(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、2023年3月期を最終期とする中期経営計画《GAIN-RG 2023》を策定し、5つの取り組み「事業ポートフォリオの最適化」、「グローバル体制の強化」、「次世代事業の創出」、「グループ経営基盤の強化」、「持続可能な社会の実現」を定め、対応を進めております。
この取り組みの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の売上高は、円安による円貨換算額の増加も加わり、前連結会計年度に比べ5億90百万円増加の581億69百万円(前連結会計年度比1.0%増)となりました。
利益につきましては、海外生産拠点の現地通貨高や世界的な原材料仕入価格・海上運賃高騰の影響を受け、営業利益は9億80百万円(前連結会計年度比53.9%減)となりました。また、持分法による投資利益は減少したものの、補助金収入が増加したことにより、 経常利益は11億26百万円(前連結会計年度比44.1%減)となり、前連結会計年度に特別利益で補助金収入が計上されていたことから、親会社株主に帰属する当期純利益は8億26百万円(前連結会計年度比52.4%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費は2億61百万円それぞれ減少しておりますが、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(日本)
医療機関における外来患者の受診控えや不急の手術・処置延期などの状況は回復の傾向がみられることから、売上高は増加しました。システム拡充を図った薬剤調製・投与クローズドシステム「ネオシールド」や栄養システムのISO規格への切替えによる経腸栄養関連用品の新規獲得、2021年4月に譲受けた急性血液浄化事業の取扱い品目の増加、透析液供給装置の受注増などが売上高の拡大を牽引したほか、中国向けの血液透析装置の販売も好調に推移しました。
これらの結果、売上高は426億96百万円(前連結会計年度比4.5%増)となりました。また、セグメント利益については、増収効果はあるものの、急性血液浄化事業に係る費用増加や医療施設への訪問規制の緩和に伴う販売活動費の増加に加え、子会社配当受領の減少により、10億83百万円(前連結会計年度比7.2%減)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は2億61百万円減少しておりますが、セグメント利益に与える影響はありません。
(シンガポール)
新型コロナの影響により、成分献血用回路や血液バッグなど血液事業の製品群の受注が減少し、売上高は減少しました。
これらの結果、売上高は177億52百万円(前連結会計年度比10.3%減)となりました。また、セグメント損益については、労務費の低減があるものの、減収影響に加え、原材料価格の高騰による原価率上昇の影響により、前連結会計年度に比べ7億71百万円減少の75百万円の損失となりました。
(中国)
中国市場での透析患者数の増加を受け、AVF針(血液透析用針)や人工腎臓用血液回路の販売が好調に推移しました。また、日本向けにおいて、譲受け事業の品目である急性血液浄化回路も売上高の増加に寄与しています。
これらの結果、売上高は33億86百万円(前連結会計年度比12.3%増)となりました。また、セグメント利益については、増収効果はあるものの、原材料価格の高騰や労務費の増加により、35百万円(前連結会計年度比84.5%減)となりました。
(フィリピン)
政府による新型コロナ対策である移動・活動制限の影響が緩和されたことに加え、欧州向けのAVF針や北米向けの成分献血用回路の販売が増加したため、売上高は31億57百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。また、セグメント利益については、増収効果に加え、原材料価格の高騰影響を原料の切替えや購入業者の変更等による効果で吸収したことにより、2億51百万円(前連結会計年度比74.0%増)となりました。
(ドイツ)
AVF針の販売が好調に推移したため、売上高は34億32百万円(前連結会計年度比9.3%増)となりました。また、セグメント利益については、海上運賃高騰による仕入原価の増加により、1億31百万円(前連結会計年度比40.5%減)となりました。
(その他)
売上高は40億59百万円(前連結会計年度比0.7%増)、セグメント損益は前連結会計年度に比べ2億17百万円減少の6百万円の損失となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要は次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ28億85百万円増加の719億71百万円となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
(日本)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ20億68百万円増加の553億5百万円となりました。この主な要因は、配当金の受取により現金及び預金が増加したためであります。
(シンガポール)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ1億83百万円増加の150億2百万円となりました。この主な要因は、円安による円貨換算額の増加によるものであります。
(中国)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ4億32百万円増加の37億75百万円となりました。この主な要因は、売上拡大に伴い棚卸資産が増加したためであります。
(フィリピン)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ5億39百万円増加の59億32百万円となりました。この主な要因は、円安による円貨換算額の増加によるものであります。
(ドイツ)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ91百万円減少の18億17百万円となりました。
(その他)
セグメント資産は、前連結会計年度末に比べ38百万円増加の37億80百万円となりました。
b.負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べ3億2百万円増加の228億47百万円となりました。この主な要因は、設備投資にかかる未払金が増加したためであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ4億83百万円増加の120億30百万円となりました。この主な要因は、長期借入金が増加したためであります。
c.純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ20億99百万円増加の370億93百万円となりました。この主な要因は、為替換算調整勘定の変動によるものであります。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.0ポイント上昇の51.4%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度に比べ5億88百万円増加の68億10百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度に比べ6億60百万円増加の43億99百万円となりました。この主な要因は、売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、前連結会計年度に比べ4億26百万円増加の36億77百万円となりました。この主な要因は、事業譲受にかかる支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、前連結会計年度に比べ36百万円減少の4億99百万円となりました。この主な要因は、借入金の収支差額によるものであります。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後期末発行済株式総数により算出しております。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産実績金額の算定基準は、平均販売価額によっております。
2 セグメント間の取引については、相殺消去前の金額を記載しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 商品仕入実績金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・経営成績等及びセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容、並びに中期経営計画の数値目標及び実績
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
・キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
・資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として合理化設備への投資やICT投資の資金を営業活動によるキャッシュ・フローからの資金、及び財務活動によるキャッシュ・フローからの資金で充当します。この財務活動からの資金については、主に金融機関等からの借入を考えております。
また、株主還元については、株主各位に対する長期的かつ安定的な利益還元を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は18,716百万円であり、現金及び現金同等物の残高は6,810百万円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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