(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が、ワクチン接種の普及や経済活動が緩やかに進んだことにより、消費活動が徐々に正常化に向かう一方で、ウクライナ・ロシア情勢の影響から世界的な原材料及びエネルギー価格の高騰、急激な円安の進行などによるインフレ傾向が高まるなど、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
スーパーマーケット業界は、ウイズコロナにおいて行動制限の緩和が進むなかで物価上昇が進み、お客様の「低価格志向」と「生活防衛志向」の高まりが際立ってまいりました。さらに、業態を越えた企業間の価格競争が激しさを増し、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような経営環境のもとで当社は、これまで通り食品スーパーマーケット事業に資源を集中し、当事業年度の重点実施事項である、①新型コロナウイルス感染予防対策の徹底、②札幌ブロック6店舗目「平岸店」を早期に軌道に乗せる、③コンプライアンスの徹底と職場環境の改善、④人材確保と職階別教育の推進、⑤売上高対経常利益率と売上総利益率の目標達成、⑥商品力の強化(コア商品の開発)による差別化戦略の推進、⑦社会貢献、地域貢献による地域密着企業へのさらなる挑戦、の7項目を徹底し、お客様の確固たる信頼と支持を得るため、安心・安全で魅力ある商品の提供に努め、引き続き地域のお客様の食文化と食のライフラインに貢献できる店舗作りに取り組んでまいります。
また、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るとともに、「フレッシュ&ハート」を合言葉に、①地域No.1の店づくり、人づくり、商品づくりの徹底、②従業員が活き活きと仕事ができ、お客様や共に働く仲間に感謝と思いやりを持てる職場環境の醸成、③自由活発で、風通しの良い企業風土の醸成を引き続き進めてまいります。
日頃のお買い物にご不便されている方々に商品をお届けする「移動スーパー(とくし丸)」事業は、社会貢献及び地域貢献の一環として取り組んでおり、9月末現在で15台が稼働しております。今後も地域のニーズに積極的に対応すべく、増車を検討してまいります。
店舗の状況につきましては、2021年11月に、札幌ブロック6店舗目となる「平岸店」をオープンいたしました。また、1月に「啓北店(帯広ブロック)」、6月に「白石神社前店(札幌ブロック)」及び「めむろ店(帯広ブロック)」、7月に「自衛隊前店(帯広ブロック)」、計4店舗を改装しリニューアルオープンいたしました。なお、当事業年度末現在の店舗数は、帯広ブロック9店舗、旭川ブロック7店舗、札幌ブロック6店舗、合計22店舗であります。
イトーヨーカ堂との協働につきましては、セブンプレミアム商品の取り組み強化と、帯広地区における共同販促の実施、リスク管理など有用な情報の交換に努めております。
売上高につきましては、11月の「平岸店」オープンの効果に加え、地域別・店舗別のきめ細やかな販売戦略とお客様の期待に沿える価格戦略の展開、品揃え、サービス、接客に向けた継続的なレベルアップの取組みの結果、前年同期に比べ5.8%増加となりました。また、地域別の売上高につきましては、帯広ブロックは196億58百万円(前年同期比1.8%増)、旭川ブロックは134億26百万円(前年同期比2.7%増)、札幌ブロックは新規出店の効果により134億71百万円(前年同期比15.8%増)となりました。
売上総利益率につきましては、引き続き商品ロスの削減や在庫効率の改善に取り組みましたが、前年同期に比べ0.2ポイント減少し、24.7%となりました。
販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は21.8%となり、人件費の上昇、エネルギー価格の上昇による電気料負担の増加及び新規出店に係る一時的な費用発生等により総額は増加しましたが、前年同期と同じ比率となりました。
これらの結果、当事業年度における売上高は465億60百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は18億83百万円(前年同期比3.4%減)、経常利益は19億20百万円(前年同期比2.6%減)、当期純利益は11億63百万円(前年同期比9.6%減)となりました。
また、当社は、2022年6月30日付「過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度決算短信等の訂正に関するお知らせ」等に記載のとおり、2017年以降の売上原価及び経費の一部に不適切な処理が判明し、2017年9月期第3四半期四半期報告書から2022年9月期第1四半期報告書まで決算訂正を行いました。これを踏まえ、再発防止策に関しまして2022年9月1日付「再発防止策の策定に関するお知らせ」のとおり進めております。株主の皆様には、ご迷惑とご心配をおかけしましたことを改めてお詫び申し上げます。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、61億52百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、19億58百万円(前年同期比2.6%減)となりました。これは主に、税引前当期純利益16億62百万円、減価償却費6億84百万円、未払消費税等の増加1億32百万円等に対し、法人税等の支払額6億1百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2億90百万円(前年同期比80.6%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億51百万円、建設協力金の支払による支出1億2百万円等に対し、建設協力金の回収による収入57百万円、定期預金の払戻による収入21百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、6億22百万円(前年同期比62.5%増)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出3億44百万円、配当金の支払額2億17百万円等によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
当社は、単一セグメントであるため、商品別及び地域別により記載しております。
a.商品仕入実績
当事業年度における商品仕入実績を示すと、次のとおりであります。
商品別 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
青果(千円) |
5,691,162 |
105.0 |
水産(千円) |
2,985,633 |
99.9 |
畜産(千円) |
4,593,285 |
104.1 |
惣菜(千円) |
2,565,479 |
110.0 |
デイリー(千円) |
5,946,112 |
113.3 |
一般食品(千円) |
11,494,056 |
104.4 |
日用雑貨(千円) |
827,332 |
101.3 |
その他(千円) |
877,733 |
100.8 |
合計(千円) |
34,980,795 |
105.7 |
(注)その他は、たばこ、書籍等であります。
b.販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
① 商品別売上高
商品別 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
青果(千円) |
7,422,776 |
104.7 |
水産(千円) |
4,143,212 |
100.5 |
畜産(千円) |
6,566,048 |
104.5 |
惣菜(千円) |
4,337,485 |
109.9 |
デイリー(千円) |
7,687,631 |
112.2 |
一般食品(千円) |
14,340,377 |
104.6 |
日用雑貨(千円) |
1,101,460 |
104.3 |
その他(千円) |
961,041 |
100.1 |
合計(千円) |
46,560,034 |
105.8 |
(注)その他は、たばこ、書籍等であります。
② 地域別売上高
地域別 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
帯広ブロック(9店舗)(千円) |
19,658,452 |
101.8 |
旭川ブロック(7店舗)(千円) |
13,426,041 |
102.7 |
札幌ブロック(6店舗)(千円) |
13,471,511 |
115.8 |
その他(千円) |
4,028 |
99.8 |
合計(千円) |
46,560,034 |
105.8 |
(注)その他は、惣菜センター(直売)であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産につきましては、前事業年度末に比べ10億47百万円増加の222億77百万円となりました。流動資産においては、主に現金及び預金の増加10億37百万円及び未収入金の増加25百万円等に対し、商品及び製品の減少65百万円等により、前事業年度末に比べ9億91百万円増加の89億20百万円となりました。固定資産においては、長期貸付金の増加1億62百万円、リース資産の増加1億32百万円及び建物の増加23百万円等に対し、建設仮勘定の減少1億35百万円及び投資その他の資産のその他の減少1億14百万円等により、前事業年度末に比べ55百万円増加の133億57百万円となりました。
(負債)
当事業年度末の負債につきましては、前事業年度末に比べ1億円増加の74億46百万円となりました。流動負債においては、主に未払消費税等の増加84百万円、買掛金の増加81百万円及び前受金の増加66百万円等に対し、未払金の減少1億65百万円及び未払法人税等の減少1億3百万円等により、前事業年度末に比べ10百万円減少の55億43百万円となりました。固定負債においては、リース債務の増加1億48百万円等に対し、長期借入金の減少56百万円等により、前事業年度末に比べ1億11百万円増加の19億3百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産につきましては、前事業年度末に比べ9億46百万円増加の148億30百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加9億46百万円等によるものであります。この結果、自己資本比率は66.6%となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
「第2〔事業の状況〕 3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ③仕入及び販売の実績」をご参照ください。
(売上原価)
当事業年度の売上原価は、350億46百万円(前年同期比6.1%増)となりました。これは主に、新店舗の仕入高の増加等によるものであります。売上原価率は、前年同期より0.2ポイント上昇し、75.3%であります。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、101億65百万円(前年同期比6.2%増)となりました。主な内訳は、従業員給料及び賞与、広告宣伝費、賃借料及び水道光熱費等であります。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は、18億83百万円(前年同期比3.4%減)となりました。これは主に、売上高の増加よりも、売上原価及び販売費及び一般管理費の増加が上回ったものによるものであります。売上高営業利益率は前年同期に比べ0.4ポイント減少し4.0%であります。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、19億20百万円(前年同期比2.6%減)となりました。これは主に、営業利益が減少したことによるものであります。売上高経常利益率は前年同期に比べ0.4ポイント減少し4.1%であります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、11億63百万円(前年同期比9.6%減)となりました。これは主に、経常利益の減少及び特別損失の過年度決算訂正関連費用の計上によるものであります。売上高当期純利益率は前年同期に比べ0.4ポイント減少し2.5%であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フロー
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2〔事業の状況〕 3〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の主な資金需要は、商品仕入に伴う決済資金、販売費及び一般管理費等の営業費用及び新規出店費用、既存店の改装費用等の設備投資によるものであり、営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本とし、必要に応じて銀行借入により資金調達を行うこととしております。
b.契約債務
2022年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
年度別要支払額(千円) |
||||
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
長期借入金 |
209,995 |
56,004 |
112,008 |
41,983 |
- |
リース債務 |
905,082 |
291,168 |
447,819 |
166,093 |
- |
上記の表において、貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
c.財務政策
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金は、金利動向を見極めながら有利な条件にて長期借入金で調達しております。
2022年9月30日現在、長期借入金の残高は209,995千円であります。また、当事業年度末において、複数の金融機関との間で合計3億円の当座貸越契約及び合計30億円のコミットメントライン契約を締結しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。
次に挙げるものは、当社のすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。当社の重要な会計方針は、注記事項の(重要な会計方針)に記載しております。
財務諸表に関して、認識している特に重要な見積りを伴う会計方針は、以下のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。
④ 目標とする経営指標に基づく経営成績等に関する分析
当社の目標とする経営指標につきましては、安定的な利益率の確保と業容の伸長による利益の拡大を図り、総資産経常利益率10%超の確保を目指しております。
直近の状況を示すと、次のとおりであります。
回次 |
第64期 |
第65期 |
第66期 |
第67期 |
第68期 |
決算年月 |
2018年9月 |
2019年9月 |
2020年9月 |
2021年9月 |
2022年9月 |
総資産経常利益率(%) |
7.2 |
7.7 |
9.7 |
9.6 |
8.8 |
(注)総資産経常利益率=(経常利益)÷((期首総資産額+期末総資産額)÷2)
当社は、総資産回転率と経常利益率の改善のため、投資計画の精緻化と資本政策の適正化に努めるとともに、新規出店と既存店のリニューアルによる売上高の増加、ロス対策と在庫管理の徹底による売上総利益率の改善、コストコントロールの強化と予算対実績の詳細な分析による経費の削減に取り組んでおります。
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