(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種率の上昇に伴い、経済活動が正常化に向かう動きも見受けられました。しかし、足元ではオミクロン株の感染急拡大によるまん延防止等重点措置の適用や原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
ドラッグストア業界におきましては、調剤市場の拡大は継続しているものの、前期の食料品や日用品を中心とした需要急拡大からの反動減が見受けられました。また、マスクの常用や衛生意識の高まりによる化粧品・OTC医薬品の需要減少も長期化しており、異業種・同業種との激しい競争および薬価改定も相まって、経営環境は厳しさを増しております。
このような環境のもと、当社グループは、調剤領域の更なる拡大を目的に、新規開局を進めるとともに、調剤室や待合室の拡張改装、調剤利用率向上に向けた告知強化、かかりつけ薬局アプリのダウンロード促進、業務の機械化、薬剤師の積極採用・教育研修などに取り組みました。物販領域におきましては、創業45周年を掲げ、お取引先様との販売促進活動を展開するとともに、将来の事業拡大に向け、出店・改装・リロケーションなどによる健全な店舗ポートフォリオの推進、One・to・One販促の実現に向けたデジタルCRM基盤の構築などに取り組みました。生産性改善に向け、自動発注の対象範囲の拡大およびシステム改修による店舗作業の削減、人員配置見直しによる労働時間の適正化、お取引先様との情報連携による製・配・販一体でのサプライチェーン全体の最適化などに取り組みました。
サステナビリティ経営におきましては、期首に設定したESGの各種重要課題(マテリアリティ)への対応を進め、関連リスクと機会の特定や対応策の検討を行いました。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく開示・賛同表明を実施するなど脱炭素経営の推進、ジェンダーニュートラルや多様性をコンセプトとする化粧品や環境に配慮した包装紙を使用したエシカルな商品の開発などに注力しました。さらに、地域医療連携の深耕を目的に、全国最多の一般病床数を有する藤田医科大学病院をはじめとする複数の医療機関を関連施設として持ち、地域医療から先端医療まで幅広く展開する学校法人藤田学園と地域医療領域における産学連携に関する基本協定を締結いたしました。
店舗の出退店につきましては、引き続き関東・中部・関西・北陸エリアへの出店に注力することで、112店舗の新規出店と20店舗の閉店および157店舗の改装を実施しました。これにより、当連結会計年度末における店舗数は1,483店舗(前期末比92店舗増)となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ111億75百万円減少し、3,347億58百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ244億36百万円減少し、1,208億68百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ132億60百万円増加し、2,138億90百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は6,254億77百万円(前年同期比3.8%増、226億27百万円増)、売上総利益は1,914億90百万円(同5.4%増、98億59百万円増)、販売費及び一般管理費は1,593億53百万円(同8.0%増、117億63百万円増)、営業利益は321億37百万円(同5.6%減、19億4百万円減)、経常利益は330億82百万円(同6.4%減、22億51百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、不採算店舗の減損損失56億26百万円を特別損失に計上したことにより、193億89百万円(同8.2%減、17億30百万円減)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントは単一セグメントですので、セグメント別の記載は省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ220億13百万円減少し、338億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、71億74百万円(前年同期比78.9%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が274億56百万円、減価償却費が112億68百万円、減損損失が56億26百万円あった一方で、前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響等による仕入債務の減少額が200億79百万円、法人税等の支払額が146億48百万円、売上債権の増加額が19億22百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、238億92百万円(同18.3%減)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が810億円、有価証券の償還による収入が260億円あった一方で、定期預金の預入による支出が810億円、有価証券の取得による支出が240億円、有形固定資産の取得による支出が207億43百万円、無形固定資産の取得による支出が26億36百万円、差入保証金の差入による支出が25億12百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、52億95百万円(同0.4%増)となりました。これは主に配当金の支払額が49億44百万円あったことによるものであります。
③仕入および販売実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。
|
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
調剤(百万円) |
82,107 |
114.3 |
物販(百万円) |
350,922 |
98.7 |
合計(百万円) |
433,030 |
101.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
調剤(百万円) |
132,743 |
112.9 |
物販(百万円) |
486,777 |
101.4 |
その他(百万円) |
5,956 |
117.1 |
合計(百万円) |
625,477 |
103.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ111億75百万円減少し、3,347億58百万円(前連結会計年度末は3,459億33百万円)となりました。
流動資産は1,924億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ214億36百万円減少いたしました。これは主に前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響等により現金及び預金が240億13百万円減少した一方で、売掛金が19億22百万円、商品が4億6百万円増加したことによるものであります。
固定資産は1,423億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ102億61百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が57億34百万円、繰延税金資産が21億6百万円、差入保証金が17億44百万円増加したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ244億36百万円減少し、1,208億68百万円(前連結会計年度末は1,453億4百万円)となりました。
流動負債は1,025億65百万円となり、前連結会計年度末に比べ258億25百万円減少いたしました。これは主に前連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響等により買掛金が200億73百万円減少したことに加えて、未払法人税等が50億1百万円、賞与引当金が6億99百万円減少したことによるものであります。
固定負債は183億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億89百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債が8億64百万円、資産除去債務が5億71百万円増加したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は2,138億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ132億60百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が144億44百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が11億42百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は63.9%となりました。
2)経営成績
(売上高)
売上高は6,254億77百万円(前年同期比3.8%増、226億27百万円増)となりました。主な増加要因としましては、112店舗の新規店舗(関東28店舗、中部31店舗、北陸20店舗、関西33店舗)を出店できたことによる事業規模の拡大や調剤実施店舗数の増加を背景に処方せんの応需枚数が増加(同16.1%増)したことにより、調剤売上が増加したことなどが挙げられます。
(売上総利益)
売上総利益は1,914億90百万円(同5.4%増、98億59百万円増)となりました。主な増加要因としましては、調剤部門において仕入金額の拡大やジェネリック医薬品の直接取引拡大に伴い売上総利益率が改善したこと、物販部門においては店舗での販売ミックス改善により売上総利益率が改善されたことなどが挙げられます。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は1,593億53百万円(同8.0%増、117億63百万円増)となりました。主な増加要因としましては、出店数の増加に伴う賃借料、減価償却費および人件費の増加、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に向けた投資増加による減価償却費の増加などが挙げられます。
以上の結果、営業利益は321億37百万円(同5.6%減、19億4百万円減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、新型コロナウイルス感染症への対応等に関する補助金収入が減少したこと等により31億29百万円(同7.1%減、2億39百万円減)となりました。一方、営業外費用は賃貸収入原価が増加したこと等により21億83百万円(同5.2%増、1億8百万円増)となりました。
以上の結果、経常利益は330億82百万円(同6.4%減、22億51百万円減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失には、減損損失56億26百万円(同47.6%増、18億13百万円増)を計上しました。その結果、税金等調整前当期純利益は274億56百万円(同12.9%減、40億64百万円減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は193億89百万円(同8.2%減、17億30百万円減)となりました。
b.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等
当社グループでは、2022年度から2026年度までの5か年を対象とした中期経営計画を策定し、2022年度よりスタートさせてまいります。中期経営計画最終年度の2026年度には売上高1兆円を目標として掲げており、毎期末に目標に対する進捗状況を判断してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは、店舗運営に係る人件費および賃借料であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、新規出店および既存店舗の改装等による有形固定資産の取得や店舗の賃貸借契約に基づく差入保証金であります。
なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設」に記載のとおりであります。
c.財務政策
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金需要につきましては自己資金を充当することを基本としております。また、当社および当社子会社は、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行わなければなりません。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
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