① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルスの度重なる感染拡大、ロシアのウクライナ侵攻の影響による資源価格の高騰などにより、先行き不透明な状況となりました。
当社グループの主要ユーザーである自動車業界におきましては、コロナ禍から回復基調ではあるものの、世界的な半導体不足の長期化や部品の調達難が継続し、生産調整の影響が懸念される状況が続きました。設備投資につきましては、日本国内では厳しい状況が続きましたが、海外では中国や米国を中心に総じて堅調に推移しました。
このような事業環境のなか、当社グループでは、受注済みの海外大型プロジェクトを着実に推し進め海外事業の拡大を図ったほか、今後急拡大が見込まれる車載電池市場を見据え、本年2月に電池部品開発課を新たに設置し、新規ビジネスの取り組みを強化しました。また、本年4月にはサステナビリティ委員会を設置し、気候変動への取り組みなど4つのマテリアリティ(優先的に取り組むべき重要課題)を特定し、課題解決に向けた取り組みを始めました。
その結果、当連結会計年度における売上高は710億62百万円(前連結会計年度比16.2%増)、経常利益は55億82百万円(前連結会計年度比34.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億84百万円(前連結会計年度比36.7%増)となりました。
これをセグメント別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
主に日系自動車部品メーカー向けに溶接設備・材料の売上が増加したことや中国の半導体・エレクトロニクスデバイスメーカー向けに自社製品の精密塗布装置の売上が大きく伸長したことにより、売上高は544億77百万円(前連結会計年度比6.6%増)、セグメント利益は27億73百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。
メキシコや米国の日系自動車メーカー向け生産管理システムの売上計上や日系自動車メーカー・同部品メーカー向けに溶接材料の売上が堅調に推移したことなどにより、売上高は70億58百万円(前連結会計年度比28.3%増)、セグメント利益は4億42百万円(前連結会計年度比132.5%増)となりました。
タイでは日系自動車メーカー向けおよび日系空調機器メーカー向け生産設備の売上を計上したことや、インドネシアでは日系自動車メーカー向けに溶接設備・材料の売上が伸長したことなどにより、売上高は48億37百万円(前連結会計年度比15.4%増)、セグメント利益は5億92百万円(前連結会計年度比34.0%増)となりました。
日系自動車メーカー向けに生産工場の能力増強に伴う生産設備の売上が計上できたことなどにより、売上高は145億65百万円(前連結会計年度比89.9%増)、セグメント利益は15億96百万円(前連結会計年度比109.4%増)となりました。
チェコの日系自動車メーカー向けに生産管理システムの売上等を計上しましたが、売上高は5億59百万円(前連結会計年度比25.7%減)、セグメント利益は41百万円(前連結会計年度比50.1%減)となりました。
なお、セグメント別の売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
当連結会計年度末の資産合計は626億99百万円となり、前連結会計年度に比べ57億93百万円増加いたしました。 流動資産は前連結会計年度末に比べ47億42百万円増加し、522億98百万円となりました。これは主に受取手形が47百万円、電子記録債権が15億93百万円、原材料及び貯蔵品が2億3百万円、前渡金の減少等により流動資産のその他が1億17百万円減少しましたが、現金及び預金が44億58百万円、売掛金が10億62百万円、商品及び製品が5億85百万円、仕掛品が5億97百万円増加したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ10億51百万円増加し、104億円となりました。これは主に有形固定資産が3億62百万円、無形固定資産が6億20百万円増加したことによるものであります。
流動負債は前連結会計年度末に比べ12億80百万円増加し、251億70百万円となりました。これは主に電子記録債務が11億93百万円、短期借入金が11億97百万円減少しましたが、支払手形及び買掛金が3億4百万円、未払法人税等が2億54百万円、契約負債(前受金)が27億91百万円、引当金が58百万円、未払金の増加等により流動負債のその他が2億62百万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ2億14百万円増加し、12億78百万円となりました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べ42億98百万円増加し、362億49百万円となりました。
以上により、自己資本比率は、前連結会計年度末の56.0%から1.6ポイント上昇し57.6%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて42億78百万円増加し、 188億46百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、75億4百万円(前連結会計年度は10億35百万円の支出)となりました。これは主に仕入債務の減少額17億38百万円により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益55億60百万円、契約負債の増加額16億43百万円、売上債権の減少額13億85百万円により資金が増加したことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、15億50百万円(前連結会計年度は10億17百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入33億33百万円により資金が増加しましたが、定期預金の預入による支出34億39百万円、有形固定資産の取得による支出7億69百万円、無形固定資産の取得による支出7億63百万円により資金が減少したことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、23億27百万円(前連結会計年度は3百万円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純減額12億81百万円、配当金の支払額9億87百万円により資金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.米国、東南アジアおよびその他は製造部門を設けていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における製造部門の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.米国、東南アジアおよびその他は製造部門を設けていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日(2022年11月18日)現在において判断したものであります。
売上高につきましては、前連結会計年度に比べ99億1百万円増加し、710億62百万円(前連結会計年度比16.2%増)、営業利益は前連結会計年度に比べ12億11百万円増加し、52億13百万円(前連結会計年度比30.3%増)、経常利益は前連結会計年度に比べ14億41百万円増加し、55億82百万円(前連結会計年度比34.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ10億15百万円増加し、37億84百万円(前連結会計年度比36.7%増)となりました。
売上高については、海外現地法人が好調に推移したことなどにより増収となりました。主に中国の日系自動車メーカー向けボディーライン溶接設備の大型プロジェクトやメキシコ・米国の日系自動車メーカー向け生産管理システム・溶接材料の売上が寄与しました。利益については、売上総利益の大幅な増加が販管費の増加を吸収し、営業利益以下の利益を押し上げ増益となりました。売上総利益の増加要因は、増収効果に加え自社開発品の精密塗布装置(ディスペンサー)など収益性の高い製品や好採算プロジェクトの売上が増加したことによるものです。また、為替が円安に推移したことも、売上高、利益を押し上げる要因となり、業績に寄与しました。この結果、売上高、利益とも過去最高となりました。
財政政策について当社グループは、必要な運転資金および設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針でありますが、多額の資金需要にも自己資金にて十分に対応することが可能であると考えております。
なお、不測の事態に備えることを目的に、取引銀行で無担保融資枠56億円を設定しており、手元資金と合わせ緊急の支出にも対応できる体制を整えております。
③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
④ 経営目標の達成状況
次中期経営計画では、「Shinwa moving forward 2023-持続的な成長とたゆまぬ変革-」をスローガンに、掲げた各種施策を実施し業容の拡大に向けて取り組んでまいりました。この結果、2022年8月期目標の全項目において達成することができました。
最終年度である2023年8月期においては、引き続き海外の大型プロジェクト等に支えられ売上高の伸長は見込まれるものの、一段の競争激化とコスト負担の増加に伴う利益率の低下が予想され、収益環境は厳しくなる見通しです。こうした直近の事業環境を踏まえ、業績目標を次のとおり修正することといたしました。
引き続き中期経営計画の目標達成に向けて、全社一丸となって重点戦略を推進してまいります。
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