課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は企業理念として、基本理念「利は人の喜びの陰にあり」、経営精神「当社にかかわるすべての人々を大切にし、そしてそのすべての人々により大切にされる企業でありたい」、店舗理念「100年続く店づくり」を掲げております。ステークホルダーの皆様を大切にし、そして大切にされる企業になることこそ100年続く企業への道筋であると考え、全従業員がこの理念を共通の指針として行動し、当社の事業活動を通して多くの方に喜び、感動、豊かさ、絆、和みなどをご提供して社会に貢献できることを第一義に、魅力ある企業をつくりあげてまいります。

 

(2) 経営環境

2020年以降、わが国では新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、厳しい経営環境が続いております。特に外食産業においては、断続的に訪れる感染拡大の波により、営業時間短縮要請や酒類提供の自粛、人数制限等、営業活動に制約を受ける事態が度々生じ、過去に例を見ない厳しい環境下にあります。今後は同感染症に対応したワクチンの接種や治療薬承認等の進展によって改善に向かうことが期待されますが、一方で新たな変異株の出現による感染再拡大懸念は払拭されておらず、今しばらく先行き不透明な状況は続くものと思われます。

また、長引く同感染症の影響は我々の生活に大きな変化をもたらしており、食に対する人々のニーズの多様化も進行しております。今後、従来の生活からの変化は常態化していくことが想定され、外食産業もお客様や社会ニーズの変化への柔軟な対応が求められて行くと思われます。さらには、地政学リスクに端を発した原油・原材料価格の高騰や業界全体の慢性的な人材不足、消費者の安全・安心への関心の高まり等、企業経営に大きな影響を与えかねない課題も山積しており、経営環境は同感染症の影響以外でも厳しい状況にあります。

 

(3) 中期経営戦略と対処すべき課題

当社は、既存事業の安定した収益基盤のもとで新規事業を創出、発展させていくという方針を掲げており、「食」に関わる企業として日本の食文化の発展に貢献できる、収益性と成長性を兼ね備えた企業を目指しております。その実現のためにも、新型コロナウイルス感染症の影響からの業績回復への道筋をつけることは喫緊の課題であります。

また、人材の確保・育成も重要課題となっております。当社は、コロナ前まで「商圏1万キロ」スローガンに掲げて事業の成長促進を図っており、この10年でレストランを国内に4店舗、海外に2店舗、洋菓子店を5店舗(*1)出店しております。この結果、当社ブランドの認知度は格段に広がり、収益力も向上しました。一方で、人材育成のスピードと成長スピードのバランスにずれがみられるようになっており、この状況が続くと1店舗あたりの人員数の減少と中核人材の希薄化が当社の成長の妨げとなる可能性があります。当社店舗のブランドの支柱は、人の温もりが感じられる「おもてなし」にあり、同業他社と比較しても人が担う割合は大きく、コロナ禍からの早期回復、アフターコロナ後の成長戦略を見据えた時には、企業風土にあった人材を確保し、そしてその人材の定着と能力の底上げを行うことも重要な課題であると考えます。

そこで、当社は2023年3月期からの3年間を「収益力、成長力向上に向けた事業基盤の構築期」と定め、「人材力の強化」「収益基盤の強化」「財務基盤の強化」の3つの重点経営課題に取り組んでいく方針であります。

 

(*1) 洋菓子店5店舗のうち『アトリエうかい 阪急うめだ本店』は、2022年3月31日をもって契約満了により閉店いたしました。

 

 

<具体的な取り組み>

(人材力の強化)

・ 定期採用と中途採用を組み合わせた積極的な人材の確保

・ 個々のレベルに合わせた教育・研修の実施と現場のOJTによる機動的且つ柔軟な発想力を兼ね備えた人材の育成

・ 海外派遣やイベント・企画への積極的登用等、学びの機会創出による能力の底上げ

・ 従業員一人ひとりが未来のビジョンを描ける評価制度の再構築

・ 働きやすい職場環境の維持改善

 

(収益基盤の強化)

・ QSCH(クオリティ・サービス・清潔さ・ホスピタリティ)の研鑽による高付加価値化の実現と適正価格の見直し

・ 快適な空間提供のための既存設備の更新

・ 経費のスリム化

・ ブランドポートフォリオの再構築

・ 収益貢献の高い新たな事業の創出

 

(財務基盤の強化)

・  収益基盤の強化による安定した利益の確保

・  急激な資金需要や不測の事態に備えた手元流動性の確保策の立案・実行

・  財務基盤強化に資する資金調達手段の検討

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、目標とする経営指標に自己資本利益率(ROE)、売上高営業利益率、売上高成長率を設定し、効率的な経営に努めてまいります。今後も国内外食業界の動向を勘案し、業界平均を上回る成長及び収益性の実現とその改善に向けた成長性・収益性の強化、資産の効率的活用に努めてまいります。 

 

(5) 配当について

配当につきましては、当事業年度の業績及び財政状態を鑑み、誠に遺憾ではありますが、期末配当を無配とさせていただきたく、ご理解賜りますようお願い申しあげます。

なお、一日も早く復配できる体制を整え、株主の皆様のご期待に応えられるよう努力する所存であります。株主の皆様におかれましては、一層のご支援、ご指導を賜りますようお願い申しあげます。

 

 

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