業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は下記のとおりとなります。

①財政状態の状況

(資産)

 資産は、前連結会計年度末に比べ1,547百万円増加し、28,541百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加841百万円、商品の増加664百万円、建物及び構築物の増加371百万円及び繰延税金資産の増加377百万円が、未収還付法人税等の減少623百万円及びのれんの減少159百万円を上回ったことによるものであります。

(負債)

 負債は、前連結会計年度末に比べ2,452百万円増加し、26,233百万円となりました。主な要因は、短期借入金の増加2,031百万円及び買掛金の増加1,313百万円が、流動負債のその他(主に未払消費税等)の減少557百万円を上回ったことによるものであります。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ905百万円減少し、2,307百万円となり自己資本比率は8.1%となりました。主な要因は、第三者割当増資による資本金の増加1,109百万円、資本剰余金の増加1,109百万円、減資による資本金の減少1,459百万円、資本剰余金の増加1,459百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少2,808百万円によるものであります。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う大都市圏を中心とした緊急事態宣言の再発出や、まん延防止等重点措置により、経済活動への抑制が断続的に行われました。ワクチン接種等の対策促進により2021年10月に緊急事態宣言が解除されたものの、足元では新たな変異株による感染拡大の影響や原油価格の高騰に伴うインフレ圧力の高まり、国際情勢の緊迫化等もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが事業活動の中心としております酒類食品流通業界におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、飲食店等では酒類の提供停止や休業、また営業時間の短縮、滞在時間の制限など各行政機関の要請がなされ、引き続き感染拡大防止策を取りながらの営業が続いております。一方で、感染防止策に伴うライフスタイルの変化は、家飲みやフードデリバリーサービス、ネットショッピング等の家庭内需要を高めており、当社グループを取り巻く経営環境を著しく変化させております。

 このような状況のなか、当社グループは「お客様のご要望になんでも応えたい」という基本コンセプトのもと、従業員の徹底した感染防止策に加えて、配達業務を行う従業員向けに定期的な抗原定性検査を実施し、お客様が安心・安全に利用できるように努めました。また、コロナ禍でも需要が急拡大している家庭向け宅配の強化に軸を置き、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては、アフターコロナを見据えた新たな宅配モデル「三層物流」構築のための出荷拠点の増加や配達能力の確保、さらなる店頭販売強化のための店舗改装や店頭販売特化型の新業態「KAKUYASU SELECT」の開店、また、介護用品や生活用品など酒類以外の商品ラインナップの拡充などにも積極的に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高85,514百万円(前連結会計年度比6.6%増)、営業損失3,328百万円(前連結会計年度は営業損失2,602百万円)、経常損失2,898百万円(前連結会計年度は経常損失1,728百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,808百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,601百万円)となりました。

 売上高全体としましては、2021年3月期に取得した子会社3社(株式会社ダンガミ、サンノー株式会社、明和物産株式会社)の売上の一部及び、家庭用売上の伸びにより前連結会計年度を上回りました。

 売上高を区分別にみますと、「業務用」の売上高は、46,455百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。2021年3月期に子会社化した九州2社(株式会社ダンガミ、サンノー株式会社)の影響を除きますと、売上高は前連結会計年度比0.6%増で同水準でした。客数については、上半期の緊急事態宣言時の落ち込みが大きく、結果通年で減少したものの、客単価につきましては11、12月頃に一時的に客単価の回復があり、通期でも若干の回復となりました。

 「宅配」の売上高は、20,631百万円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。コロナ禍において、引き続き在宅勤務の増加や外食機会の減少に伴うデリバリー需要を取り込み顧客数は好調に推移し前連結会計年度を上回りました。客単価においては、単価を押し上げていた大人数でのパーティーや法人企業のオフィスでの納会等による需要が減少したことで、前連結会計年度を下回る結果となりました。

 

 「POS」の売上高は、17,128百万円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。前年の緊急事態宣言下で食品、備蓄品を目的とした来客が急増していたことと比較すると顧客数は前連結会計年度を下回り、客単価は前連結会計年度と同水準となりました。

 「卸その他」の売上高は、1,298百万円(前連結会計年度比394.4%増)となりました。2020年に子会社化した明和物産株式会社の実績が加算され、大きく伸長しております。

 この結果、売上区分別の売上状況につきましては、売上構成比が「業務用」54.3%、「宅配」24.1%、「POS」20.1%、「卸その他」1.5%となりました。

 営業損失につきましては、主に2021年3月期に取得した子会社3社の人件費、賃借料、リース料等が加算されたことや、家庭向けのTVCMの費用などにより、前連結会計年度より増加しました。また、親会社株主に帰属する当期純損失につきましても、前連結会計年度と比較して雇用調整助成金の受給額が減少し、固定資産の減損及び繰越欠損金に係る繰延税金資産の回収可能性の評価見直し等が発生したことで前連結会計年度を下回る結果となりました。

 なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は2,748百万円となり、前連結会計年度末に比べ223百万円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は2,442百万円(前連結会計年度は1,634百万円の支出)となりました。これは主に、減価償却費(756百万円)、仕入債務の増加額(1,246百万円)、法人税等の還付額(629百万円)、助成金の受取額(699百万円)等の増加要因が、税金等調整前当期純損失(3,100百万円)、売上債権の増加額(871百万円)、棚卸資産の増加額(926百万円)等の減少要因を下回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,056百万円(前連結会計年度は1,385百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入(185百万円)等の増加要因が、固定資産の取得による支出(1,170百万円)等の減少要因を下回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は3,723百万円(前連結会計年度は2,055百万円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入(2,209百万円)、短期借入金の純増加額(2,020百万円)等の増加要因が、長期借入金の返済による支出(1,034百万円)、配当金の支払額(286百万円)等の減少要因を上回ったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

酒類販売事業(百万円)

68,230

109.2

合計

68,230

109.2

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社グループは、酒類販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

酒類販売事業(百万円)

85,514

106.6

合計

85,514

106.6

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

2.販売実績の4つの区分の「業務用」、「宅配」、「POS」、「卸その他」別の売上は以下の通りです。

区分名

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

業務用  (百万円)

46,455

109.1

宅配    (百万円)

20,631

105.6

POS  (百万円)

17,128

96.1

卸その他(百万円)

1,298

494.4

合計

85,514

106.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たりまして、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 当社の経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 なお、当連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性及び固定資産の減損については、新型コロナウイルス感染症の影響について、入手可能な情報を基に合理的に見積り、数値を反映しております。

イ.繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金を有しております。これらにかかる繰延税金資産の計上にあたりましては、「税効果会計に係る会計基準」及び社内で定める基準等に従い回収可能性を判断しており、将来の課税所得見積りは、機関決定された利益計画等を基礎にその実現可能性について十分な検討を行い、必要に応じて評価性引当額を計上しております。しかし、将来の経営環境の変化などにより回収可能見込額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上が発生する可能性があります。

ロ.固定資産の減損

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け営業活動から生じる損益が継続してマイナスである資産グループ及び移転等により使用方法について変更が生じた資産グループについて、減損処理の要否を検討し、減損対象となった資産は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。また、共用資産については、割引前の将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を上回っていることから、減損損失の認識は不要であると判定しております。

 

 重要な会計上の見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、自社直営の店舗と店頭販売を行わない小型倉庫拠点及び業務用センターを組み合わせた配達網の構築への投資を積極的に行い、継続的な事業成長を実現いたしました。

 また、売上高の拡大に向けて、顧客数増加の各種施策に取り組んでまいりました。業務用販売におきましては取引先の維持及び新規顧客の獲得に取り組むとともに、家庭用販売においては顧客接点の拡大に向けて新規店舗の出店やWEBサイトの利便性向上を継続して行ってまいりました。新規出店につきましては、既存店舗との相乗効果や配達効率を考慮して、効率的な配達ネットワークを構築し、売上成長を加速してまいります。

 なお、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)経営者の問題認識と今後の方針

 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資等に充当しております。

 

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