文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「商業を通じて、地域社会に信頼される誠実な企業でありたい。」という社是のもと、1986年に創業いたしました。翌1987年に日本で初めて、それまで個々の専門店で提供されていた書籍、文具、音楽、映像など身の回りのエンターテイメントの数々を一店舗に集約した大型複合小売店舗「蔦屋書店」を開店いたしました。当社グループは「日常的エンターテイメントの提供」を事業コンセプトに、お客様にご愛顧いただける店舗作りを目指すと共に、情報技術を活用して徹底したローコストオペレーションに取り組み、事業の拡大と業績の向上に取り組んでまいります。
事業コンセプト: 「日常的エンターテイメント」の提供
当社グループの永続的な成長の源泉は、拡大のための投資を可能とする、高い収益力と健全な財務内容にあります。そのため当社では、売上総利益率と商品回転率の積であり、資産効率と収益性のバランス良い向上の指標である、交差比率の継続的な改善を目標としております。
交差比率=売上総利益率×商品回転率
=(売上総利益÷売上高)×(売上高÷商品在庫)
=売上総利益÷商品在庫......「単位当たりの在庫がどれだけの利益を上げたか」の指標
当社グループは、お客様の期待を上回る「心地よいコミュニティ空間の実現」を掲げ、一人でもご家族連れでもゆったりと快適に買物を楽しんでいただける店舗、地域コミュニティにとって必要とされる場としての店舗づくりを目指します。
当社グループの店舗は「日常的エンターテイメントに関する商品・情報・サービスを複合的に扱う複合店舗」という特長を持っていることから、その競合するサービスは、一般の小売店のみならずインターネットを含む通信販売やコンテンツ配信を始めとする国内外の小売・サービスなど大小多岐にわたっております。
こうした環境の中、当社グループは、地域社会に日常的エンターテイメントとライフスタイルを提唱する新しい“蔦屋書店/TSUTAYA”のリモデルと収益強化を積極的に進めてまいります。
動画配信サービスの隆盛などにより売上の減少し続けているレンタル事業から撤退し、コワーキングスペース事業に進出、TSUTAYAの新業態である「SHARE LOUNGE」を展開してまいります。店舗内にはコラボレーション店舗(テナント)を誘致し、特撰雑貨文具ジャンルにおいては特撰食品を拡大し、大手メーカーとコラボした企画販売や地域特産品のオリジナル企画販売等、付加価値の提供を蔦屋書店から数多く発信してまいります。
また、コア事業である書籍事業の収益力の更なる改善を行ってまいります。IT化を進め、店舗のDX化を推進し在庫の圧縮を行い、更なる収益性向上を目指し、書籍の委託販売から買切り販売への転換、顧客データからAI発注により売れ筋書籍の品揃えによる書籍を売り切る店舗運営を実施してまいります。また、読者を増やす商品開発も進め売上高拡大と利益率の改善を実現してまいります。
さらに、新たな収益パッケージによる大型複合店舗の出店を再開し、同時に撤退選定方針を見直し不採算店舗を順次撤退いたします。
こうした“蔦屋書店/TSUTAYA”のリモデル、新規出店に伴う投資等の財務面での強化並びに地域における「楽・学・遊・働」基地としての書店展開を促進する上で、TSUTAYAチェーンのフランチャイザーであるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社との連携を更に強化してまいります。
単品購入の検索性と利便性でオンライン通販に対抗することは困難であり、その影響は商品分野別に成立していた所謂「業態店」(書店、文具店、ゲーム店など)の行き詰まりとなって現れております。このような環境でリアル店舗がその存在価値を発揮するのは、お客様を包み込む「心地よい空間」の創出であり、それを実現するためには、多彩な商品やサービスを統合した店舗を充実させていく必要があると考えております。
こうした状況下で、「新しい“蔦屋書店/TSUTAYA”へのチャレンジ~新たな収益モデルの創出~」の方針のもと、レンタル事業からの事業転換に注力し、コワーキングスペース事業の拡大により、仕事や勉強、イベントやワークショップなどを通じコミュニケーションの場としても活用できる空間の提供をすすめていきます。また、特撰雑貨文具ジャンルでより利便性を追求した商品、地域と連携した商品、付加価値の高い商品の取扱うことで再来店したくなるお店を作り、話題性や集客性に繋がるテナント・POP UPショップのリーシングを強化し、一層の日常的エンターテイメントの提供に邁進してまいります。商品面におきましては、新規の商品分野を開拓し、既存商品と複合した売り場展開で新たな価値を創出して店舗の差別化を図ってまいります。
一方で、店舗の運営力・収益力の強化も必須と考えております。販管費率を改善するため、セルフレジの導入強化や店舗スタッフの業務効率の改善等により、店舗運営の抜本的な見直しを行ってまいります。
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