当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は2,182,649千円となり、前連結会計年度末に比べ192,879千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金189,940千円、原材料及び貯蔵品8,804千円の増加等によるものであります。
また、固定資産は402,695千円となり、前連結会計年度末に比べ36,141千円減少いたしました。これは主に、有形固定資産6,829千円、無形固定資産29,411千円の減少等によるものであります。
この結果、総資産は2,585,345千円となり、前連結会計年度末に比べ156,737千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は332,198千円となり、前連結会計年度末に比べ55,907千円減少いたしました。これは主に、買掛金9,099千円、未払金11,765千円、未払法人税等27,227千円の減少等によるものであります。
また、固定負債は76,480千円となり、前連結会計年度末に比べ変動はありません。
この結果、負債合計は408,678千円となり、前連結会計年度末に比べ55,907千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,176,666千円となり、前連結会計年度末に比べ212,645千円増加いたしました。これは配当金の支払77,845千円に対して、親会社株主に帰属する当期純利益290,490千円を計上したことにより、利益剰余金が212,645千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、ワクチン接種の促進や感染拡大防止策を講じることで新規感染者数が減少傾向となり、経済活動が再開する状況となっております。
一方で、新型コロナウイルス感染症の再拡大の懸念や急激な為替変動及び原油高や原材料費の高騰による企業収益への影響も表面化しており、依然として先行きは不透明な状況で推移しております。
当社グループの主軸事業であるEC通販市場は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生活スタイルが変化したことで、EC化率(全ての商取引のうち、電子商取引が占める割合)の上昇につながり、拡大傾向にあります。一方で印章業界市場全体では、デジタル化の促進等により電子契約やグループウエアが普及し、更に、国・地方自治体の諸手続きの電子化によって押印の機会が減少する方向にあるため、市場規模も減少傾向にあり、今後は一定範囲の顧客を各社が取り合う構造となることから、企業間競争はさらに厳しくなる状況が続くと考えております。
このような環境の下で、当社グループにおきましては、インターネットビジネスの可能性を追求し、一人でも多くの方にその利便性・楽しさ・文化的な豊かさを伝え、グローバルな経営に取り組むという経営方針の下、既存のデジタルマーケティング事業による集客と、販売、製造、出荷まで行うEC通販事業をグループ全体で一気通貫型の事業体系として取り組んでまいりました。また、ECサイトへの顧客流入経路の変化の対策として、指名検索の拡充を図り、アルゴリズムの変動に左右されにくい対策を実施・検証した上で、WEB広告コスト(広告のクリックに対して料金が発生するWEB広告など)のコントロールを実施いたしました。
当連結会計年度においては、購入を目的とする顧客への販売系サイト(「ハンコヤドットコムサイト」等)の自然検索順位は上位で安定しており、第1四半期は新型コロナウイルス感染症の影響から、生活スタイルが巣ごもり消費に変化したことや、特別定額給付金の支給による急激なECへのシフトからの揺り戻しにより減少傾向となりましたが、第2・3四半期は回復傾向で推移したものの、第4四半期では原油の高騰や急激な円安によって物価が上昇し、個人の消費マインドは厳しい状況で推移いたしました。販売系サイトへの訪問客数(流入数)は第1四半期16.8%減、第2四半期10.2%増、第3四半期39.0%増、第4四半期4.5%増となり前年同期比は10.0%増で推移いたしました。グループサイト全体の流入数は18,120,853件(第1四半期17.8%減、第2四半期3.0%減、第3四半期12.8%増、第4四半期7.2%減、前年同期比3.2%減)となりました。CVR(流入数のうち実際に購入に至った割合)は前年同期と同様の2.5%となりましたが、受注件数は前年同期と比較して17,621件減少(第1四半期10.8%減、第2四半期0.8%増、第3四半期1.3%増、第4四半期6.3%減、前年同期比3.7%減)いたしました。
主な商材区分別の状況は、彫刻(主に印鑑及び印鑑ケース等の取り扱い)では、売上高は1,844,708千円で前年同期と比べ143,238千円(前年同期比7.2%減)減少となり、スタンプ(主に浸透印及びゴム印等の取り扱い)では、売上高は845,070千円で前年同期と比べ5,349千円(前年同期比0.6%増)増加となり、印刷(主にカレンダー、名刺等の取り扱い)では、売上高は210,095千円で前年同期と比べ15,742千円(前年同期比8.1%増)増加となりました。
デジタルマーケティング事業のWEBマーケティング分野では、主にグループ会社である株式会社ハンコヤドットコムの顧客獲得のためのサイト構築、広告運用、SEO対策及びグループ会社のシステムの保守・開発支援サービスを行いました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,055,422千円(前年同期比4.3%減)、営業利益は438,206千円(前年同期比1.8%減)、経常利益は438,444千円(前年同期比2.5%減)、税金等調整前当期純利益は438,444千円(前年同期比2.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は290,490千円(前年同期比3.6%減)となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ189,940千円増加し、1,757,833千円(前年同期比12.1%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は301,753千円(前年同期比22.1%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益438,444千円、減価償却費69,892千円等の増加要因及び法人税等の支払額175,316千円等の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は34,107千円(前年同期比55.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出28,651千円、無形固定資産の取得による支出4,999千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は77,705千円(前年同期比74,930.7%増)となりました。これは、配当金の支払額77,705千円によるものであります。
当社グループの報告セグメントはEC通販事業のみであるため、商材区分別に記載しております。
当社グループの生産実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、生産実績に関しては販売実績の項をご参照下さい。
当連結会計年度の仕入実績を商材区分別に示すと、次のとおりであります。
原材料及び商品仕入
当社グループのEC通販事業は、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績を商材区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引相殺前の金額で記載しております。
2.主たる販売先は、不特定多数の一般顧客であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の会計上の見積りに対する影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は主軸事業であるEC通販事業において、販売系サイトの自然検索順位は上位で安定し、訪問客数(流入数)は増加いたしましたが、前期のECへのシフトからの揺り戻しや、原油の高騰や急激な円安による物価上昇に伴う消費マインドの減少により全体的な購入客数が減少し、前連結会計年度に比べ135,689千円減少、3,055,422千円(前年同期比4.3%減)となりました。
一方で、成長に必要な広告運用等が効率的に実施できたことで、利益効率を示す売上高営業利益率14.3%、資本効率を示す自己資本利益率(ROE)14.0%、資産効率を示す総資産利益率(ROA)11.6%と一定水準の効率を維持することができております。
この先の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大の懸念や急激な為替変動及び原油高や原材料費の高騰による企業収益への影響も表面化しており、依然として先行きは不透明な状況が続くとみられます。
当社グループを取り巻くEC通販事業分野におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって生活スタイルが変化したことで、EC化率の上昇につながり、拡大傾向にあります。一方で印章業界市場全体では、デジタル化の促進等により電子契約やグループウエアが普及し、更に、国・地方自治体の諸手続きの電子化によって押印の機会が減少する方向にあるため、市場規模も減少傾向にあり、今後は一定範囲の顧客を各社が取り合う構造となることから、企業間競争はさらに激しくなる状況が続くと考えております。
ECサイトへの顧客流入経路の変化の対策として、指名検索の拡充を図り、アルゴリズムの変動に左右されにくい対策を実施・検証した上で、WEB広告コスト(広告のクリックに対して料金が発生するWEB広告など)のコントロールを引き続き実施してまいります。
財政状態については、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比べて156,737千円増加し、2,585,345千円となりました。負債は前連結会計年度末と比べて55,907千円減少し、408,678千円となりました。当連結会計年度末の自己資本比率は84.2%となっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの主たる事業であるEC通販事業に係る人件費、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費に加え、機械装置等の有形固定資産及びシステム開発に係る無形固定資産への投資等があります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については主に内部資金を活用することにより確保しております。
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