当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、2022年3月31日現在において判断したものであります。
当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化により厳しい状況が続きました。秋口以降、国内のワクチン接種の進展により社会経済活動が正常化への流れに進んだことで一時持ち直しの動きがみられたものの、2022年に入り同感染症の感染力が強い新たな変異株の出現による感染再拡大に伴い、持ち直しの動きに足踏みがみられており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の属する外食業界においても、2021年9月末の緊急事態宣言解除後一時的に回復基調となりましたが、年明け以降、同感染症の感染再拡大で再び営業活動に制限を受けることとなり、1年を通じて非常に厳しい状況が続きました。
このような状況のなか、当社は社会的責任としてお客様やお取引先、従業員の健康・安全を守ることを最優先に政府・自治体の方針に則った形での店舗運営のほか、感染拡大防止対策の徹底を図り、ご来店いただくお客様に安心してご利用いただける環境づくりに取り組みました。そのうえで、それぞれの店舗の特色を活かした新たな取り組みや企画を立案・実行し集客に努めました。一方、同感染症の影響で外食を控えるお客様に対しては、レストランの味をご自宅等で楽しんでいただけるようにオンラインショップやテイクアウト・デリバリー販売のサービス拡充を進め、利用機会の創出を図りました。また、2021年11月には関東で3店舗、西日本で1店舗展開し、多くのお客様にご利用いただいている洋菓子店「アトリエうかい」の新店舗を髙島屋京都店(京都府京都市下京区)へ出店し、さらに多くのお客様にご利用いただけるようになりました。なお、『アトリエうかい 阪急うめだ本店』は2022年3月末日をもって契約満了により閉店しております。
これらの営業施策とともに、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金等の各種支援策の活用や各店舗の状況に応じた人員の効率的配置による人件費の圧縮、広告宣伝費・販売促進費をはじめとする経費の削減を推し進め、収益改善を図りました。
資金面においては、同感染症の影響が長期化する可能性に備え、経営の安定化を図るべく、手元資金を厚くすることを目的に2021年4月・5月に取引金融機関4行と機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約の締結及び更新を行いました。また、2022年3月にはうかい商事株式会社及び京王電鉄株式会社を割当先とする第三者割当増資を行い、財務基盤の改善を図りました。
以上の結果、当事業年度の売上高は、前事業年度の2020年4月・5月に感染拡大防止の観点で実施した臨時休業の反動増の影響もあり9,815百万円(前事業年度比14.5%増)の増収となりました。利益面については、前事業年度に臨時休業期間の人件費、地代家賃、減価償却費等の固定費を特別損失へ振り替えて計上したものの、増収及び経費削減による効果により1,083百万円の営業損失(前事業年度は1,199百万円の営業損失)となりました。経常利益及び当期純利益については、雇用調整助成金及び営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金の合計額617百万円を「助成金収入」として営業外収益に、保有する固定資産の資産価値を勘案し、3店舗について減損処理を実施し、その損失額332百万円を「減損損失」として特別損失にそれぞれ計上したことで、477百万円の経常損失(前事業年度は1,157百万円の経常損失)、869百万円の当期純損失(前事業年度は1,677百万円の当期純損失)となりました。
なお、期末配当につきましては、当事業年度の業績及び財政状態を鑑み、誠に遺憾ではございますが、見送らせていただきたく存じます。
当事業年度の業績は、以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの状況は、次のとおりであります。
飲食店の運営を行っている飲食事業では、同感染症の感染拡大防止対策を講じたうえで、それぞれのブランド・店舗の特色を活かした企画を立案し、集客に努めてまいりました。『表参道うかい亭』では、2021年4月から10月の期間限定で解放感のあるテラス席でゆっくりとお食事を楽しんでいただく「サロン・ド・テラス表参道」の営業を平日限定で行い、鉄板料理とは違う新たな楽しみ方をご提案したほか、『とうふ屋うかい 鷺沼店』でも同年6月より店舗の一部を利用して「茶寮 春待坂」と名付けた新たな空間をご用意し、平日ランチ限定のお弁当「花やぐ小町御膳」や「芳醇こだわりパンケーキセット」のご提供を始めるなど、気軽に店舗をご利用いただけるような取り組みを進めました。また、当社グループ内店舗を食巡りしていただける「UKAI-HOPPING CAMPAIGN」や「(当社公式アプリ会員限定)アプリで美食巡りキャンペーン」の実施など、コロナ禍での来店機会の創出を図りました。このほか、割烹料理『銀座 kappou ukai』のコンセプトリニューアルを行い、こだわりの肉と旬の山海の恵みを味わえる肉割烹料理『銀座 kappou ukai 肉匠』として同年3月にリニューアルオープンし、多くのお客様にご好評いただいております。
一方、前事業年度より需要が高まっているテイクアウト・デリバリー販売では、旬の食材を活用した新たな商品やデザート商品など、メニュー数を増やすことでご家庭の様々なシーンでご利用いただけるよう強化いたしました。また、「とうふ屋うかい」のお土産販売では、自家製豆腐と旬の味わいをコース仕立てで楽しめる季節の鍋シリーズの販売を開始し、お客様満足度を高めるとともに、百貨店等へ催事出店するなど「とうふ屋うかい」のお土産品販売の認知度向上を図り、利用機会の創出を進めました。
これらの営業活動の結果、2021年9月までは断続的な緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発出に伴う営業時間の短縮並びに酒類の提供制限により回復に足踏みが見られたものの、10月下旬の政府・自治体からの要請全面解除以降は、緩やかながらも回復傾向で推移いたしました。
製菓商品の製造・販売を行っている物販事業については、同感染症の影響が続くなかでも好調を維持しております。特にEC販売は、コロナ禍における利用拡大で増加傾向にあるほか、外部販売も百貨店の催事への出店要望に対し積極的に参画したことで順調に伸長いたしました。また、自社店舗販売でも西日本において2店舗目となる『アトリエうかい 髙島屋京都店』を2021年11月に出店したことで売上げを伸ばしており、物販事業部全体を通してコロナ前の売上水準を大きく上回りました。なお、『アトリエうかい 阪急うめだ本店』は2022年3月末日をもって契約満了により閉店しております。
以上の結果、事業本部の売上高は、前事業年度の2020年4月・5月に感染拡大防止の観点で実施した臨時休業の反動増の影響もあって9,070百万円(前事業年度比14.5%増)となりました。
文化事業部では、『箱根ガラスの森』が2021年8月に開館25周年を迎えました。これを記念して、同年4月1日より館内のお買い物やお食事にご利用いただける利用券を付けたお得な入館チケット「開館25周年記念 スペシャルチケット」を販売し、多くの方にご利用いただきました。併せて、今後の戦略を見据え、サービスや施設内環境の向上を図り、来館価値を高めていくことを目的に通常の入館料も改定いたしました。
集客面については、25周年記念特別企画「─炎と技の芸術─ ヴェネチアン・グラス至宝展」を同年4月から11月に開催し、この企画展を柱に様々な企画を立案・実行し、集客を図りました。しかしながら、当該施設は観光地に立地しており、同感染症の影響で外国人旅行客や団体客が減少し、9月までは断続的な緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出により国内旅行を控える傾向にあった影響で飲食事業に比べ回復に時間を要しておりましたが、12月以降は緩やかながら持ち直しの動きが見られるようになりました。
以上の結果、文化事業部の売上高は、前事業年度の2020年4月・5月に感染拡大防止の観点で実施した臨時休業の反動増の影響もあって744百万円(前事業年度比14.0%増)となりました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)2022年3月1日付で『銀座 kappou ukai』は『銀座 kappou ukai 肉匠』に店名変更いたしました。
(注)2022年3月1日付で『銀座 kappou ukai』は『銀座 kappou ukai 肉匠』に店名変更いたしました。
当事業年度末における資産、負債及び純資産の状態は以下のとおりであります。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ740百万円増加し、10,981百万円(前事業年度比7.2%増)となりました。主な要因は、第三割当増資等により現金及び預金が1,452百万円増加したのに対し、有形固定資産が741百万円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ618百万円増加し、7,996百万円(前事業年度比8.4%増)となりました。主な要因は、取引金融機関からの借入金の総額が595百万円増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ121百万円増加し、2,984百万円(前事業年度比4.3%増)となりました。主な要因は、第三者割当増資による新株式発行等により資本金及び資本準備金がそれぞれ511百万円増加したのに対し、当期純損失の計上等により利益剰余金が867百万円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,452百万円増加し、1,866百万円(前事業年度は413百万円)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、獲得した資金は159百万円(前事業年度は909百万円の支出)となりました。主な要因は、収入の内訳として減価償却費500百万円、減損損失332百万円、棚卸資産の減少による増加41百万円、未払消費税等の増加60百万円、支出の内訳として税引前当期純損失816百万円があったこと等によるものであります。
投資活動の結果、支出した資金は109百万円(前事業年度は303百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得により60百万円の支出があったこと等によるものであります。
財務活動の結果、獲得した資金は1,402百万円(前事業年度は1,254百万円の獲得)となりました。主な要因は、収入の内訳として第三者割当増資による株式の発行による収入999百万円、長期借入れの純増額611百万円、支出の内訳として預り保証金の純減額138百万円があったこと等によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注3)有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
(注4)2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業に必要な資金を安定的に維持確保することを基本方針としております。
当社の資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。運転資金は、主に原材料費や人件費、店舗賃借料及び店舗運営に関わる費用であり、設備投資資金は、既存設備の改修や情報システム関連の投資、新規出店によるものであります。これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フローで充当し、必要に応じて短期借入金及び長期借入金等による資金調達にて対応しております。なお、当社は安定的かつ効率的な資金調達を行うため、取引金融機関と当座貸越契約を締結しております。
当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による事業への影響懸念から、手元流動性の確保を目的に、2021年4月、5月に取引金融機関4行と機動的な資金調達が可能となるコミットメントライン契約の締結及び契約の更新を実行したほか、同年8月に政府系金融機関と新型コロナウイルス感染症特別貸付契約を締結しております。また、2022年3月にはうかい商事株式会社及び京王電鉄株式会社を割当先とする第三者割当増資による新株式を発行し、資金調達を行っております。これらにより、当社の事業運営上に必要な資金の流動性は十分に確保しているものと認識しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性であり、「第5 経理の状況 2 財務諸表等〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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