業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大2年目となり、ワクチン接種は進展しているものの、新たな変異株の感染拡大を受け、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が相次いで発出され、個人消費は落ち込みと持ち直しを繰り返す状況が続いておりました。2021年末に感染拡大が落ち着いてきたことで、経済活動は再開され個人消費の持ち直しが見られましたが、2022年年初からはオミクロン株の急激な感染拡大が続き、まん延防止等重点措置が改めて発出され、個人消費は再び減少に転じ、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社が属する外食産業におきましても、新型コロナウイルスの感染拡大と収束が繰り返され、営業時間短縮に伴い来店客数に大きな影響を受けることとなりました。繰り返し発出されていた緊急事態宣言は2021年9月に解除されましたが、その後のオミクロン株による急激な感染拡大による営業時間短縮及び酒類の提供自粛要請により厳しい状況が続いておりました。

当事業年度はこのような環境のもとで、当社は「美味しい料理を真心こめて提供します」を経営理念とし、「お客様に美味しい料理を低価格で提供し、ハッピーな一日(ハイデイ)を過ごしていただく」、このことを基本姿勢とし、新商品の投入、新規出店を行うことで、より多くのお客様に美味しい料理を提供させていただくことに注力いたしました。引き続きお客様と従業員の感染防止対策を徹底し、首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店、サービス水準の向上に向けた取組みや新商品の投入などを行い、業容拡大を図ってまいりました。

店舗展開については、従来からの駅前立地への出店を進める一方、ロードサイドにも6店出店を行い、24店舗出店(東京都10店舗、埼玉県6店舗、神奈川県3店舗、千葉県5店舗)、退店は14店舗となりましたので、2月末の直営店舗数は442店舗(FC5店舗は含まず)となりました。業態別の店舗数は「日高屋」(来来軒含む)が404店舗、「焼鳥日高」(大衆酒場日高含む)が28店舗、その他の業態が10店舗となりました。

新たな取り組みとして、一部店舗において配膳・運搬ロボットの試験導入を行いました。お客様の各テーブルまでロボットが配膳・運搬することによって、今までは従業員が何度も往復しながら行っていた配膳や下膳をロボットが行い、複数卓の片付けが可能となり、ピークタイムのお客様のスムーズなご案内が実現し営業効率が向上致しました。従業員が重たいものを持たないことで、足腰の負担軽減にもつながりました。また、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、ソーシャルデイスタンスの確保にもつながっております。試験投入の結果、今後50台の配膳・運搬ロボットを順次店舗に配属する予定であり、すでに導入を開始しているタッチパネル式オーダーシステムやキャッシュレス決済と併せ、ITデジタル技術を活用したお店作りに取り組んでまいります。

また、通信事業者が提供し、多くの小売・外食店舗で利用でき、すでに多数のユーザーが利用しているポイントサービスの取り扱いを開始し、ポイントを貯めて頂いたり貯めたポイントでお食事をしていただけるようになりました。今後もお客様の利便性を追求し、もっと日高屋を楽しんでいただけるよう様々な施策に取り組んでまいります。

売上高につきましては、前年を上回る営業時間の短縮・酒類の提供自粛等により既存店売上高前年比率は87.3%となりました。

生産、原価面につきましては、ラード・食用油等一部食品の購入単価の上昇と、工場の生産量減少に伴う稼働率の低下もありましたが、業務用米価の改善等もあり、原価率は27.6%(前期は28.3%)となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、フレンド社員(当社におけるパート・アルバイト社員の呼称)の雇用を維持しつつも店舗の人員を適切にコントロールすることで人件費の抑制に努めた一方で、各種キャッシュレス決済の取扱額の増加による支払手数料等の増加、本社移転にかかる諸経費の増加および売上高減少の影響が大きく、販管費の対売上高比率は85.7%(前年同期は81.2%)となりました。

営業外収益には協力金収入として、当期入金分時短営業協力金等を60億11百万円計上しました。この結果、当期の売上高は264億2百万円(前期比10.7%減)、営業損失は35億23百万円(前年同期営業損失27億99百万円)、経常利益は25億86百万円(前年同期経常損失27億78百万円)となりました。

特別利益には固定資産売却益1億円を計上しましたが、特別損失として、スクラップアンドビルドに伴う閉鎖店舗及び新型コロナウイルス感染症拡大により収益性の低下がみられる店舗について減損損失2億94百万円を計上したこと等により、当期純利益は15億79百万円(前年同期当期純損失29億46百万円)となりました。

なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

(2)財政状態の状況

当期末の総資産は、273億1百万円となり前期末に比べて15億74百万円増加しました。これは主に現金及び預金の増加20億22百万円と、新規出店及び本社移転等による有形固定資産増加が4億36百万円、未収法人税・未収消費税等が7億98百万円減少したこと等によるものです。

負債合計は49億39百万円となり前期末に比べて11億29百万円増加しました。これは未払法人税等6億45百万円の増加のほか、原状回復工事費用上昇に伴う見直し等による資産除去債務(固定負債)4億79百万円の増加等によるものです。

純資産合計は、223億61百万円となり前期末に比べ4億44百万円増加し、自己資本比率は81.9%(前期末85.2%)となりました。

(3)キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は43億94百万円(前期は44億72百万円の支出)となり、前期に比べて88億67百万円の増加となりました。これは、税引前当期純利益23億92百万円の計上及び未収消費税等の減少額2億73百万円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は2億52百万円(前期は27百万円)となりました。これは、新規出店や改装等に伴う有形固定資産の取得による支出15億59百万円(前期は11億10百万円)、敷金及び保証金の差入による支出1億84百万円(前期は1億93百万円)などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は11億44百万円(前期は13億75百万円)となりました。これは、配当金の支払額11億38百万円(前期は13億68百万円)などによるものであります。
 以上の結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ29億97百万円増加し、99億22百万円となりました。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当期における生産実績を品目別に示すと次のとおりであります。

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

麺類

607,170

101.5

餃子

759,030

96.8

調味類

655,635

104.1

加工品類

783,474

97.2

合計

2,805,310

99.5

 (注)1 金額は製造原価によって表示しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、品目別に記載しております。

(2)受注実績

 当社は飲食業であり、見込生産によっておりますので、受注高並びに受注残高については記載すべき事項はありません。

(3)販売実績

業態

期末店舗数

金額(千円)

前年同期比(%)

日高屋

404

25,046,609

89.9

焼鳥日高

28

889,088

64.4

その他業態等

10

466,840

143.2

合計

442

26,402,538

89.3

 (注)1 当社では販売品目が多岐にわたるため、品目別の販売実績を記載することは困難でありますので、業態別の販売実績を記載しております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 「日高屋」には、「中華食堂日高屋」「来来軒」を含めております。

4 「焼鳥日高」には「焼鳥日高」「大衆酒場日高」を含めております。

5 「その他業態等」は、「中華一番」「とんかつ日高」「大衆食堂日高」「中華そば神寄」「中華食堂真心」、FC向けの売上高等を含めております。

6 飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、業態別に記載しております。

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態)

 当事業年度の財政状態の状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態の状況」に記載した通りであります。

 

(経営成績)

 売上高は、前期比31億61百万円減少の264億2百万円となりました。この減少要因は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出による一部店舗の休業及び時短営業によるものであります。

 売上原価はラード、食用油等の仕入れ価格上昇、工場の生産高減少に伴う稼働率の低下等もありましたが、業務用米価の改善等もあり、原価率は27.6%となりました。

 この結果、売上総利益は前期比20億89百万円減少の191億11百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、前期比13億66百万円減少の226億34百万円となりました。これは主に人件費の減少によるものです。この結果、営業損失は、35億23百万円(前期営業損失27億99百万円)となりました。

 営業外損益は、営業外収益が前期比60億85百万円増加し62億8百万円、営業外費用は、前期比3百万円減少し98百万円となりました。この結果、経常利益は、25億86百万円(前期経常損失27億78百万円)となりました。

 特別損失には、減損損失の計上など合計で2億94百万円を計上しました。

 以上により、税引前当期純利益は23億92百万円、当期純利益は15億79百万円となりました。

 

 なお、飲食店チェーン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況)

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの状況」に記載した通りであります。

 

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当しております。

 投資資金需要の主なものは、店舗の出店・改装投資及び情報関連投資であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの範囲内における投資を原則としておりますが、戦略的な出店等による資金需要に対しては、必要に応じて主として金融機関からの借入金等により対処することにしております。

 中長期的な目標として首都圏600店舗体制を実現するべく新規出店の投資を継続中であり、詳細は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載の通りであります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。

 

(店舗固定資産の減損)

 当社は、店舗固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる場合があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に獲得でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に重要な影響を与える可能性があります。

 

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