(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の状況
a. 経営成績
当連結会計年度における当社を取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により昨年に続き影響を受けた一年となりました。上期は自動車や半導体関係を始めとする製造業の輸出量増加に牽引され、下期は自動車に関連する半導体や部品の供給不足による自動車の減産の影響はあったものの、総じて緩やかな景気回復基調となりました。
このような状況のもと、当社グループは「オールインワン事業を展開する新たな卸の形態に変わる」をスローガンとして、今年度より「中期経営計画 Achieve2025」(令和3年3月1日~令和8年2月28日)をスタートし、重点施策を着実に実行しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制限が続く中で、非対面での販売活動にも積極的に取り組むとともに、各種販促企画やオンライン会議システムを活用した計測に関するWebセミナー等も引き続き実施し、拡販に努めました。10月には、「メカトロテックジャパン2021」に出展し、「ものづくりの未来形」をテーマとして、製造現場における自動化に役立つ商材を中心にお客様へ提案いたしました。中長期的な企業成長を見据えた事業基盤の強化を目的として、在庫の拡充を図った他、新基幹システム(令和3年6月稼働)やNICE-NET(受発注システム)の機能向上に向けた二次開発も推進しました。海外展開につきましては、タイ・ベトナム・中国においても新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動の制限が一部続く中で拡販に努めました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は440億70百万円(前年同期比12.6%増)、営業利益は4億89百万円(同156.4%増)、経常利益は6億68百万円(同51.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億48百万円(同63.2%増)と増収増益になりました。
取扱商品分類別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
(切削工具)
主力取扱商品である切削工具につきましては、各種キャンペーンの着実な実行に加え、主力メーカーの在庫拡充やNICE-NET(受発注システム)の利用促進を図り、売上高は217億77百万円(前年同期比14.9%増)となりました。
(計測)
計測につきましては、測定工具・計測機器の拡販および検査・校正ビジネスの拡大に努めるとともに、ユーザー向けのWebセミナーの積極的な開催およびメーカー資格取得による専門力の強化により、売上高は38億12百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
(産業機器・工作機械等)
産業機器・工作機械等につきましては、当社独自の販促企画を実施するとともに、補助金の活用や法改正に準拠した商材拡販を積極的に実行し、売上高は184億80百万円(前年同期比11.8%増)となりました。
b. 財政状態
資産は、171億74百万円と前連結会計年度から7億20百万円増加しました。これは、受取手形及び売掛金が2億59百万円減少したものの、たな卸資産が6億16百万円、電子記録債権が3億20百万円増加したことが主な要因です。
負債は、49億52百万円と前連結会計年度から3億77百万円増加しました。これは、短期借入金が2億51百万円、支払手形及び買掛金が1億24百万円増加したことが主な要因です。
純資産は、122億22百万円と前連結会計年度から3億43百万円増加しました。これは、配当金の支払いにより利益剰余金が1億9百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益4億48百万円の計上により利益剰余金が増加したことが主な要因です。なお、自己資本比率は71.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は1億76百万円と前年同期と比べ3百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
たな卸資産の増加額6億14百万円、売上債権の増加額59百万円等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益6億68百万円、減価償却費2億1百万円等の増加要因により92百万円の収入超過となりました(前年同期は18億48百万円の収入超過)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
無形固定資産の取得による支出2億27百万円等の減少要因により、2億38百万円の支出超過となりました(前年同期は5億79百万円の支出超過)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額1億9百万円等の減少要因があったものの、短期借入金の増加額2億51百万円等の増加要因により、1億41百万円の収入超過となりました(前年同期は12億75百万円の支出超過)。
③ 販売の状況
当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産および負債の残高、収益および費用等に影響を与える仮定や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれらの見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のようなものがあると考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用の追加計上が発生する可能性があります。
c.たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産の評価方法として、移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)、最終仕入原価法を採用しております。しかし、市況や商品ライフサイクルの変化等に伴い、帳簿価額を切り下げるたな卸資産が増加した場合には、たな卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、たな卸資産の評価に係る重要な会計上の内容に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a.経営成績の状況
売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は引き続きあったものの、生産活動の再開に伴い当社取扱商品である切削工具、計測および産業機器・工作機械等の前年同期の売上高を上回り、440億70百万円と前年同期と比べ49億24百万円(前年同期比12.6%増)の増収となりました。
営業利益につきましては、6月より新基幹システムへ移行したことに伴い減価償却費等が発生し販売費及び一般管理費の増加があったものの、売上高の増加に比例して売上総利益が増加した結果、4億89百万円と前年同期と比べ2億98百万円(前年同期比156.4%増)の増益となりました。
経常利益につきましては、売上債権の現金回収により得意先様に支払う現金リベート(売上割引)が増加したものの、同様に仕入債務の現金支払いにより仕入先様から受け取る現金リベート(仕入割引)も増加した結果、6億68百万円と前年同期と比べ2億26百万円(前年同期比51.2%増)の増益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益および特別損失の計上はなく法人税等を計上した結果、4億48百万円と前年同期と比べ1億73百万円(前年同期比63.2%増)の増益となりました。
b.財政状態の状況
資産につきましては、主に主力取扱商品である切削工具の品揃えを強化したことによる在庫の増加により、171億74百万円と前連結会計年度から7億20百万円増加しました。
負債につきましては、主に売上高増加に伴い運転資金需要が増加し、銀行借入が増加したことにより、49億52百万円と前連結会計年度から3億77百万円増加しました。
純資産につきましては、主に営業活動等における利益の計上による増加要因および株主還元における配当金の支払いによる減少要因により、122億22百万円と前連結会計年度から3億43百万円増加しました。なお、自己資本比率につきましては、71.2%と前連結会計年度から1.0ポイント減少しました。
c.キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、在庫拡充によるたな卸資産の増加はあったものの、業績回復に伴う利益の増加により、92百万円の収入超過となりました(前年同期は18億48百万円の収入超過)。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、基幹システム構築費用の支払い等により、2億38百万円の支出超過となりました(前年同期は5億79百万円の支出超過)。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に売上高増加に伴う運転資金の金融機関からの調達より、1億41百万円の収入超過となりました(前年同期は12億75百万円の支出超過)。
以上の結果、現金及び現金同等物は1億76百万円と前年同期と比べ3百万円の減少となりました。
d.資本の財源および資金の流動性について
当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を効率的かつ有効に活用しております。
短期資金需要につきましては、営業活動により得られた資金のほか金融機関から借入を行い、長期資金需要につきましては、金融機関からの借入およびリース会社とのリース契約を行うことを基本としております。また、金融機関と当座貸越契約を締結することで流動性の確保にも努めております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は7億10百万円となりました。
e.目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「中期経営計画 Achieve2025」(5カ年:令和3年3月1日~令和8年2月28日)の初年度として、最終年度目標である売上高550億円、経常利益15億円を達成するために経営を推し進め、初年度の売上高・経常利益計画ともに達成いたしました。
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