有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1)食品の安全性について
当社グループは「食品衛生法」に基づいた営業施設を整備し、同法の許可の下で魚介類、寿司を主に販売する小売店及び飲食店を営業しておりますところ、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に対応し、一般的衛生管理及び当社ルールを併用し、食の安全性確保に努めております。また、「食品表示法」及び「計量法」に基づき、商品を販売するにあたって原産地、食品添加物、アレルギー、保存方法、消費期限、内容量などの表示が義務付けられておりますところ、適正な表示の実施に取り組んでおります。
近年、生産者、加工業者による「食の安全」を脅かすような問題がしばしば発生し、消費者の「食の安全」を守るため法改正が行われる頻度が高まっています。このような中、食品衛生についてのコンプライアンスの遵守が会社の存続にも関わる問題となってきております。
生鮮食品を扱う当社グループにとって、「食の安全」確保は最重要事項であるため、店舗においてオゾン消毒施設を備え滅菌・消臭を行うとともに、社内専担部署による衛生検査、専門業者による定期的な清掃・設備点検を実施するなど、「食の安全」確保に最大限の努力を行っております。
また、商品の産地表示、消費期限表示、添加物表示、アレルギー表示などについて消費者へ十分な情報を提供する体制を構築しております。
しかしながら、当社の取り組みを超えた重大な事故が発生した場合、営業への支障や損害賠償などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
更に、「食の安全」に関わる事件の発生やマスコミの報道などにより、「生」で食することの多い魚について購買敬遠ムードが高まった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)魚介類の需給構造の変化と水産物市況の変動について
世界的な魚食の習慣は今後とも勢いを増し、米国・欧州・ロシア・中国等を中心に魚介類に対する需要は更に増すものと考えられます。
これにより、今まで日本が中心であった魚介類の需給が世界に拡散する一方、マグロをはじめとして天然の魚資源の枯渇化が進行しているため、漁獲量の制限が強化されるなど、供給面の縮小が問題視されております。
このような世界的な魚介類の需給バランスの変化に対応するため、当社グループとしては、養殖事業者大手である(株)ヨンキュウ、豊洲市場卸売事業者大手である東都水産(株)と資本・業務提携を行うなど、ネットワークの強化や仕入手法の多様化等に取り組み、お客様への安定的な商品供給に取り組んでおります。
しかしながら、需給関係の大幅な変化やそれに伴う魚介類の価格変動が大きく発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、ウクライナ情勢の先行きは予断を許しません。緊迫化・長期化によりロシア産海産物の供給が減少する、また、供給懸念が高まる場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)消費者の鮮魚購入のニーズ変化について
家計調査年報によると、食料支出に占める素材としての魚介類購入額の割合は減少する一方、調理食品購入額や外食費の割合は増加する傾向にある中、総体として魚介類の消費量は減少傾向にあります。
このような中、当社としては小売事業において、消費者のニーズに合わせた素材の提供方法を取り入れ、また、簡便性ニーズに対応し寿司や調理済みの煮魚・焼魚の品揃えを増やすなど、消費者のニーズをとらえる努力を行っており、また、飲食事業におきましては、こだわりの食材をリーズナブルな価格で提供する新業態「魚力食堂」のチェーン化に取り組むなどしております。しかしながら、消費者のニーズは年々大きく変化しており、これに対して対応が不十分、もしくはニーズと一致しない施策等があった時には、当社グループの業績に影響を及ぼすことが予想されます。
また、小売事業において消費者の購買動向は、最寄品、日用品、食料品についてワンストップ・ショッピング、ショートタイム・ショッピング志向が強まってきており、一箇所で買物を短時間で済ます傾向が強くなっております。このため、当社の出店している商業施設の近隣に大規模な競合する商業施設がオープンした場合に、当社店舗の売上高が減少するなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)出店について
当社の小売事業の店舗は、原則30~50坪の売場面積が確保できることを条件として、大型商業施設にテナントとして出店することを基本としております。また、生魚を中心とした専門店としての商品の集積で常時鮮度を保って販売を行っていくためには、一定の商品回転率を必要とし、そのため、現状は集客力の高い首都圏を中心とした一定の売上規模が見込めるターミナル隣接の駅ビル、あるいは駅近隣の百貨店への出店が中心となっております。
近年、首都圏、特に都内有力ターミナルにおいては、新たな商業施設の建設が減少し、新規出店施設に当社が出店できる機会は少なくなりつつありますが、都心部を中心とした店舗開発情報の収集に力を入れ、積極的な物件開発に取り組むことが重要と考えております。
また、必ずしも鉄道駅隣接ではない、首都圏郊外の大型ショッピングセンターへの出店を開始しております。
しかしながら、主力事業における今後の新規店舗の開発状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)自然災害・事故・感染症等について
当社グループは、首都圏及び中京圏に店舗展開しております。これらの地域での地震・台風・洪水などの自然災害や、不測の事故などが発生した場合、災害や事故発生時の店舗施設への損害や人的被害の状況によって、店舗の営業に支障をきたす可能性があります。また、猛暑・冷夏・暖冬等の異常気象による漁獲量の大幅な減少や、異常気象に起因する消費者の購買動向の大きな変化があった場合、売上の減少につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今般の新型コロナウイルス感染症のような感染症が流行した場合、感染拡大や蔓延状況に応じ、また、政府等の要請等に基づき店舗の休業、営業時間の短縮などの措置がとられた場合、売上の減少につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、流行が一応の収束に到った後においても、消費者の購買動向が変化した場合には、売上の減少につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)放射能汚染について
当社グループは、主に豊洲市場を通じ全国から海産物を仕入れております。東京電力福島第一原子力発電所に溜まる処理水に関し海洋放出の準備が進められているところ、たとえ科学的、技術的に実行可能であり国際的慣例に沿ったものであっても、福島県産ほかの魚介類に関する風評被害が発生するおそれがあります。放射能汚染については、現実の汚染の有無にかかわらず、消費者の購買行動が影響を受け、当社グループの売上の減少につながるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法規制、会計制度等の変更について
当社グループは、「食品衛生法」、「食品表示法」、「計量法」、「独占禁止法」はじめ、消費者保護、各種税制、環境・リサイクル関連法等により規制を受けております。また、税制改正に伴う消費税率の引き上げ等により、個人消費に影響が出る可能性があります。
これに加え、国際会計基準などの新たな会計基準の適用により、業績への直接的な影響のみならず、会計基準の変更に伴うシステム変更などの負担増加も懸念されます。
従いまして、これらの法規制や制度改定により、これに対応するための費用の増加や、店舗の営業への支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(重要なリスク)
(1)売上高、利益計上の季節性について
業種柄、当社グループの売上高、営業利益の計上には季節性があり、特に小売業において顕著です。通常、当社の売上高、営業利益ともクリスマスから年末の商戦を含む第3四半期が最高となります。売上高は4つの四半期の平均より10%から20%多く、営業利益は更に多くなります。
従いまして、悪天候などの要因により第3四半期の売上高が伸びない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人材の確保及び育成について
当社は、成長戦略の柱として積極的な出店を掲げておりますが、そのためには店舗運営を担う優秀な人材の確保が不可欠であります。経験豊富な中途社員を積極的に採用するとともに、新入社員についても各種研修を行うことで早期戦力化を図っております。しかしながら、昨今、雇用環境が改善したことに加え、パート・アルバイトの時給が上昇しており採用環境は厳しい状況にあります。
従いまして、人材の確保及び育成が不十分であった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)店舗賃借に係る条件について
当社は、先に述べたとおり、小売事業、飲食事業ともに自社物件もしくは一括自社での借上げ物件での営業ではなく、商業施設内等へのテナント出店を基本としております。
小売事業において、出店している商業施設側からの改装等の機会をとらえての既存テナントに対する出店条件の見直し、もしくは出店条件によるテナントの選別が行われることが多くなっております。併せて、従来の契約期間満了に伴う自動更新が一般的であった賃貸条件から、定期借家による賃貸契約への変更要請も多くなっており、テナントとしての中長期的な店舗運営継続の基盤は、今までより弱いものとなりつつあります。このような中、当社は営業実績に加え良好な財務内容に裏付けられた信用力により商業施設に訴求しております。しかしながら、入店している商業施設における条件により、もしくは契約年数の期限到来による営業の停止などがあった場合、将来的には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外での事業活動について
当社グループは、海外で事業活動を行っており、現地での地震・洪水・火災等の災害や、戦争・内乱・テロ等による政治的・社会的混乱や予期せぬ景気の変動により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。但し、現時点での海外事業活動は比較的小規模にとどまっております。
(5)為替相場の変動や金利変動について
当社グループの商品の中には為替相場の変動の影響を受ける輸入品があるとともに、これを原材料とする加工品も販売しており、為替相場の変動により仕入価格が影響を受ける可能性があります。また、金利変動を背景とした退職給付債務の金額算定の基礎となる割引率の変動により、費用負担が増減する可能性があります。従いまして、為替相場の変動や金利変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産の減損会計の適用について
当社では、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当社は各店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位としており、本社経費配賦後の店舗別損益を基に減損の兆候を把握しております。減損の兆候があった店舗については、全社予算の構成単位である店舗別予算から割引前将来キャッシュ・フローを見積り、減損の認識を判定しております。
今後出店する地域の消費動向や競合する店舗の状況等により、店舗の売上高が大きく低下し店舗別損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなった場合、当該店舗の固定資産の減損処理が必要となる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)保有する有価証券の減損処理による評価損について
金利環境の変化などにより、有価証券の実勢価格が大幅に低下した場合、減損処理による投資有価証券評価損を計上する必要があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
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