課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略

当社グループは、ECビジネスに参入する取引先の参入障壁を解消し、主要ECプラットフォームから自社ECサイトまでECビジネスを総合支援する様々なサービスを展開しております。

当社グループがビジネスを展開しているEC市場規模は毎年拡大しており、株式会社富士経済が公表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2022」によれば、2014年のEC市場の規模は6.1兆円、そのうち仮想ショッピングモール(以下、「ECプラットフォーム市場」という)の規模は3.1兆円(EC市場全体の51.1%)でしたが、2021年のEC市場の規模は12.5兆円、そのうちECプラットフォーム市場の規模は9.2兆円(EC市場全体の73.8%)となっております。さらに2022年の見込みでは10兆3,810億円(対前年比112.2%)と、順調に拡大していくことが示されております。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な消費の落ち込みや経済活動の停滞などの予測が難しいリスクが存在しており先行きの不透明感は増しておりますが、EC市場におきましては、コロナ禍における消費行動として巣ごもり消費が定着するなどEC利用率の上昇に後押しされ、さらなる市場規模の拡大が見込まれると考えられます。

このような背景から、多数のブランドメーカーが、主要ECプラットフォームでのECビジネス展開に注力することが予測されており、複数のECプラットフォームに対応したサービスを提供している当社グループにとっては、一層のビジネスチャンスと捉えております。

 

 ① ECマーケットプレイスサービス

<成長戦略>

a) 取扱いブランドの増加

複数のブランドを有する取引先の満足度向上により、契約ブランドを増やしてまいりました。引き続き、取引先の満足度を高めるとともに、ブランドメーカー向け営業体制を拡充することにより、現在ECマーケットプレイスサービスで取引のあるブランドメーカーの、別ブランド契約、別プラットフォームへの出店支援を推進してまいります。

また、D2C事業支援サービスにつきましては、今後はメーカー販路DXサービスを「ハンロ―」としてブランディングし、新規取引先の獲得につなげていきたいと考えております。

 

b) 取扱いブランドの成長

当社グループは、ブランドメーカーとのコミュニケーションを重視し、ブランドメーカーと共にブランドを育成するパートナーであると考えております。引き続き、良好な関係性を維持し、当社グループにて 運営している公式ECサイトの成長を図ってまいります。また、創業以来、当社グループが培った実績やノウハウを活用することで、一層成長を促し、収益基盤の拡大及び成長速度の加速、将来的な企業価値の増幅に向けて取組んでまいります。

 

c) 自社ブランドの開発、獲得及び成長

自社での商品開発によるプライベートブランドの展開、またはD2C、ECブランド企業をM&Aにより自社ブランドとして引継ぎ、当社グループが保有する事業成長の資金、EC専門人材、EC販売ノウハウ、商品企画・開発、倉庫・フルフィルメントを投入することで、各ブランドの売上成長に向けて取組んでまいります。さらに、国内の別ECプラットフォームへの追加出店や越境ECサービスによる海外販売を行うことで、各ブランドの販売チャネルを増加し、ブランドの収益拡大を目指してまいります。

 

 ② ECマーケティングサービス

<成長戦略>

a) 平均単価の向上

一取引先に対して複数サービスを提供することにより、平均単価の向上を図ってまいります。そのために、カスタマーサクセス部門にて顧客満足度の向上と解約率の低下につとめております。今後も当該部門の人員を増強し、複数契約の締結につながるようサービスの向上に努めてまいります。さらに、取引先のEC売上に連動した売上連動型の成果報酬の契約を獲得することによる平均単価の向上を目指してまいります。

 

 

b) 高単価サービスの提供

大手企業向けに、ECコンサルティングとマーケティング・クリエイティブを統合し、専任ディレクターを配置し手厚いサポートを提供することで高単価なサービスの提供を増加させてまいります。また、従来の月額固定の報酬から当社の取引先EC売上に連動した報酬体系を導入していくことで、さらなる単価の向上を図ってまいります。

 

c) 新規顧客獲得

定期的にセミナーやイベント等を開催し、EC事業に課題を持っている企業との接点づくりに注力してまいりました。引き続き、見込み顧客獲得のため、また、当社のサービスへの認知度を上げるための活動として開催してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、売上高の成長と売上総利益額を重要な指標とした経営を行っております。サービス別では、ECマーケットプレイスサービスでは売上高を、ECマーケティングサービスでは安定的な収益であるストック売上高を重要な指標としております。ストック売上高とは、マーケティングサービスにおける売上高のうち、継続契約から発生する売上高を指しており、安定的な収益源と考えております。当該ストック売上高には、月額の固定課金に加え、従量課金による売上高が含まれております。

なお、ECマーケティングサービス売上高に占めるストック売上高比率は、2022年3月期は92.8%となっております。

 

(3)経営環境

近年、消費者の購買活動は、リアル店舗からECへのデジタルシフトの動きが活発化しております。2021年7月に経済産業省が発表した「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によれば、2019年に6.76%であったBtoC-EC(消費者向け電子商取引)のEC化率は2020年には8.08%と増加傾向にあり、商取引の電子化が進展しております。野村総合研究所が発表した「ITナビゲーター2021年版」によると、2026年には市場規模が29.4兆円まで拡大する予想となっており、引き続きEC市場の規模は拡大していく見通しです。

また、株式会社富士経済が公表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2022」によれば、2022年のECプラットフォーム市場は10.3兆円(対前年比112.2%)、さらに2023年のECプラットフォーム市場は11.3兆円(対前年比108.9%)と予想されており、今後もECプラットフォーム市場がEC市場全体の拡大を牽引していくと考えられます。消費者庁が公表した「デジタル・プラットフォーム利用者の意識・行動調査2020(詳細版)」によると、ある商品を買いたいとき、自社ECサイトとECプラットフォームにおいて同じ売主が同じ価格で販売している場合、回答者の76.6%は「ECプラットフォームで買い物をする」という結果となっています。

このような背景から、今後は多数のブランドメーカーが、主要ECプラットフォームでのECビジネス展開に注力することが予測されます。例えば、電通が公表した「2020年 日本の広告費」によると、大手企業を中心に積極的な広告事業展開が確認されており、2020年の物販系ECプラットフォーム広告費は1,321億円(前年比124.2%)となっております。このような経営環境から、当社グループについても業績拡大の余地が大いにあると捉えています。

また、世界的には、ブランドメーカーが直接消費者に販売するD2Cの流れが加速しており、小売業者、ブランドメーカーは従来行っていたプラットフォームへの投資をD2Cへシフトしていくことが予想されます。ブランドメーカーが中間流通を介さず、消費者とのつながりを強化し、消費者データの活用を進め、ブランド体験を向上させることが、今後日本においても重要なテーマになると考えています。また、現在一部のブランドメーカーでは既にD2Cを展開していますが、その場合であっても自社ECサイトでのみECビジネスを展開しているブランドメーカーが多く、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECプラットフォームへの出店は進んでおりません。そこで当社グループでは、祖業であるECビジネスにおけるコンサルティングサービスやクリエイティブ支援サービスに加え、上記ブランドメーカーのD2Cを支援し、デジタル上での競争力向上を支援するサービスを提供しております。

 

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 ① 提供サービスの強化

当社グループは、EC運営事業者に対して、事業戦略立案からショップの構築・運営、そして物流・配送までをワンストップで提供する「ECワンプラットフォーム構想」の実現を目指しております。ワンストップで支援することにより独自に積み上げてきたノウハウを、EC運営事業者への新規サービス提供を増やすだけでなく、契約の継続にも活用してまいります。また、市場シェアや広告出稿などのデータの活用を行い、当社サービスのさらなる質の向上を図ってまいります。

 

 ② 優秀な人材の獲得及び育成

当社グループのサービス提供には、優秀な人材確保が必要不可欠であります。当社グループはAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトなど様々なプラットフォーム向けのサービスを提供しております。そのため、EC運営に関する知識や経験のある人材の採用を推進するだけでなく、従前より未経験者を採用し育成に努めており、社内研修やOJTを通じてノウハウを身につけることができる育成体制の強化に取組んでおります。

 

 ③ 内部管理体制の強化

当社グループは、現在成長途上にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。そのため、管理部門業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取組んでまいります。具体的には、関連法令に関する研修や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化を行い、コーポレート・ガバナンス機能の充実等を図ってまいります。

 

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