文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは事業会社である株式会社カクヤスを中核とし、グループ共通の価値観であるお客様のご要望に「なんでも」応えたいという意気込みや覚悟をもって、地域のお客様に一番便利だと感じて頂けることを願い「お酒を中心とした流通のインフラ」となることを経営方針として掲げております。
(2)目標とする経営指標
当社では、連結売上高及び連結経常利益が当社グループの成長を示す最重要指標と考え、重要視しております。
また、連結営業キャッシュ・フローの最大化を常に念頭に置いた経営にも注力しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 業務用市場の更なる浸透
当社グループが営業活動の中心としております酒類食品流通業界においては、コロナ禍における感染拡大防止策に伴う外出自粛や在宅勤務等による外食機会の減少に伴い、家飲みの増加や大手居酒屋チェーンを避けた個人飲食店を中心としたニーズなど密集環境を回避する様々な市場の変化がおきております。当社グループはその変化に対応し、独立料飲店市場の需要を徹底的に取り込むべく、飲食店様向けの販促サイトの充実や、他の酒販店では提供できないサービス・提案・商材の拡充を進め、また当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては効率的な物流体制を目指すべく三層物流(注)を推し進め、展開エリアでの配送密度を高めることで、業務用市場へのさらなる浸透を図ってまいります。
② 家庭用販売の充実
コロナ禍における家庭消費の需要増加を追い風とし、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスにおいては、三層物流の展開により店舗の品ぞろえから業務用の商材がなくなった分を家庭用の品ぞろえ強化に充てることで、酒以外の食品・日用品など家庭用販売のさらなる充実を図ってまいります。またグループ社全体では、受注間口を広げるための外部サイト(クイックコマース等)との連携強化を進めるとともに、「KYリカー」から「なんでも酒やカクヤス」へのブランド(看板)変更や、九州地区での「なんでも酒やカクヤス」ブランドでの出店を進めることで、さらなる認知獲得・利用促進を促すべく、リアル・デジタルを使った認知拡大施策による家庭用販売の充実を図ってまいります。
③ 家庭向ECモールの構築
コロナ禍においては、PCやスマートフォンを通じての宅配・デリバリーの需要が大幅に高まっており、当社グループ中核会社の株式会社カクヤスのEC事業におきましても、家庭用での新規会員数は大幅に伸長しております。当社グループは強みとするお酒を中心とした家庭向への販売網と、自前の顧客接点(自社受注・自社配送)をもって、配達・販促プラットフォーム企業へと飛躍を遂げるべく、多頻度配達商材のさらなる拡大や、新たな販売チャネルとしてのECモールの構築などにも取り組んでまいります。
④ 人材育成と人材確保
業容拡大や全国展開を見据え次世代幹部候補となりうる人材を育成・プールしていくことでグループ経営を安定的に持続促進してまいります。また、各々のライフステージにあった働き方が出来るように多様な人材が能力を発揮できる職場環境を整えるとともに、社会の変化に合わせ、多様な人材を惹きつけられるような魅力のある労働環境を整備していきます。
⑤ サステナビリティ(SDGs)取組みの強化・推進
環境・社会・経済の持続可能性への配慮により、事業のサステナビリティ(持続可能性)向上を図る経営を目指すべく、現在グループ各社にて行っている各取組みを体系化し体制を整えることで、グループ全社での多角的・継続的な取り組みとして行ってまいります。
⑥ 財務戦略
今後コロナ禍からの収益改善による資本の充実にともない、安全性・収益性及び株式流動性の向上の視点から目指すべき資本効率等の財務指標を設定し、経営目標を達成するための資金調達や運用を行ってまいります。
(注)三層物流とは、家庭用向け宅配枠の最大化と業務用復調時の配達網整備を目的とした当社グループ独自の物流体制です。第一層は業務用センターからのルート配達、第二層は業務用小型倉庫からの即日配達、第三層は家庭用店舗・小型倉庫からの即日配達を指します。
(4)経営環境
国内酒類市場の販売(消費)数量は年々減少傾向にあります(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和4年3月」)。これは国内人口が減少過程に入り、成人人口に占める比較的飲酒量が少ない60歳以上の割合が増加していること、また成人1人当たりの酒類消費量の減少傾向が要因にあると考えられます(出所:国税庁課税部酒税課「酒のしおり 令和4年3月」)。
当社グループが営業活動の中心としております酒類食品流通業界においても、コロナ禍における感染拡大防止策に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用、それに伴う外出自粛、在宅勤務などにより様々な変化がおきております。外食市場は外食機会の減少により縮小傾向にある一方、内食・中食は生鮮食品を中心に家庭での巣ごもり・家飲み需要の拡大により新たな市場機会となっており、在宅勤務等でのテレワークの拡大は、EC利用の増加といったライフスタイルやコミュニケーションを変化させ、リアルとオンラインでのお客様とのさらなる接点の拡大が重要となりつつあります。
競争関係においては、業務用市場ではコロナの影響により非常に厳しい状況に置かれている酒類販売業者が多い中、当社グループは得意先をサポートする営業力や利便性の高い配達力を堅持しており、中小の酒類販売業者より比較的優位な体制を維持しております。一方で家庭用市場では、酒類事業社以外でも、ECサイトやクイックコマース等で酒類の宅配を強化する動きなどもあり、競争環境は厳しさを増しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが営業活動を行っている酒類食品流通業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響により、特に飲食店等における消費の減退が顕著にみられ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続く中、当社グループが対処すべき課題は以下のとおりであります。
①業務用販売の強化
酒類の提供を伴う飲食店等での時短営業や休業が相次いだことで、苦戦を強いられております。そのような環境下でも、年中無休の配送サービスの強みを活かし、引き続き新規取引先の獲得による主要商圏への市場浸透を図り、また酒類に限らない新規カテゴリー商品の取扱いを拡充することで、客単価の向上にも努めてまいります。
②家庭用販売の強化
感染拡大によるライフスタイルの変化により、宅配・デリバリーの需要が大幅に高まっており、当社グループでの家庭向け宅配においても新規会員数の増加は好調に推移しております。このような環境の中、当社グループは強みである「消費者の利便性を徹底的に追及したお届けサービス」を軸とし、引き続き家庭向け宅配の強化を目的とした出荷拠点の増加や、メディアやSNS等を使用した顧客認知の拡大、さらには酒類以外での商品ラインナップを充実させていくことで、お届けサービスを磨き上げ、持続的に事業モデルの価値を高めてまいります。
③事業運営の効率化
感染拡大による消費の減退を背景に、売上の減少が販管費率を押し上げてきております。売上の改善を図るとともに効率的な人員及びシステムの活用を行い事業運営の効率化を図ってまいります。
④財務基盤の強化
コロナ禍により当社グループの財務基盤についても影響を受けており、今後の事業拡大のための投資資金を確保するため、機動的で確実性の高い資金調達方法の検討を行い、収益力の回復と合わせ安定的・持続的成長を可能にする強固な財務基盤を構築してまいります。
⑤スタンダード市場移行に伴う上場維持基準への適合
当社は2022年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しましたが、流通株式比率の改善が課題となっております。株主の皆様に安心して投資対象としていただけるよう、資本政策を踏まえ、上場維持基準の適合に向けた取組みの検討を進めてまいります。
⑥人員確保と人材育成の強化
当社グループの強みである自社配送網を維持するためには、人員の確保及び育成は重要な課題と認識しております。グループ全体で人材の獲得に向けて各種採用活動を進めるとともに、ワークライフバランスや業務に必要な基礎的な知識や能力、またコンプライアンス等の教育を重視し、積極的な人員確保と育成を進めてまいります。
⑦グループ間連携強化と企業価値の向上
グループ全体を統括する当社と事業会社である各子会社との役割と責任を明確化することで、経営の機動性を向上させ、効果的な経営資源の調達及び配分を行いグループ全体の企業価値の向上を図ってまいります。
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