価損等の計上が、マイナス要因となりました。しかしながら、自社製品が大半を占めるEP/アブレーションや外科関連が堅調に推移し、売上高に占める自社製品比率が上昇したことから、マイナス要因は吸収され、売上総利益率は前期に比べて0.1ポイント上昇いたしました。販売費及び一般管理費においては、前期に比べ新商品の導入に係る治験費用や研究開発費が増加したほか、営業活動等の制約の緩和に伴い、旅費交通費や広告宣伝費等の販売関連の費用が増加いたしました。

 以上により、当期の営業利益は9,973百万円(前期比3.8%減)となりました。

 また、営業外損益については、受取利息及び受取配当金のほか、血液浄化事業の譲渡に係る事業譲渡益等を営業外収益として316百万円、支払利息のほか、投資有価証券評価損等を営業外費用として285百万円計上いたしました。以上により、当期の経常利益は、10,005百万円(前期比4.9%減)となりました。

 特別損益については、投資有価証券売却益等を特別利益として44百万円、固定資産売却損等を特別損失として8百万円計上いたしました。

 以上により当期の親会社株主に帰属する当期純利益は7,484百万円(前期比274.1%増)となりました。

 

 品目別の販売状況は以下のとおりです。

<品目別売上高>

 

 

 

(単位:百万円)

 区分

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 増減率

リズムディバイス

13,248

12,977

△2.0%

EP/アブレーション

23,863

25,099

5.2%

外科関連

9,969

9,657

△3.1%

インターベンション

4,204

3,733

△11.2%

合計

51,286

51,469

0.4%

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

 

(単位:百万円)

 相手先

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

販売高

割合(%)

販売高

割合(%)

ディーブイエックス株式会社

5,638

11.0%

5,857

11.4%

 

※ 各品目区分に分類される主たる商品は以下のとおりです。

リズムディバイス

心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)、舌下神経電気刺激装置

EP/アブレーション

EP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、

内視鏡レーザーアブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、

食道温モニタリングカテーテル、高周波心房中隔穿刺針

外科関連

人工血管、オープンステントグラフト、ステントグラフト

インターベンション

バルーンカテーテル、ガイドワイヤー、心房中隔欠損閉鎖器具、

薬剤溶出型冠動脈ステント、血管内圧測定用センサ付ガイドワイヤー、

大腸ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針

 

ⅰ リズムディバイス

 ペースメーカ関連においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う待機的症例の延期や競合他社の新製品発売の影響等により、販売は伸び悩み、前期に比べやや減収となりました。

 ICD関連においては、ペースメーカ関連と同様に新型コロナウイルスの影響がありましたが、ICD(植込み型除細動器)については、交換症例を多く獲得できたことから、前期に比べ増収となりました。しかしながら、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)及び、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)については、前期に比べ減収となりました。

 その他の品目においては、AED(自動体外式除細動器)のレンタルによる売上が伸長いたしました。また、閉塞性睡眠時無呼吸症の治療に用いられる舌下神経電気刺激装置「Inspire UAS(インスパイア・ユーエーエス)」の国内初症例を2022年2月に実施いたしました。睡眠呼吸障害の治療は当社にとって新しい治療領域でありますが、本商品は患者様に対する新たな治療の選択肢の提供につながるものであり、また、睡眠呼吸障害と心不全等の循環器疾患には高い関連性が指摘されており、既存の不整脈事業とのシナジーも期待されることから、今後普及に努めてまいります。

 以上により、リズムディバイスの売上高は、12,977百万円(前期比2.0%減)となりました。

 

ⅱ EP/アブレーション

 EPカテーテルにおいては、心房細動のアブレーション治療の症例数が回復したことを受け、オンリーワン製品である心腔内除細動カテーテル「BeeAT(ビート)」の販売が堅調に推移し、前期に比べ増収となりました。また、食道温モニタリングカテーテル「Esophastar(エソファスター)」についても、堅調に推移し増収となりました。

 アブレーションカテーテルにおいては、高周波を用いる一般的なアブレーションカテーテルは、競合製品の影響等により、売上高は前期に比べやや減収となりました。一方、当社が新しいアブレーション技術として注目し、2018年より販売している内視鏡レーザーアブレーションカテーテルについては、2021年7月に次世代品である「HeartLight X3(ハートライト・エックススリー)」を発売いたしました。次世代品は、従来品と比べて手技時間が大幅に短縮される点が高く評価され、当期の販売は好調に推移いたしました。

 その他の品目においては、スティーラブルシースの自社製品「Leftee(レフティー)」について、医療現場において高い操作性が評価されたことから、前年に比べ大きく増収となりました。一方、心房中隔穿刺針「RF Needle(アールエフニードル)」については、競合他社の新規参入による影響を受け、やや減収となりました。

 以上により、EP/アブレーションの売上高は、25,099百万円(前期比5.2%増)となりました。

 

ⅲ 外科関連

 人工血管関連においては、コロナ禍で様々な制約があるなかにおいても、対面重視の営業活動を積極的に推進したことが奏功し、自社製品の人工血管「J-Graft(ジェイグラフト)」シリーズの販売は好調に推移いたしました。また、オンリーワン製品であるオープンステントグラフト「FROZENIX(フローゼニクス)」についても、コロナ禍で治療時間を短縮できるメリットが評価されたほか、「J-Graft」シリーズと併用する手技が医師に評価されたことから、販売は前期に比べ伸長いたしました。一方、腹部用ステントグラフト「AFX2ステントグラフトシステム」については、販売は底堅く推移し、2021年10月に発売した腹部用ステントグラフトの新商品「Alto(アルト)」の寄与もあったことから、前期並みの水準となりました。

 その他の品目においては、血管内塞栓用コイル「Avenir(アベニア)」を、2021年12月より当社が既に強みを確立している腹部領域において、先行して販売を開始し、2022年4月以降は、脳血管領域での販売も開始いたしました。当社は脳血管領域を新たな成長分野と位置づけ、同領域の開拓を進めてまいります。

 また、2021年4月に血液浄化事業を譲渡しており、これが当期においては減収要因となりました。

 以上により、外科関連の売上高は、9,657百万円(前期比3.1%減)となりました。

 

ⅳ インターベンション

 PI関連においては、全体として症例数の回復が遅れたことに加え、競合他社との競争が激化したことから、総じて厳しい状況で推移いたしました。薬剤溶出型冠動脈ステント「Orsiro(オシロ)」については、前期に比べ減収となり、販売単価の下落により収益性も低下していたことから、2022年2月25日付のプレスリリース「薬剤溶出型冠動脈ステントの独占販売契約の終了に関するお知らせ」にありますとおり、2022年6月末をもって独占販売契約を前倒しして終了することを決定いたしました。また、自社製品のガイドワイヤーやバルーンカテーテルについても、競合他社の影響等により、減収となりました。

 消化器関連においては、後継モデルを発売した大腸ステント「Jentlly Neo Colonic Stent(ジェントリー・ネオ・コロニックステント)」の販売が好調に推移したほか、2021年9月に発売した胃・十二指腸ステント「Jentlly Neo Duodenal Stent(ジェントリー・ネオ・デュオディナルステント)」の寄与もあり、前期に比べ大幅な増収となりました。また、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針「arfa(アルファ)」についても、預託施設の拡大が奏功し、売上高は伸長いたしました。

 以上により、インターベンションの売上高は、3,733百万円(前期比11.2%減)となりました。

 

(2)財政状態

ⅰ 資産

 当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ630百万円増加し、45,153百万円となりました。これは主として、現金及び預金が2,349百万円、その他のうち前払金が116百万円増加した一方で、棚卸資産が1,137百万円、受取手形及び売掛金が707百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ395百万円減少し、28,044百万円となりました。これは主として、繰延税金資産が364百万円増加した一方で、投資有価証券が691百万円減少したことによるものであります。

 以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から235百万円増加し、73,197百万円となりました。

 

ⅱ 負債

 当連結会計年度末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ2,256百万円減少し、14,211百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金が1,047百万円、未払法人税等が633百万円、その他のうち未払消費税等が795百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が414百万円、賞与引当金が288百万円増加したことによるものであります。

 また、固定負債は前連結会計年度末に比べ771百万円減少し、4,418百万円となりました。これは主として、長期借入金が1,078百万円減少した一方で、退職給付に係る負債が215百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から3,027百万円減少し、18,629百万円となりました。

 

ⅲ 純資産

 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,263百万円増加し、54,567百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を3,945百万円実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を7,484百万円計上したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,349百万円増加し、16,058百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、10,246百万円(前年同期は11,432百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の10,041百万円、棚卸資産の減少額の1,159百万円であり、主な減少要因は法人税等の支払額の3,480百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,131百万円(前年同期は3,731百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入の827百万円であり、主な減少要因は有形固定資産の取得による支出の1,516百万円、無形固定資産の取得による支出の342百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、6,804百万円(前年同期は3,720百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額が3,952百万円、長期借入金の返済による支出が2,175百万円となったことによるものであります。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

ⅰ 生産実績

当連結会計年度における生産実績を区分別に示すと、次のとおりであります。

 

 

 

(単位:百万円)

 区分

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 増減率

リズムディバイス

16

16

△5.3%

EP/アブレーション

4,940

4,695

△5.0%

外科関連

1,441

1,441

△0.0%

インターベンション

404

505

24.8%

合計

6,803

6,657

△2.1%

(注) 金額は製造原価によっております。

 

ⅱ 受注実績

当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しております。

 

ⅲ 販売実績

販売実績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご覧ください。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ 資本の財源

 当社グループの主要な運転資金需要は、商品の仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備の新設及び改修、商品パイプラインの確保等を目的とする商品仕入先に対する貸付等に係る投資であります。また今後、当社グループの企業価値向上への寄与が見込まれる場合には、M&A等を含めた投資の検討を行ってまいります。

 これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくことを基本としております。なお、金融市場及び手許資金等の状況を勘案し、必要と判断した場合には金融機関からの長期借入による対応も検討してまいります。

 

ⅱ 資金の流動性

 当社グループでは、資金調達の機動性及び安定性を高めることを目的として、コミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えております。当連結会計年度末におけるコミットメントラインの総額は8,500百万円、借入実行残高は5,300百万円、借入未実行残高は3,200百万円となっております。

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループで採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)、(追加情報)」に記載の通りであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が高く、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

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